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社団法人日本映像ソフト協会(JVA)は30日、2005年度の事業報告及び2006年度の事業計画を発表した。なお、2006年度の人事については、前年度から継続が決定。会長は株式会社角川書店代表取締役 角川歴彦氏、副会長は株式会社東宝の代表取締役 高井英幸氏。 角川会長は、2005年度の事業報告として、昨年度から実施しているDVDソフトの消費実態調査について触れ「実に興味深い結果が出ており、多額の予算を投資した甲斐があった。日本のマーケットは米国マーケットと性格が類似しており、非常に分かりやすい結果だ。これを見て米国の関係者も安心するだろう。例えば韓国では、映画の興行収入は高くなっているが、海賊盤が横行しているため、ソフトの売上はあまり伸びておらず、日本の方がより健全な市場を形成している」と分析。2006年度以降も引き続き同調査を行なって、データを蓄積していきたいとした。 また、DVDなど映像コンテンツのデータベース化も順調に進行しており、9月以降に発売される予定の映画作品のデータ入力はほぼ完了。既存製品の入力については昨年12月末の時点で20%まで進行中と発表した。同協会ではデータベースの今後の利用方法について検討しているという。 ■ 2005年度はDVD成熟期、2006年度は映画盗撮の法規制化も検討 2005年度のビデオソフトの総売上額は3,708億6,000万円で、前年比98.8%とやや及ばず。その一方で売上数量については、1億1,467万2,251枚/本で、同104%と過去最高値を更新した。 特にDVDビデオが好調で金額は前年比108.7%の3,477億700万円で構成比は93.8%、数量でも同110.0%の1億1,005万1,146枚、構成比96.0%と伸長した。逆にビデオカセットは金額で231億5,300万円、同41.6%、構成比6.2%。本数も462万1,105本で同45.0%、構成比4.0%となっている。 以上の流れから、ビデオソフトの市場はほぼDVDビデオで占められるようになったと判断。また、DVDビデオの出荷数の伸張率が鈍化している点と、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)の2005年1月から12月までのDVDハードウェア出荷状況が前年比98.5%になっている点を考慮して、2005年度は成長期から成熟期へと移行したため、今後市場拡大を図るには販路拡大が必要となるなど、転換期を迎えていると分析した。 2005年度に行なった違法行為の排除活動についても報告があった。期間中にレンタル店575店舗を調査。実質営業している219店のうち5店から612本の海賊盤DVDとビデオを確認、748本の海賊盤を回収した。今年度の違法店率は2%で、前年度の3%から1%減少。また、警察当局により検挙された事件の件数は露天商による海賊盤販売が22件、レンタル店の所持が5件、オークション販売が1件となった。これにより押収された海賊盤はDVDが6,620枚、ビデオが17,780本であった。 また、その他の違法行為として、劇場公開中の最新邦画が小型のビデオレコーダなどで盗撮されたものが、P2Pなどのファイル交換ソフト上で流出している件について言及。「『ハウルの動く城』上映後しばらく沈静化したが、昨年度は『電車男』や『NANA』などの上映時に再びこうした動きが活発になってきている」と状況を把握。 今後は、日本国際映画著作権協会などの映画関連団体とも協力して、こうした劇場などでの上映作品の盗撮行為に対する法規制を強化していくために働きかけていきたいとした。 ブロードバンド映像配信などの新たな映像事業について、2005年度は現在の映像配信の状況や事業の研究を行なうにとどまった。2006年度はビジネスモデルの構築に関しての研究を進めるとともに、新たな調査項目の1つとして検討していきたいとした。 HD DVDやBlu-ray Discなどの次世代メディアについても同様で、2005年度はこれら次世代規格の比較や技術的問題を研究したり、パッケージやメディア仕様についての研究を行なうにとどまった。2006年度では、これらの次世代メディアのパッケージも調査対象に加えていくことを検討していく。具体的には来月末に行なわれる委員会で、こうした新たな規格を単体で調査するのか、既存の調査項目に追加していくのかといった具体的な調査に関する内容を決議していくという。 ■ 角川会長「次世代規格はハードとソフトで歩調を合わせるべき」
角川会長は、現在のDVDソフトの市場について、「成熟してきた点は評価したいが、その中心になっているのは依然として一部のマニア。こうしたマニアが多額の金を注ぎ込むことで全体の約8割を担っているのが現状で、一般人の利用数がまだ少ないのは気になるところ。一般のユーザーがより多くソフトを購入して、全体を底上げしていくことが必要」と言及した。 また、HD DVDやBlu-ray Discなどの次世代規格の製品の現状についての意見を求めると、「ハードメーカーが先行しすぎるように感じる。もっとソフトメーカーと歩調を合わせていく方がいいと思う。DVDの発足時にハードメーカーのみが先行しすぎて、ソフトメーカーを置き去りにして進めた結果、普及が遅れてしまった教訓がある。ハードメーカー、ソフトメーカーともに次世代規格ではぜひこの教訓を生かしてほしい」と現状を分析した。 □JVAのホームページ ( 2006年5月30日 ) [AV Watch編集部/ike@impress.co.jp]
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