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「Inter BEE」開幕。LED液晶/FEDモニタなどが展示
-ソニーの有機ELビューファインダは来春発売へ


会期:11月19日~21日

会場:幕張メッセ

入場料:無料(要登録)


 映像と音響、通信に関する国内最大の放送機器展「Inter BEE 2008」が、幕張メッセで11月19日から21日まで開催されている。放送業界向けの展示会となっており、最新ビデオカメラやモニタ、映像配信システムなどが出展されている。

 入場は無料だが、事前登録もしくは会場での当日登録が必要となる。主催は社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)。



■ ソニー

ソニーブース

 液晶マスターモニタ「TRIMASTER」のコーナーでは、新製品の23型フルHD「BVM-L230」(2009年2月発売/92万4,000円)とLEDバックライトの17型フルHD「BVM-L170」(同3月発売/105万円)を展示。また、参考展示として56型の3,840×2,160ドット(QFHD)液晶モニタを出品した。

 56型は、17型モデルと同様にRGBバックライトの「プレシジョンバックライトシステム」を採用し、広色域を実現。フルHDの4倍となる解像度を活かし、映画やデザイン制作現場などでの利用を主に想定。会場では24p映像をデモ再生していた。来夏の製品化を目指すという。


56型LEDバックライト液晶モニタ 左が23型「BVM-L230」、右が17型「BVM-L170」 液晶モニタではLUMAシリーズも

11型有機ELビューファインダ

 昨年に試作機が参考出品された11型有機ELビューファインダが進化した形で展示。2009年3月の発売を予定し、価格はCRTモニタ同等とする270万円程度を想定。パネル解像度は960×540ドットで、筐体の薄型化により可動範囲を広げたことが大きな特徴。

 ビューファインダの表示内から特定の範囲を拡大するときに、従来の試作機では全体の画角を無視してそのままズームする形だったが、画角を残したままPinP(子画面表示)できるようになったほか、特定の色を基準にしてピーキングを設定できるといった機能を備えている。


側面の操作部 PinPで拡大表示が可能

 そのほかの展示として、ヘルメットやアームなどに取り付けて撮影できる小型の1080iカメラ“まめカム”HD(HXR-MC1)をデモ。2009年1月発売で、想定価格は20万円弱。

 1/5型クリアビッド配列の「Exmor」CMOS(総画素数約236万画素、有効画素数約143万画素)を搭載し、フルHD/60iまでのAVCHD形式でメモリースティック PRO デュオ/PRO-HD デュオ/PRO デュオ HXに記録できる。付属バッテリパック(NP-FH60)での連続撮影時間は110分(液晶バックライトOFF)、実撮影時間は55分(同)。会場には専用の防水ケースも参考展示していた。


“まめカム”HD 防水キットも参考展示



■ パナソニック

パナソニックブース

 25.5型/1,920×1,200ドットのIPSパネルを搭載した液晶モニタ「BT-LH2550」は広色域を特徴とし、6モードの色域設定が可能。視野角は上下/左右178度。SDI入力2系統とコンポーネント、DVI-D、アナログRGBを搭載する。別売ブラケットにより壁掛けにも対応する。2009年1月末発売で、価格は60万9,000円。そのほか、倍速駆動の17型/1,280×768ドット「BT-LH1760」(50万4,000円)なども展示された。


25.5型液晶モニタ「BT-LH2550」 上段が17型「BT-LH1760」 P2HDシリーズ製品も展示

AVCCAM Viewerのデモコーナー

 9月に発売した業務用AVCHDカメラ「AG-HMC155」に合わせて同社より無償配布されたPC向けのバックアップ/プレビューソフト「AVCCAM Viewer」のデモも実施。AG-HMC155を持っていなくてもダウンロード可能なソフトで、撮影したファイルをPCのHDDにバックアップでき、AVCHDのフォルダ構成を維持したままで管理できる。

 プレビュー画面では映像とメタデータが閲覧できる。取り込んだファイルはBlu-ray DiscやSDカードへの書き出しも行なえる。


AVCCAM Viewerによる簡易プレビューや、HDD/BDへのバックアップなどを紹介している 保存された映像の詳細表示画面 AG-HMC155



■ FEDの19.2型モニタを池上通信機、アストロデザインが試作

 エフ・イー・テクノロジーズの「ナノスピントFED」パネルを採用し、池上通信機と、アストロデザインが19.マスターモニタの試作機をデモ。いずれもサイズは19.2型で、解像度は1,280×960ドット。

 池上通信機では、前回はエフ・イー・テクノロジーズの試作機をそのまま展示していたが、今回は自社開発の回路も組み合わせた形で展示。試作機本体の奥行きは150mm程度。2010年とされるパネルの量産時期に合わせて製品化を見込んでおり、FEDの製品化に合わせてCRTから移行するという。アストロデザインでは暗室でCRTと比較展示していた。本体の奥行きは200mm程度。

 なお、アストロデザインでは、46型フルHDの3Dモニタも展示。HD-SDI入力を2系統備え、右目用/左目用の各映像信号を入力することで専用の合成機などを使用せずに3D映像の生成が可能。円偏光方式を採用し、専用メガネで立体的に見える。価格は未定だが、「技術的には200~300万円以上」(説明員)という。24型も用意する。


池上通信機ブースのFED(左)とCRT(右)の比較。なお、CRTは映りこみが見えるが、これはFEDのみNDフィルタがかけられているため アストロデザインのFEDモニタ(右)。左がCRT アストロデザインが展示していた46型3Dモニタ

そのほかのモニター製品ではビクターが新製品の「DT-V24LL3D」など液晶モニタ3製品(左)を展示。また、CEATECでも展示した56型4Kモニタ(右)も 東芝ブースでも東芝ライテックの56型4K液晶



■ 映像配信サービスやエンコード技術など

 12月より配信が開始されるNHKオンデマンドのデモも実施。PC用の画面を見ることができた。「アクトビラ」用の画面は展示されていない。

 配信番組や価格などは既報の通り。アクトビラでは「アクトビラ ビデオ・フル」のみで配信され、PC用の配信は1.5Mbps/768kbpsの2種類が用意される。なお、同じく12月から開始される「アクトビラ ビデオ/ダウンロード」など、ダウンロード型サービスへの対応については検討段階で、当初はストリーミングのみとなる。

 デモではPC上でコンテンツの選択から購入/決済までの流れを見ることが可能。なお、アクトビラでの配信では、通常のアクトビラ ビデオ購入時と合算する形で決済できるという。


NHKオンデマンドの画面(PC用) 1.5Mbps/768kbpsから選択

KDDI研究所の動画“プロアマ判定”ソリューション

 映像配信に関する技術では、2007年にも展示されたKDDI研究所の著作権侵害動画検出システムが進化。撮影技術などからプロ/アマを判定し、「プロと判断された映像は違法の恐れがある」ということから未然に著作権侵害動画のアップロードを防ぐもの。

 今回は、新たに“プロ度”の評価を1~9で判定。基準となる項目の数や種類は明かされなかったが、数多くの項目がベースとなっているという。配信サイトなどへの導入スケジュールなどは決まっていないが、既存サービスでこの技術のテストも行なわれている。


投稿された動画の“プロ度”を1~9で評価 撮影スキルの評価。点数は1~99 ブース内で撮影スキルのコンテストを実施。来場者から注目されていた

 判定項目の一部としては、映像が編集されている/いない点があり、編集されていないものは(テレビ録画をそのままアップロードした)“プロ”と判断されやすい。また、撮影スキルから判断するという測定方法も研究。例えば手ブレや白とび/黒つぶれといった要素がアマチュアと判定される。

 これらは、プロ=違法という考え方だけでなく「投稿サイトのなかからクオリティの高い動画だけが見たい」といったニーズや、動画投稿サイトなどでスキルを競うといったポジティブな付加機能としての提供も想定されている。また、コンテンツ制作現場での教育面での導入も見込み、精度の向上を図っている。なお、会場では“プロ度”を競う撮影コンテストも行なわれているので、自信のある人は試してみるといいだろう。


KDDI研究所では、テレビ放送をリアルタイムで追いかけ再生するというアプリケーションも展示。配信側が放送中の番組をリアルタイムでサーバー上に蓄積し、ユーザーがテレビを見始めたときに既に放送中の番組を冒頭から見直すことができるというもの。著作権の面で課題はあるが、まずはパソコン上でのテレビ視聴を想定して研究を進めている


フィックスターズのブースでは、ソフトウェアAVCエンコーダ「CodecSys」をデモ。リアルタイムでフルHD/30fps映像をAVCフォーマットにエンコードできるもので、Cell Broadband Engine(Cell/B.E.)を搭載したIBMのブレードサーバー「BladeCenter QS22」の利用で、従来比8.6倍の高速化を実現するという。Cellは独自の超解像技術にも利用され、SDからHDへのアップコンバートも可能 トムソン・カノープスではFIRECODER Bluなどをデモ


日立マクセルは、リムーバブルHDD「iVDR」のコーナーで、電子ペーパーを搭載したモデルを参考展示。残量や、記録コンテンツの内容を文字やサムネイルで表示できる。そのほか、発表済みの業務用iVDRや、P2メモリーカードも展示された


ビクターのブースで展示された「ProHD」カムコーダの小型モデル。価格や発売日は未定 キヤノンは、フルHD動画撮影対応の一眼レフカメラ「5D MarkII」を展示 ボーズは商業空間向けスピーカーシステムの天井埋め込みタイプ「FreeSpace 3-II System」を参考展示


□Inter BEE 2008のホームページ
http://www.inter-bee.com/2008/
□関連記事
【2007年11月21日】【EZ】万人がHDの時代へ、Inter BEE 2007
~ 基本路線を維持しつつ、クリエイター向け製品も大量展示 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071121/zooma331.htm
【2007年11月20日】Inter BEE 2007が開幕。ソニーが有機ELビューファインダ
-42型マスターモニタも。松下は低価格AVCHDカメラなど
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071120/interb.htm
【2006年5月1日】【EZ】NAB2006レポート その2
~ HD次世代へ転身するための改革 ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060501/zooma255.htm
【2006年4月26日】【EZ】NAB2006レポート
~ HD当たり前の時代へ向けての猛ダッシュ ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060426/zooma254.htm
【2005年11月16日】InterBEE 2005が開幕。ソニーはXDCAMをHD対応に
-1080p対応VC-1リアルタイムエンコーダなど
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20051116/inter.htm
【2004年11月18日】Inter BEE 2004会場レポート
-4K SXRDの実写デモや1セグ放送端末など
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20041118/inter.htm

( 2008年11月19日 )

[AV Watch編集部/nakaba-a@impress.co.jp]


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