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NHK、既存CATVを使ったSHV映像の伝送実験に成功

最大5チャンネルの空きを利用。H.264で配信

複数搬送波伝送方式(5チャンネル使用時の例)

 NHKは19日、8Kのスーパーハイビジョン(SHV)映像をケーブルテレビ網で配信可能にする伝送方式を開発し、山梨県で「NNS甲府CATV」を提供する日本ネットワークサービスとの共同による伝送実験に成功したと発表した。

 現在のケーブルテレビ施設では、1チャンネル分あたりの伝送容量は32Mbps/64QAM時、または42Mbps/256QAM時(QAM:直交振幅変調)となっており、解像度がフルHDの16倍となる7,680×4,320ドットの8K映像(SHV信号)では伝送容量が不足する。

 このためNHKでは、CATV施設のチャンネル使用状況に応じて、空いている2~5チャンネルまでの複数チャンネルを同時利用し、64QAMや256QAMなど異なる変調方式の搬送波を組み合わせて伝送する「複搬送波伝送方式」を開発。SHV信号をCATV局で分割して送出し、複数チャンネルを使って伝送された信号を受信機で同期して合成する。映像はMPEG-4 AVC/H.264で圧縮し、音声はMPEG-2 AAC。SHV信号のビットレートは56~170Mbpsとなる。

 伝送実験は山梨県甲府市にある、日本ネットワークサービスが持つ既存のCATV施設を使用。CATV局から圧縮符号化したSHV信号を送信し、甲府市など7市3町で受信確認した。

 CATVで使用していない帯域を使って伝送するため、現行のCATV施設の構成を変更することなくSHV信号が伝送可能になるというメリットがある。NHKでは、「今後もSHV放送の早期実現に向け、伝送方式など多岐にわたる技術開発を加速する」とコメントしている。

 なお、ケーブルテレビ網を用いた次世代の映像伝送技術については、KDDI研究所とJ:COMも2月6日に、独自の映像圧縮方式を用いたHD/4K/8K映像の同時伝送技術を発表している。

(庄司亮一)