ボーズ、ハイエンドiPodスピーカー「SoundDock 10」

-Bluetoothにも対応予定。「開発者も驚く音」


使用イメージ。iPodは付属しない

11月21日発売

標準価格:77,700円

 ボーズ株式会社は、iPodと親和性の高いスピーカー「SoundDock」シリーズのハイエンドモデル「SoundDock 10 digital music system」(以下SoundDock 10)を11月21日に発売する。価格は77,700円。一般販売店、直営店、直販サイトで販売される。カラーはシルバー。

 なお、SoundDockシリーズの「SoundDock Series II」(34,860円)や、バッテリ駆動対応で持ち運び可能な「SoundDock Portable」(46,200円)は併売される。

 「エレガントなデザインと、コンパクトな製品サイズを維持しながら、最高の音質を実現した製品」と位置付けられ、専用のウェーブガイド・テクノロジや新開発のウーファユニットなど、多くの新技術が投入されている。

 基本はiPod用スピーカーで、本体前面にドックを装備。背面にステレオミニのアナログ音声入力を備え、iPod以外のプレーヤーも接続できる。また、コンポジット出力も備え、iPod内の映像出力も可能。対応iPodは第4世代以降のiPod(nano、photo、mini、classic、touch)と、iPhone 3G/3GS。なお、第5世代iPod nanoのFMラジオ機能は、ドック接続時には利用できない。

 ドック部を取り外し、来春発売予定の「Bluetooth dock」を装着することで、Bluetooth機器とのワイヤレス接続にも対応予定。Bluetooth dockの価格は未定となっている。

SoundDock 10 digital music system側面。iPod搭載用のドックを前面に備えている背面端子部。ACアダプタは不要。ステレオミニの音声入力とコンポジット出力可能
来春発売予定の「Bluetooth dock」(右)を搭載すれば、Bluetoothスピーカーとしても使用可能に上から見たところ。放熱用のスリットが見える付属のリモコン。プレイリストの切り換えにも対応する

 本体前面、上寄りの位置に中高域を再生する「ツィドラー(Twiddlers)」と呼ばれる独自のユニットを、左右に最適な角度で配置。筐体内中央には、背面に向けて、製品重量(8.4kg)の重さの内3分の1を占めるという大型ウーファユニットを設置。メタルキャップを用いて、筐体内を横断しているウェーブガイド機構と結合している。

 ウェーブガイド・テクノロジーは、パイプオルガンのような共鳴管の原理をベースにしたボーズ独自の技術だが、従来の技術では、開発目標とした重低音再生能力を実現するために191cmのウェーブガイド(共鳴管の長さ)が必要だったという。それを技術改良により、今回132cmの長さで実現。製品を大型化せずに重低音再生を可能にしたという。

 ウーファからの音はメタルキャップにより、本体向かって左側のウェーブガイド入口に誘導され、曲がりくねった管の中を通り、筐体の右側へ移動、そのまま右背面に設けられたポートより出力される。メタルキャップは防磁や筐体内部にかかる圧力に耐える役目も担っている。また、ウーファからの振動の影響を防ぐため、前面に張り出したドック部分には振動抑制システムが取り入れられている。

中高域を再生するツィドラー(Twiddlers)大型ウーファを1基内蔵するのが特徴磁気回路も非常に大きい。パワフルなドライブを実現
前面上部にあるのがツィドラー青く光っているのが本体内のウェーブガイド中央にあるのがウーファユニット。その右にあるメタルキャップで、ウェーブガイドの右側から低音を挿入する
ウェーブガイドの右側から入った低音は筐体内の管を通って左側へ左側の低音は最終的に、背面にあるポートから出音される背面のポート部。右側にポートは無い

 独自のDSPも内蔵し、歪みを排除し、小音量再生でも個々の音をクリアに再生できるという。アンプ部と電源部には独自のスイッチング技術を投入。大口径ウーファを駆動するパワーを実現しつつ、ACアダプタも不要としている。また、排熱処理も考慮した設計となっている。

 操作は付属のリモコンで行なえ、曲送り/戻し、再生/一時停止、プレイリスト切り換えなどのiPod操作が可能。アナログ入力への切り換えも行なえる。外形寸法は431×244×223.5mm(幅×奥行き×高さ)。重量は8.4kg。


 

■ 簡単設置でも重低音再生

デモ再生時の設置環境。キャスター付きのデスクに設置してもしっかりとした低音が出る
 「SoundDock Series II」(303×165×169mm/幅×奥行き×高さ)と比べ、一回り大きい程度のサイズながら、重量は「Series II」(2.1kg)の約4倍となる、8.4kg。実際に持ち上げてみると見た目以上にズシリと重い。

 発表会のデモでは、広い会場に響き渡るような音量で再生しても筐体がビリついたり、付帯音が乗る事は無く、1音1音が明瞭で広がりのある音が楽しめる。また、コントラバスの低域もコンパクトな一体型筐体とは思えないほど量感のある低音で再生され、床からの振動が足に伝わるほどのパワーを伴っている。ウーファユニットの強力さと同時に、それを上手く制御しているという印象を受けた。

 また、設置されたのは会議室によくあるキャスター付きの机の上で、強固なスタンドに固定されているわけでもない。適当な場所に置いただけで、クリアな高域と沈み込む低音を併せ持つワイドレンジな再生が楽しめる。手軽ながらBGM的なサウンドから本格的なリスニングまで対応できるシステムと言えそうだ。


 

■ 「開発者さえ驚くような音」

ボーズ株式会社・ゼネラルマネージャーの栗山譲二氏(左)と、ボーズ本社、ホームエンターテインメント部門のプロダクトマネージャー、Craig A. Henricksen氏
 ボーズ本社、ホームエンターテインメント部門のプロダクトマネージャー、Craig A. Henricksen氏は新製品について、「エレガントさとコンパクトなサイズを維持しながら、iPodの音をどこまで高音質に再生できるかをコンセプトに開発した。新しいウェーブガイドやTwiddlers、DSPなどの新技術、特許技術を投入した結果、開発者達さえ驚くような最高性能の製品が出来上がった」と自信を見せる。

 小型筐体に大型ウーファを搭載した事については「複数のユニットを搭載する事も考えたが、最終的にはパワフルなウーファを1基搭載する事にした。しかし、あまりに強力なので、試作段階で音を出したらプラスチックの筐体が崩壊したり、振動で製品が歩いてしまう事もあった」と、開発時の苦労話も披露した。

 製品名が「SoundDock 10」と、従来の「Series II」から一気に「10」に向上した理由については、「飛躍的に音質が向上したというメッセージを込めた数字。この音質は、世間で理解されている、いわゆる“iPodスピーカー”の域を超えていると思う。iPodの聴き方、楽しみ方を変えることができる製品であり、お客様にぜひ聴いて、判断して欲しい」と、音質の高さをアピール。

 ゼネラルマネージャーの栗山譲二氏は「我々はかなり時間をかけて製品を開発する事が多いが、SoundDock 10は“デザイン”、“サイズ”、“音質”の3つの要素を最高のバランスで実現するために、普段以上の時間をかけたモデル」と語り、トータルでの完成度も高い製品だと説明した。



(2009年 10月 13日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]