松下、デジタル家電PFでスクウェア・エニックスと協力 －「UniPhier」に3Dエンジンなどを採用

松下電器産業副社長の古池 進氏(左)、スクウェア・エニックスの和田洋一社長(右)

4月7日発表

　松下電器産業株式会社は7日、デジタル家電向けの統合プラットフォーム「UniPhier(ユニフィエ)」に、株式会社スクウェア・エニックスのデジタル家電向けミドルウェア「SEAD Engine」(シードエンジン)を組み込み、デジタル家電上でのシームレスなコンテンツ利用環境を構築すると発表した。

UniPhierの概要と、両社の共同開発の範囲

　「UniPhier(Universal Platform for High-quality Image Enhancing Revolution)」は2004年9月に発表された、デジタル家電向けのプラットフォーム。テレビやDVDレコーダ、携帯電話、カーAVなどで共通で利用できるコアプラットフォームとして展開し、高品位AV技術や低消費電力技術、リアルタイム処理技術、セキュア技術などを集約している。

　2005年10月発売の「SDR-S300」、「SDR-S100」で初めて搭載され、3月3日発売のワンセグ対応携帯電話「P901iTV」や、3月8日に発表された薄型TV「VIERA 600シリーズ」の一部などにも採用されている。

　スクウェア・エニックスが開発した「SEAD(Square Enix Application on Demand) Engine」は、デジタル家電、組込機器向けの2D/3Dグラフィックやサウンド、非同期通信機能などの双方向アプリケーションを実行するためのソフトを統合したミドルウェア。「UniPhier」に搭載することで、デジタル家電用GUIなどの描画能力や操作性を向上させるという。

製品化の目標

　「UniPhier」を活用することで、テレビやDVDレコーダ、携帯電話などのプラットフォームを統合し、移植コストを抑えたコンテンツの同時提供も実現できるとしている。具体的な製品イメージなどは明らかにしていないが、ゲーム機などの高度なグラフィック機能を備えた専用端末を用いることなく、テレビ上でゲームが楽しめるといったことも技術的には実現可能だという。

　製品化の目標は2007年度下期としており、スクウェア・エニックスはコンテンツ制作や、SEAD Engineを加えたUniPhier上のアプリケーション開発環境の提供を担当。SEAD EngineのUniPhierへの組み込みは、松下とスクウェア・エニックスの共同で行なう。

「ホームAV用UniPhier システムLSI」チップを用いた3Dグラフィックのデモ。CPUとの処理分担を最適化したグラフィック技術と、3Dソフトウェア処理技術を用いている

UniPhierのプロトタイプLSIを利用した評価ボード上で動作する、EPG風のGUI。ゲームで培ったUI技術を応用し、直感で理解しやすい操作と、軽快な動作を実現したという

■ 具体的な製品は、あえてイメージしない

松下の古池進副社長

　松下電器の古池進副社長は、「UniPhierにより、ソフト資産を有効利用できることは、単に効率を上げるだけでなく、各製品がつながることで、便利さや安全性などに新しい価値が生まれる」とコンセプトを説明。

　「今回の協力でグラフィック能力を向上させたことにより、こうした価値創造が現実味を帯びてきた」と述べ、「一部のマニア以外でも、ゲーム機などの高品位なグラフィックを利用したコンテンツにアプローチするきっかけになるのではないか」と期待を寄せた。

スクウェア・エニックスの和田洋一社長

　また、スクウェア・エニックスの和田洋一社長は、デジタル家電への取り組みについて、「現在、テレビ向けのコンテンツを制作するのはコストが高すぎて、収益を得ることも難しいが、デジタル家電自体のマーケットは、ゲーム機に比べて全世帯への普及が見込める成長市場」とし、「各ハードのプラットフォームが共通化することで、収益モデルの拡大が見込まれる」との見解を示した。

　一方、具体的な製品イメージが確立されていないことに関して、和田氏は「最初に決めてしまうのは逆に良くない。思いつく製品の例を挙げるのは簡単だが、今回の技術をコンテンツプロバイダなどに提供することで、それを考えてくれる人が増える。それが新しいことだと楽観的に考えている」と述べた。

□松下電器のホームページ
http://panasonic.co.jp/
□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□ニュースリリース
http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn060407-1/jn060407-1.html
□関連記事
【3月8日】松下、薄型TV VIERA/レコーダDIGA計11機種を同時発表
－「VIERA Linkで見るTVから使うTVへ」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060308/pana1.htm
【2月21日】ドコモ、松下製ワンセグ携帯「P901iTV」を3月発売
－ドコモ初のワンセグ対応。スイッチスタイル採用
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060221/docomo.htm
【2005年9月15日】松下、光学式手ぶれ補正搭載の3板式SDビデオカメラ
－2GB SDカード付属。ライカディコマー10倍ズーム
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050915/pana1.htm
【2004年9月1日】松下、デジタル家電用の統合プラットフォーム「UniPhier」
－2005年よりAV機器や携帯電話で搭載へ
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040901/pana1.htm

( 2006年4月7日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]

Copyright (c)2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.