|
11月11日に発売されたソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(SCE)の新型「PLAYSTATION 3」(CECHH00シリーズ)。40GB HDDを搭載し、PS2ゲームとの互換性やSACDの再生機能を省いた変わりに、低価格化を実現したモデルだ。 SACD再生機能の省略は、AVプレーヤーとしても強力な機能を備えるPS3にとって残念なポイントだが、省電力化や低騒音化など、プレーヤーとしてネガティブな変更点ばかりでもない。ここでは消費電力や騒音など、細かいポイントに絞って新型PS3を検証してみたい。
■ まずは外観をチェック 細かいポイントの前に、筐体の変更点を見ていこう。まずはパッケージ。従来モデルは黒を基調としたどちらかというと男性的なデザインだったが、新型ではブラックモデルが赤色、セラミック・ホワイトモデルは薄いブルーと、大幅に異なるデザインイメージを採用。特にセラミック・ホワイトのケースは、女性が持っても違和感が無さそうだ。
今回は新型のセラミック・ホワイトと、従来シリーズの60GBモデルを比較。筐体サイズはほぼ同じだが、重量は従来の約5kgから、約4.4kgに軽量化されている。実際に手にして比較すると、従来モデルはズシッと重く感じる。
新型ではマルチカードリーダが省かれているため、ドライブ左側の端子部分は開閉しない。また、コントローラーなどを接続するUSB端子の数が4系統から2系統に減っているのも異なるポイント。さらにUSB端子の横に従来あった吸気用の穴が、新型では無くなっている。 吸気/排気穴の変更は随所に見られ、向かって右側面の穴も従来モデルのほうが多い。筐体がカーブを描いている隙間にも穴が設けられている従来モデルは、「スペースさえあれば排気/吸気穴を開けている」といったイメージだ。
背面の排気穴に大きな違いは無いが、接続端子群が電源ケーブル寄りに付いている従来モデルに対し、新モデルでは反対方向に寄っている。縦置きした際は新モデルの方が、ケーブル類が高い位置に来ることになる。誤って引っ張ってしまった際には、新モデルの方が転倒しやすそうなので注意が必要だ。
■ SACD/PS2のゲームは再生できず 次に、既にアナウンスされていることだが、本当にSACDやプレイステーション 2のゲームがプレイできないか試してみよう。 まず、新モデルにSACD層のみを持ったディスクを挿入すると、XMBメニュー画面には、読み込み中を示す渦巻きマークが表示されるが、それが消えても何も変化は起こらず、再生はできない。「非対応のディスクです」といったアラートメッセージも表示されない。 次に、CD層も持ったディスクをかけてみると、通常の音楽CDとして認識。再生ができる。従来モデルの場合、SACD層とCD層の2つが認識されたが、SACD層はまったく無いものとして認識されないようだ。 そこでPS2のゲームソフトを挿入したところ、プレイはできなかったが、今度は「非対応データ」というマークが表示された。しかし、これがPS2ゲームディスクであることを示す情報は表示されなかった。 なお、プレイステーション(PS1)用のゲームソフトとは互換性を維持しており、従来モデル同様、問題なくプレイできる。
■ 消費電力をチェック
消費電力の公称値は、従来モデルが最大380W、新モデルは約280Wとされているが、細かい値はわからない。そこで、起動後に「XMBメニューを表示させている段階」と、「Blu-ray Discビデオ(パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト)再生時」、「DVDビデオ(ナルニア国物語)を1080pにアップスーリング再生時」、「ゲーム(グランツーリスモ 5 プロローグ)プレイ時」の消費電力を比べてみた。
新旧モデルとも、ファームウェアは最新版(Ver.2.0)。HDMI接続、コントローラーはUSB有線接続としている。また、新モデルは開封時、ファームウェアが1.97だった。その際に計測したXMBメニュー時の消費電力は約136~140Wだったが、新ファームを適用すると130~132Wに低下した。消費電力は今後のファームウェアの更新でも変動していきそうだ。
全ての動作時で、新モデルの消費電力が低いことが確認できた。その差は常時30W程度あると言っていいだろう。計測時に感じたことは、ゲームプレイ時の消費電力の変動の少なさ。「グランツーリスモ 5 プロローグ」のレーススタート時、車が密集している箇所では瞬時に190W台まで跳ね上がる従来モデルに比べ、新モデルでは140W台後半から150W台前半にゆっくりと上昇するだけ。Cellに採用された65nm世代の新チップの効果が出ていると言えそうだ。 なお、コントローラーをワイヤレス接続にしたり、HDMI接続をアナログ接続に変更したりすることで本体の消費電力はさらに下げられるが、いずれの場合も1~2W程度の違いしか無かった。
■ 騒音をチェック
最後に動作音の違いを検証しよう。同社は最大ファンノイズが36dBから30dBへと、6dB静音化したとしている。数値ではわかりにくいので、本体背面にある排気ファンに向かって、約15cmの距離にレコーダを設置し、動作音を録音してみた。XMBメニュー表示時の動作音と、ゲームプレイ中にファンの回転が最高になった段階の音を収録している。いずれも風量を感じてもらうため、風切音も若干含んでいる。
なお、いずれもファンの回転数を上げるために排気/吸気口を短時間塞いで内部の温度を上げているが、故障の原因となるので注意が必要。その際、新型モデルは従来モデルの2倍程度の時間塞いでいなければファンの回転数が上がらなかったことを追記しておく。
通常回転で比較すると、従来モデルは「フィーッ」という高周波が常に鳴っているため、耳につきやすく、うるさく感じる。新モデルではこの高い音が消えており、耳をかなり近づけないと動作しているのかどうかわからないくらい静かになっている。また、周囲の風切音の量で、勢い良く風が吹き出している従来モデルと、ほぼ無風の新モデルの違いがわかるだろう。
高速回転時にはどちらもそれなりの音が出るが、それでも新モデルのほうが静音化されており、最高回転時でも、従来モデルの中速回転時程度の騒音しか出ていない。静かなシアター/リスニングルームでPS3を使用し、騒音が気になっていたという人には、SACD再生機能の有無に注意すれば、魅力的な変更点と言えそうだ。
□SCEのホームページ
(2007年11月12日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|