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日本ゴールドディスク大賞の特徴は、「レコード(CD)の総出荷数から返品数を差し引いた、正味売上数字」を選定基準として、審査などの判断は含まれていないこと。同協会では正味売上数字についても、「第三者機関の公認会計士の監査によって厳正に確認されている」としている。 第21回目となる2006年度は、2006年1月1日~2006年12月31日までの全作品の売上数を集計。この1年間で発売された作品の売上金額の合計が最も多いアーティストに授与される「日本ゴールドディスク大賞」(旧アーティスト・オブ・ザ・イヤー)や、期間中にデビューしたアーティストで、その作品の売上金額合計の上位10位まで(洋楽は上位3位まで)のアーティストに授与される「ベスト・ニュー・アーティスト」、期間中に発売したシングルで最も売上が高い作品に授与される「ソング・オブ・ザ・イヤー」など19種類の賞(計78賞)が用意されている。 例年、日本ゴールドディスク大賞の授賞式は、NHKホールで開催され、一般の観覧者を応募者の中から抽選で招待し、受賞者がライブを行ない、NHKで生中継するという大掛かりなイベントとなっていた。しかし、今回は、会場を赤坂プリンスホテルに移し、関係者と報道関係者のみのシンプルな構成に変更され、ファンの声援のない中で、従来とはまったく異なる雰囲気の受賞式となった。
今後について同協会では、「第22回については、ダイナミックに変化しつつある時代に相応しい音楽賞とするべく、様々な角度からの見直しを行なっており、ライブを中心とする新生『日本ゴールドディスク大賞授賞式』としての実施を目指して準備を進めている」としており、今回だけが例外的な構成のようだ。
また今回、時代に合わせた新しい賞として、期間中に配信を開始した楽曲の売上枚数上位10位まで(洋楽は上位3位まで)に贈られる「ベスト・ソング・バイ・ダウンロード」が新設された。授賞式には、代表として「Precious」で受賞した伊藤由奈さんが登壇、「皆さんのおかげ。こんな素敵な賞をいただけて、とても嬉しく思っています」と受賞の喜びを語った。 「ベスト・ソング・バイ・ダウンロード」の中から、最も売上が高い作品「ソング・オブ・ザ・イヤー・バイ・ ダウンロード」は、倖田來未さんの「恋のつぼみ」が受賞した。 倖田來未さん自身は、「この曲で受賞したのは意外」という。「倖田來未というよりは、くぅちゃんという感じで、関西弁で書かしていただいた曲で、倖田來未として描いた世界ではなかったので。こういう曲を一番に選んでいただいたというのは、日本の音楽シーンが、好きな人のために歌いたい、伝えたいという曲が受け入れられたのかなと思います。今、恋に悩んでいる女の子たちが、がんばっているのかなと思うと、応援団になってよかったなって、すごく思います」と喜んだ。
この賞が新設されたことについては、「今時の賞ですよね。私も自分の曲とか、バンバン、ダウンロードするタイプなので」と実感していた。
また、期間中にデビューしたアーティストで、売上金額の合計が最も多いアーティストに贈られる「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」は、絢香さんが受賞した。 「ニュー・アーティスト」は、他の賞と異なり、デビューした年の一回しか受賞のチャンスがない、アーティストにとっては貴重な賞。 絢香さんは、「デビューイヤーでしかいただけないこの賞をいただき、このステージに立って改めて、たくさんの人に届いたんだなと、実感しています。CD1枚、1枚を、一人一人が手にとって、聴いてくれたということが、このステージに立てていることにつながっていると思います。今見えない人たちに、感謝の気持ちを伝えたいと思います」とファンへの感謝の思いを語った。
絢香さんは、ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーに加え、「ザ・ベスト10アルバム」、「ザ・ベスト10ソング・バイ・ダウンロード」など計5つのトロフィーを獲得した。
期間中に発売されたアルバムで最も売上が高い作品に贈られる「アルバム・オブ・ザ・イヤー」の邦楽部門は、コブクロの「ALL SINGLES BEST」が受賞。200万枚以上を売り上げた。 「自分たちのシングル曲を順番に集めて2枚組にして、出来上がったときに、本当に自分たちの歩んできた道がそのまま2枚組みになった、それだけでも嬉しかったんです。さらに、200万枚という、たくさんの方に聞いていただいたことを、心から嬉しく思います」と喜びを語った。 「クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー」の邦楽部門は、「『のだめオーケストラ』LIVE!」が受賞。代表として、指揮者の梅田俊明さんがトロフィーを受け取った。
梅田俊明さんは、「とかく、敷居の高いクラッシクというジャンルの中で、のだめカンタービレの関係者の方々が非常に真摯に、演奏シーンに取り組まれて、そのことがドラマの高視聴率へつながった。その結果、より多くの方に聞いていただいたと思います。のだめ効果は絶大で、のだめオーケストラは、年末と最近に、4日連続で、総計2万人の方に、聴いていただくという、クラッシクとしては破格の影響が出ています。これからも、ほかのジャンルと同じ様に、皆さんにクラッシクを楽しんでいただくようにがんばっていきます」と、クラシックの裾野を広げる決意を述べた。
倖田來未さんはアルバムを3,501,171枚、シングル2,410,208枚、ビデオ141,932枚、ダニエル・パウターはアルバムを719,267枚売り上げた。2年連続受賞となる倖田來未さんは、昨年の売り上げ(アルバム2,268,578枚、シングル1,034,595枚、ビデオ243,539本)を、ビデオ以外は大きく上回った。 RIAJ会長 佐藤修氏より、トロフィーを贈られた倖田來未さんは、「お小遣いを削って、倖田來未の作品を買っていただくだけでも嬉しいのに……、声にならないんですけど……」と声を詰まらせ、涙ぐんだ。 「2年連続は奇跡です。前回にいただいた時に、ブームというか、流行っているから取ったといわれるのが、すごい悔しかったんで、今回は絶対取りたいと思って、作品を作ってきたんで、すごい嬉しいです」と連続受賞を喜んだ。 「本当に一人一人の手に取っていただいた、買っていただいた皆さんのおかげで、この場に立つことができた、この場を借りて、『ありがとうございます』という気持ちを伝えたいと思います、今年もがんばっていきますので、よろしくお願いいたします」と感謝の気持ちを表した。
なお、全受賞作品・アーティストの一覧は、RIAJのサイトで公開されている。また、2004年から恒例となっていた、「音楽業界全体の活性化を目的としてリリースする」コンピレーションアルバムCDの発売は、今回は見送られた。
□日本レコード協会のホームページ
( 2007年3月14日 ) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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