【2010東京インターナショナルオーディオショウレポート 1】

-リンのDSシリーズ新プレーヤー「AKURATE DS/K」登場


 日本インターナショナルオーディオ協議会(IASJ)が主催する、オーディオ機器の展示/試聴イベント「2010東京インターナショナルオーディオショウ」が11月5日から東京・有楽町の東京国際フォーラムで開幕した。期間は7日まで。入場は無料となっている。

 国内外のオーディオ機器を展示するイベント。出展社数は昨年と同じ30社。各メーカーが防音処理を施した個室を用意し、普段気軽に試聴できないハイエンド機器からミドルクラスのモデルまでを一度に体験できるのが特徴となっている。




■ リンジャパン

 音楽データを蓄積したNASから、ネットワーク経由で音楽を再生。プレーヤーから回転機構を省くことで、高品位な音楽再生を行なうDSシリーズが人気のリンジャパン。その新モデルとして、ネットワークプレーヤー「AKURATE DS/K」が初披露されている。

 11月下旬頃の発売を予定しているもので、価格は997,500円。なお、120台の限定となるが、発売を記念した特別価格として924,000円で販売がスタートされる。

 基本的な性能は他のDSシリーズと同じで、ネットワークHDDに保存したFLAC/WAV/ALAC/AIFF/AACなどの音楽ファイルを再生可能。24bit/192kHzまで対応している。特徴は、ハイエンドモデル「KLIMAX DS」と同様のDACを備え、高精度なクロック回路も搭載。新たな専用基板を採用するほか、KLIMAX DSと同じLUNDAHL社の出力トランスを装備するなど(この仕様は日本独自のもの)、ハイエンドモデルと極めて近い音質を持つという。

 なお、DS以外のAKURATEシリーズも一新。会場には今後発売が予定されている、ステレオプリアンプの「AKURATE KONTROL/K」や、2chのパワーアンプ「AKURATE 2200/1」が参考展示された。パワーアンプは3chや4chタイプも投入するという。

ネットワークプレーヤー「AKURATE DS/K」ステレオプリアンプの「AKURATE KONTROL/K」2chのパワーアンプ「AKURATE 2200/1」

 さらにスピーカーの「AKURATE 242 SE/1」も登場。従来の「AKURATE 242」と比べ、スタンド部分を改良したマイナーチェンジモデルになるという。

従来の「AKURATE 242」「AKURATE 242 SE/1」「242 SE/1」ではスタンド部分を改良したという



■ マランツ

 マランツのブースでは、多機能・ハイクオリティながら、97,650円という低価格で注目を集める「NA7004」を中心にした再生デモを実施。iPod touch/iPhone用の再生アプリ「Wizz App」(無料)の使いやすさや、ロスレスソースを再生した時の音質などを、B&Wのハイエンドスピーカーなどと組み合わせてアピールしている。

ネットワークプレーヤーの「NA7004」「NA7004」を中心とした再生デモの様子「NA7004」を中心としたシステム構成例

 未発表の新製品としては、そのB&Wのトールボーイスピーカー「CM8」が参考展示された。12月頃に発売を予定しているモデルで、価格は未定だが、「CM7」と同程度の1本10万円台になる見込み。

 下位の「600」シリーズよりも長いボイスコイルと、大型マグネットを搭載するCMシリーズの特徴を持ったトールボーイ。25mm径のアルミニウムドームツイータ、130mm径のウォーブンケブラーコーンFSTミッドレンジユニット、130mm径のペーパー/ケブラーコーンのウーファを2基搭載。横幅は165mm、高さは960mm。

B&Wのトールボーイスピーカー「CM8」ユニット部分。130mm径のウォーブンケブラーコーンFSTミッドレンジユニットなどを採用する

 また、CLASSEの新モデルも参考展示。プリアンプの「CP-800」は前面に備えたUSB端子にiPodなどを接続可能なモデル。パワーアンプとして2chの「CA-2300」と、600Wのモノラルパワーアンプ「CA-M600」の2機種が展示された。価格や発売時期は未定で、モノラルパワーには300W出力のモデルも存在するという。

600Wのモノラルパワーアンプ「CA-M600」中央にあるのがプリアンプ「CP-800」

 ほかにもブースではオーディオクエストのケーブル新製品が多数参考展示された。

オーディオクエストのケーブル新製品が多数参考展示された



■ エソテリック

 注目を集めているのは、10月に発売が開始されたばかりの一体型SACDプレーヤーフラッグシップモデル「K-01」。さらに、下位モデル「K-03」(84万円)も展示されている。

 「K-01」のドライブには、独自の「VRDS-NEO」を採用。「P-03」に採用されたシステムをベースに、駆動回路設計をリファインしたVRDS-NEO「VMK-3.5-20S」となっており、スピンドルの軸受けにセラミックボールベアリングをペアで採用しているほか、ミクロン精度のジュラルミン・ターンテーブル、20mm厚スチール製ターンテーブルブリッジを採用。ブースではドライブ部分のみの展示も行なわれており、「K-03」のドライブと見比べる事もできる。

「K-01」搭載しているドライブ部分「VMK-3.5-20S」
下位モデル「K-03」「K-03」のドライブ部分

 さらに、参考展示モデルとして「I-03」という型番のプリメインアンプが展示されている。2011年春の発売予定で、価格は50万円程度を想定しているという。

 スピーカーでは、英TANNOYの最高峰「Kingdom Royal」(1台288万7,500円)が注目を集めている。ブース内には開発に4年をかけたという新設計の12インチ・デュアルコンセントリック・ドライバーや、巨大なネットワーク回路など、パーツも展示。雄大かつ精密な再生音を楽しむ事もできる。

 また、“小さなTANNOY”である「Autograph mini」の新展開も発表されている。通常モデルはエンクロージャの木材にチークを使っているが、それをマホガニーにしたモデルで、モデル名は「Autograph mini(MH)」。100ペア限定生産となり、価格は通常モデルと同じ315,000円(ペア)。なお、オリジナルオートグラフの仕上げはチーク、マホガニー、ウォルナットの3種類存在した。

参考展示モデルのプリメイン「I-03」黒いフロア型がTANNOYの最高峰「Kingdom Royal」Autograph miniの限定として用意されるマホガニーモデル



■ アキュフェーズ

 アキュフェーズのブースでは新モデルを一堂に紹介。CDプレーヤー「DP-510」(451,500円)は、自社開発ドライブ・メカを搭載した「DP-500」の後継モデルで、振動の影響を防ぐために、メカベースを高剛性かつ重量級の構造とし、ドライブ本体を金属シャーシで固定。反対に、ディスクの回転部分とピックアップを一体化したトラバース・メカを、メカベースからフローティングさせることで、振動が伝わらないようにしている。 DACは独自の「MDS++方式」で、ΔΣ型のDAC「PCM1796」(TI製)を6個並列駆動させている。

 ステレオプリアンプの最上位「C-3800」(178万5,000円)は、独自のボリュームコントロール「AAVA(Accuphase Analog Vari-gain Amplifier)」を進化させた「Balanced AAVA」を搭載。AAVAを2回路平衡駆動させたもので、これにより、入力端子から出力端子まで、フルバランス構成となっている。

 「P-6100」(945,000円)はステレオパワーアンプ最上位機で12月発売。パワーアンプ段は、パワーMOS FETをチャンネルあたり8パラレル駆動とし、1Ωの超低インピーダンス負荷下で700W出力の安定駆動を実現している。

CDプレーヤー「DP-510」。DACは独自の「MDS++方式」ステレオプリアンプの最上位「C-3800」ステレオパワーアンプ最上位機「P-6100」

 11月中旬発売のプリメイン「E-460」(504,000円)は、AAVA方式のボリュームコントロールを備えるほか、同社AB級プリメインでは久しぶりとなる、出力素子にパワーMOS FETを採用しているのが特徴。また、背面に拡張用スロットを2基搭載。オプションボードの「DAC-30」(73,500円/12月中旬発売)を追加することで、PCからのUSB入力にも対応できる事が特徴。ボード側にMDS++方式のDACも備えている。入力は同軸デジタル、光デジタル、USBを各1系統備え、同軸は24bit/192kHz、光とUSBは24bit/96kHzまでの入力をサポートする。

11月中旬発売のプリメイン「E-460」USB接続にも対応する、オプションのデジタル入力ボード「DAC-30」高級FMステレオチューナ「T-1100」も注目を集めていた



■ その他

マッキントッシュジャパンのブースで参考展示された、FM/AMチューナ新モデル「MR87」左側にあるのが受注生産の3ウェイ74スピーカーシステム「XRT1K」。発売済のモデルで、右側にあるのが新製品の「XR200」。12月発売予定でXRT1Kの技術を投入しつつ、コンパクトにまとめたモデル。ウーファを3ユニット構成とする事で量感の不足を補っているという。価格はペア220万円ステレオパワーアンプの「MC452」。ほかにもUSB入力を備えたプリアンプ「C50」などの参考展示が注目を集めていた
デノンのブースではブランド100周年を記念した「A100」シリーズをメインに紹介。AVアンプの「AVR-A100」やBDプレーヤー「DBP-A100」などを組み合わせたマルチチャンネル再生デモも行なわれている
PASSのフロア型スピーカー、「SR-2」。3ウェイで価格はペア240万円ヘーゲルのUSB DAC。下にあるのがUSB DAC機能も備えたプリメインアンプ「H70」。価格は25万円MAGICOのフロア型スピーカー「Q5」。4ウェイ5スピーカーで、密閉型エンクロージャを採用。振動板にNano-Tecカーボンファイバーを採用するのが特徴で、価格はペア700万円
ディナウディオのブースでは、ATOLLの新コンポを紹介。フランスのメーカーならではのデザインが目を引くモデルで、上にあるのがCDプレーヤー「CD400」(年内発売予定/約65万円)、下がプリメインの「IN400」(588,000円)で、USB入力も備えているカナダのMOONというメーカーの製品も取り扱いを開始する。上段のプレーヤー「750D」(1,365,000円)は32bit 完全非同期DACを搭載。プリメイン「600i」は871,500円で、電源トランスから左右chを分離したデュアルモノ構成

日本製の真空管アンプである、MIRADプリメイン「A2000」。598,500円


(2010年 11月 5日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]