ソニー、XAVC対応でモジュラー構造のCineAlta 4Kカメラ

30型4KマスモニとHDMI 1本接続で4K/60p表示


PMW-F55

 ソニーは14日、InterBEE開幕に合わせ、4Kスーパー35㎜のCMOSセンサーを搭載したCineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」や「PMW-F5」、30型の4K液晶マスターモニタなど、4K映像製作関連製品やソリューションを発表した。


 



■CineAlta 4Kカメラ

PMW-F5

 CineAlta 4Kカメラの「PMW-F55」と「PMW-F5」は2013年2月1日発売。価格は「PMW-F55」が2,887,500円、「PMW-F5」が1,732,500円。

 どちらも4K解像度、スーパー35㎜サイズのCMOSセンサーを搭載。総画素数約1,160万画素、有効画素数約890万画素の単板式で、T13(F5)、T11(F55)の高感度と、トータル14stopの広いラチチュードを持っている。また、F55はカラーフィルタの特性をF65と合せることで、より高い色再現性を実現したという。

 撮影後の柔軟な加工が可能な「16bit リニアRAW」に対応。記録は別売のRAWレコーダ「AXS-R5」(2013年2月1日発売/493,500円)で行ない、別売のAXSメモリーカードに保存。RAWモード以外では、カメラ本体のSxSカードに記録する。

 RAWだけでなく、ソニーが新たに開発し、4KからHDまでの記録に対応できる「XAVC」フォーマットにも対応。XAVCは制作用途に適した4:2:2カラーサンプリング、10bit諧調、イントラフレーム圧縮を採用しており、HD/29.97p時で約100Mbps、4K/29.97p時で約300Mbpsのビットレートで記録できる。XAVCに関しては、別記事で紹介している。

 なお、XAVCフォーマットで4K(4,096×2,160)とQFHD(3,840×2,160)の記録は、F55のみ対応。F5では2K(2,048×1,080)までの対応となる。RAWレコーダを追加して行なうRAW記録では、どちらのモデルも4Kまでの撮影が可能。

 他にも、解像度はフルHDまでとなるが「MPEG-4 SStP」(2013年度第2四半期公開のファームで対応予定)、「MPEG HD422」でも録画できる。なお、XAVCでの4K撮影など、大容量データの高速書き込みに対応するため、最低書き込み速度1.3Gbpsを実現した新開発の記録メディア「SxS PRO+」にも対応。メディアは64GBの「SBP-64B」と、128GBの「SBP-128B」が用意されている。

 4K XAVCとMPEG HD422の同時記録が可能。RAWレコーダで4K RAW記録をしながら、本体のSxSカードにXAVCやMPEG HD422でHD記録する事もでき、効率的なワークフローが構築できるという。

フォーマットラッピングサンプリング量子化ビット記録画素対応ハード
PMW-F55PMW-F5AXS-R5
RAWMXF16bit4K(4096×2160)
MXF2K(2048×1080)
MPRG-4
SStp
MXF4:4:410bitHD(1920×1080)
4:2:2HD(1920×1080)
XAVCMXF4:2:210bit4K(4096×2160)
QFHD(3840×2160)
2K(2048×1080)
HD(1920×1080)
MPEG
HD422
MXF4:2:28bitHD(1920×1080)
HD(1280×1720)

※は'13年度第2四半期リリース予定のファームで対応予定

「SxS PRO+」メディアの128GB版「SBP-128B」

 「スロー&クイックモーション」機能も搭載。2K RAW収録で最大240fps(PMW-F5は120fps)、HD XAVC収録で最大180fps(PMW-F5は120fps)、4K RAWおよび4K XAVC収録時で最大60fpsでの撮影が可能。2K RAW収録時に23.98p再生であれば、最大約10倍のスローモーションが可能にななる。この機能は2013年度第2四半期提供予定のファームで対応。59.94p収録は発売時よりおこなえる。

 レンズマウントはFZマウントを採用。付属のアダプタでPLマウントのレンズも装着できる。

 HD-SDI出力やHDMI出力などを備え、F55の場合は、4本のBNC端子を使い、4K映像のリアルタイム出力が可能。後述する30型業務用4K液晶モニタ「PVM-X300」と接続する事で、4K映像をリアルタイムに確認できる。さらに、モニタ側のファームウェアを1.1にバージョンアップする事で、F55とHDMIケーブル1本で接続し、4,096×2,160/60p映像の表示を可能にする独自機能も追加予定。


モジュラーデザインを採用し、必要なパーツだけを取り付けられる

 また、F55/F5に共通する特長として、モジュラーデザインを採用。用途に合わせて必要なモジュールを組み合わせて使用できるようになっており、例えば三脚に乗せてモニタで確認する場合は、不要となるハンドルや小型ビューファインダを取り外し、大型ビューファインダをカメラ上部に設置するなど、スペースを抑えながら使い勝手の良い形態で使うことができる。

 この構造に合わせ、0.7型有機ELビューファインダ「DVF-EL100」(556,500円/'13年2月発売)、3.5型液晶ビューファインダ「DVF-L350」(325,500円/'13年2月発売)、7型液晶ビューファインダ「DVF-L700」(451,500円/'13年2月発売)などのオプション製品も発売される。


 



■NEX-FS700Jで4K記録するためのインターフェイスユニット

インターフェイスユニット「HXR-IFR5」

 既に発売されている、Eマウントを採用し、総画素数1,160万画素の“Exmor” Super35 CMOSセンサーを搭載した「NEX-FS700J」について、4KのRAW記録に対応するためのインターフェイスユニット「HXR-IFR5」も開発されている。このユニットとNEX-FS700を3G/HD-SDIで接続。さらに、前述のレコーディングユニット「AXS-R5」を加える事で、4K RAWデータが記録できるという。

 2013年度第一四半期の製品化を予定しており、「NEX-FS700J」のバージョンアップ対応も同時期に提供予定。バージョンアップする事で、3G HD-SDI端子から4K RAW出力が可能になる。価格は20万円前後が予定されている。

 記録可能な4K RAWの解像度は4,096×2,160、フレームレートは23.98p、25p、29.97p、50p、59.94pを予定。AXSメモリーカードに記録した4K RAWデータの映像制作ワークフローは、CineAlta 4Kカメラ「PMW-F5」と共通になる。


 



■30型4Kマスターモニタ

30型4Kマスターモニタ「PVM-X300」

 「PVM-X300」は、30型、解像度4,096×2,160ドットの液晶マスターモニタ。価格は252万円で、発売日は2013年2月。

 BNC端子×4の3G/HD-SDI入力と、HDMI入力×4、DisplayPort入力×2を搭載。3G/HD-SDI×4本で4,096×2,160/60pの映像が表示できるほか、ファームウェアを1.1にアップデートする事で、HDMI 1本で3,840×2,160/24、25、30pと、4,096×2,160/24pの表示が可能。前述のとおり、F55とHDMI接続した場合は、4,096×2,160/60pもHDMI 1本で表示できる。

 広視野角パネルを採用し、RGB 10bitドライバーを採用。ITU-R BT.709の色空間表示に対応する。4K/QFHD表示の他、2K/HDズーム表示もサポート。

 また、背面に2013年春発売予定の「SxS 4Kプレーヤー」をオプションとして背面に接続でき、4KやXAVCSxS PRO+に記録した4Kコンテンツ入のカードを挿入すれば、モニタ側で4Kコンテンツが再生できる。

 バックライトはLED。モニタの外形寸法は、754×120×475mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約17kg。



(2012年 11月 14日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]