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キヤノン株式会社は、蛍石レンズ採用の光学20倍ズームレンズを搭載したHDVカメラ2製品を12月中旬に発売する。HD/SD-SDI出力などを搭載した上位モデル「XH G1S」は84万円、SDI出力などを省いた下位モデルの「XH A1S」は57万7,500円。
XH G1SとXH A1Sの違いはXH G1Sにのみ、HD-SDI(Serial Digital Interface)出力、GENLOCK端子、タイムコード入出力端子を搭載していること。XH A1Sでは、それらの機能が省かれている以外の仕様は共通で、両機種ともファンタム電源対応のXLR端子を2チャンネル装備している。 2006年10月に発売された「XH G1/A1」の後継機にあたり、価格は据え置き。「XL H1」と、「XL H1S/A」の関係と同じで、画質面での強化は少ないが、「プロユーザーの要望に応え、ズームレンズの操作性の改善やオーディオ仕様の見直しを図った」としている。 撮像素子や、映像エンジンなどはXL H1/A1から変更なく、1/3型総画素数約167万画素CCDを使った3板式、映像エンジン「DIGIC DV II」を搭載する。有効画素数はHDVとSDワイドモードで約156万画素、SDの4:3モ-ドで約117万画素。水平解像度約800本を実現している。 また、レンズも光学設計については従来モデルを継承。UDレンズ(Ultra Low Dispersion)と蛍石レンズを採用し、F値はF1.6~3.5。焦点距離は、35mm判換算で32.5~650mm(16:9)、39.8~796mm(4:3)で、最短撮影距離はワイド端で20mm、ズーム全域では1m。 ただし、操作性については大幅に改善。誤操作防止のためズーム、フォーカス、絞りの各リングの形状に差をつけ、リング間にも大きな段差が設けられている。さらに、XL H1Sに同梱の20倍ズームと同じグリスを使用することで、各リングの操作フィーリングが同等となり、従来モデルに比べると粘りと重量感のある操作感に変更された。また、機能面でも、従来はできなかった、ズーム中のマニュアルフォーカスが可能となった。
ズームスピードについては可変領域が約1.4秒~約5分と、従来の約2.6秒~約1分よりも最高速がより速く、最低速がより遅くなった。さらに、ズームキー操作時の動き始めと止まり際に加速度/減速度を持たせ、自然なズーム映像の撮影を可能にした。また、ズームリング操作時のリング回転角を約90度/60度/45度の3段階に設定できるほか、フォーカスリングについても敏感度を3段階に設定可能となっている。
そのほかにも、今まで、少絞り回折をさけるためF9.5以上になるとCLOSEになる「絞り制限」が搭載されていたが、この機能をOFFにできるようになり、F9.5からCLOSEまで多段階に絞れるようになった。 ホワイトバランス色温度設定の設定領域も、従来の2,800K~12,000Kから、2,000K~15,000Kに拡大されている。「セレクティブNR」では、ブルーバック、グリーンバック撮影後の合成作業に便利なように、色相、クロマ、エリア、Yレベルを調整して、画面上のブルーからグリーンの領域を選択し、ノイズリダクションがかけられるようになった。 従来同様、+48Vファンタム電源供給に対応したXLR端子2系統を装備し、CH1、CH2のレベル設定は独立と連動を切り替え可能になった。マイクレベルは+12/6/0/-6/-12dBの5段階、LINEはダイヤル最大時0dBFS、センター時-18dBFS、LINE出力1Vrms/2Vrmsの2段階で設定できるように強化された。 また新たに、XLRマイクとXLRライン、フロントマイクとXLRラインの同時記録にも対応。突然の過大入力による音声の歪みを防ぐリミッター機能をオーディオマニュアル記録時にも使えるようになった。
マニュアル撮影時にボタンを押すだけで適正露出に補正する「プッシュAE」機能を搭載。また、各操作ボタンの周囲に凹凸を加えたり、撮影に関するボタンを長押し操作に設定できるようになるなど、誤操作を防ぐ配慮が施されている。
そのほかにも、大型アイカップが同梱されるようになったほか、ハンドストラップのパッドが大型になり、ホールド性が高まったとしている。
フォーカスアシスト機能としては、ファインダー内でピーキングの強調する線の太さや濃さを(周波数/ゲイン)の調整が可能になり、2種類の設定値をカメラに保存でき、PEAKINGボタンでワンタッチで切り替えられる。なお、カスタムプリセットはXL H1S/XH G1/XH A1と互換性がある。
付属品は、ワイヤレスコントローラや、バッテリパック「BP-950G」、ACアダプタ、ストラップ、SDカード、D端子コンポーネントケーブルなど。
液晶モニターは、2.8型ワイド/20.7万画素で変更はないが、情報表示エリアを中心から外側にずらすことで、映像が見やすくなった。本体にはSD/MMCカードスロットを備え、動画撮影中の静止画撮影も可能。静止画の記録解像度は1,920×1,080/1,440×1,080/848×480/640×480ドット。 外形寸法は約163×394×192mm(幅×奥行き×高さ、レンズフード/アイカップ含む、グリップベルト含まず)、撮影時重量(フード/BP-950G/テープ/メモリカード含む)は2,465g(XH G1S)/2,400g(XH A1S)。従来モデルの約163×314×189mm(幅×奥行き×高さ)、約2,330gから、大きく重くなっている。 □キヤノンのホームページ http://canon.jp/ □ニュースリリース http://cweb.canon.jp/newsrelease/2008-11/pr-xhg1s.html □製品情報 http://cweb.canon.jp/prodv/lineup/xhg1s/index.html □関連記事 【5月7日】【EZ】HDVでもHDD収録、キヤノン「XL H1S」+ EDIROL「F-1」 ~ 現実的なハイエンドHDVの使い方 ~ http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080507/zooma360.htm 【4月10日】キヤノン、レンズ交換可能な最上位HDVカメラの新モデル -キットレンズに絞りリング追加。SDI搭載モデルも http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080410/canon.htm 【2006年10月25日】【EZ】コンパクトなプロフェッショナル機「キヤノン XH A1」 ~ 十分な実力を備えながら小回りの利くHDV機 ~ http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061025/zooma277.htm 【2006年7月26日】キヤノン、レンズ一体型HDVカメラ「XH G1/A1」 -絞りリング装備のビデオLレンズ。HD-SDIも搭載 http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060726/canon1.htm ( 2008年11月5日 ) [AV Watch編集部/furukawa@impress.co.jp]
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