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東京タワーを運営する日本電波塔株式会社は21日、2011年に予定される地上波テレビ放送の完全デジタル化に向け、NHKや民放キー局5社に対し、引き続き関東広域圏の親局(東京局)として利用するよう協議を申し入れたと発表した。 同社は、テレビ各局に対し大きく4つの内容を提案。
1.は、送信ポイントを変更せずに、デジタル放送用アンテナの高さのみを80~100m上伸させて、受信エリアの拡大を図るもの。視聴者は各アンテナの方向を変換することなく引き続き受信できるほか、ビル陰による受信障害を減少、親/中継局間の干渉による「SFN混信」のリスクも軽微になるという。 受信可能世帯は約5.88%増加すると試算。なお、80m上伸させる場合はタワー本体の高さは現行の333m(海抜351m)を維持するが、100mとなる場合は、タワー自体の高さも協議の上、伸長させるという。着工は2010年の見込みで、投資予定額は35億円。
2.の新送信所ビルは、放送局専用として、免震構造や高度なセキュリティシステムを持つ施設を建設するもので、1局あたり従来の49m2から215m2と4倍以上に増床できるという。
3.は、上記の施設強化に伴う75億円という設備投資について、放送事業者には一切負担を求めず、自社で賄うというもので、投資額の回収についても「不動産や観光事業との併用で十分な財務力を持っており、経常運営の中で回収できる」(前田伸社長)としている。なお、現在の電波送信による収入額は明らかにしていないが、「全体の半分以下」の額を占めるという。 4.について、具体的な金額は明言されなかったが、「新送信所をいつ建設するかということなどを協議の上、価格水準を決める」(前田社長)とした。アンテナ上伸と新送信所については2004年より各局に説明しており、負担額や賃料については、今年に入ってから提案を始めたという。 ■ 「完全デジタル化にも十分対応できる」
関東広域圏における地上デジタル放送の送信局については、墨田・台東エリアに2011年完成予定とされる600m級の「新東京タワー」が新たな候補とされているが、現在の東京タワーとしては、「完全デジタル化にも十分対応できる」として各局に継続利用を求める方針。 前田伸社長は、新タワーについて「コメントできる立場ではない」としながらも、「送信にフォーカスすれば、(今のタワーで)十分ニーズに応えられる」とし、地震危険度が低い「AAA」(東京都都市計画局の報告書より)であるという立地特性や、これまでの実績などで優位性をアピール。5年ごとの全面塗装や、継続的な保守点検など地道な活動からも安全性と信頼性の高さを訴えた。 この提案では特に回答期限を設けることはなく、前田社長は「各局とは長年友好関係を続けてきた。今回は最善の選択肢を差し上げており、説明も十分に聞いてもらっている。今後もできることを引き続き提案し続ける」という。2008年で開業50周年を迎えるにあたり「これまでの50年と同様に次の50年、その先の50年も」と継続利用を求める考えを示した。
□東京タワーのホームページ ( 2007年9月21日 ) [AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]
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