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国際家電ショー「IFA 2013」は9月6日に開幕

4Kなどに注目。'14年には展示エリアの拡張も

IFA GPC会場のホテル・Forte Village

 コンシューマ・エレクトロニクスショー「IFA 2013」の開催に先駆け、報道関係者向けのプレイベントである「IFA 2013 Global Press Conference」(IFA GPC)が、イタリア・サルデーニャ島で現地時間の4月20日に開催された。

 IFA 2013は、ドイツ・ベルリン国際見本市会場で9月6日~11日(現地時間)に開催。1924年の初開催から、今年で53回目となる。AV/IT機器や、白物家電などの最新製品が展示され、毎年、日本からもソニーやパナソニックなどの大手メーカーをはじめ、多数の企業が出展している。

 4月18日より行なわれたIFA GPCは、IFAの本イベント出展社らが、開幕に先駆けて新製品の予告や、今後の戦略などについてプレゼンテーションを行なうもの。今回は50カ国以上、300人を超すジャーナリストらが参加している。

 20日に行なわれた記者会見では、今回のIFAの概要や、家電業界を取り巻く市場環境などについて、主催社のドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu)や、運営会社のMesse Berlin、調査会社のGfKらがプレゼンテーションを行なった。なお、同イベントにおいて出展社らが展示していた製品などについては、別記事でレポートしている。

 Messe BerlinのChristian Goke COOは、デジタル機器や白物家電の世界市場が2013年は前年比4%上昇するというGfKの調査を挙げる一方で、「ダイナミックなマーケットであるから、IFAは自然に成長しているのかと問われれば、答えはノーだ」として、これまでの展示スペース拡大など、トレードショーとしての存在感を強めてきた取り組みを説明。さらに、2014年のIFAには現在建設している新しい建物「CityCube Berlin」が完成する予定で、展示スペースやミーティングルームなどに活用される見込みであることを表明。「出展社がブースのスペースやデザインにもっと投資したいという意向に、IFAがアジャストしている」とした。

Messe BerlinのChristian Goke COO
IFAのこれまでの成長について説明
2014年のIFAから活用される見込みの新しい建物「CityCube Berlin」のイメージ

 また、一部で経済危機も取りざたされる欧州市場についても、「危機の中にあっても安定しており、しっかりした成長が見込める市場だ」とし、例として、2010年~2012年における、商取引を目的としたトレード参加者数の推移が、ギリシャでも-2%の減少にとどまっており、スペインは+14%、トルコは+80%の増加となっていることを紹介。2013年には欧州全体で1.5%の伸びが見込まれている。さらに、米国からのトレード参加者についても、2008年~2012年で+140%に増えたという。

 2012年のデータとしては、参加者数が24万人、そのうちトレード参加者が13万8,000人、うち海外からは4万6,000人がIFAに訪れているという。

出展社の要望に応じ、ブースの面積を拡大
欧州経済の安定についてもアピールした
米国からの参加者数も増加傾向
2012年の参加者数の実績
今回のIFA 2013開催のテーマとして「Smart IFA」というキーワードを掲げた

GfK「タブレット売上台数は2014年に液晶テレビを上回る」

ドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu) 監査役会議長のHans-Joachim Kamp氏

 ドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu) 監査役会議長のHans-Joachim Kamp氏は、これまで開催されたIFAを振り返り、38億ユーロ以上の取引が行なわれる点や、商戦期に近いタイミングで行なわれる点など「グローバルNo.1」とする理由を説明。

 家電の中心としての存在し続けたテレビついては、価格は下落傾向にあるものの「消費者にとって魅力的なものであり続けている」とし、「家計の中で出費を削る優先順位として家電機器は最も低い(予算を削られにくい)」という調査を紹介。「成長をもたらすのに唯一、必要なものは技術革新」として、テレビの大画面化に伴う4K対応の拡大や、有機ELによる画質向上などに大きな期待を寄せた。

IFAの特徴
テレビに対するコンシューマからの期待
調査を元に、「家計が厳しい場合でも、テレビを買うのをやめることはない」と主張
テレビの価格下落
4Kテレビや、有機ELの大型テレビ実現などの技術革新に期待を寄せた
GfKのJurgen Boyny氏

 GfKの家電部門においてグローバルディレクターを務めるJurgen Boyny氏は、デジタル機器の世界市場規模について、2012年度の7,850億ユーロから、2013年度に8,180億ユーロ、2014年度に8,150億ユーロへと、年4%ペースで拡大すると予測。その要件として、「欧州の経済危機が解決に向かうこと」、「中国とインドの経済成長が続くこと」、「軍事衝突などが起きないこと」を挙げた。

 市場を国/地域別にみると、2012年~2013年で最も成長が見込まれるのは中東/アフリカ地域で、2013年は前年比13.7%増と予測。ついで高いのはアジアの新興国で10.0%増と見ている。なお、アジア先進国(日本)については0.3%のマイナスを見込んでいる。

 製品別では、特に成長が著しいタブレット市場が2014年度に2億7,500万台規模へ拡大すると見ており、減少傾向にある液晶テレビを2014年に抜くと予測している。

デジタル製品市場の推移
地域別の成長予測
2014年に、タブレットが液晶テレビの出荷台数を超えると予測
プレスカンファレンスの前日に行なわれたPower Briefingの最後には、各国が参加するパネルディスカッションを開催。「What is the next thing in consumer tech」と題して、日本経済新聞の論説委員兼産業部編集委員の関口和一氏(左)や、海外のジャーナリストらが、テクノロジーと人間との関わりや未来などについて熱く議論を交わした
IFA GPCの会場となったのは、サルデーニャ島の南端近くにあるリゾートホテル・Forte Village。サルデーニャは、イタリア本土の西、地中海に浮かぶ島で、シチリアに次いで2番目の広さ。サルデーニャ自治州の州都・カリアリで5月1日に行なわれる「サント・エフィジオの祭り」には毎年多くの人が訪れる。カラスミやペコリーノチーズなどでも知られる

(中林暁)