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LG、声や手かざしで操作できるIPS液晶の「LG Smart TV」

直下型LEDの55型など7シリーズ。スマホ2nd Display機能も

最上位モデルの「55LA9600」(中央)と、LG Electonics Japanのマーケティング統括 常務 李起旭(リ キウク)氏(左)、同社商品企画&マーケティングチームの土屋和洋部長(右)

 LG Electonics Japanは、液晶テレビ「LG Smart TV」の新機種7シリーズ17機種を発表。4月下旬より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、最上位の「55LA9600」や、60型の「60LA8600」が35万円前後で、いずれも7月上旬に発売する。

 液晶パネルはIPS。一部シリーズを除きフルHDで、偏光方式の3D「CINEMA 3D」に対応。なお、4Kモデルや有機ELモデルはラインナップしない。

ラインナップと主な機能差

 大きな特徴は、声で検索する「ボイスサーチ」や、手をかざして操作する「モーション機能」など操作性の向上。デザインを一新し、シンプルながらジェスチャー操作などにも対応した「マジックリモコン」も用意する。

 最上位の9600シリーズはNANO FULL LEDバックライトを搭載。ネットワーク機能では、VOD映像などが利用可能。スマートフォン用アプリと連動し、テレビ映像をライブ転送できる「2nd Display」機能も備える。NFCや、Miracastもサポートする。そのほか、フレーム幅約2.6mmというスリムなデザインも特徴。

LA8600シリーズ
LA6600シリーズ
LA4600シリーズ
シリーズ品番サイズ3D想定売価発売時期
LA960055LA960055型偏光3D35万円前後7月上旬
LA860060LA860060型35万円前後7月上旬
55LA860055型28万円前後6月下旬
47LA860047型23万円前後6月下旬
42LA860042型17万円前後6月下旬
LA660055LA660055型23万円前後4月下旬
47LA660047型17万円前後4月下旬
42LA660042型14万円前後4月下旬
32LA660032型9万円前後4月下旬
LA640055LA640055型21万円前後4月下旬
47LA640047型16万円前後4月下旬
42LA640042型13万円前後4月下旬
32LA640032型8万円前後4月下旬
LA620060LA620060型27万円前後4月下旬
LN570B32LN570B32型-6万円前後4月下旬
LN460026LN460026型55,000円前後4月下旬
22LN460022型45,000円前後4月下旬

声で検索、手のひらで操作

最上位のLA9600シリーズ

 いずれも、IPS液晶パネルを搭載し、地上/BS/110度CSデジタルダブルチューナを内蔵。別売USB HDD(最大4TB)への録画機能も行なえる。観ているチャンネルを自動でキャッシュ録画し、2時間までさかのぼって視聴できる新機能「LIVE PLAYBACK」(USB HDD接続が必要)も備える。この機能は、放送波をMPEG-2 TSのまま記録するもので、外部のストレージなどに取り出すことはできない。

 最長3倍の長時間録画モードもアップデートで後日対応予定としている。接続対応HDDは、これまでバッファロー/アイ・オー・データ機器の2社だったが、新たにエレコム(LaCieブランド)もサポートした。

 全機種に、テレビで初というデュアルコアCPU搭載の新プラットフォームを採用。電源起動やチャンネル切替、Webページ切り替えなどを同社従来製品に比べ約1.2倍高速化させたという。

55LA9600

 最上位の55LA9600は、直下型ながらスリムな「NANO FULL LED」バックライトを搭載。そのほかの機種は「60LA6200」と「32LN570B」に直下型LEDバックライト(LEDエリア駆動は非搭載)を採用。そのほかはエッジ型LEDで、LA8600/6600はLEDエリア駆動に対応する。NANO FULL LEDの制御は従来比3倍に精密化。黒の再現性や輝度の均一性能、省エネ性能を同時に改善したという。

 映像エンジンは、カラー/コントラスト/精細度の3項目を最高レベルでコントロールするという「トリプルXDエンジン」を全機種に採用。直下型/エッジ型モデルともにバックライトの部分制御(LA6200/LN5708/LN4600は非対応)によるコントラスト性能向上や、SD→HDのアップスケーリング、動画ボケ改善の「ダイナミックスキャニング」、ノイズ除去の「アクティブノイズリダクション」、白色階調向上の「ダイナミッククリアホワイト」、各色のコントラスト比/明るさコントロール、グラデーション階調の細分化などの機能を備えている。

 LN570B/4600を除く全機種は3D映像に対応。3Dは偏光方式で、対応機種には3Dメガネを2個同梱する。LG専用の3D映像配信専用ページ「3D WORLD」のコンテンツも楽しめる。また、専用メガネ「AG-F400DP」を使って、全画面を2人で使って別々のゲームを楽しむ「デュアルプレイ」も可能。

 映像の没入感や臨場感を追求し、新たに60型を2モデル投入するなど大画面のラインナップを拡充。また、IPSの広視野角特性により、大人数でも高画質を楽しめるという。

直下型NANO FULL LEDも進化
「トリプルXDエンジン」の特徴
60型などの大型モデルを投入
LA9600/LA8600に付属する「プレミアムマジックリモコン」

 いずれの機種にも通常のリモコンを同梱するほか、同社テレビの特徴でもある「マジックリモコン」も進化。上位機のLA9600/LA8600に付属する「プレミアムマジックリモコン」は、持ちやすさの改善やボタンのレイアウト見直しを行なったほか、「ジェスチャー機能」も進化。画面に数字を書けば、ダイレクトにそのチャンネルに移動でき、CS/BSなどの多くのチャンネルの中から素早く選局できる。LA6600/6200には通常のマジックリモコンが付属。また、LN570B/4600についてはマジックリモコンは別売となる。

 マジックリモコンにはマイクも内蔵。これを使って音声検索「ボイスサーチ」が行なえる。音声検索では、Webサイト(Yahoo!)やYouTubeから、該当するページ/動画を探して表示可能。さらに、USB HDDに録画した番組から、EPG情報を元に該当する番組を探すこともできる。なお、ボイスサーチにはインターネット接続が必要。

 上位シリーズのLA9600とLA8600は、Skype通話などに使えるカメラを本体上部に内蔵する。これを利用して手をつかったジェスチャー操作にも対応。音量の増減やチャンネルの+/-、入力切替、電源OFFが行なえる。具体的な操作方法としては、カメラに向かって顔と手の平を見せる動作をするとジェスチャー動作のUIが起動。その場所から手を動かすとカーソルが移動し、手を握ると「決定」となる。操作できる範囲は、テレビから1.5~5mの距離。1度に認識できるのは1人までだが、複数人で交代してジェスチャー操作することもできる。なお、意図せずにジェスチャー用UIが起動しないように、あらかじめこの機能をOFFにしておくことも可能。なお、LA6600/6400/6200とLN570B/4600でモーション操作を利用するには、別売のマイク内蔵コミュニケーションカメラ「AN-VC400」が必要となる。

持ちやすさやレイアウトなどを見直した
上部にマイクを内蔵する
通常のマジックリモコン
マジックリモコンの音声検索ボタンを押し、マイクに向かって話すと、画面下に該当キーワード候補が表示。そこから選ぶと、あてはまるYouTubeや録画番組、Webページが一覧で表示
ジェスチャー操作の例。手を上げると専用UIを表示
手を握ると「決定」。写真は選局しているところ
音量を下げているところ
マジックリモコンの機能一覧
モーション操作機能
オプション品

【シリーズごとの仕様の違い】

シリーズ名デザイン画質/音質3Dマジックリモコン
スマート操作
LA9600CINEMA
SCREEN
デザイン
NANO FULL LED
(直下型部分制御LED)
MCI 1200
(動画ブレ低減機能)
2.1chスピーカー
2D-3D変換
3D深度調整
DUAL PLAY
3Dサウンド
ズーミング
3D World
プレミアム
マジックリモコン
(モーション認識対応)
LA8600LED Plus
(エッジ型部分制御)
MCI 960
(動画ブレ低減機能)
2.1chスピーカー
LA6600LED Plus
(エッジ型部分制御)
MCI 480
(動画ブレ低減機能)
2.1chスピーカー
マジックリモコン
(モーション認識利用
には別売カメラが必要)
LA6400LED Plus
(エッジ型部分制御)
MCI 240
(動画ブレ低減機能)
LA6200LED
(直下型LED)
MCI 960
(動画ブレ低減機能)
LN570BLED
(エッジ型LED)
MCI 120
(動画ブレ低減機能)
LN4600LED
(エッジ型LED)
MCI 120
(動画ブレ低減機能)
マジックリモコン別売

NFC/Miracastなどでスマホ連携も強化

ステッカーの「Tag On」

 全機種にEthernetを備え、ネットワーク機能では、HuluやTSUTAYA TV、U-NEXT、T's TV、myシアター、YouTubeといった動画サービスや、ゲーム、SNSなどを利用可能。LA9600/8600/6600には無線LANも本体に内蔵する。

 スマートフォンとの連携も強化。LA9600/8600/6600を購入すると「Tag On」というステッカーが1枚付属。これはNFCタグが入ったもので、テーブルなどに貼って、スマートフォンで読み込むと専用アプリ「LG TV Remote」が起動し、簡単にテレビと無線LAN接続できる。

 接続したテレビとスマホで相互に通信でき、Miracastによってスマホのゲームや動画をテレビ画面に表示しながら、スマホをコントローラとして楽しむことなどが可能。テレビの放送映像(地デジ/BSの無料放送のみ)をスマートフォンにフルHDで表示させる「2nd Display」機能も備える。なお、2nd DisplayにはWi-Fi Directを利用するため、無線LANを内蔵しないLA6400/6200とLN570B/4600には、別売の無線LANアダプタ「AN-WF100」が必要。また、Miracast機能が利用できるスマホはLG製のOptimus G Proのみ(4月現在)で、他のAndroidスマートフォンの場合は、リモコン機能のみ利用できる。

 このほか、DLNAを使ったネットワークメディア再生機能や、MHLケーブル接続によるスマホ動画の再生なども引き続き行なえる。

NFC対応スマホをかざす(写真はLG製のOptimus G Pro)
テレビからスマホ、またはスマホからテレビへコンテンツを転送することができる。
テレビで、スマホのレースゲームを遊んでいるところ。スマホをコントローラとしてハンドル操作できる
スマホの動画などをテレビに表示できる
テレビで放送中の番組をスマホ画面にフルHD表示することも可能
コンテンツシェア機能の一覧
主な対応ネットワークサービス

 本体のフレームは、2012年の55型モデル「LM9600」は4.9mmだったが、同じ55型の新機種「LA9600」は2.6mmまで狭額縁化。奥行きも最薄部19.3mmを実現。「今までと同じ(設置の)空間でサイズアップできる」としている。LA9600/8600のスタンドには、左右角度調整機構の「マジックスイーベル」を採用する。

 音声については、LA9600/8600/6600の3シリーズ8機種(32型を除くモデル)に、フルレンジスピーカーとウーファを内蔵。低音再生を強化している。

 HDMI入力端子はLA9600/8600が4系統、そのほかの機種は3系統装備。そのほか、コンポーネント/コンポジット入力、光デジタル音声出力などを備える。USBはLN570B/4600のみ2系統で、そのほかのモデルは3系統装備する。

右側の4台がLA8600シリーズ
55LA6600
LA6400シリーズ(中央と、上の2台)
60LA6200
32LN570B
LN460シリーズ
【LA9600/8600シリーズ基本仕様】
型番55LA960060LA860055LA860047LA860042LA8600
画面サイズ55型60型55型47型42型
パネル
1,920×1,080ドット/IPS
バックライト直下型NANO FULL LED
エッジ型LED
ダイナミックコントラスト1,000万:1
900万:1
スピーカー出力
12W×2ch
消費電力
未定
年間消費電力量
未定
外形寸法
(スタンド含む
幅×奥行き×高さ)
122.1×31.6×77.7cm133.8×31.6×85cm122.9×31.6×78.8cm105.9×26.9×69.4cm94.8×26.9×63.1cm
重量
(スタンド含む)
21.2kg30.5kg26.2kg19.3kg15.6kg
【LA6600シリーズの基本仕様】
型番55LA660047LA660042LA660032LA6600
画面サイズ55型47型42型32型
パネル1,920×1,080ドット/IPS
バックライト
エッジ型LED
ダイナミックコントラスト700万:1
スピーカー出力12W×2ch10W×2ch
消費電力
(待機時)
140W
(0.3W)
120W
(0.3W)
120W
(0.3W)
90W
(0.3W)
年間消費電力量119kWh/年109kWh/年100kWh/年79kWh/年
外形寸法
(スタンド含む
幅×奥行き×高さ)
123.8×34.3×80.2cm106.9×32.7×69.5cm95.7×29.4×95.7cm72.5×24.1×50.1cm
重量
(スタンド含む)
22.7kg17.2kg14.1kg8.7kg
【LA6200、LN570B、LN4600シリーズの基本仕様】
型番60LA620032LN570B26LN460022LN4600
画面サイズ60型32型26型22型
パネル1,920×1,080ドット1,366×768ドット
バックライト直下型LED
エッジ型LED
ダイナミックコントラスト500万:1100万:1
スピーカー出力10W×2ch5W×2ch
消費電力180W
(0.3W)
80W
(0.3W)
30W
(0.3W)
23W
(0.3W)
年間消費電力量157kWh/年62kWh/年53kWh/年42kWh/年
外形寸法
(スタンド含む
幅×奥行き×高さ)
134.7×34.3×86.5cm73.5×20.7×49.7cm62.1×16.3×43.1cm51.3.8×14.1×36.2cm
重量
(スタンド含む)
25.9kg7kg4.5kg3.4kg

「リラックス」、「メガコンテンツ」、「サイズアップ」が進化

LG Electronics Japanの李起旭氏

 LG Electronics Japanのマーケティング統括 常務 李起旭(リ キウク)氏は、同社テレビのキーコンセプトである3点を説明。マジックリモコンによる直感的な操作などの「リラックス」、 高画質映像などの「メガコンテンツ」、60型の投入など「サイズアップ」の3つで、新モデルではこれらをさらに進化させたと説明。「私たちは常にホームエンターテインメントの本質を追求し、最先端の技術による新しい体験や価値を提供していきたいと考えている」とした。

 同社C.E.商品企画&マーケティングチームの土屋和洋部長は、これまでの製品展開を振り返り、「直下型バックライトや、超薄型デザインなどの最先端のユニークな技術で2010年10月から本格的に日本の液晶テレビ市場に参入した。'11年は超薄型の直下型LED、偏光方式の楽ちんな3Dメガネを実現した『CINEMA 3D』も市場に導入した。一方で、日本の放送環境や高画質環境に合わせた高画質化、使い勝手に合わせた録画機能の強化もその間にコツコツ磨き上げてきた。'12年は『スマートテレビ』を導入し、マジックリモコンでコンテンツをリラックスしながら自由に操れる」といった点を紹介。

土屋和洋氏

 極細ベゼルのCINEMA SCREENなどによる「サイズアップ」の提案についても、同社テレビの販売構成比のうち、42型以上の割合が40%以上に達している(2012年6~12月)という調査結果を紹介。また、購入したテレビをネットワークに接続する割合が45%となった点にも触れ、同社テレビの独自性や、新しい価値を提案している点をアピールした。

 '10年の液晶テレビ参入時には「5年以内にシェア5%以上」という目標を掲げていたが、現段階のシェアについては公開していない。「まだ全国の販売チャネルをカバーしていないといった点もあるが、着々と数字を出している。我々がターゲットとする都市型量販店では5%を超えている店もいくつかある」とした。なお、4Kや有機ELテレビの日本での展開については「具体的には決まっていない」と明言を避けた。

同社テレビの販売動向などを、他社含めた全体と比較
操作性などが好評だったという他社調査も
従来製品と新製品のラインナップ比較

(中林暁)