エコポイント効果で薄型TVは台数5割増。レコーダも好調

-BCN調査。携帯オーディオの週次シェアでソニーが首位に


BCNアナリストの道越一郎氏

9月9日発表


 株式会社BCNは9日、家電量販店など全国22社、2,301店舗(2009年8月時点)のPOSデータを集計した「BCNランキング」のデータをもとに、薄型テレビとBD/DVDレコーダ、ポータブルオーディオプレーヤー、パソコン、デジタルカメラのデジタル製品の市場分析結果を発表した。

 デジタル家電やパソコン関連など116品目の実売データをもとに、平均販売単価と販売価格の前年同月比をまとめた「BCN指数」の推移から、「-6.6%と落ち込んだ4月をボトムに、回復基調が続いている」とした。これはエコポイント効果による薄型テレビの売上増がデジタル家電を牽引したためとしている。8月の販売動向は金額で前年同月比102.6%。

今回のポイントBCN指数でみる販売動向

■ 薄型テレビはエコポイント効果が持続し、台数で5割増

薄型テレビの販売動向

 薄型テレビは、7月の販売実績が台数ベースで前年同月比154.2%、8月で同152.2%と2カ月連続で5割増、金額ベースでも7月が同130.2%、8月が同128.7%と、前年同月を上回った。「エコポイントによる効果」が薄型テレビの好調な要因とし、台数も金額も順調に伸びていると説明した。

 BCNでは、“エコポイント効果”は7月がピークと推測。その理由として、6月下旬にエコポイントの概要が決定し、量販店でも販売しやすくなったということと、またボーナス時期に重なったことで販売が伸びたためとした。

 エコポイントの影響で5月以降促進された画面サイズの大型化も、7月8月と「少し足踏みしている状態」と分析。40型以上のモデルの構成比は、7月が25.6%、8月が25.1%と、全体の1/4のシェアを占めている状態が続いている。

 8月のサイズ別平均単価(税別)を見てみると、30型台が10万円を切る97,200円まで下落。前年同月と比べ、2割程(79.7%)下がっている。40型台の平均単価は167,700円、50型以上が280,200円。

サイズ別台数比率サイズ別平均単価液晶・プラズマの平均単価

 8月のメーカー別の販売台数シェアでは、1位がシャープで42.6%。次いで東芝がシェア16.5%で、7月(16.4%)に引き続き2位を維持している。3位はパナソニックで15.5%、4位はソニーで14.4%。

 東芝は、比較的低価格な40型未満の製品の構成比が大きく、平均単価も上位4社の中で最も安い(8月の平均単価94,900円)ため、台数シェアで躍進を見せたとしている。販売金額シェアでは、1位がシャープで43.2%、2位がパナソニックで17.2%、3位がソニーで16.0%、4位が東芝で15.1%となっている。

メーカー別台数シェア東芝の液晶サイズ別構成比

 エコポイント対象にもなる低消費電力の“エコテレビ”についても言及。今年の春先から省電力化が進み、8月には150W未満の薄型テレビが、全体の60.1%を占めるまでになった。最も低消費電力なメーカーは、平均消費電力124Wのシャープ。液晶テレビで30型台に限った統計では、100Wでソニーがトップとなっている。

 HDDやBDなどへの録画機能を搭載した薄型テレビについても集計を実施。録画対応モデルは薄型全体の14.3%を占めるまで拡大しており、「将来的には構成比で3割ぐらいを占めるのではないか」(BCN)と推測している。録画機能搭載率が最も大きいメーカーは日立の93%、次いで18.6%で東芝となっている。

消費電力別台数構成比平均消費電力録画機能搭載率

■ レコーダもエコポイントの波及効果で好調

レコーダの販売動向

 BDやDVD、HDDなどを含むレコーダも好調に推移。8月の集計では台数ベースで前年同月比115.2%、金額ベースで同104.4%と増加しており、「エコポイントの波及効果」としている。レコーダ全体の平均単価は69,300円と7万円を切った。このジャンルを牽引しているBDレコーダの8月の構成比は、金額でレコーダ全体の80.6%、台数で67.7%を占めている。

 メーカー別のBDレコーダの販売台数シェアでは、1位がシャープで45.3%。6月時点でトップシェアだったパナソニック(35.4%)は、26.9%まで落ち込み2位となった。3位に26.2%でソニーが入っている。

 シャープが急拡大した理由として、「新モデル投入のタイミングや、売れ筋モデルの低価格戦略が当たった」と分析。BDの平均単価はシャープが76,900円、パナソニックは88,900円、ソニーが84,800円となっている。

BDとその他レコーダーの構成比メーカー別台数シェアBDのメーカー別平均単価

■ 携帯オーディオの週次販売台数シェアでソニーが首位獲得

携帯オーディオの販売動向

 ポータブルオーディオプレーヤーについても発表。8月の販売実績は台数ベースで92.9%、金額ベースで86.5%と前年割れを記録。'09年2月からマイナス傾向が続いている。平均単価は14,700円で、前年同月と比べると約1,000円の下落となっている。

 同カテゴリーの8月24日~30日における販売台数週次シェアでは、ソニーが43%でアップル(42.1%)を抜き、トップを獲得。2社の平均単価の週次推移では、アップルが18,200円、ソニーが12,600円となっており、ソニーの首位獲得の背景に、単価下落が影響したとしている。

 また、それぞれの中心価格帯を見てみると、アップルの中心価格帯が15,000円~20,000円未満で52.6%を占めているのに対し、ソニーの価格帯は10,000円~15,000円未満(47.3%)で、「価格帯の違いがシェア逆転の要因の一つ」とも分析している。

 8月におけるシェアはアップルが45%、ソニーが41.1%で、月次シェアは依然アップルが首位をキープしているが、前年同月(アップル:51.4%/ソニー:30.7%)と比べると、差は縮まっている。

主要2社の販売台数週次シェア推移主要2社の中心価格帯販売台数月次シェア

 2社の最も売れているモデルについても集計を実施。アップルはiPod nanoシリーズがトップで、同ブランドの主力となっている。3月に発売された第3世代iPod shuffleの販売動向は低調となっており、シェアを押し上げるには至っていないとする。

 ソニーは、ウォークマン「Sシリーズ」が最も多く販売されている。その理由として、同梱の専用スピーカーの存在が後押ししていると分析。「イヤフォンはもちろんのこと、室内で聞くことを目的として、スピーカー付きのSシリーズを購入するユーザーが多い」としている。

2社のラインナップ別販売台数指数Sシリーズのスピーカー付き台数構成比

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【9月8日】【CE】ウォークマンが2週間連続でトップシェアの理由とは?
~若年層の獲得が、シェア拡大の切り札~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/ce/20090908_314135.html


■ デジカメとPCの動向も

 デジタルカメラはコンパクトデジタルカメラが不調。6カ月連続で台数、金額ともに前年割れが続いている。ただBCNでは、「6月をボトムにやや回復の兆しが見えてきている」と分析。8月の販売実績は台数ベースで前年同月比92.8%、台数ベースで89.6%と、やや持ち直している。

 富士フイルムの3D対応デジカメ「FinePix REAL 3D W1」や、ニコンのプロジェクタ付きデジカメ「COOLPIX S1000pj」など、付加価値が付いたモデルの登場で、コンパクト分野は今後期待が持てるとした。

 デジタル一眼は、4月に金額で落ち込んだ(前年同月比88.1%)ものの、それ以降台数、金額ともに微増が続いている。8月は台数で同102.4%、金額で104.6%。7月には、動画対応モデルのシェアが非対応モデルを逆転し、全体の59.9%を占めるまで拡大した。また特徴の一つとして、「PEN」の発売でオリンパスの販売台数シェアが急伸し、3位に浮上したことなども挙げた。

コンパクトデジカメの販売動向デジタル一眼の販売動向
一眼の動画対応台数構成比一眼のメーカー別販売台数構成比

 パソコンは台数が前年を上回るも、金額はマイナス傾向が続いている。8月の実績で台数は前年同月比104.5%、金額が同82.6%。そのうちノートは台数ベースで同110.4%の1割増。デスクトップは同84.2%と2ケタのマイナスとなった。

パソコンの販売動向PCについて説明する森英二氏

(2009年 9月 9日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]