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VR映像制作や4K/8K編集の効率化など、「Adobe CC」の次期機能強化が発表

 アドビシステムズは、「Adobe Creative Cloud(Adobe CC)」映像制作ツールの次期バージョンの内容を、オランダ・アムステルダムで9月9日~13日に開催された「IBC 2016」において先行公開した。Premiere Pro CCなどのソフトにおいて、複数人で同じ映像ファイルを扱うための「チームプロジェクト」機能が搭載されるほか、VR映像制作向け機能なども強化。アップデートは'16年内に提供開始予定。

Premiere Pro(画面は英語版)

 Adobe CCの利用料金は、Premiere Pro CCやAfter Effects CC、Audition CCなどの単品がそれぞれ月額2,180円、これらのソフトに加え、Photoshop CCやillustrator CCを含む20種類以上が利用できるコンプリートプランは月額4,980円。これらのプランでは、20GBのクラウドストレージ(グループ向けは100GB)も利用できる。

チームプロジェクトで4K/8K映像も複数人でスムーズに管理。HDR対応も強化

 今回のアップデートは「connected」がキーワードとなっており、制作ツール同士の連携や、複数人で共同作業する場合のプロジェクト管理、ソーシャルメディアなど視聴者とのつながりといった点が重視されている。

“つながり”がテーマ

 大きな変更点は、「チームプロジェクト」の採用。複数人で同じプロジェクトファイルを扱う際に、1人が編集した内容を他の人が確認/反映するといったやり取りがスムーズに行なえる。また、高解像度な映像を扱う際にも、専用回線などの設備を必要とせず、プロキシなど軽いデータの通信で作業ができる。

「チームプロジェクト」を作成する(画面は英語版)

 例えば、編集にPremiere Pro CCが使われていた映画「シン・ゴジラ」の場合は、編集拠点が、東宝とスタジオカラー、白組の3カ所あり、それらを専用回線でつないでデータのやり取りをしていたという。こうした本格的な制作も、少ないデータのやりとりだけで行ない、作業データの競合(意図しない上書きなど)のトラブルを防ぎつつ、ノートPCやタブレットなども使ってスムーズに編集が行なえることを狙ったもの。

 チームプロジェクトで作業を行なうと、参加するユーザーの一人が編集を保存した場合、メッセージ付きで他のユーザーに通知され、各ユーザーの判断で編集結果を適用するかどうかが決められる。なお、従来のプロジェクトファイルを、後からチームプロジェクトに変換したり、共同作業が終了したため通常のプロジェクトファイルに戻すといったことも可能。

右斜上を向いた矢印アイコンは、変更内容のアップロード、右斜下(グレーアウトしている方)はダウンロード
Macで編集した内容(左の画面)を、他のユーザーがWindows(右)で反映

 4K/8Kといった高解像度なファイルを扱う際も、サイズの小さいプロキシファイルを介して編集内容を共有できるほか、各拠点にオリジナルのデータがあれば、プロジェクトファイルのやり取りだけでローカルのファイルに編集を適用できる。また、編集を重ねた後に、過去に遡って古いバージョンのファイルを探すことも簡単にできる。

 このほか、Premiere ProのLumetriカラーツールにおいて、新しいHDR対応テレビやディスプレイ向けのHDR 10編集/配信に対応したHDR 10メタデータをサポート。さらに、カラースペースメタデータのサポートも拡張され、「鮮やかな映像を配信する際の忠実度が向上する」としている。

 After Effectsは、テキストなどの3Dレンダリングエンジンとして、処理時の負荷が高い既存の「レイトレース3D」に加え、「CINEMA 4D」も採用。CINEMA 4DはCPUベースで動作し、Illustratorで作成した図形に厚みを付けるといった作業の短時間化が図れるという。

After Effects
CINEMA 4Dレンダリングエンジンを統合

VRやキャラクターアニメーターも進化

 '16年夏のアップデートで対応を開始したVR映像については、立体視や平面視といった方式を自動認識してモニタリング可能になる。

VR映像のプレビュー画面

 また、After EffectsやPremiere Proに加えて、映像配信ソリューションの「PrimeTime」もVR映像配信をサポート。これにより、「制作から出力、配信までで一貫してVRに対応した」としている。

 さらに、MettleやMochaといったサードパーティによるVR映像対応プラグインとも連携し、高度なVRコンテンツ作成も可能になったという。このほか、VRメタデータ付きのファイルを、YouTubeやFacebookなどの対応するソーシャルメディアに直接出力することなども可能となる。

従来は手動設定だったVR映像の3D方式が自動認識されるようになった
VR関連のアップデート内容

 IllustratorやPhotoshopで作った2Dの静止画をアニメーション化して、アニメのライブ制作/配信など活用できるAfter Effectsの「Character Animator」も機能強化。複数のキャラを用意する場合に、口の形など一部分だけを再利用して他のキャラクターにも適用するなど制作効率が向上。

 また、口や表情を先にレコーディングして、手足の動きは後から録るといった、パーツごとのレコーディングに対応。音声のマルチトラックのように、個別に収録されたデータを後からまとめて1つのキャラクターを作れるようになる。

Character Animator
Premiere Proは、キーボードショートカット設定の新UIを採用し、直感的に作成できる
主なアップデート内容