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【新製品レビュー】
iPhone 3G用、「TV&バッテリー」でワンセグを受信する
無線LAN活用で受信を実現。使い勝手は今一歩


2008年12月31日先行販売開始

2009年1月9日全国販売開始

標準価格:9,840円


 2008年のAV Watch 10大ニュースでも2位に入るなど、昨年大きな話題を集めた「iPhone 3G」。ソフトバンクモバイルから日本市場に発売され、タッチパネルを活用した操作性やデザイン性、拡張性の高さなどに注目が集まった。

 一方で、ワンセグや絵文字など、日本の携帯電話では標準搭載となりつつある機能が無いことから、日本の携帯に慣れた人には使いにくく感じる部分もある。PCにある程度詳しいユーザーでないと使いこなすのが難しい面もあり、“ハードルの高い端末”と言えるのも事実だ。

 しかし、iPhone 3Gの普及に力を入れるソフトバンクは、7,280円と2,324円の2段階定額制導入や、複雑なiPhone 3Gの機能を把握&説明できる販売スタッフを店頭に配置する「iPhoneマスター制度」など、サービスやサポート体制の強化でこれに対応。同時にAppleにも掛け合い、ファームウェアのアップデートで絵文字への対応を実現させるなど、精力的だ。

 その流れで、無理だと思われていたワンセグへの対応も驚くべき方法で実現してみせた。それが今回紹介する周辺機器「TV&バッテリー」である。


■ ワンセグを無線LANで再送信

ワンセグ受信中の画面

 ワンセグチューナを内蔵していないiPhone 3Gで、どうやってワンセグを視聴するか? 答えは“無線LANによる再送信”だ。外形寸法85×50×15mm(縦×横×厚さ)の筐体の中にワンセグチューナとバッテリ、無線LAN機能を搭載。受信したワンセグ放送を、独自に暗号化して無線LANで再送信。iPhone 3Gでそれを受信し、専用視聴アプリ「テレビ」で表示するという仕組みだ。

 マキエンタープライズが、USBワンセグチューナ「PCTV-hiwasa mini」(Mac版)で、録画したワンセグ番組を無線LAN経由でiPhone 3G/iPod touchへダビングできるソリューションを発表しているが、リアルタイムで放送を受信できる機器は「TV&バッテリー」が初めて。ソフトバンクでは「アプリとTV&バッテリーを組み合わせた1つのシステムとして機能すること」を理由にDpaのガイドラインに沿う製品としてリリースした。今後、iPhone 3G以外にも、無線LANを使ったワンセグ製品は増加していくかもしれない。

 なお、通信できるのは1台のiPhone 3Gのみ。一度iPhone 3Gと接続した「TV&バッテリー」を、別のiPhone 3Gと接続する場合にはTV&バッテリーをリセットする必要がある。

 また、「TV&バッテリー」という名前の通り、外部バッテリとしても利用できるのがユニークなポイント。iPhone 3GとUSBケーブルで接続すると、チューナ内蔵のバッテリを使ってiPhone 3Gを充電できる。価格は9,840円と、サードパーティー製単体バッテリと比べると高価だが、1台でワンセグと予備バッテリの2役ができるというわけだ。

TV&バッテリー ボタンは側面に備えた電源ボタンのみ 伸縮式のロッドアンテナを内蔵している

 正面は光沢のある黒を基調としており、周囲をシルバーのラインが囲む、iPhone 3Gと良く似たデザイン。外形寸法115.5×62.1×12.3mm(縦×横×厚さ)のiPhone 3Gと比べると2回りほど小さいが、厚さは15mmと若干分厚い。そのため、並べると“小さくて厚い”という印象を受ける。重量は約80g(iPhone 3Gは133g)だ。

 高級感のあるデザインだが、筐体はほぼプラスチック。軽さと相まって手にすると安っぽく感じてしまう。ストラップホールは無く、凹凸も無いため、落下には注意したい。ディスプレイに見える部分は黒い光沢パネルで、ステータスは搭載された2個のランプの点灯具合で示される。

iPhone 3Gとのサイズ比較

パッケージ 開けたところ 付属品はUSBケーブルのみでシンプルだ

 ボタンは右側面に備えた電源ボタンのみ。付近にリセット用スイッチの穴があるだけと、非常にシンプル。下部にUSB A型端子とmini B型の端子を備えている。A型端子はiPhone 3Gを充電する際に使用。mini B型は 「TV&バッテリー」自身を充電する時に使用する。

 同梱のUSB-miniB USBケーブルを用いて、AC電源/USBポートからの充電が可能。充電所要時間はPCとの接続時で約180分、Apple USB電源アダプタを介してコンセントから充電した場合は約120分かかる。TV&バッテリーの内蔵充電池はリチウムポリマーで、3.7Vの1,200mAh。iPhone 3Gのバッテリ容量は公表されていないが、バッテリが空のiPhone 3Gを接続したところ、80%程度まで充電することができた。所要時間は110分程度(公称100分)。「TV&バッテリー」のバッテリが空になってしまうため、充電は1回のみとなる。

 ワンセグの連続視聴時間は、「TV&バッテリー」とiPhone 3Gの両方が満充電の場合で約2.5時間。双方充電しながら視聴することもできるほか、「TV&バッテリー」からiPhone 3Gを充電させながら、ワンセグ視聴も可能。ただし、その場合は「TV&バッテリー」のバッテリが激しく消費されるため、1時間20分程度で電池が無くなってしまった。

iPhone 3Gを充電することもできる USB A型端子とmini B型端子を備えている 液晶ディスプレイなどは備えておらず、電池残量や起動状態などはランプ表示で判断する


■ 一癖ある視聴までの操作

 ワンセグ視聴の流れは、まず「TV&バッテリー」の電源ボタンを押す。起動中は上側のランプが緑色に早く点滅する。起動所要時間は約20秒で、点滅から点灯に切り替わると起動したという合図になる。

 次に、iPhone 3G側の設定画面から、無線LANの設定に入る。すると「TV&バッテリー」の無線LAN機能が起動しているため、無線LANの検索結果欄に「TV&バッテリー」のSSIDが表示されている。「TV&バッテリー」のSSIDは本体裏のシールに記載されている。

 このSSIDを選択すると「TV&バッテリー」との接続が確立。iPhone 3Gの画面上部に無線LANを使用しているアイコンが現れる。この状態で、App Storeで無償配布されているアプリ「テレビ」を起動すると、「TV&バッテリー」からのワンセグ再送信を受信できる体制が整う。画面には各チャンネルの番組情報が約3番組分表示され、番組説明をタッチすると選局。しばらくすると映像が表示される。

無線LANの設定画面。「TV&バッテリー」のSSIDを選択して接続する 右から2個目にあるのが視聴用アプリ「テレビ」のアイコン アプリ起動中の画面 起動するとEPG画面が表示される

 ワンセグ再送信中の「TV&バッテリー」では、緑のランプがゆっくり点滅。電波の受信状態が悪いとオレンジや赤での点滅となり、受信感度の目安になる。また、番組表示中のiPhone 3Gの画面上部にもアンテナマークを表示でき、ここからも受信状態を確認できる。

 下部のランプはバッテリ状態を示すもので、起動中に電源ボタンを短く押すと緑、オレンジ、赤のいずれかで光残量を示す。赤は30%以下、オレンジは30〜70%、緑は70%以上。この情報はiPhone 3Gの画面にも表示される。

視聴中にタッチすると、上部に番組情報が表示される

 ワンセグ機能は最低限で、番組表示中に画面にタッチすると視聴を終了する「完了」ボタンと、番組情報、アンテナ/バッテリ状態を示すアイコンが表示され、再度タッチすると消える。ダブルタッチするとワイド画面の放送をズーム表示し、両端が切られた全画面表示に切り替わる。表示は横方向のみで、縦位置には対応していない。データ放送や字幕表示も非対応だ。

 EPG画面でできるのはEPG情報の再読み込み程度で、録画機能も備えておらず、視聴予約も行なえない。設定画面では受信地域の設定と、「TV&バッテリー」のSSID変更、バージョン確認ができる程度だ。

選局中の画面。EPG画面から出画までは約14秒 SSIDの変更が可能 ファームウェアのバージョンは「1.00.04」。アプリケーションのバージョンは「1.0」 受信地域設定画面

 使い勝手の面では、視聴するまでにかかる工程の多さや時間が気になる。「TV&バッテリー」の起動に20秒かかるが、その後にiPhone 3G側で無線LANの設定を行ない、ホーム画面に戻り、「テレビ」アプリをタッチ。アプリ起動と「TV&バッテリー」への接続に約10秒かかる。EPG画面から選局すると出画までに14秒必要。全ての操作を流れるようにやったとしても1分はかかるだろう。

 auの「W51T」と比べたところ、ワンセグアプリの起動に6秒程度、選局から出画も6秒程度であることを考えると、工程とかかる時間は大きく劣る。

 また、放送を受信する「TV&バッテリー」とiPhone 3Gが離れているから生じる問題もある。再送信されたワンセグをiPhone 3G側でバッファリングしながら表示しているようで、携帯電話と並べて同じ番組を視聴してみると、12秒ほどiPhone 3Gの方が遅れて表示されるのだ。試しに視聴中の「TV&バッテリー」の電源を強制的にOFFにしてみても、13秒程度iPhone 3Gでは放送が表示され続ける。

画面には「TV&バッテリー」のバッテリ残量と受信感度も表示されるが、感度メーターはリアルタイム表示ではないようで、あまり使えない

 テレビと比べない限り表示の遅れは気にならないが、受信感度の調節時にはネックになる。バッファリング時間が長いため、画面を見ながら「TV&バッテリー」の設置位置を調整することができないのだ。ベストのポイントがあったとしても、綺麗な画面が写るのは十数秒後であるため、それを探すのが難しい。アイコンのアンテナ表示もリアルタイムではないようで、頼みは「TV&バッテリー」のランプ点滅のみだ。これを見ながら設置場所を決定。あらためてiPhone 3Gでアクセスする……という流れになるだろう。

 逆に、受信部と表示部が分かれていることは利点ともなる。例えばワンセグ電波の入りにくい部屋の場合、入りやすい別の部屋などに「TV&バッテリー」を設置。iPhone 3Gで場所を気にせず受信することが可能になる。今まで工夫しても自室でワンセグが受信できなかったという人には有効なアイテムだ。

 だが、その場合も工程の多さはネックになる。「TV&バッテリー」の電源を遠隔でONにする機能が無いため、ワンセグが観たい場合はいちいち離れた部屋に電源をONしに行かなくてはならないのだ。5分間「TV&バッテリー」の操作を無線LAN経由で行なわないと自動で電源がOFFになってしまうため、iPhone 3Gで他のアプリを使い、ワンセグをもう一度観ようとしたら5分が過ぎていて、また離れた部屋に行く……という動作を実際に何度もしてしまった。

 また、無線LAN経由で接続しているため、TV&バッテリーと接続している間はiPhone 3Gで無線LANルータなどと接続できないのも悩ましい。TV&バッテリーと接続した状態でSafariに切り替え、Webブラウジングすると、無線LANルータとは接続せず、3Gネットワークが使われる。3Gが入りにくく、家では無線LANを使っているというユーザーには注意が必要。視聴のために無線LAN設定を切り替えるのも億劫であり、「テレビ」アプリから無線LAN設定が直接変えられないのは残念なところだ。


■ 携帯電話より若干劣る受信感度

携帯電話でかろうじて受信できる場所では、「TV&バッテリー」で受信できないことが多い

 携帯電話「W51T」と受信感度を比較したところ、「W51T」でアンテナを出さずにかろうじて放送を受信できる電波状態の中で、「TV&バッテリー」でアンテナを出さずに受信することはできなかった。どちらもアンテナを伸ばせば良好に受信できるが、テストした限りでは「ワンセグ携帯より若干劣る」という印象だ。

 杉並区や千代田区などを歩行中、上着のポケットにアンテナを半分ほど伸ばした状態で「TV&バッテリー」を入れ、iPhone 3Gでワンセグを観ながら歩いてみたが、ビルのそばや地下街など、一部を除いては良好に受信ができる。総武線/中央線の中でも試してみたが、地表よりも窪まった場所にある駅や、陸橋をくぐるポイントなどでは受信できない瞬間もある。

視聴中にメールを受信したところ

 受信が不安定な場合は、「TV&バッテリー」を入れた側のポケットをドアのそばに近付けたり、バッグの中に「TV&バッテリー」を入れて棚の上に置くなどすると感度が良くなることもある。こうした工夫ができるのも受信部と表示部が分かれている利点と言えるだろう。

 半ば強引にワンセグ対応をしているため、iPhone 3G標準機能との親和性も気になるところだが、視聴中に電話がかかってきた場合は問題なく通話画面に切り替わった。だが、通話を終えてもEPG画面に戻るのみで、視聴状態には自動復帰せず、音楽再生とは挙動が異なる。メール/SMSが来た場合は、ワンセグ画面にメールの到着を知らせるオーバーレイ表示が出て、EPG画面に戻される。


■ 今後のバージョンアップに期待

 昨年10月の発表時は、「12月中旬以降の発売」とアナウンスされていたが、クリスマスを過ぎても一向に発売される気配が無く、12月31日の大晦日に直営店で突然販売が開始された。しかし、視聴アプリの公開は1月1日夜となり、それまではバッテリとしてしか使用できない状態に。販売も渋谷や表参道など、直営の7店舗で先行販売という形式で、全店での販売は1月9日と、慌しい船出となった。

 視聴までの操作が若干複雑だが、iPhone 3Gを使いこなせるユーザーであれば難しくはないだろう。変則的な方法だが、“なんとしてもワンセグに対応するんだ”というソフトバンクの気概が見えるような製品であり、ギミック的な面白さに魅力がある。ただ、実現しているのは“視聴のみ”であり、機能的に「急いで購入すべきか?」と問われると疑問が残る。

 iPhone 3Gの大容量メモリや、動画/音楽ファイルとの親和性の高さを考えると録画機能は欲しかったところ。操作性にも改善の余地があり、「テレビ」アプリを起動すると自動的に「TV&バッテリー」の電源がONになり、無線LAN設定もワンセグ視聴用のプロファイルに自動的に切り替わる……くらいの機能は実現して欲しかった。自動起動は難しいかもしれないが、自動電源OFFまでの時間変更など、カスタマイズ機能の充実は期待したい。操作性もタッチパネルを“活用しきっている”とは言いにくい。画面を指でスライドすると隣のチャンネルに移動するなど、他のiPhone 3G用アプリと同じような直感的な操作も実現して欲しいポイントだ。

 ただ、iPhone 3Gではアプリケーションのバージョンアップが容易に行なえ、こうした不満点がアップデートにより次々と解消される事が多い。ソフトバンクの“気迫”を考えると、今後のアプリ側のバージョンアップに期待が高まる。

 また、ワンセグ機能に不満があった場合でも、外部バッテリとして使えるというのは魅力だ。サードバーティの外部バッテリが3,000円〜5,000円程度であり、それに4,000円〜5,000円プラスするだけでワンセグが“オマケ”で付いてくると考えればある程度の不満も我慢できる。地図とGPS機能をフル活用し、iPhone 3Gと遠出しようという時には心強いサポーターになってくれそうだ。

□ソフトバンクモバイルのホームページ
http://www.softbankmobile.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2009/20090105_01/index.html
□製品情報
http://mb.softbank.jp/mb/iphone/oneseg/index.html
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(2009年1月5日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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