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「私が市場創造する」と山田会長。ヤマダ独占販売のFUNAIテレビ、有機ELは'18年夏

 船井電機とヤマダ電機は、FUNAIブランドのテレビを6月2日より発売する。ヤマダ電機と船井電機が国内独占販売契約を結び、FUNAIブランドで、テレビとBDレコーダを本格展開するもので、テレビは合計11機種を一斉発売。2017年度にシェア5%、販売台数30万台、2020年度にシェア20%を目指す。発表会では、ヤマダ電機の山田昇会長も出席し、「私が市場創造する」と意気込みを語った。製品の詳細については別記事で紹介している

船井は米国No1の日本テレビメーカー。必ず成功させる

 会見には、船井電機創業者の船井哲良相談役も登壇予定だったが、体調不良により欠席。船井電機の船越秀明社長が、船井相談役の手紙を代読する形でスタートした。

船井電機の船越秀明社長が、船井電機創業者の船井哲良相談役の手紙を代読

「創業以来、半世紀以上にわたり、主にアメリカを主たる市場として展開する、“ほぼ輸出専業メーカー”であった。半世紀の歴史の中で、30数年前に東京船井として国内販売した時期があり、日本全国の70ほどの家電販売店のうち大手40~50件と取引していた。ヤマダ電機さんとは当時からの付き合い。当時のヤマダ電機は、激戦地の北関東を拠点としており、山田社長(山田会長)は『北関東の風雲児』として名を馳せていた。その時から一味違う企業と感じていたが、いまや2位を大きく引き離す日本を代表する家電量販店になった。かたやアメリカでもかつて世界一であったシアーズが経営不振に陥り、Kマートに吸収など大きな変化があった。そこで伸びていたのが、ウォールマート。こうした栄枯盛衰に気づき、ウォールマート向けに舵を切ったことで、いまや我々の最大の顧客がウォールマートになっている。いま、日本メーカーで米国で一番テレビを売っているのは船井電機。ヤマダ電機は、日本で一番テレビを売っている会社。今後4Kテレビの比率が高まる中、日本のAV家電業界の変化が起きている。2020年のオリンピックを控え、テレビ需要の拡大が見込まれる。日本市場に再度チャレンジする絶好の機会と考え、ナンバーワンのヤマダ電機さんとがっちり組んでいこうと決断した。FUNAIブランドをすべてヤマダ電機さんにお任せする。2020年に20%のシェアをとるという数値目標で合意しているが、私はこの数字は必ず達成できると確信している。その自信は、アメリカで成功した船井電機と国内で成功したヤマダ電機が双方で役割をかみ合わせることができるから。日本でも一番になる可能性は高い。必ず実現させるという情熱に満ち溢れている」

ヤマダ電機がFUNAIテレビを独占販売
北米テレビ出荷ナンバーワンの日本メーカー

'20年にシェア20%。店頭にフナイマイスター

 ヤマダ電機創業者の山田昇会長は、「船井相談役のメッセージにあるように、この件への思いは人一倍。実現のために、私自らトップマネジメントとしてリーダーシップをとり、全社一丸となって取り組む。商品企画については、日本メーカーの信頼に基づくブランドと、コストパフォーマンスに優れた商品へこだわり、共同で企画、商品化し、満足の品ぞろえができた。お客様に支持されるFUNAIブランド確立を目指して、ヤマダと運命共同体として取り組みたい。日本市場のテレビにおいては、ヤマダ電機は25%のシェアを持っている。カテゴリを絞り、その中でシェアを目指すことはたやすい。当初('17年)は5%を取る。日本のテレビ市場は縮小しており、かつての1,000万台から500万台まで下がっている。しかし、その500万の5%でも25万台。その最低ラインでも、利益創出できる。さらに20%というシェアも可能と考える。目標を達成向けてがんばりたい」とコメントした。

ヤマダ電機 山田会長

 ヤマダ電機 商品本部 黒物商品部長の佐野財丈氏は、「ヤマダ電機は、家電業界のリーディングカンパニー。ユーザーが、どんなテレビが欲しいのか、どんな機能が望みなのかを熟知している」と語り、録画やデザイン、スマホ連携などの機能にこだわったこという。

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お客様の声

 船井電機とのパートナーシップについては、北米での出荷実績に加え、製造ノウハウの高さ、ウォールマートの実績など、「お客様に支持いただける映像メーカーだと思っている。強力なコラボレーションで、初年度で市場シェア5%を狙う」と説明した。

'17年の目標シェアは5%

 また、店頭においても、FUNAI専用のコーナーを展開。加えて、FUNAI製品を熟知した「フナイマイスター」をヤマダ全店に配置。「お客様に実際に体験していただき、他社との違いを把握していただき、購入のお手伝いをしていく。その中で日本のAV市場に新たな価値を作っていきたい」とした。

店頭にフナイマイスター

有機ELも2018年夏に発売。「私が市場創造」と山田会長

 今後の製品展開については、夏に65型の2モデルを追加。さらに、有機ELテレビも2018年夏に発売予定であることを明らかにした。

 ヤマダ電機の一宮忠男 代表取締役副会長は、船井との協力関係について、「生産能力のバックボーンがある。これから、オリンピックに向けて、国内市場も飛躍するだろう。いまの市場規模は(予測の)半分だが、規模が大きくなっても対応できる生産能力がある。ブランドをわかっていただけるよう、マーケティングに取り組む。また、液晶だけではなく有機ELも国内で販売開始されているが、来年(2018年)夏に向けて我々も共同で開発していく。そうした施策で20%は取っていけるだろうと考えている」とコメント。

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 他のメーカーへの影響については、「前年の市場規模が480万台で、今年は650万台と予測している。160万台以上規模が増えるので、(他社の)販売台数が減るとは考えていない」とした。2020年の市場規模は「1,000万台弱」と予測しているが、ヤマダ電機は、その後も4K、8K放送などのスタートにより、市場拡大は続くと見込んでいるという。

 山田会長は、「環境や業界は激変しているが、お客様のニーズはかわらない。いいものを求めている。もちろん安く。テレビのメーカーは3~4社になってしまった。ニーズはあるのに、メーカーは撤退している。間隙を縫って海外メーカーが虎視眈々と狙っている。日本のメーカーにこだわるのは、文化にあったこだわり。特に信頼性。なんとかカバーしたいが、店頭に商品がなくなってきている。だから、そこをFUNAIさんに期待している。20%というシェア目標は高くない。今回船井さんと製販一体で作っていくことは業界にとってもいいこと。上位数社に絞られていいのか? 業界の発展のためにには、私はよくないと思う。(この枠組みは)独占販売じゃないとできない。メーカーにメリットがないですから。だから一心同体。私と船井さんの創業者的な感覚があったからできることで、サラリーマン社長にはできない。私が市場創造する」と、両者のパートナーシップをアピールした。