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エレコムがDXアンテナ子会社化。「アンテナ受信機トップを目指す」

 エレコムは30日にDXアンテナの株式を取得し、子会社化した。これによりエレコムグループのBtoC向けの販路や通信関連技術と、DXアンテナの放送伝送技術、BtoB販路などを連携させるなどシナジーを高め、売上や顧客拡大を目指す。

左からDXアンテナ米山社長、エレコム葉田社長、船井電機前田社長

 31日、エレコムと船井電機、DXアンテナの代表者が、DXアンテナのエレコムグループ入りについて説明。エレコムの葉田順治社長は「売上が1,000億円を超える企業になりたい」と意気込みを語った。

DXアンテナがエレコム傘下に

 DXアンテナは、船井電機の子会社としてテレビやアンテナなどを展開してきたが、主要市場の北米の売り上げ減などが続いていた。船井電機はエレコムからの株式譲渡についての申し出を受け、'16年11月に株式譲渡にむけた基本合意を締結、'17年3月30日に株式譲渡が完了し、エレコムはDXアンテナ株式の96%を取得して子会社化した。

IoTや法人開拓にDXアンテナの力を

 エレコム傘下となるDXアンテナは、テレビは手掛けず、アンテナや放送関連機器、防災、セキュリティなどのBtoBソリューションを強化する。

 エレコムは、これまでもロジテックやハギワラソリューション、JDSなどの企業を買収してきた。葉田順治社長は「自分たちに足りないものをM&Aで買収し、成長につなげることが基本方針」とし、DXアンテナとは「想像以上に(商品・販路が)被っていない。相乗効果が見込める」という。

エレコム葉田順治社長
エレコムM&Aの歴史

 エレコムブランドでは、PC/スマホ関連機器、インターフェイスなどが中心だが、ロジテック買収によりHDDやNAS、ハギワラの買収によりメモリ関連技術などの商品領域を広げたほか、法人向けの販売ルートなども開拓してきた。DXアンテナの子会社化により、テレビ向けの放送波伝送や、機器開発、EOC(同軸ケーブルを使ったEthernet通信)などを強化。これに、エレコムの通信関連技術や、部材の調達力、民生向けの販売ルートを組み合わせ、さらにDXアンテナが強い法人向けのルートを生かすなどで、「IoT需要を喚起する」とした。

 具体的には、同軸モデムなどを生かした、テレビのネットワーク化やセンサーデバイス接続による家庭におけるIoT推進や、新規回線工事が難しい宿泊施設などへのTVインフラを活用したネットワーク化などを推進。法人向けには、これまでの通信関連だけでなく、放送電波関連の工事・保守を含む提案が可能になるなど、ソリューション提案力を強化できるという。

製品・サービスシナジー
法人向けも強化

 葉田社長は、「IoTに必要な、ハードウェアと通信、ソフト・サービスの3要素を抑え、パッケージ化。最終的にはメンテナンスで稼ぐ会社にしていきたい」と説明。'16年度の売上高900億円、営業利益96億円から、'17年度はDXアンテナグループ入りによる約100億円の売上増を見込んでおり、「私の気持ちでは、(売上高)1,000億円を超えたい」とした。

工事・保守面のシナジー
100億円の売上増を目指す

DXアンテナはアンテナでNo.1に

 船井電機の前田哲宏社長は、「DXアンテナがグループに入ったのは平成15年(2003年)で、いろいろ国内事業を運営させていただいた。しかし、このところは相乗作用が薄れてきており、戦略的には、船井電機は本体でAV機器事業をやるべきと判断した。エレコムさんに入って、相乗作用がでるということで、そちらのほうがいい。だから、株式譲渡を判断した。3社にとって良い結果になる」と株式譲渡の理由を説明した。

船井電機 前田哲宏社長

 なお、船井電機のテレビなどを販売していたDXブロードテックブランド製品は3月で終了。DXアンテナの米山實社長は、「テレビの国内価格は厳しいレベルで下がっており、メーカー直販がこれからの形。だから、販社が入る形(FUNAIテレビの販社となるDXブロードテック)はやめた。お互いのいいところを出すために、必然的な流れで(エレコムと)結びついた」とした。

DXアンテナ 米山實社長

 一方の船井電機は、ヤマダ電機とFUNAIブランドの国内向け液晶テレビとBD製品の独占販売で合意しており、「たくさんのモデルを導入予定。すでに量産に入っている」(船井電機 前田社長)と語った。

 DXアンテナの米山社長は、「コア」という伝送技術を核に、同軸線モデムや見守りシステム、防災福祉などを強化。BtoCに強いエレコムの営業力を活かし、「アンテナ受信機でシェアトップを目指す」。さらに、BtoBでは放送通信を一体で提供できる弱電機器メーカーとなる。通信は放送の3倍ぐらいの市場規模。ここに入っていきたい」と語った。

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