ソニー、アニメ画質にもこだわったBDレコーダ最上位
-2TBで実売28万円。2系統HDMIで映像/音声分離出力
ソニーは、2TBのHDDを搭載し、高音質/高画質を追求したBlu-rayレコーダの最上位モデル「BDZ-EX200」を11月上旬に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は28万円前後の見込み。
同社のBDレコーダは従来、利用スタイルに合わせたシリーズ展開を行ない、計7機種をラインナップしていたが、新モデルでは機能を最大限共通化。500GBモデルを3機種から1機種に、320GBのダブルチューナモデルを2機種から1機種にするなどして、計5モデルに集約。選びやすいラインナップになったのが特徴。下位モデルについては別記事で取り上げている。
最上位のEX200は、従来のX100やX95など、Xシリーズの専門設計筐体デザインを踏襲。4mm厚のアルミニウム天板なども採用し、高音質、高画質化を追求したモデルと位置付けられている。カラーは同社コンポのESシリーズと同じブラックヘアーライン仕上げに変更された。
フロントパネルを開いたところ | 天板には4mm厚のアルミニウムを使っている |
録画の基本機能は従来モデルから大きな変更は無い。地上/BS/110度CSデジタルダブルチューナを搭載し、デジタル放送の2番組同時録画が可能。AVC変換録画対応は1系統(録画1)で、もう1系統(録画2)はDRモード専用。録画中にBDビデオが再生できない、「録画2」で録画中は編集や書き出しなどができないといった、録画機能の制約も従来から基本的に変わっていない。
しかし、録画後の再生/編集時における使い勝手は向上。CMやシーンの切れ目で、自動的にチャプタを付与する「おまかせチャプター」が、従来「録画1」でしか利用できなかったが、新モデルでは「録画2」でも利用できるようになった。ソニーではこれを「Wおまかせチャプター」と呼んでいる。
また、従来は「録画1」で録画していると、「録画2」がフリーでも表示チャンネルを変更できなかった。新モデルでもその制約は同じだが、新たにデフォルトの録画先を「録画1」、「録画2」から選択できるようになった。「録画2」を選んでおけば、例えば「見ている番組を急に録画したくなり、手動録画を開始したら、チャンネルが変更できなくなった」という問題が解消される。
■ 高画質回路「CREAS 2 plus」搭載
「BDZ-EX200」には高画質回路「CREAS 2 plus」を搭載。同時発表の下位モデルに採用されている「CREAS 2」に専用の高画質技術を追加したもの。無印「CREAS 2」の機能として、従来の8bitの入力信号を14bitに拡張して、映像をクッキリ/なめらかにするHD Reality Enhancerなどの機能を踏襲しつつ、新たに、接続したモニタに合わせて最適な画質を簡単に設定できる「モニター別画質プリセット」を用意した。
ソニーの画質担当者がデバイスを検証して決めたプリセット値を記憶させたもので、「液晶テレビ(明るい部屋)」、「液晶テレビ(暗い部屋)」、「プラズマ」、「プロジェクタ」、「有機EL」など、接続した表示デバイス名を選択するだけで理想的な表示が可能になる。さらに黒レベルの調整を行なう「クリアブラック」機能も追加。黒の陰影を調整する機能で、より引き締めた映像にカスタマイズできる。
EX200の「CREAS 2 plus」にはこれらの機能に加え、「スムージング機能強化」と「アニメ・CGリマスター」、「クロマアップサンプリングフィルタ」が追加されている。「スムージング機能」は、バンディングを低減する機能で、従来は縦線(横方向の処理)のみ効果があったが、新モデルでは横線(縦方向の処理)と、斜め線(斜め方向の処理)にも効果が出るようになった。これにより、アニメの背景グラデーションなどで色の変化が等高線のようになる現象を防ぎ、滑らかに表示できる。
「アニメ・CGリマスター」は、地デジなど、情報量の少ない映像の場合、アニメやCG映像の輪郭線周囲に発生するザワザワした特有のノイズを検出。周囲の綺麗な画素情報を使ってノイズを埋め、輪郭線を綺麗にするという機能。前述のバンディング低減も合わせ、「放送の画質をBDビデオの映像に近付ける」(ソニー)という。なお、アニメ・CG特有のノイズに反応しているため、実写などの映像では効果が出ない(悪影響が出ない)という。
クロマアップサンプリングフィルタは、圧縮で抜けてしまった色情報の補間を行なうもので、従来より失われた色信号の解析範囲を広げることで、さらに滑らかでキレのある色を実現するという。なお、これらの機能はHDMI出力に対して適用するため、録画コンテンツでも、視聴中の番組にも適用可能。さらに、高画質化技術DRC-MFの最新バージョン「DRC-MFv3」も採用している。
録画画質も進化。録画時のビットレートを映像シーンに合わせてダイナミックに制御する「新ダイナミックVBR」を搭載。精度が従来と比べて飛躍的に向上しており、低ビットレートでも高画質な録画ができるという。「インテリジェントエンコーダー」と名付けられている。
EPG情報をもとにパラメータを適用する「ジャンル別エンコーディング」機能。アニメやスポーツ、映画などが用意されている。こちらは新モデル全機種に投入。写真はBDZ-RX100 |
さらに「ジャンル別エンコーディング」機能も搭載。EPGの番組ジャンル情報を用いて、録画時に画質パラメータを最適化。アニメであれば輪郭部分に発生しやすいモスキートノイズを低減、スポーツであれば動きの滑らかさを重視し、激しい動きのシーンのブロックノイズを防ぐ処理を適用する。ほかにも映画用モードなどを備えている。
また、搭載するBD/DVDドライブは、新たにBD-Rの6倍速書き込みまで対応する。
録画モード | コーデック | 新モデル | 従来モデル (参考) | ||
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解像度 | ビットレート | 解像度 | ビットレート | ||
DR | MPEG-2 | 1,920×1,080 1,440×1,080 | ストリーム記録 | 1,440×1,080 | ストリーム記録 |
XR | AVC | 1,920×1,080 1,440×1,080 SD | 15Mbps (1.5倍録画) | 1,920×1,080 1,440×1,080 SD | 15Mbps (1.5倍録画) |
XSR | 12Mbps (2倍録画) | 12Mbps (2倍録画) | |||
SR | 8Mbps (3倍録画) | 8Mbps (3倍録画) | |||
LSR | 4Mbps (5.5倍録画) | 1,440×1,080 SD | 5Mbps (4倍録画) | ||
LR | 3Mbps (8倍録画) | 4Mbps (5.5倍録画) | |||
ER | SD | 2Mbps | SD | 2Mbps |
HDMI出力を2系統備えており、映像と音声を別々のHDMI端子から出力する「HDMI AV独立ピュア出力」に対応した。ジッタを抑えた、より高画質/高音質な伝送が可能という。なお、同機能時にはブラビアリンク機能は利用できない。
ほかにも、専用HDMI基板にはジッタノイズ低減システムを搭載。アナログ回路を独立させ、デジタルノイズの混入を抑えるとともに、DA変換直前に信号に含まれるジッタを除去する「ジッタ・エリミネーション回路」や、オーディオDAC専用ローカルレギュレーター、金メッキリード採用の音質コンデンサなど、パーツも厳選したものが投入されている。
スカパー! HDチューナをLANケーブルで接続。録画することができる |
連係機能では「スカパー! HD」の連動録画に対応。LANケーブルで接続することで、予約情報や放送データがスカパー! HDチューナから送られ、BDレコーダで録画できる。録画番組はBDメディアに書き込んだり、PSPなどにおでかけ転送することも可能。BDレコーダとして「スカパー! HD」に対応するのは今回のモデルが初めて。 ソニー製チューナ「DST-HD1」は10月にアップデートで対応が予定されている。
なお、「スカパー! HD」の録画は強制的に「録画2」で行なわれる。おでかけ転送用のファイルは「録画1」での録画時に同時作成されるため、スカパー! HDのおでかけ転送時には、実時間をかけての変換が必要。
アクトビラ ビデオのダウンロード配信機能にも対応。同コンテンツのおでかけ転送もサポートする。ルームリンクもサポートし、DLNAサーバーとしても動作する。
また、録画時には従来モデルと同様、自動録画機能の「おまかせ・まる録」が利用可能。登録キーワードやジャンル、おすすめ番組などを対象に、合致する番組を自動で録画することができる。
おでかけ転送機能も強化。PSP、ビデオ対応ウォークマンなどの従来機種に加え、今後発売予定のauとNTTドコモのデジタル放送転送に対応した携帯電話や、今後発売されるソニーのカーナビ「nav-u」対応機種への転送にも対応する。
ビデオカメラやデジタルカメラとの連携も強化。取り込んだ動画/静止画をBDにダビングする際、BD-Jを使ったメニューが作成できるようになった。「思い出ディスクダビング」と呼ばれる機能で、写真、動画、ピクトストーリーなどのコンテンツを一覧にまとめたメニュー画面が自動で作成できる。目玉機能のカレンダービューは、カレンダーを画面に表示し、その日に撮影したコンテンツを再生するメニューとなっている。
取り込んだビデオカメラの映像やデジカメ写真にメニューを付けてBDライティングが可能 | カレンダー風のメニューを使い、その日に撮影した静止画や動画を見るというメニューも作れる |
使いやすさも向上。「らくらくスタートメニュー」は、再生、予約、ダビングなど、目的に応じてガイド付きで操作をナビゲートするメニューで、VHSデッキからのダビングもアシスト。VHSデッキとBDレコーダのケーブル接続方法が画面に絵で表示されるなど、レコーダ初心者でもわかりやすいようになっている。
付属リモコンもブラッシュアップ。文字を大きく、見やすい色に変更したほか、らくらくスタートメニューにダイレクトにアクセスするボタン、アクトビラ起動ボタン、フォルダ整理ボタンも用意。他社のテレビ操作にも対応している。
出力端子はHDMI×2(1080 60p/24p)、D4×1、コンポジット×1、S映像×1、アナログ音声×3、光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1を装備。入力はコンポジット×3、S映像×3、アナログ音声×2を備えている。さらにi.LINK(HDV/DV)と前面USB入力も用意する。消費電力は71W(待機時0.22W)、年間消費電力量は70kWh/年。外形寸法は430×334×95mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約7.9kg。
付属のリモコン。デザインが若干変更されている | 背面端子部 |
(2009年 8月 26日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]