23日公開の3D映画「アバター」ジャパンプレミアが開催

-キャメロン監督らが来場。“大人も楽しめる実写3D”


12月21日開催


 12月23日からTOHOシネマズ日劇ほかで公開される3D映画「アバター」(AVATAR)。公開に先駆けた21日、東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにおいて、ジェームズ・キャメロン監督らを招いたジャパンプレミアが開催され、日本の芸能人もゲストとして多数来場した。



■ ジェームズ・キャメロン監督が構想14年、製作4年の大作 

 「アバター」は、'97年の「タイタニック」でアカデミー賞11部門を制覇したジェームズ・キャメロンが、構想に14年、製作に4年を費やした作品。今までお伝えしたように、3D版も製作され、3Dテレビのデモにも使われるほど、AV的にも注目の作品だ。18日より公開されている米・英・独・仏など106カ国において初登場1位を獲得し、ゴールデングローブ賞では4部門でノミネートされている。また、鑑賞したスティーブン・スピルバーグ監督が「スター・ウォーズ以来、最もとんでもなくすごいSF映画だ」とコメントしたという。

 舞台は22世紀。戦闘によるケガで車椅子での生活を余儀なくされた元海兵隊員のジェイク・サリーのもとに、地球から5光年離れた衛星「パンドラ」で実施されるプロジェクトへの参加要請が届いた。それは、貴重な鉱石「アンオブタニウム」を採掘するため、先住民「ナヴィ」を立ち退かせるというものだった。人間とナヴィの遺伝子を組み合わせた肉体「アバター」に人間の意識を送り込んで、ナヴィと交渉するというこの計画には、ジェイクの双子の兄が参加していた。しかし、彼が不慮の死を遂げたため、同じDNAを持つジェイクに要請が来たのだった。

 新たな肉体を獲得し、再び走ることもできるようになった彼は、森のなかで獣に襲われたところを、ナヴィの族長の娘、ネイティリに救われる。彼女にナヴィの文化や生き方などについて教わるにつれ、ジェイクは彼らに対し尊敬の念を抱き始め、人間を敵視していたナヴィ達も次第に心を開いてきた。しかし、計画が進まないことに焦る人間たちは、実力行使でナヴィの排除を始める。人間とナヴィとの板ばさみになったジェイクは、ある命懸けの決断を下した……。

 出演はサム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲスほか。監督・脚本はジェームズ・キャメロン、製作総指揮はコリン・ウィルソンとレータ・カログリディス。配給は20世紀フォックス映画。

(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.

「作品を観る皆さんそれぞれの感じ方で楽しんで欲しい」とキャメロン監督

 上映前の舞台挨拶には、ジェームズ・キャメロン監督と、ジョン・ランドープロデューサーが来場。
 キャメロン監督は、「世界中でヒットしていることはうれしい。東京は、'92年にタイタニックの世界プレミアが行なわれ、大ヒットにつながったゲンのいい場所。ここで公開できることは喜ばしいこと。ジョンと私は、この映画を作るため、4年の旅をしてきた。皆さんも、この映画でパンドラを旅してください」と語った。

 また、MCのアラン・ジェイ氏が「宮崎アニメにも通じる世界観があると感じた」というコメントに対し、「私も宮崎アニメは大ファンで、そういってもらえてうれしい」と答えた。また、ランドー氏は「ビジュアルの魅力以上に、ハートに訴える映画。素晴らしい映画を共有できることは素晴らしい」とコメントした。


会場の3Dカメラで、大阪に中継
 なお、このジャパンプレミアは、大阪でも実施され、東京の舞台挨拶の映像が、3Dカメラで大阪のTOHOシネマズ梅田に中継。大阪会場のゲスト、オール巨人さん、池乃めだかさんによる質問に答えた。オール巨人さんの「4年の製作で、苦労したことは? 」という質問には、「『ナヴィ』や『アバター』の動きをリアルに表現するため、あらゆる動きを本物の俳優の動きを元にCG化したこと」と答えた。

 また、かつてアーノルド・シュワルツェネッガーと共演したこともあるという池乃めだかさんは、来場前に大阪を訪れていたというランドー氏に「大阪の街をテーマにして、吉本新喜劇のメンバーで映画を撮りませんか」と提案。ランドー氏は「いくつかの構想があって、その中には大阪も使えるという考えもある」と述べた。

 引き続き、2日前にアバターを観たという滝川クリステルさんも舞台に登場。「引き込まれるような映像美で、別世界に入り込んでしまい、終わったあともその世界にいる気分が続きました。3Dのおかげで、キャメロン監督の大事なメッセージが伝わり、“生命のつながり”を感じました」と語った。

大阪会場から、オール巨人さんと池乃めだかさんが監督らに質問すっかり作品の世界観に引き込まれたという滝川クリステルさん滝川さんからキャメロン監督とランドー氏に花束が手渡された

 上映前には、アバターの色にちなんだ“ブルーカーペット”も実施。沢村一樹さん、穂のかさん、赤井秀和さん、山崎静代さん(南海キャンディーズ)、高橋ジョージ&三船美佳夫妻、塚本高史さん、神田うのさん、ダンテ・カーヴァーさんら芸能人のゲストが多数訪れ、アバターを鑑賞した。話題のキャラクター「まねきねこダック」も登場した。

ブルーカーペットの上で、3Dメガネ姿の来場ゲスト。左から赤井秀和さん、穂のかさん、山崎静代さん、沢村一樹さん、滝川クリステルさん、ジョン・ランドープロデューサー、ジェームズ・キャメロン夫妻、神田うのさん、ダンテ・カーヴァーさん、三船美佳さん、高橋ジョージさん、塚本高史さん米国の友人から「もうちょっと長い方がよかったかも」という感想を聞いていたというダンテ・カーヴァーさんも、「この作品にとても期待している」と語った高橋ジョージ&三船美佳夫妻
寒空の下、ドレス姿の滝川さんに、隣の沢村一樹さんがジャケットを掛ける場面も「まねきねこダック」は、自動ドアから登場


■ 「単純な特殊効果」ではない3Dに魅力。字幕には戸惑いも

 この作品の3D撮影のために、キャメロン監督は米Paceと共同で新技術の3D撮影システムを開発。同じカメラを2台組み合わせて1つの3Dカメラとし、入射光をハーフミラーで分けて左右の視差を作り出す方法を用いている。

 これまでの3D映像の多くは「何かが目の前に飛んできて思わず目を瞑ってしまう」といった特殊効果的なものになりがちだが、この映画ではそういった使われ方はほとんどない。鑑賞してわかるのは、「風景や建物などに奥行きを持たせ、その美しさでパンドラと未来の世界観に没入させる」ことに主眼を置いていること。

 特に高いところから下を見下ろすシーンなどは、背筋に思わず力が入ってしまうほどリアル。また、管制室で立体ディスプレイが多層表示され、それを人間が使いこなすというシーンも、ここが未来の場所であることを自然に感じさせる。こうしたことも含め、アバターは「大人も楽しめる、初の3D実写映画」と位置付けられている。

 なお、音声は吹き替えではなく字幕を表示。常に手前のレイヤーに字幕が表示されることになる。文字は黄色で、通常の字幕よりも見やすくするために配慮したものと思われる。

 3D映像で懸念される目の疲れについては、映像が多層に渡って表示される場面など、焦点を字幕と映像に行き来させなければならないシーンには、序盤は若干の戸惑いがあった。2Dではカメラのフォーカスに合わせて自然に目が焦点や注視する場所を決めているが、3Dにはまだ慣れていないためか、カメラに“付き合わされる”という感じも受けた。ただし、この感じ方には個人差があるかもしれない。

 とはいえ、後半になるとストーリーの力もあり、次第に映像にも慣れてくる。また、セリフの少ないアクションシーンや、パンドラの絶景を表現するシーンなど、純粋に映像の美しさを感じられる場面が多いのも、この作品の大きな魅力だ。この映像の迫力でいつの間にかこの世界にも引き込まれ、最初はとても違和感があった「青い人たち」にも少しずつ親しみが芽生えてきた。

 なお、この映像のBlu-ray Discビデオ化時期についてはまだ発表されていない。こういった作品が、家庭のBlu-rayの3D映像で楽しめるようになることにも大いに期待したい。

予告編映像
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.
キャスト&スタッフが語る、「アバター」特別映像(JCビジョン編)
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.


(2009年 12月 22日)

[AV Watch編集部 中林暁]