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高音質スマートスピーカー、「HDR10+」推進、Technics新機種。IFAパナソニック会見

 パナソニックは、ドイツ・ベルリンで9月1日~9月6日(現地時間)に行なわれる「IFA 2017」のプレスカンファレンスを開催。Googleアシスタント対応スマートスピーカーや、Technicsレコードプレーヤーのほか、新たなHDR方式「HDR 10+」の特徴などを紹介した。

パナソニックのIFA 2017プレスカンファレンス

 テクニクス事業のトップであり、アプライアンス社 副社長 ホームエンターテインメント・コミュニケーション事業担当 兼 ホームエンターテインメント事業部長の小川理子氏が登壇。

小川理子氏

 最初に紹介したのは、Googleの音声エージェント「Googleアシスタント」を世界初採用したスマートスピーカー「GA10」。音声操作で、対応の音楽配信サービスから好きな曲を再生して楽しめるスピーカー。対応音楽配信サービスは、SpotifyやGoogle Play Music、tunein、DEEZERなど。今冬からの発売を予定している。

GA10を紹介

 1台に20mmのソフトドームツイータ2基を、斜め左右方向に角度をつける形で配置。各ツイータに特許技術のディフューザも備えることで、広がりのある高域を再生可能としている。ウーファは8cm径で、デュアルボイスコイルで低域の強化を図っている。

内部構造

 1台ずつで販売するが、2台用意してペアリングするとステレオスピーカーとしても利用できるのも特徴。さらに、複数台を連携して、家の中の別の部屋で同じ曲を同時に鳴らせるマルチルーム再生にも対応している。

テレビの脇に置いてステレオスピーカーとして活用

 小川氏が「OK Google, Play some JAZZ」と声をかけるとGA10が「Don't Know Why」(ノラ・ジョーンズ)を再生するというデモを行なった。小川氏は「スマートスピーカーは、音楽のリスニングを完全にストレスフリーな体験にしてくれる」とし、その上で同社の培った高音質技術を投入。インテリアに合うシンプルでコンパクトな筐体デザインに仕上げたことをアピールした。

 テレビに関しては、有機EL(OLED)の「EZ1000シリーズ」において、従来の65型を上回る77型を発表(日本でも28日に発表、9月22日発売)。欧州では秋に発売すると案内した。

有機ELのラインナップを拡大

 EZ1000はハリウッドのカラーリストもチューニングに協力しており、制作時のモニターとしても利用されている。映画「ワンダーウーマン」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」などのカラーリストを務めたDeluxeのCEO、Stefan Sooenfeld氏がビデオメッセージで「フィルムメーカーの意図に合った色を表現できる」と評価した。

DeluxeのStefan Sooenfeld CEO

 このほか、パナソニックが28日に発表した「HDR10+」についても言及。Samsungとパナソニック、20世紀フォックスが共同で推進していくもので、Ultra HD Blu-rayなどで利用されている「HDR10」では、静的なトーンマッピングを行なっているのに対し、「HDR10+」では、シーンにあわせて動的なトーンマッピングを行なうことで、映像品質を高められる点が特徴という。

HDR10+

 ゲストとして20世紀フォックス EVP Managing DirectorのDanny Kaye氏が登壇。これまでFOXとパナソニックがDVDやBlu-rayなどで協力してきたことを振り返りながら、「ベストテクノロジーカンパニー」を自負するFOXの“映画のイノベーション”への取り組みに、HDR10+という新しい方式が加わったことを紹介。「明るさ」、「色」、「コントラスト」において、動的なメタデータによって精細に描き出せるという点を評価した。

20世紀フォックスのDanny Kaye氏

 小川氏は、HDR10+のロードマップとして、2017年中にHDR10+対応のファームウェアアップデートを「4K Pro」モデルに実施すると予告。また、2018年にはそれ以外の4KモデルをHDR10+対応にすることも予定しているという。

HDR10+のロードマップ

 HDRに関しては、デジタルカメラのDC-GH5のHLG(ハイブリッドログガンマ)対応ファームウェアアップデートを、9月末から開始すると予告。同社4Kテレビ2017年モデルにSDカード経由またはHDMI接続で再生することで、HDR画質で楽しめるという。さらに、2016年モデルのテレビ「DX750」シリーズもアップデートでHLG対応とすることを明らかにした。

GH5のHLG対応アップデートは9月末から

 ベルリン・フィルとの協業については、インターネット配信の「デジタル・コンサートホール」を4K/HDR画質にアップグレードすることを発表。収録システムの刷新により実現したもので、10月から4K/HDR配信を開始。最初の4カ月間は、パナソニックの4Kテレビと4K UHD Blu-rayプレーヤー限定の4K/HDR配信になるという。

ベルリン・フィルとの協業

 Technics製品は、1970年のダイレクトドライブ搭載アナログレコードプレーヤー「SP10 Mk 1」からの流れを汲み、リファレンスクラスの新たな製品として「SP-10R」を披露。'18年の初夏に投入予定としている。

Technics「SP-10R」

 また、一体型のオーディオ“プレミアムクラス”の新モデル「OTTAVA f SC-C70」は、製品名の「f(フォルテ)」が示す通り、パワフルで深い低域再生をコンパクトなボディで実現したのが特徴。CD再生のほか、Wi-Fiワイヤレスストリーミング再生にも対応し、欧州では9月発売予定。

OTTAVA f SC-C70

 パナソニックや野村不動産らが推進する「スマートシティ」関連では、横浜・綱島の新たなスマートシティでの取り組みを紹介。水素社会実現に向けた環境整備や、街灯にセキュリティカメラやスピーカーを備えた「シャッフル」という新たなライティングソリューションなどが紹介された。

綱島のスマートホームの取り組み
街灯にセキュリティカメラやスピーカーなどを内蔵