オリンパス、24/96対応のPCMレコーダ「LS-7」を披露
-フルHD動画撮影対応モデル「LS-20M」も開発中
LS-7のブラックとオレンジ |
オリンパスイメージングは、3月11日より発売するリニアPCMレコーダ「LS-7」の製品説明会を10日に開催した。
新開発の3マイク内蔵で24bit/96kHz対応、実売25,000円という「LS-7」の特徴が紹介されたほか、今後発売するモデルとして、音楽だけでなくフルHD動画撮影も可能な機種を開発していることも明らかにした。
さらに特別ゲストとして、嵐やケツメイシなどのレコーディングやライブサポートも行なっているミュージシャンの奥田健治氏が登場。「LS-7」を使った感想や、録音の楽しみ方などについて語り、生演奏も披露した。
■ ジーンズのポケットにも違和感のない、カジュアルモデル
オリンパスの鬼塚学氏 |
国内営業本部 マーケティングサポート部の鬼塚学部長は、同社のレコーディング製品の歴史について説明。、1969年のマイクロカセットレコーダや、'90年代後半のメモリの大容量化/低価格化を受けて、97年に初めてICレコーダを発売したことなどを振り返った。'08年には同社初となるリニアPCMモデル「LS-10」を発売。当初は高音質で会議を録音するというビジネス用途を見込んでいたが、その音質の良さから、音楽関係でもこのレコーダが使われるようになっていったという。
猪狩一郎氏 |
同営業企画部の猪狩一郎課長は、「オリンパスは『カメラの会社』として知られているが、ICレコーダにも40年の取り組みの蓄積がある」とアピール。BCNの調査で5年連続の国内シェアトップとなった点や、グローバルで2,000万台以上を販売している実績を強調した。
これまでビジネス向けモデルで培ったICレコーダの技術を音楽向けにも拡大させるため、実売25,000円前後という普及価格帯とした「LS-7」。従来は比較的高い年齢層のユーザーを想定していたが、LS-7では音楽演奏の録音をする全ての人を対象とし、20~30代男性を中心に訴求するカジュアルモデルと位置付けられている。本体デザイン面でも「マイクが大きく、いかつい印象を与えるものではなく、ジーンズのポケットに入れても違和感のないデザインを採用した」という。
オリンパスのICレコーダの歴史 | ジーンズのポケットに入れても違和感のないデザインだという | LS-7の主な仕様 |
LS-7は、24bit/96kHzまでのリニアPCM(WAV)に対応。左右とセンターの3マイクシステム「トレスミック」と、Wolfsonがポータブル機器向けに開発した高音質エンジンを採用したことが特徴となっている。
スペイン語で“3つのマイク”を意味する「トレスミック」は、2つの指向性ステレオマイクに加え、低域を補強する無指向性のセンターマイクで構成。2マイクの録音周波数は70Hz~2kHzだが、3マイクにしたことで、低域を20Hzまで拡張。センターマイクはON/OFFが可能となっている。Wolfsonの高音質エンジンを採用したことで、音の再現性を向上させている。
猪狩氏はさらに、今後発売のPCMレコーダ新モデルとして、高画質動画撮影対応モデルを開発していることに触れた。会場に試作機が参考展示されており、カラーディスプレイの上部には「FULL HD MOVIE」の文字が記されていることから、フルHD動画撮影が可能であると予想される。「LS-20M」と型番表記されていたこの製品の発売時期や価格などについては未定としており、猪狩氏は「詳細は話せないが、オリンパスの本気度の表れ」と述べた。
3つのマイクを内蔵 | 「トレスミック」により低域の録音を改善 | 付属のウインドスクリーンを取り付けたところ |
展示された動画撮影対応モデルの試作機(左はLS-7) | 試作機の側面 | ステレオマイクの間に配置されているのがカメラ部と見られる |
■ 奥田氏「楽しみながら、いろんな場所で撮ってほしい」
奥田健治氏 |
地元の福岡でテレビ/ラジオ番組の音楽制作を手掛け、上京してからは嵐やケツメイシなどのライブサポートなどを行なっているギタリスト/サウンドプロデューサーの奥田健治氏がステージに登場。
LS-7の使用感については「見たままで操作しやすく、1日でだいたい覚えられる。A~Eまでフォルダが分かれていて、ファイルにも簡単に名前が付けられる」とのこと。実はPCが得意ではなく、打ち込みもあまりやらないという奥田氏だが、使い方はすぐに覚えて、再生時にリバーブを掛けたりするなど楽しんでいるという。
音質面では、「低音の響きがいい。柔らかくて自然なベースラインが聴こえる。ライブツアーでは、誰かが必ずレコーダを持ってきて、その日の演奏を車のなかで聴くとイコライザを掛けたりするが、これならそのまま聴ける」と評価した。
録音時のセッティング方法については、「まずはセンターに置くこと。バンドで録るときはコンプレッションを掛けて、3マイクでローがしっかり録れるので、ローカットは掛けない。アコースティックではアタック音がきつくなりすぎないように、コンプは掛けない」とした。録音のコツについて尋ねられると、奥田氏は「音質は素晴らしいので、録る場所をいろいろ試して楽しんでほしい」と述べた。
奥田氏によれば、エレファントカシマシの宮本浩次さんは、いまでも録音にMDを愛用しており、デモテープを作るときなどは、奥田氏らがMDからProToolsなどで取り込んで、音を重ねているという。奥田氏が「宮本君にこれで録ってくれ、と勧めたい」と話すと、オリンパスの猪狩氏が「1台贈呈します」と話した。
自身も、いろんな録り方を楽しみたいとのこと。 | 説明会ではライブ演奏も行なわれた | 他社製レコーダとの再生音の比較試聴コーナーも |
(2011年 3月 10日)
[AV Watch編集部 中林暁]