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ソニーは29日、2008年度第2四半期(7~9月)の連結決算を発表した。売上高は、前年同期比0.5%減の2兆723億円、営業利益は90.1%減の110億円、税引前利益は93.3%減の73億円、当期純利益は71.8%減の208億円となった。 なお、営業利益が前年同期と比べて減少している要因には、日本の株式相場下落による影響が400億円強含まれている。また、前年の営業利益には旧本社跡地一部の売却益607億円が含まれており、これらの影響を省くとほぼ前年並みになるという。 エレクトロニクス分野では、液晶テレビ「BRAVIA」が全地域で販売台数増加。PC「VAIO」は海外で売り上げが増加。デジタルカメラ「α」も増収を果たした。しかし、米ドルに対する円高のマイナス影響を受け、分野全体では前年同期比0.6%の減収。売上高は1兆6,533億円となった。なお、前年同期の為替レートを適用した場合は5%の増収になるという。
BRAVIAとイメージセンサでは損益改善も進んだが、北米を中心にコンパクトデジカメが伸び悩み、単価も下落。PCも競争激化で単価が下落。ビデオカメラも市場縮小が影響し減益。これらの影響を受けて、営業利益全体も前年同期比40.5%減の756億円と減少した。なお、テレビのみの売上高は前年同期比19%増加し、3,650億円。営業利益も130億円改善し、90億円の損失。
ゲーム分野の売り上げ高は、前年同期比10.3%増収の2,685億円。前年同期の為替レートを適用した場合15%の増加となる。全地域でのPS3のハードウェア売り上げは、前年同期比112万台増の243万台。「1,000万台の目標に向けて順調に進んでいる」(原直史業務執行役SVP)という。プレイステーション・ポータブル(PSP)も同60万台増加の318万台で、ハードウェア全体で売り上げが増加。
しかし、プレイステーション 2は250万台と前年同期比78万台のマイナスで減収。ソフトウェアでもPS3/PSP用は増収したものの、PS2用が減少した。しかし、中近東やアジアなどで依然として底堅いビジネスを展開できているという。営業損失もPS3ハードウェアのコスト改善や、PSPの販売好調などにより前年同期比572億円改善し、395億円の損失となった。
映画分野では、「ハンコック」の興行収入が好調だったこともあり、売上高は前年同期比3.4%増の1,961億円。営業利益は、持分法適用会社が欧州のケーブルテレビ・チャンネルを売却したことで投資利益が増加。結果として同199.9%増加の110億円。 一方で、ソニー・エリクソンの売上高は、為替相場の変動と普及価格帯製品の構成比が高まったことによる製品ミックスの変化により、前年同期比10%の減少となる28億800万ユーロ。激化する欧州市場の競争環境や、コストの上昇などの影響で、税引前利益は前年同期の3億8,400万ユーロから1,300万ユーロの損失と、大幅に悪化した。
金融ビジネスの収入もソニー生命の減収により、分野全体で前年同期比36.1%減少した1,007億円、営業利益も前年同期231億円から253億円の損失になっている。
■ シャープとの合弁会社設立契約にも影響 大根田伸行執行役EVP兼CFOは、為替の影響の大きさについて、「仮に(前提レートが)今日午前中の97、98円/ドル、105円前後/ユーロのままいくとすると、営業利益に与える影響は900億円くらいのマイナスになる」と説明。「実際にはリスクヘッジで3カ月程度の為替予約を行なっているため300億円程度は救われると思うが、それでも影響は大きい。今回の金融危機の影響がどの程度続くかはなんとも言えないが、しばらくこういう状況が続くと見ており、来年になっても影響は続くと考えている」という。 テレビ事業については、「この第2四半期で黒字化の見込みを立てていたが、こうした状況で残念ながら赤字になってしまった。前年より業績は改善している」という。ゲームに関しては、ユーロの取引が大きく、為替の影響も大きかったというが「それが無ければ予想以上に良い業績になっていた」とのこと。テレビ事業で目標としていた2008年度通期での黒字化については、10月23日の会見と同様に「大変厳しい状況で、(年間の黒字化は)ちょっと難しいと現時点で理解している」と語った。 なお、ソニーとシャープは2月に、大型液晶パネル/モジュールの生産/販売を行なう合弁会社を設立することで合意。合弁契約を9月30日を目標に締結するべく交渉を続けていたが、現在まで締結には至っていない。大根田氏は23日に2008年度業績見通しを下方修正した際、「環境の悪化を乗り切るためのアクションプランを検討していく」と語ったが、「そのプランに同合弁会社への設備投資見直しや、出資比率の引き下げなどが含まれるか?」との質問に、「現在のところは考えていない」と回答。 しかし、交渉の長引きには情勢変化が影響していることは認め、「両社にとって競争力が最も高くなるような契約内容にすべく、話し合いを続けている。合弁会社の設立は確かなことだが、今後出資比率の変更などがあるかは今のところ何とも言えない」(原直史業務執行役SVP)とした。 なお、既報の通り、同社は為替の変動と、市場環境の悪化によるエレクトロニクス事業の業績不振などを理由に2008年度(2008年4月1日~2009年3月31日)の連結業績見通しを修正している。修正後の業績見通しは、売上高は9兆円(7月予測比2%/2,000億円減)、営業利益は2,000億円(同2,700億円/57%減)、税引き前利益は2,100億円(同2,500億円/54%減)、純利益は1,500億円(900億円/38%減)。
□ソニーのホームページ
(2008年10月29日) [AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]
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