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権利者89団体が補償金問題でJEITAに2度目の公開質問状
-23日までの回答を要求


6月16日発表


 デジタル私的録画問題に関する権利者会議28団体と社団法人実演家団体協議会加盟61団体の89団体は16日、社団法人電子情報技術産業会(JEITA)に対し、私的録音録画補償金制度問題についての公開質問状を送付した。

 89団体が維持と適用機種の拡大を求める私的録音録画補償金制度について、同制度を不要と主張する社団法人電子情報技術産業会(JEITA)と対立。地上デジタル放送の新しい運用ルールとして提案されてきた「ダビング10」に関しても、制度の維持が前提と訴える89団体に対し、JEITAは補償金不要を訴えている。

 今回の公開質問状は、5月30日にJEITAが公表した「私的録音録画補償金問題に係るJEITAの見解」についての異議を唱えるものとなっている。

 JEITAは同見解において、「補償金制度は、本来私的複製が際限なく行なわれることで権利者に重大な経済的損失が生じる場合、それを補償しようとするもの」と定義。「デジタル技術の進展に伴い、技術的にコンテンツ利用のコントロールが容易になっており、補償金制度の必要性は減少する」と説明し、「補償金制度を縮小・廃止していくことが原則」との意見を表明していた。

 さらに、5月8日の小委員会において提示された文化庁による補償金の縮小・廃止の方向性について「道筋が見えないだけだけでなく、当面は補償金の対象を制度的に拡大している」と批判。補償金の対象製品にHDDレコーダやポータブルプレーヤーを追加する案については、「これらの機器は、権利者の経済的損失を直接生じせしめるものではなく、タイムシフト・プレイスシフトを目的とするもの。補償金制度の趣旨に照らし合理性はなく、受け入れられない」としていた。

 同見解に対して、権利者89団体は、以下の8項目を中心とする公開質問状をJEITAの庄山会長宛てに送付。6月23日までの回答を求めている。なお、89団体は6月24日にJEITAの見解や回答に関する記者会見を予定している。

  • 著作権保護技術は、私的録音録画の自由を維持しつつ、著作権法第30条の範囲を逸脱した複製が無許諾で行なわれないよう、コンテンツを保護するもの。「補償金制度の必要性」と「技術的にコンテンツの利用をコントロールすることが容易になっていく」ことは相反するものではない。JEITAの主張は客観的事実に反するものだ
  • 今回の文化庁案において、制度の縮小廃止の方向性が見えないとする理由を、明確に示すべき
  • 「タイムシフト・プレイスシフトが目的」とするものに対しての補償金適用は受け入れないとするが、これまで制度の対象となってきたMDや録音用CD-R/RW、録画用DVD-R/RWなども同様の利用形態は混在していた。HDDレコーダ、携帯オーディオプレーヤー等が補償金の対象となることが、なぜ「補償金制度の趣旨に照らし合理性はなく、従って、消費者に不合理な負担を強いるものである」とするのか、その根拠を示すべき
  • 「ダビング10」の前提条件である「クリエーターへの適正な対価の還元」と私的録画補償金は関係ない、と主張している。それでは、「クリエーターへの対価の還元」は、いったいどのような方法で実現されると考えているのか
  • JEITAの一連の主張は、「消費者への配慮」という言葉を頻繁に使用することとは裏腹に、文化庁案を拒否することで「ダビング10」の実施を危うくしている。「消費者の利益や利便性」よりも、むしろ私的録音録画補償金制度に係る負担のサイクルから、メーカーのみが責任を回避することに固執しているようにしか見えない。私的録音録画が自由であることからもたらされている利益については、消費者だけでなくメーカーにももたらされているものであって、その利益の一部分については、第4次中間答申において「権利者に還元されるべき」とされた対価のリソースに含まれているというのが権利者の考え方。私的複製を可能とする機器等を製造販売して利益をあげる以上、この因果関係と社会的責任からは逃れられないと考えている。その点について考えを聞かてほしい
  • JEITAの委員が私的録音録画小委員会において、「補償を考える余地が生じてくるというふうに考えられる」と発言された「音楽CDからの録音」について、現在私的録音の実態の中心的存在となっているHDDレコーダや携帯オーディオプレーヤーを指定しないで、いったいどのような方法で音楽CDからの録音に係る補償金制度を成立させていこうというのか
  • どのような主旨で、一貫性のない発言をしているのか
  • 本来互恵関係にあるべきコンテンツとハードウェアの両者が相協力すれば更なる成果が期待できると考えているが、こと補償金制度に関する限り、JEITAの態度は一貫して頑なであり、かつ敵対的。こうした状況を打開してより良い関係を実現するために、ともに手を携えることはできないのか

□デジタル私的録画問題に関する権利者会議
http://www.culturefirst.jp/
□ニュースリリース
http://www.jasrac.or.jp/release/08/06_3.html
□公開質問状(PDF)
http://www.jasrac.or.jp/release/08/pdf/06_01.pdf
□関連記事
【6月13日】【AVT】補償金制度への「さらに大きくなった」疑問
~ダビ10と私的録音録画補償金が無関係だと思う理由~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080613/avt027.htm
【5月30日】JEITA、「ダビング10」延期と補償金について公式見解
-「タイムシフト機器への補償金に合理性ない」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080530/jeita.htm
【5月29日】6月2日の「ダビング10」延期が確定
-29日時点で合意得られず。次の目標日は未定
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080529/dub10.htm
【5月29日】「ダビング10を人質にしてはいない」。権利者団体会見
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080529/cf.htm
【2007年12月17日】「ダビング10と補償金は不可分」権利者団体がJEITA批判
-Blu-rayにも補償金で「親孝行を」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071217/dub10.htm
【2007年11月9日】「JEITAは“コピーワンス緩和”合意を破棄するのか?」
-ダビング10と補償金は不可分。権利者28団体が質問状
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071109/dub10.htm

( 2008年6月16日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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