JVC、4K画質を向上した新4Kプロジェクタ3機種
63万円の「X55R」も。e-shift2で臨場感を向上
DLA-X55R(上)、DLA-X75R(下) |
JVCケンウッドは、JVCブランドのD-ILAプロジェクタとして、4Kや3D表示に対応した「DLA-X95R」、「DLA-X75R」、「DLA-X55R」の3モデルを11月下旬に発売する。価格はX95Rが105万円、X75Rが89万2,500円、X55Rが63万円前後。
X55Rはカラーバリエーションとして、ブラックとホワイトを用意。X95R/75Rはブラックのみ。なお、2011年発売のフルHDモデル「DLA-X30」もエントリー機として、引き続き販売される。
いずれも0.7型/1,920×1,080ドットのD-ILAパネルと新光学エンジンを搭載したホームシアタープロジェクタ。ネイティブコントラストはX95Rが13万:1、X75Rが9万:1、X55Rが5万:1。輝度は1,200ルーメン。
DLA-X95R | DLA-X75R | DLA-X55R |
DLA-X75R | DLA-X55R-B | DLA-X55R-W |
■ e-shift 2と新映像処理で4K画質を大幅向上
JVCプロジェクタラインナップ |
パネル自体は1,920×1,080ドットのフルHDだが、ピクセルシフト(画素ずらし)技術「e-shift」による4K表示を強化。平面性や透過率を向上させた「e-shift 2」により、精細感や周辺のフォーカス感を向上し、画面の隅々まで高精細な映像を楽しめるとする。
独自の映像処理技術「Mulitple Pixel Control」を強化し、新開発の4Kスケーリングエンジンを搭載。入力映像を高精細かつ高画質な4K映像へ変換するとともに、より自然な4K映像を生成するという。
フレーム内の画像成分検出範囲を従来の6×6ピクセルから21×21ピクセルへ拡大し、従来の10倍以上のエリア情報をサンプリング。フレーム内の幅広い信号帯域の検出を可能にした。また、フィルタ処理の検出帯域分割も、高周波数だけでなく、低周波数までの8バンドに細分化し、高精度なフィルタリングを実現。デフォーカス感やなめらかなスキントーンなど、「より自然で立体感ある映像を実現できる」とする。映像のズレを1/16画素単位で調整ができる「ピクセルアジャスト機能」も搭載する。
e-shift2により、平面性を改善 | 新映像処理技術で4Kへの高画質な変換に対応 | フィルタ処理の検出帯域分割を8バンドに細分化 |
また、映像の特性に適した映像処理を行う「4Kプロファイル」を搭載。「フィルム」「高解像度」「HD」「SD」「ダイナミック」の5種類から、最適な処理を選択できる。例えば最新のBDビデオであれば、「高解像度」を適用することで、高周波数帯域を中心にさらにディテール表現を改善、数年前のBDビデオやテレビ放送では、「HD」を利用することで、全体的な精細度の向上や奥行き感の改善などが図れるとする。
'11年モデルのX70Rと新モデルX55Rの比較デモでは、精細感だけでなく、奥行き感や立体感の向上も確かに感じられた。
なお、'11年モデルのDLA-X90R/70Rではe-Shiftのオフができなかったが、新モデルでは4Kプロファイルを「オフ」にすることで、フルHD画素での投射にも対応した。画質劣化も全くないとのこと。
4Kプロファイルで、高精細なアップコンバートを行なう | 詳細設定も可能 |
レンズは光学2倍ズームで、電動ズーム/フォーカスに対応。レンズシフトも電動となっており、上下±80%、左右±34%の調整が行なえる。光学エンジンの改良によりコントラスト向上を図っている。
また、ズーム/フォーカス/レンズシフトの画面位置を本体メモリーに記憶できる「レンズメモリー」も搭載。ビスタサイズ用、シネスコ用などのレンズ位置を記憶し、リモコンからのメニュー操作だけで、任意のレンズ位置設定を呼び出し、投射映像にあわせて切替られる。X95R/X75Rは10種類、X55Rは5種類のレンズ位置を記憶可能。ランプは230Wの超高圧水銀ランプ。
画質調整機能 | ピンクッション補正やレンズメモリーを搭載 |
■ 3Dもより明るく
3D表示に対応。光学エンジンと3Dメガネの偏光特性を改善し、独自の「面一括駆動方式」により明るく、色鮮やかな3Dを実現し、輝度は従来モデル比で約20%向上。クロストークも低減した。
3Dメガネ/エミッタは別売となる。新たにRF電波方式の3Dメガネ「PK-AG3」(15,750円)と、3Dシンクロエミッタ「PK-EM2」(10,500円)を用意。3Dシンクロ端子にエミッタを接続することで、無線方式での3D同期が可能となる。RF方式のため、赤外線リモコンへの悪影響や遮蔽物の影響を抑えた安定した送受信が可能という。なお、PK-AG3とPK-EM2はX90R/X70Rなどの2011年モデルの3Dプロジェクタでも利用できる。
DLA-X95R/X75RはTHX 3Dディスプレイ規格認証を取得している。
PK-AG3 | PK-EM2をシンクロ端子に装着 | THX 3Dディスプレイ規格も取得 |
X95RとX75Rのみ、Adobe RGBに対応するほか、Xenonランプの発色を再現する色温度モードを用意。また、画質を最適化する「オートキャリブレーション機能」もX95R/X75Rで搭載。プロジェクターを長時間使用することによって発生する色バランスなどのズレを補正し、常に最適な状態に調整できるという。なお、オートキャリブレーションの利用には、市販の光学センサーと専用ソフトウェア、PC、LANケーブルなどが必要。
画質モードはフィルム、シネマ、アニメ、ナチュラル、ステージ、3D、THXで、さらに様々なシーンやフィルム種別などに対応するカラープロファイルも選択可能となっている。
X95RとX75Rではオートキャリブレーションに対応 | Adobe RGBにも対応 | 画質モードとカラープロファイル |
スマートフォン連携機能も搭載し、付属リモコンではできないダイレクトボタン操作などに対応。暗所でも利用できるほか、指向性がなく、プロジェクタに向けずに操作できる点などが特徴。
X95RとのX75Rの違いは、ネイティブコントラストで、X95Rが13万:1、X75Rが9万:1。また、エンブレムプレートの貼付や3年間のメーカー保証が付くプレミアムモデルと位置づける。
背面 | スマートフォン連携 |
入力端子はHDMI×2とコンポーネント×1。X95R/X75RはアナログRGB(D-Sub15ピン)も備えている。なお、HDMIは4K映像の入力には対応せず、フルHD映像を本体で4Kアップコンバートして表示する形となる。制御用のRS-232CやEthernet(RJ-45)、3Dシンクロ端子などを装備する。
型番 | DLA-X95R | DLA-X75R | DLA-X55R | |
表示デバイス | 0.7型/1,920×1,080ドット D-ILA | |||
e-shift2 | ○ | |||
表示解像度 | 3,840×2,160ドット (3D時1,920×1,080ドット) | |||
3D | ○ | |||
レンズ | 2倍電動ズーム(F3.2~4) 電動ズーム/フォーカス | |||
レンズシフト | 上下80度、左右34度(電動) | |||
ランプ | 230W | |||
輝度 | 1,200ルーメン | |||
コントラスト比 | 13万:1 | 9万:1 | 5万:1 | |
投写サイズ | 60型~200型 | |||
HDMI | 2 | |||
コンポーネント | 1 | |||
アナログRGB | ○ | - | ||
出力端子 | トリガー、3Dシンクロ | |||
THX | THX 3D | - | ||
電動レンズカバー | ○ | - | ||
消費電力 | 360W(0.4W) | |||
騒音レベル | 23dB | |||
サイズ | 455×472×179mm | |||
重量 | 15.4kg | 15.1kg |
(2012年 10月 11日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]