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ソニー、新8.6Kセンサー搭載シネマカメラ「CineAlta VENICE 2」

VENICE 2 8K

ソニーは、デジタルシネマ用カメラ「CineAlta」の新製品として「VENICE 2」を発表した。新開発8.6Kセンサーを搭載し、8K撮影が本体だけで可能な「VENICE 2 8K」と、前モデルのVENICEと同様の6Kセンサーを搭載し、処理能力などを高めた「VENICE 2 6K」の2モデルをラインナップする。発売時期は2022年で、8Kモデルが2月、6Kが3月の予定。価格はオープンプライスで、実売想定価格は8Kが680万円前後、6Kが620万円前後。

左からVENICE 2 8K、VENICE 2 6K

映画業界で普及しているフォーマットX-OCNで収録する場合、従来のVENICEではメモリーレコーダー「AXS-R7」をVENICEの後部に取り付ける必要があった。VENICE 2では、本体にAXSを2スロット装備し、X-OCNや4K QFHD ProResでの収録が本体のみで可能。筐体自体はわずかにVENICEより大きくなってはいるが、ほぼ同レベルの大きさに抑えており、VENICE+AXS-R7とVENICE 2を比べた場合、VENICE 2単体の方が全長でマイナス44mm、重量は410g軽量化。コンパクトなカメラで、機動的な映画撮影ができるという。

さらに、筐体自体のサイズを同程度に抑えているため、従来のVENICE向けの撮影用アクセサリーの多くが、VENICE 2でも使用できるとする。

左からVENICE+AXS-R7、VENICE 2 8K
左からVENICE+AXS-R7、VENICE 2 8K
VENICE 2 8K

VENICE 2 8Kは、新開発の8.6KフルフレームCMOSセンサーを搭載。8.6K Full-Frame V1.0での収録モードは以下の通り。一番高解像度なモードでも30p、映画向けの17:9では60p、放送向けの16:9でも60pで撮影できるのがポイント。アナモフィックレンズと親和性が高い5.8K 6:5でも48pで撮影可能。

  • 8.6K 3:2 30p
  • 8.2K 17:9/16:9 60p
  • 5.8K 6:5 48p
  • 5.8K 17:9/16:9 90p
従来のVENICの放熱ファン部分
本体だけで安定して8K撮影をするため、VENICE 2では放熱機構も進化している

なお、8K収録に向けて、新たなAXSカードも投入。「AXS-A1TS66」というモデル名で、ストレージ容量は1TB。最大6.6Gbpsの書き込み速度を実現しており、8.6K 3:2 X-OCN XT 30p収録や、8.2K 17:9 X-OCN ST 60p収録、6K 3:2 X-OCN XT 60p収録をサポートする。AXS-A1TS66の実売想定価格は52万8,000円前後。

新たなAXSカード1TBの「AXS-A1TS66」

2つの基準ISO感度を持ち、ノイズを抑えたクリアな映像表現を可能にする「デュアル・ベースISO」機能も進化。従来のVENICEは、500/2500の2つだったが、VENICE 2ではISO 800、ISO 3200に強化。ラチチュードも、15ストップ+から、VENICE 2では最大16ストップとさらにワイドになった。

「通常、感度を800から3200に増幅するとノイズが増加するが、VENICE 2では800と3200で、切り替えた時にほぼ同じノイズバランスになるように作っているという。

VENICE 2 6Kは、VENICEと同じ6KのフルフレームCMOSセンサーを搭載。V1.0での収録モードは以下の通り。6K/60pや、4K/120pのハイスピード撮影にも新たに対応。ラチチュードは15スップ+。デュアル・ベースISOは、前モデルと同じISO 500/2500となっている。

  • 6K 3:2 60p
  • 6K 17:9/16:9 72p
  • 4K 6:5 72p
  • 4K 2.39:1 120p

また、VENICEはセンサー部分の付け替えができるため、前モデルのVENICEを使っているユーザーが、追加でVENICE 2 8Kを買った場合、VENICEの6Kセンサーを取り外し、VENICE 2 8Kに取り付けると、VENICE 2 8Kを、VENICE 2 6Kとして使うことも可能。8K解像度が不要なシーンや、ハイスピード撮影が必要など、撮影状況に合わせて切り替えられるようになっている。なお、VENICEに、VENICE 2 8Kの8Kセンサーを取り付ける事はできない。

ほかにもVENICE 2の進化点として、SDI 1/2からの12G-SDI出力時、SDI 3/4からの3G-SDI(HD)同時出力に対応。4K出力時の3D LUTをあてられるようになった。LAN端子を備えており、PCと接続し、カメラ内でグレーディングをして、カスタマイズした情報を素材として記録したり、作ったLUTを直接投げ込めるようになっている。

さらに、12V 出力コネクタをLemoコネクタへ変更。LAN端子は、カメラアシスタントサイドパネルへ移動させた。また、ガイド音声などを収録したいというユーザーからの声に応え、本体にマイクも新たに内蔵。AUX(TC out)コネクタをBNCコネクタへ変更するなど、細かなブラッシュアップも行なわれている。

本体にマイクも新たに内蔵
ソニー内で、VENICE 2を使い「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」などの作品で知られる英国/全米撮影監督協会の撮影監督ロブ・ハーディ氏が撮影したデモ映像。8.6K 3:2 for fixed frame、8.2K 17:9 for 60FPS HSモードで撮影し、4K HDR/SDR、8K HDRでマスタリングしたもので、タイトルは「VENEZIA」。暗所でもノイズが少なく、ディテールは非常に豊富なのが特徴。室内が蝋燭の火だけで照らされたようなシーンでも、鮮やかな炎の明るさと、その光がわずかにしか届かない部屋の奥に置かれた調度品の輪郭や階調が確認でき、立体感のある映像になっていた
Product Announcement of VENICE 2 | Sony | CineAlta [Subtitle available in 21 languages]
東京の夜景を撮影した映像。ノイズが非常に少ない。近づいて、光の点滅など“映像であること”を知らなければ、長時間露光した静止画に見えるほどクリアだ
8K撮影したデータを4Kにダウンスケーリング表示しているところ。髪の毛や服の皺など、細かな情報量の多さは圧巻で、4K表示でもその情報量は伝わってくる