LG、3D対応の23型液晶を、3D映像のネット配信でデモ

-マウスコンピューターは「3D-READY PC」を4月末発売


4月8日開催


 LGエレクトロニクス・ジャパンは8日、4月下旬に発売する120Hz駆動/3D表示対応の23型液晶ディスプレイ「W2363D」の製品説明会を開催。NVIDIAの3D Visionを使った3D再生デモなどを行なった。

説明を行なったブランドマネージャーの宇佐美夕佳氏

 「W2363D」は、23型/解像度1,920×1,080ドットのTNパネルを搭載。120Hz駆動対応のパネルとDual-Link対応DVI-Dを備え、NVIDIAの3D Visionをサポート。対応ビデオカードや3Dメガネ/トランスミッタ、Windows Vista/7搭載PCを利用することで、対応するゲームや動画/静止画をフレームシーケンシャル方式の3Dで表示可能となる。なお、3D映像への対応はDVI-Dのみで、HDMI接続時は3Dに対応しない。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は4万円前後。

 製品の特徴や、他社製品との差別化について、同社ブランドマネージャーの宇佐美夕佳氏が説明。3D映像への取組みとして、「デュアルゲートフィーディングによる安定した映像処理」、「172Hzのデータ処理」、「クロストークを1.9%まで低減したこと」の3点を挙げた。


3D Vision対応ビデオカードやトランスミッタ/メガネを揃えることで3D視聴環境を実現「W2363D」の3D機能の特徴

 「デュアルゲートフィーディング」は、ドライバICを液晶セルの両端に設けて電圧を掛けることで、セルの開閉を安定的に素早く行なうというというもの。セルの配線に銅を採用することで、アルミの場合に比べ格子を細くでき、開口率を上げて高輝度を保っているという。

 映像を片側ずつ交互に見せるフレームシーケンシャルの3D映像では、輝度が落ちることがデメリットとなっているが、「W2363D」では輝度を400cd/m2まで向上(2D表示時。前モデル「W2363V」は300cd/m2)させており、他社の3D対応ディスプレイに比べた優位性をアピールした。また、「W2363V」と同様に、映像処理をスキップして映像/音声間の遅延を防ぐスルーモードを搭載するなど、2D映像についても強みを持つという。

 また、「172Hzのデータ処理」については、シャッターグラスの開閉に合わせた高速な書き換えにより、残像感を低減。他社製品に比べ十数%速いという。また、クロストークは、シャッターグラスが開閉する際に右目用と左目用の映像が重なるという現象だが、この割合を1.9%まで低減させたことで、目への負担を軽減している。

デュアルゲートフィーディング対応パネルを採用172Hzデータ処理で、残像感を抑えたという背面/側面の端子部。側面に備えたHDMIはバージョン1.3で、2系統備える。DVIはDual-Link対応


■ 世界初の3Dストリーミング中継でデモ。マウスは「3D-READY PC」を4月末に発売

 説明会が行なわれた4月8日はゴルフのマスターズ・トーナメントが開催中で、今回は世界初という3Dストリーミング中継がマスターズのサイト上で行なわれている。配信期間は4月7日~11日で、中継のほか、録画映像のストリーミング配信も実施している。3D視聴には3D Vision対応環境が必要だが、視聴は無料で行なえる。この3D中継には、ソニーやIBM、Comcastが協力。撮影には3Dカメラが使用されている。

 説明会場では、録画映像の配信を「W2363D」とパソコンでリアルタイム再生するデモを実施。競技だけでなく周囲の緑や池など起伏に富んだ自然も楽しめるゴルフの映像ということもあり、より臨場感が高まっていたことが印象的。観客と選手の距離なども2Dに比べリアルに伝わった。2D視聴に比べ3Dでは明るさが落ちるのは仕方無いことだが、ディスプレイの高輝度化によってカバーしていることもうかがえた。

 視野角については、複数人で横に並んで観ていても大きな違和感はない。なお、寝転がって観るなど頭が横向きになると映像が真っ暗になってしまうという問題が一部の3Dテレビでも指摘されているが、今回のソリューションでも同様の現象が起きていることが確認された。この点については今後の改良に期待したい。

ゴルフのマスターズを3D収録した映像でデモマスターズの3D配信ページ。推奨環境も説明されているディスプレイ3台を用いてFPSゲームのデモも

 パソコンでの3D再生環境については、NVIDIA 3D Vision対応のゲームなどに加え、サイバーリンクがDVDの2D-3D変換に対応した「PowerDVD 10」を発表しており、今後の無償アップデートでBlu-ray 3Dにも対応予定。既にPCソフト初のBlu-ray 3D認証も取得している。テレビ以外での3D視聴方法として、パソコンを使ったソリューションの充実には今後も期待がかかる。

マウスコンピューターの杉澤竜也氏

 説明会には、マウスコンピューター マーケティング統括部の杉澤竜也氏も来場。テレビなどの3D製品が登場したことで拡大しつつある3D市場に、パソコンメーカーとして参入する姿勢を示した。なお、今回のデモにも同社のパソコンが使用されている。

 同社は、3D映像に対応できるスペックのPC本体とNVIDIAのビデオカードを組み合わせて「3D READY PC」として展開。4月末より順次発売する。対応マークの付いたPCを購入すれば、後で3D Visionのメガネ/トランスミッタやディスプレイを追加することで3D映像を楽しめるとして訴求する。

 杉澤氏は同社が3D製品を取り扱うにあたり、セットで15万円~という、3Dテレビに比べ安価なソリューションを提供できるという利点のほか、コンテンツ制作現場においても制作/立体視チェック/調整が同じ機材で行なえることにより工数/コスト削減に貢献できるとアピール。今後もPCマーケットにおける3D化を推進すると述べた。



(2010年 4月 8日)

[AV Watch編集部 中林暁]