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高まるスタートアップの存在感、レイアウト刷新の「IFA 2017」が9月1日開幕
2017年4月24日 00:00
国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2017」が、ドイツ・ベルリンの国際見本市会場において9月1日~9月6日(現地時間)に開催される。これに先駆けて、報道関係者向けのプレイベント「IFA 2017 Global Press Conference」(IFA GPC)が4月21日にポルトガル・リスボンで行なわれた。
イノベーションの最先端が集まる「IFA NEXT」エリア新設
メッセ・ベルリン(Messe Berlin)のクリスチャン・ゲーケCEOは、今回の「IFA 2017」の新たなアプローチとして、“イノベーションの最先端を体験できるスペース”という「IFA NEXT」を用意することを発表。
「スタートアップ企業や大学など、イノベーションを生む人々の新たなセンターステージ」とするもので、従来はアジア関連のブースなどの出展スペースとして使われていた「ホール26」に、これまで別々のエリアで行なわれていた企画/展示を統合。イベントのメインとなる基調講演のほか、様々な業界の人々が未来のトレンドや技術革新などを探る「IFA + Summit」、スタートアップ企業などから数多くのアイディアが展示される「Tech Watch」などのコーナーが、新たにホール26へ集約される。これにより、出展者の規模を問わず、日本を含む様々な国/地域から革新を生むような提案やコラボレーションなどの機会創出を図る。
1日の開幕基調講演は、フィリップスのパーソナルヘルスビジネス分野のCEOを務めるPieter Nota氏が登壇する。また、Android関連の開発者向けカンファレンス「droidcon」も、この場所で開催される。
また、'16年から始まった、BtoB関連の新たな展示拠点「IFA Global Markets」は、'17年は9月3日~6日に開催。「より多くのブランドのためにスペースを用意する」とし、この“ブランド”とは企業の大小などを指さず、新規出展者を含む特徴的な技術を持つ人々を広く集める場として機能するという。メイン会場会場メッセ・ベルリンと、Global Markets会場があるポツダム広場駅近くの間はシャトルバスが運行する。
ゲーケCEOは「欧州最大のソーシング(Sourcing)ショー」という新たなコンセプトを提示。部品メーカーや、ODM/OEMメーカーなどが集まる商談向けに行なうGlobal Marketsが、様々な企業のニーズに応える場として活用されることを目指す。
IFAの重要な側面とする“エンターテインメント”に関しては、音楽ライブなどを行なっているSummer Gardenにおいて、80年代を中心に多くのエレクトロポップ作品で知られるスイスのYELLOがオープニングコンサートのステージに登場予定。YELLOの2人から、ビデオメッセージが寄せられた。
IFAグローバル統轄本部長のイエンズ・ハイテッカー氏は、日本メディアによる合同インタビューに応えた。現在、勢いのある中国企業だけでなく、確かな技術をベースとした日本企業に対しても、それぞれのイノベーションを示す場としてIFAを活用することに強い期待を示した。
テレビは2020年まで台数増が続くと予測
IFA 2017開催にあたり、現在のデジタル関連のマーケット動向などのプレゼンテーションも行なわれた。GfKのコンシューマエレクトロニクス担当グローバルディレクターのユルゲン・ボイニー氏は、デジタル製品の市場について、引き続き中国などを中心とした新興国/地域が牽引していくとの見方を示した。'17年には中国市場が北米とほぼ同等の世界シェア23%となり、中国以外のアジアも、'16年までの7%から、'17~'18年に8%に伸びると予測。
製品に関しては、スマートフォン関連で5つのトピックを紹介。決済、AR/VR、スマートホーム、コネクテッドカー/自動運転、ウェアラブルのそれぞれに、スマートフォンが活用されていくと見ている。IoT(Internet of Things)などネット活用による「“Always On”の状態は、今後は後退することはない」として、これからの製品に自然な形でネット連携が盛り込まれると見ている。
ドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu)のハンス=ヨアヒム・カンプ氏は、テレビについて「家の中で今も高い価値を持つ存在」とし、その理由の一つとして、「テレビ放送をリアルタイムで見る時間に、'15年時点で1人1日約3時間(183分)を費やしているというデータ(Mediametrieによる調査)を紹介。世界的に見ると、最も時間が長いのはサウジアラビアの404分、短いのはアイスランドの110分だという。
スマートフォンで動画を見ることが増えていく一方で、単身世帯の買い替えや、4K/UHDテレビの割合増加、大画面化の進行などにより、「世界全体で見れば、新興国市場を中心にテレビ需要は引き続き根強く、2020年までは台数増は続く」と予測している。