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AKG、フィルタで音を調整する約3万円のハイブリッドイヤフォン「N30」、ダイナミック×2の「N25」

 ハーマンインターナショナルは、AKGブランドのイヤフォンとして、ハイブリッドの「N30」と、ダイナミック型のデュアルドライバを搭載した「N25」を2月24日に発売する。価格はN30が29,880円、N25が19,880円。どちらもハイレゾ再生に対応する。

ハイブリッドの「N30」

 カラーはN30がマットブラック、サテンシルバー。N25はブラック、ベージュ、ティールグリーンを用意する。

デュアルダイナミックドライバを搭載した「N25」

 N40とN20の間にラインナップされる2モデル。仕様面での位置づけとしては、N30がN40の“弟分”、N25はN20の“兄貴分”にあたる。なお、上位モデルのN40は実売約45,880円だったが、約39,880円に値下げ。価格差を抑えた製品ラインナップが揃う形になる。

ハイブリッドの「N30」

 バランスド・アーマチュア(BA)ユニットを中高域用に、低域用にダイナミック型ユニットを採用。上位機のN40もハイブリッドだが、N30に搭載しているBAは、N40に搭載しているものと同じ。ダイナミック型ユニットは、N30用にチューニングされたものとなる。口径は8mm。

「N30」のマットブラック
左が「N30」、右が上位モデルの「N40」

 電気的なネットワークは使っておらず、アコースティックにチューニング。ハイブリッドながら、自然な音の繋がりを実現したという。

「N30」のサテンシルバー
背面

 ノズルの先に搭載したフィルタは交換でき、透過性が異なる交換用フィルタとして「BASS BOOST」が付属。出荷時に取り付けられているのは「REFERENCE」で、2種類の音を楽しむ事ができる。なお、N40は3個のフィルタが付属しているが、N30は2個。

フィルタの交換で音の変化が楽しめる

 装着は耳掛け式。ケーブルは着脱式で、MMCX端子を採用。ただし、イヤフォン側の端子が、少し奥まった場所にあるため、交換するリケーブルによってはプラグが届かずに接続できない場合がある。N40のケーブルはN30に接続できない。ハーマンでは今後、N30に対応するMMCXリケーブルの発売も検討している。

 再生周波数特性は20Hz~40kHz、感度は86dB/mW。入力プラグはステレオミニで、ケーブル長は1.2m。マイク付きリモコンも装備。ケーブルを含まない重量は19.5g。イヤーピースはXS/S/M/L。フライトアダプタやキャリングケースが付属する。

N30はリケーブル可能
下がN40、上がN30。MMCX端子の場所が、N30の方がやや凹んだ一位置にある

デュアルダイナミックドライバ「N25」

 中高域用に5.8mm径、低域用に9.2mm径のダイナミック型ユニットを搭載した、デュアルダイナミックドライバのイヤフォン。再生周波数特性は20Hz~40kHzで、感度は92dB/mW。インピーダンスは16Ω。

N25のベージュ
N25のティールグリーン

 改良を加えたアングルドイヤーチップ構造を採用しており、フィット感を高めている。イヤーピースはXS/S/M/Lの4サイズを同梱。

 ケーブルは着脱できない。長さは1.2m。リモコンマイクも装備。入力プラグはステレオミニ。ケーブルを省いた重量は15g。フライトアダプタやキャリングケースなどを同梱する。

N25のブラック
マイクリモコンも備えている

音を聴いてみる

 N40は、BAらしいソリッドかつシャープな中高域と、量感豊かな低域が組み合わさったサウンドだったが、N30でも基本的な傾向は同じだ。特に中高域の表現力は同じBAを使っているだけあり、同等。N40の方が金属ハウジングの響きがやや強めで、綺羅びやかなサウンド。それと比べるとN30はややおとなし目だが、そこがモニターライクな良さにも感じる。

 低域は十分な量感が得られており、アコースティックベースのグワッと押し寄せるような迫力はN30でも十分に楽しめる。厳密にN40と聴き比べると、ドラムのスネアのアタックの鋭さや、ベースのグォンと沈み込む低域の深さがN40の方が一枚上手だと感じる。ただ、比較するとそう感じるだけで、N30単体を聴いていると大きな不満はない。BAとダイナミック型の“いいとこどり”が楽しめる、よく出来たモデルだ。

 標準の「REFERENCE」フィルタを外し、付属の「BASS BOOST」に変更すると、低域の量感がアップ。フィルタでやや抑えられていた低域の吹き出しの強さが、開放されたような印象だ。沈み込みの深さ、分解能がアップするわけではないが、低域の存在感が増すため、聴いた印象としてはN40により近くなる。低音が豊富な楽曲を、気持ちよく聴く場合は「BASS BOOST」を選ぶのもいいだろう。

フィルタの交換で音をカスタマイズできる

 デュアルダイナミックドライバを採用した「N25」は、その構造から想像する通り、中低域が非常にパワフルだ。かといって、ボンボン、ドンドンと、膨らむ低音が主張するばかりのイヤフォンではなく、量感と押し出しの強さがありながら、適度な締まりがあり、低音の中の細かな音の見通しは良い。このあたりの音作りの上手さはAKGらしいポイントだ。

 そのため、「低音がズンズン響く」というよりも、オーケストラや映画音楽をシアタールームで聴いているような、雄大なサウンドが楽しめる。こんな小さなハウジングで、こんなスケールの大きな音が楽しめるイヤフォンはなかなかない。凄いのは、このパワフルな低音に飲み込まれず、中高域はある程度の抜けの良さを保っており、音がこもるような印象は無い。ドラマチックな楽曲を、音量上げ目で楽しみたい時にマッチするイヤフォンだ。