ケンウッド、メモリ/AV機能搭載の「彩速ナビ」2機種

-iPodデジタル接続対応オーディオ4機種も


「MDV-727DT」。別売ケーブルでiPodと接続したところ

 ケンウッドは、AVカーナビの新製品として、「彩速(さいそく)ナビゲーション -AVENUE-」ブランドの2製品を2月上旬に発売する。2DINサイズのインダッシュ型で、どちらも地デジチューナを搭載。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、Bluetooth対応の4チューナ「MDV-727DT」が15万円前後、Bluetooth無しで2チューナの「MDV-626DT」が13万円前後。

 また、カーオーディオ新製品として、1DINのセンターユニット2機種、2DINのセンターユニット2機種、合計4機種も2月上旬より順次発売する。各モデルの仕様と価格は下表の通り。


品名型名価格発売時期
1DINサイズ
CD/USB/SDレシーバ
MP3/WMA/AAC対応
U565SD26,250円2月上旬
CD/USB/レシーバ
MP3/WMA/AAC対応
U56523,100円2月上旬
2DINサイズ
CD/USB/レシーバ
MP3/WMA/AAC対応
DPX-U70034,125円4月上旬
CD/USB/レシーバ
MP3/WMA/AAC対応
DPX-U50026,250円4月上旬


■メモリナビ2機種

 ケンウッドは「AVENUEシリーズ」として、2009年12月にメモリーナビ「MDV-313」を投入しているが、そのラインナップを拡充する形になる。地図データは内蔵の16GB SSDに内蔵。地図データの圧縮収録には、独自のS3フォーマットを採用。SSDに最適なデータの収録方法を採用することで、高速レスポンスを保ちつつ、HDDナビに劣らない豊富な地図データを収録したという。さらに、地図だけにとどまらない高速動作を実現するため「ジェットレスポンスエンジンII」を内蔵している。

 新モデル2機種共通の特長として、7型の白色LEDバックライトを採用した液晶モニタ「スーパーフィンビューモニター」を搭載。解像度は800×480ドットと高精細で、「業界トップクラスの輝度とコントラストのみならず、根本的な地図の見栄えやAV画面の表示品質にもこだわった」という。また、SSDとS3フォーマット採用によるレスポンスの良いGUIなどの操作性や、高速なルート検索なども魅力として訴求。画面の美しさを“彩”、高速性を“速”の字で表現。「“彩速”(さいそく)ナビ」と名付けている。

 AV機能も充実しており、ワンセグ/12セグの両方が受信できる地上デジタルチューナを、「MDV-727DT」は4チューナ、「MDV-626DT」は2チューナ内蔵。フィルム型アンテナを同梱する。いずれもダイバーシティ方式で、受信感度を向上させているほか、中継局・系列局サーチ機能も搭載している。ナビ画面に地デジ/ワンセグ画面をオーバーレイ表示でき、表示中もナビのレスポンスはほとんど低下しないという。EPGも備えているが、録画には対応しない。

「MDV-626DT」ディスプレイを倒すとSDカードスロットやDVDドライブが現れる
ナビ画面。立体的な地図を表示しているところ高速な動作が魅力。立体地図表示モードでも、極めてスムーズに地図がスクロールしていく

 USB端子とSDカードスロットを備え、MP3/WMA/AAC/FLAC/リニアPCMの再生に対応。動画はWMV、MPEG-4、MPEG-4 AVC/H.264をサポートする。SDカードスロットはSDHCの32GBカードまで対応する。また、CDから内蔵メモリに録音する機能も備えており、AAC形式でビットレートは128/256kbpsの2種類から選択可能。ミュージックデータベースの「Rovi LASSO」も搭載し、アルバムや曲のタイトル、ジャンル、アーティスト名も表示できる。

 また、付属のPC用ソフト「KENWOOD Music Editor-VX」を使い、PCからUSB/SDへの楽曲転送が可能。ソフトにはアルバムアート表示やサビスキャン機能、曲調の自動分類などの機能を備え、そうした情報を付加した形で楽曲転送する事で、ナビでより多彩な再生ができるようになるという。

別売ケーブル「KCA-iP302」

 iPodとの接続にも対応。別売ケーブル「KCA-iP302」(3,150円)を使い、iPhone/iPodの音楽と動画ファイルが再生できる。なお、音楽データの転送はアナログとなる。iPhone/iPodからの操作を可能にする「コントロールハンドモード」も搭載。対応機種はiPod/iPhone/iPodビデオ/nano(第1~6世代)/classic/iPod touch(第1~4世代)、iPhone 3G/3GS/4。

 DVDビデオに加え、DVD-R/RWやCD-R/RWなどに収録した音楽ファイルも再生可能。CPRMにも対応しており、デジタル放送を録画したDVDも再生できる。


SDメモリーカード内の音楽ファイルを選択しているところ動画ファイルを再生しているところ地デジをナビと同時に表示することも可能。ワンセグと12セグは受信状況により、自動的に切り替わる

 MOS-FETハイパワーアンプも内蔵し、出力は50W×4ch。音の明瞭感や量感を向上させるという「オリジナル・バックアップ・コンデンサ」 、ナビ部からのノイズを徹底排除する「無干渉セパレートシャーシ構造」などを採用。さらに、車のタイプやスピーカーの情報を入力するだけで、音質の自動設定が可能な「音質カスタマイズ機能」も装備。マニュアルでの設定も行なえる。

 MDV-727DTはさらにBluetoothにも対応。プロファイルはHFP 1.5、OPP 1.1、PBAP 1.0、A2DP 1.2、AVRCP 1.3に対応し、SCMS-Tにも対応する。両モデルともAM/FMチューナを内蔵。コンポジット映像入力やアナログ音声入力、RCAの音声プリアウト出力も備えている。

 地図情報の検索は、約3,700万件の検索が可能な「ピンポイント住所検索」 、個人宅電話番号約2,850万件、タウンページ電話番号約850万件の検索が可能な「電話番号検索」、「名称検索」 、「ジャンル検索」、「周辺検索」などが可能。「MAPPLEガイドデータ全国約7万件」や「MAPPLE全国SA/PA情報」なども収録している。

 なお、地図データはインクリメントPのものを採用。また、地図更新サービスプログラム「KENWOOD MapFan Cub」も提供し、低価格で最新の地図データを提供するという。具体的には、携帯電話向けサービス「ケータイ MapFan」(月額315円)の12カ月以上継続利用、、またはインターネット地図ソフト「MapFan.net」(初回年額2,079円、以降継続利用年額1,733円)を継続利用すると、年間1回カーナビ用の地図更新データのダウンロード権が得られるというもの。地図更新データは携帯向けコースの場合無償で、PC向けでは2,000円(予価)で購入できるという。今回の2機種は2016年春までの更新版提供を予定している。

会場には「ランボルギーニ ガヤルド LP560-4スパイダー」が登場「MDV-727DT」を搭載したところ
地上デジタル用のフィルムアンテナ。4チューナ・4アンテナの場合、フロントガラスの左右に2個、2チューナ・2アンテナの場合は左右に2個のアンテナを付ける


■センターユニット4機種

 1DINのU565SD、U565。2DINのDPX-U700、DPX-U500をラインナップ。いずれもCD/USBの再生が行なえ、対応音楽フォーマットはMP-3/WMA/AAC。さらに、「U565SD」はSDカードスロットも装備し、32GBまでのSDHCカードに対応する。

2DINのDPX-U700DPX-U500USBメモリを接続できる

 また、全モデルとも別売の接続ケーブル「KCA-iP102」(2,100円)を使い、iPhone/iPodと接続でき、音楽再生が可能。選曲や再生などのコントロールは本体、iPhone/iPod側のどちらでも可能。対応機種はiPhone/iPod、iPhone 3G/3GS/4、iPod touch(第1世代~第4世代)、iPod nano(第1世代~第6世代)、iPodビデオ、iPod classic。なお、iPodとの接続はデジタル接続となる。

1DINのU565SDU565こちらもUSBメモリを接続可能

 音楽再生中に「サーチキー」を押すと、通常の楽曲選択のほかに、さまざまな条件で楽曲を検索できる「ミュージックサーチ機能」を装備。「DPX-U700」は音質補正用のDSPも備え、前後・左右のタイムアライメントやクロスオーバーの調整が可能。車のタイプ/スピーカーのサイズなどを設定することで、簡単に補正ができるという。

 デザインにもこだわっており、U565SD、DPX-U700、DPX-U500ではプリセットカラーに加え、オリジナルカラーを選択できる「バリアブルカラーイルミネーション」を装備。U565SD、U565、DPX-U700のディスプレイは日本語表示に対応し、音楽ファイルのタグ情報などが日本語で確認できる。全モデルFM/AMチューナも搭載。アンプの最大出力は50W×4ch。



■「“感性に訴えかける”ナビを」

J&Kカーエレクトロニクスの取締役 技術本部長の阿部重徳氏

 2008年10月の経営統合で誕生したJVC・ケンウッドグループでは、ケンウッドと日本ビクターの共通事業であるカーエレクトロニクス事業を最も大きな統合効果の見込める主力事業と位置付け、ビクターとケンウッドのカーエレクトロニクス事業の内、開発・設計・調達・生産機能を合弁会社のJ&Kテクノロジーズに移管。その後の2009年6月にはマーケティング・企画機能を統合した実質的な独立会社体制のJ&Kカーエレクトロニクスが設立された。そして、同社が生み出した製品を、ビクター/ケンウッドの販売会社を通じて、市場に投入するという形になっている。

 J&Kカーエレクトロニクスの取締役 技術本部長の阿部重徳氏によれば、こうした統合の成果として2009年12月に発売された「MDV-313」は、1機種のみの展開ながら、2010年度に3.5%のシェアを獲得する見込みと、販売は好調。今回の新機種投入により、「2011年度は早い時期に10%のシェアを獲得したい」と目標を掲げる。

 同社市販第一営業統括部 商品企画部の渋谷英治氏は、国内のナビ市場について「成熟期に入り、ナビをよく理解した上で選ぶ人が増えた。また、AV家電やスマートフォンに代表される、画面の美しさや操作性を重要視する流れも生まれている」と分析。ナビに求められる要素が、従来の機能・性能だけでなく、「価格と機能のバランスや、画面が美しい、操作性が良いなど、“感性に訴えかける事”が重要な時代になった」と説明。

 その上で、LEDバックライトで輝度が高く、高解像度なディスプレイや、レスポンスの良いナビ機能、HDDモデルにも劣らない地図データやAV機能を盛り込みつつ、価格を抑えた新ラインナップの“バランスの良さ”も強調。それらの要素を表した“彩速ナビ”の命名理由なども説明された。


彩に込められた意味速にこめられた意味
オートサロンにも参加するという“彩速ガールズ”

 なお、ケンウッドは1月14日~16日まで、幕張メッセで開催される「東京オートサロン 2011」に初の単独参加をする予定で、今回発表した新製品をアピールするブースを展開。今回の発表会場には、オートサロンにも参加するという“彩速ガールズ”も登場。会場に華を添えた。



(2011年 1月 11日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]