スカイツリーの照明デザイン用LEDはパナソニック電工が担当

-「オールLED化を目指す」。LED器具は2,000台


左からパナソニック電工の長榮周作代表取締役専務、シリウスライティングオフィスの戸恒浩人代表、東武タワースカイツリーの藤井角也代表取締役

3月1日発表


 パナソニック電工は1日、東武タワースカイツリーが東京都墨田区業平橋・押上地区に建設中で、2012年春に開業予定である電波塔「東京スカイツリー」のライティング機器パートナー企業に決定したと発表した。

今回用意されたスカイツリーの模型

 ライトアップ用照明器具として、LED照明を積極的に使用する「オールLED化」を目指し、タワー専用照明器具の開発を進めていくとする。灯具の取付は2010年秋から開始し、搭載するLED器具は約2,000台を用意する予定という。

 なお東武スカイツリーは、パナソニック電工を選んだ理由について、LED照明事業における実績に加え、高精度色再現技術や調光技術などの技術面、金銭的な面などを挙げている。

 ライティングデザインは、シリウスライティングオフィス代表の戸恒浩人氏が担当し、「下町~東京~日本へ広がる地域性」、「江戸~現代~未来へつながる歴史性」、「地球にやさしく環境時代にふさわしい象徴性」を基本コンセプトと据え、照明演出計画の検討を行なうとともに、器具、光源、配置計画などの技術的な検証を進めてきた。

 そして、2009年に「心意気の“粋”」と「美意識の“雅”」の2デザインを決定。今回、ライティング機器のパートナー企業となったパナソニック電工では、ライティングデザインを完成させるため、戸恒氏監修のもと、オールLED化を目指したタワー専用照明器具の開発を進めていく。

東京スカイツリー ライティングプロモーション映像

 

心意気を示す“粋”のライティングイメージ図。隅田川の水をモチーフとした淡いブルーの光でタワーを貫く心柱を照らし出すデザイン。「大地から力強く立ち上がり、隠さないで中を見せるイメージからは、気風のよさや潔さを感じることができる」としている。右図は隅田川の水面に映える“粋”ライトアップのイメージ
美意識を示す“雅”のイメージ図。鉄骨の細やかな構造体を衣に見立て優雅で気品あるイメージを表現するとしている。江戸紫をテーマカラーとし、金箔のようなきらめきのある光をバランスよく散りばめるデザイン。右図は浅草の夜空に溶け込む“雅”ライトアップのイメージ

■ 高精度色再現技術や調光技術等を駆使してスカイツリーをライトアップ

 パナソニック電工が採用するライティング技術は、「高精度色再現技術」や「調光技術」、「省エネ性」などが特徴。高精度色再現技術では、スカイツリーのライティングデザインである“粋”の水色と“雅”の江戸紫を、戸恒氏監修のもと、忠実に再現することに成功した。

実際に発表された“粋”(水色)のカラー実際に発表された“雅”(江戸紫)のカラー

 また調光技術においては、東京スカイツリーが搭載する約2,000台(現段階の想定)のLED照明器具のコントロールにも対応可能とし、“粋”と“雅”のコンセプトカラーと、イベント時に求められる多彩な演出もサポートできるとしている。

 さらに、省エネ性能に優れているLED照明をスカイツリーに採用することで、消費電力を低減し、ランニングコストの抑制にも貢献。ライティングデザインである“雅”(江戸紫)を、従来光源(メタルハライドランプ400W)器具+カラーフィルターの組み合わせと比べ、専用雅色照明で消費電力を約50%削減可能という。

 そのほか、配光/放熱設計により照明器具の高出力化を図りながら、コンパクト化も実現可能で、ツリーの外観を極力損ねることのない器具を開発していくという。効率的な器具開発を可能にする3次元解析技術も特徴。

LED照明の特徴高精度色再現技術調光制御技術
省エネ性器具のハイパワー・コンパクト化
パナソニック電工の長榮周作代表取締役専務

 登壇したパナソニック電工の長榮周作代表取締役専務は、「パナソニック電工として、58年間培ってきたハード、ソフトの技術を駆使して、ライトアップを完成させていきたい。また、パナソニックにして良かったというライトアップも目指す」と述べた。

 シリウスライティングオフィス代表の戸恒氏は、LEDでライティングデザインを実現する意義として、従来の50%のエネルギーで実現可能な省エネ性、デジタル制御による繊細な色と明るさのコントロール、LED時代の幕開けを宣言する象徴性、日本のLED技術の高さをアピールの4点を挙げた上で、パナソニック電工に対し「卓越した技術を持って完成させて頂けると思う。大きな期待を持っている」と語った。


シリウスライティングオフィス代表の戸恒氏東武タワースカイツリーの藤井角也代表取締役。発表会では「順調に工事が進んでいる。先月300mを越え、これからもスクスク“成長”していく」とスカイツリーの近況を語った

(2010年 3月 1日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]