JVC、4K/3D対応D-ILAプロジェクタ「X70R」など
-e-shiftで4K相当に。実売30万円台のX30も
DLA-X30(左)とDLA-X90R/X70R(右) |
JVCケンウッドは、JVCブランドのD-ILAプロジェクタとして、4K相当/3D表示に対応した「DLA-X90R」、「DLA-X70R」とフルHDの「DLA-X30」の3モデルを11月下旬に発売する。価格はX90Rが105万円、X70Rが89万2,500円、X30がオープンプライスで、店頭予想価格は398,000円前後。
型番 | 表示デバイス 解像度 | 4K対応 | ネイティブ コントラスト | 価格 |
DLA-X90R | 1,920×1,080ドット | ○ e-shift | 12万:1 | 105万円 |
DLA-X70R | 8万:1 | 89万2,500円 | ||
DLA-X30 | - | 5万:1 | オープンプライス (398,000円前後) |
DLA-X90R | DLA-X70R | DLA-X30 |
DLA-X70RとX30 |
いずれも0.7型/1,920×1,080ドットのD-ILAパネルと新光学エンジンを搭載したホームシアタープロジェクタ。ネイティブコントラストはX90Rが12万:1、X70Rが8万:1、X30が5万:1。輝度はX90R/X70Rが1,200ルーメン、X30が1,300ルーメン。
レンズは光学2倍ズームで、電動ズーム/フォーカスに対応。レンズシフトも電動となっており、上下80度、左右34度の調整が行なえる。また、ズーム/フォーカス/レンズシフトの画面位置を本体メモリーに3つまで記憶できる「レンズメモリー」も搭載。ビスタサイズ用、シネスコ用などのレンズ位置を記憶し、リモコンからのメニュー操作だけで、任意のレンズ位置設定を呼び出し、投射映像にあわせて切替られる。ランプは220Wの超高圧水銀ランプ。
3モデルとも3D表示に対応するが、3Dメガネ/エミッタは別売となる。メガネは従来のワイドフレーム型「PK-AG1」のほか、充電対応で小型化した「PK-AG2」も発売。価格は14,700円。エミッタは従来と同様の「PK-EM1」。
コントラストと輝度を向上 | レンズメモリー機能を搭載 | レンズメモリー機能で、シネスコと16:9を切り替え |
■ e-shiftで4K相当の表示に対応
e-shiftで4K相当の表示を可能に |
DLA-X90R/X70Rは、新開発のピクセルシフト(画素ずらし)技術「e-shift」により、4K表示に対応したことが特徴。「e-shift」は2DのHD映像を4K(3,840×2,160ドット)にアップコンバートする技術。画素ずらしにより上下/左右それぞれに2倍、計4倍の解像度とし、120Hzのデバイスで60Hzごとに画素をずらした映像を時分割で投射することで、4K相当の解像度800万画素以上を実現。ジャギーを抑えた高精細な表現を可能としている。
現時点では4Kのソースがほとんど存在しないため、BDや放送などのフルHDソースを4Kにアップコンバートする機能を強化。独自のアルゴリズムによりフレーム内においてエリア別に画素相関を検出/分析し、高周波成分を復元する映像生成技術により、4Kに高解像度化。さらに、コントラスト補正やジャギーの低減などの映像処理を行なうことで、ディテール再現力を高めるとともに、立体感も向上しているという。
なお、120Hzのデバイスで、60Hzごとに時分割で画素ずらしした映像を投射するため、3D(120Hz)時は4K投射はできずフルHDとなる。D-ILAはデジタル駆動方式だが、従来苦手であった階調段差を新モデルで大幅に低減。滑らかな階調表現を実現するとともに、疑似輪郭を低減したとする。
e-shiftの概要 | 4Kアップスケーリング技術を採用 | X90R/X70RではAdobe RGB対応に |
X90R/X70Rのピクチャーモード |
さらに、X90R/X70Rでは、Adobe RGB相当の色空間に対応。緑や赤、シアン系の色の深みを向上した。また、キセノンランプの特性を生かした色温度設定モードも用意。高圧水銀系ランプを使用しながら、フイルム同様の発色を可能にしたとする。
7軸の色相/色度/明度調整が可能な「カラーマネージメント」や、ガンマ/コントラスト/明るさのバランスを取りながら好みの明るさを調整できる「ピクチャートーン」や、暗部、明部補正などを装備。スクリーンごとの反射特性のバランスなどを調整する「スクリーン補正モード」は255種類に対応(X30は3種類)。さらに、今後新しいスクリーンが出てきた場合に備え、Ethernetを介したバージョンアップも予定しているという。
各種画質調整機能も搭載 | スクリーン補正モードは255種類に |
また、X90R/X70Rのみの機能として「新画素調整」を搭載。従来は1画素単位であった調整を1/16画素単位として、精度の高い調整が可能となった。画面全体だけでなく、横11×縦11の合計121ポイントでの調整に対応し、映像全領域で色にじみの無いクリアな映像を楽しめるとする。
新画素調整 | 1/16画素単位の調整やエリアごとの調整が可能に |
X90Rのプレミアム機能 |
X90RとX70Rの違いとしては、光学系の改善によりコントラストを向上。datacolorの「Spyder3pro」や「Spyder3Elite」などの光学センサーと専用ソフトウェアを使った「視聴環境設定」により、最適な映像セッティングを可能にする。また、長時間使用した際の発色バランスのずれを光学センサーと専用アプリにより調整する「オートキャリブレーション」に対応。USER1~5で作成した画質データをプロジェクタ本体からPCに取り込んだり、PCからプロジェクタにデータを転送できる「画質データIN/OUT」も装備する。
■ 3Dは高輝度化+色を改善。クロストークも抑制
新3Dメガネ「PK-AG2」 |
3モデルとも、別売の3Dメガネとエミッタを追加することで3Dに対応。従来モデルからの改善点としては、光学系や駆動回路の見直しにより、輝度を向上。X30では従来機(DLA-X3)比で約1.7倍の明るさを実現するとともに、色再現性や階調表現も向上したとする。なお、X90R/X70Rではe-shiftデバイスを透過するための光損失を伴うため、X30の輝度1,300ルーメンに対し、X90R/X70Rでは1,200ルーメンとなる。
D-ILAでの3D表示は2倍速/120Hzとなり、スペックだけを見るとSXRD(240Hz)やLCD(480Hz)に劣っているように見える。しかし、JVCによれば、D-ILAではパネルの上から順に描画する「順次駆動方式」ではなく、パネルの映像を一括して書替える「面一括駆動方式」のため、アクティブシャッターメガネのシャッターを閉じている時間を短くできる。そのため、明るく、クロストークの少ない3Dを実現できるとする。
また、左目と右目の映像信号を解析し、明暗差の大きな箇所を補正し、クロストークを低減させる「クロストークキャンセル」や、視差調整機能を搭載。リモコンには新たに3D専用ボタンを装備。3Dフォーマットを順送りに切り替える「3D FORMAT」と、3D機能のメニューを呼び出す「3D SETTING」ボタンを装備する。
D-ILAの3D表示の特徴。面一括駆動のため、クロストークが少なく明るいとする | クロストークキャンセルなどの機能も装備 |
2D-3Dコンバーターを搭載 |
「2D-3Dコンバーター」も搭載。業務用3Dイメージプロセッサ「IF-2D3D1」の2D-3D変換機能を、ホームプロジェクタ向けにチューニング。TV放送や、家庭用ビデオなどで撮影された2D映像を、3D映像に変換できる。奥行調整や字幕補正にも対応する。
上位モデルのX90R/70Rは「THX 3Dディスプレイ」規格に対応。入力端子はHDMI×2とコンポーネント×1。X90R/X70RはアナログRGB(D-Sub15ピン)も備えている。なお、4K映像の入力には対応しない。
また、10月22日の名古屋を皮切りに、関西地区、九州地区で先行視聴会を開催。詳細は同社ホームページで案内している。
X70Rの背面 | X30の背面 |
型番 | DLA-X90R | DLA-X70R | DLA-X30 | |
表示デバイス | 0.7型/1,920×1,080ドット D-ILA | |||
e-shift | ○ | - | ||
表示解像度 | 3,840×2,160ドット (3D時1,920×1,080ドット) | 1,920×1,080ドット | ||
3D | ○ | |||
レンズ | 2倍電動ズーム(F3.2~4) 電動ズーム/フォーカス | |||
レンズシフト | 上下80度、左右34度(電動) | |||
投射サイズ | 60~200型 | |||
ランプ | 220W | |||
輝度 | 1,200ルーメン | 1,300ルーメン | ||
コントラスト比 | 12万:1 | 8万:1 | 5万:1 | |
HDMI | 2 | |||
コンポーネント | 1 | |||
アナログRGB | ○ | - | ||
出力端子 | トリガー、3Dシンクロ | |||
制御端子 | RS-232C、Ethernet、リモート | |||
画素調整 | 1/16画素単位 | 1画素単位 | ||
THX | THX 3D | - | ||
ISF | ○ | - | ||
カラーマネージメント | ○(7軸) | - | ||
電動レンズカバー | ○ | - | ||
消費電力 | 360W(0.8W) | 330W(0.8W) | ||
騒音レベル | 20dB | |||
サイズ | 455×472×179mm | |||
重量 | 15.4kg | 14.9kg |
(2011年 10月 12日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]