「Display 2009」が開幕。ソニーが21型有機ELを出展

-3D液晶も展示。ファインテック/照明展併設


会期:4月15日~4月17日

会場:東京ビッグサイト

当日入場料:5,000円(事前申込みで無料)

 フラットパネルディスプレイ関連の展示会「第5回国際フラットパネルディスプレイ展(Display 2009)」が15日、東京ビックサイトで開幕した。会期は4月15日から17日まで。

 液晶やPDP、有機ELなど、フラットパネルディスプレイ関連技術や、新製品などを展示するイベント。研究開発・製造技術展の「ファインテック・ジャパン」や「FPD部品・材料EXPO」、「国際タッチパネル技術展」、「次世代照明技術展」も併催されている。2009年の合計出展社数は676社。


■ ソニー

 Display 2009への大手の参加はソニーのみで、その他は、3Dコーナーなどが設けられている。有機ELを中心に、3Dディスプレイを日本で初公開するなどの技術展示が行なわれた。

21型/1,366×768ドット有機ELテレビを参考展示

 有機ELについては、1月のCESに初出展した21型/1,366×768ドットのテレビを参考出展。薄膜製造方式などの詳細については非公開だが、「量産化に向けた開発の成果を組み入れている」としている。

 パネル部の厚みは1.4mmで、同パネルを組み込んだ試作機の厚さは約1cm。コントラストは100万:1で、デザインは、ディスプレイをアームで支えるのではなく、スタンドがベゼルと一体化したフラットな形状を採用している。


パネルサイズは21型。有機ELの特徴であるコントラストや色再現性をアピール厚みは約1cm。パネル部は1.4mm

 また、昨年に引き続き、薄さ約0.3mmの11型有機ELパネルの技術展示を行なっている。XEL-1のディスプレイ部は厚さ3mmで、パネルそのものは1.4mm厚のものを採用していた。

 0.3mmパネルは、パネル解像度960×540ドットで、有機EL画素やTFT基板などの基本構造はXEL-1のパネルと同じものという。発光層やTFT基板を挟んでいるガラス基板を後工程で大幅に薄型化することで、0.3mmという薄さを実現している。

0.3mmの超薄型パネルも参考展示真横から見たところ
ソニーの3D液晶ディスプレイ

 CESで公開した3Dディスプレイも日本国内で初出展。1,920×1,080ドットのフルHDパネルを採用した液晶テレビの前面に偏光フィルターを装着。3Dコンテンツを表示して、専用のメガネを利用して、3Dが体験可能となっており、ゲームや映像コンテンツでの3D体験をアピールしていた。

 3D用に用意した2枚の画像を同時に表示し、その視差を利用して立体化する仕組みとのことで、3D化の際には垂直解像度が半分になる。「REAL Dの技術を採用しており、特別なものではない」とのことだが、今後3Dに力を入れていくことをアピールするための展示という。

 また、240Hz駆動技術や省エネ技術についても展示が行なわれていた。


ゲームなど専用コンテンツでデモ画面前面に偏光フィルタを採用しているREAL Dの3Dメガネを採用
HCFL管などの省エネ技術を訴求240Hz駆動もアピールしている

 


■ 3D技術など。有機ELや照明のデモも

NEC液晶テクノロジーの12型3D液晶ディスプレイ

 NEC液晶テクノロジーは、裸眼立体視が可能な3D液晶ディスプレイを出展。独自の3D表示用画素配列であるHDDP(Horizontally Double-Density Pixels)方式により、光学素子を組み合わせることで、裸眼立体視を実現できる。

 HDDPでは、RGBのサブピクセルを横ストライプに配列。解像度を保つために各画素を縦に2分割し、水平方向への画素密度を従来の2倍にしているという。一対になった左右の目にそれぞれに対応するデータを表示すれば3Dに、同じデータを表示すれば2Dとして利用可能という。12.1型/800×600ドットで、1,677万色、コントラスト500:1などを実現。3.1型の427×240ドット、2.7型/320×240ドット、1型/120×90ドットなどのサイズを用意し、年内の量産化を目指したいとしている。

 表示コンテンツは、専用ソフトなどで3D表示用に視差を作る必要があり、製品化の際にはそうした製作ソフトメーカーとの協力も含めた展開を見込んでいるという。


HDDPの概要3.1型3D液晶最小サイズの1型も
東芝松下ディスプレイの3Dディスプレイ

 東芝松下ディスプレイテクノロジーも独自の「インテグラルイメージング方式」の3Dディスプレイを展示。9方向から撮影した映像やそれに相当するCGデータを見る角度に応じて表示。画面前面に特殊なレンチキュラフィルムを貼ったディスプレイを利用して、画面の正面から見た場合に自然な立体映像を実現するという。

 また、OCB液晶の高速応答性能を生かし、120Hz駆動時に左目用/右目用に60コマづつ分割表示して、裸眼立体視を実現するという「時分割方式」についても、解像度が必要な用途における3D技術としてアピールしている。

 ビジョンマルチメディアテクノロジはデジタルサイネージ用に、投射したプロジェクタ映像を消したり、動きをつけたりして表示できる透明スクリーン「Flip Vision」を展示。80型のシステムで70万円前後で販売予定という。

 ニューサイトや三谷商事も販売中の3Dディスプレイをアピール。また、併催イベントでは、LEDや有機ELを使ったデジタルサイネージや照明の新しい提案などが行なわれていた。

ニューサイトの3Dディスプレイ三谷商事の3DディスプレイビジョンマルチメディアテクノロジのFlip Vision

ブリヂストンのQR-LPD。電子書籍などで展開イネックスのLED集魚灯ELストリームは、白色有機ELを使ったフロアマット型デジタルサイネージを展示

(2009年 4月 15日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]