エプソン、Wireless HD採用の3DフルHDプロジェクタ

-実売19万円台の入門機も。「明るい3Dで市場拡大」


EH-TW6000W

 エプソンは、3D対応の液晶プロジェクタ4モデルを10月27日より順次発売する。0.74型の3D対応透過型高温ポリシリコン(HTPS)TFT液晶パネルを採用した「EH-TW8000W/TW8000」と、0.61型の3D対応パネルを採用した「EH-TW6000W/TW6000」の4モデルをラインナップ。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は19万円台後半~32万円台後半。

 3LCD方式のプロジェクタとしては初の3D対応。3Dメガネも1つ付属する。特徴は型番末尾に“W”が付くWireless HD対応モデルをラインナップしたこと。Wireless HD対応により、プレーヤーとプロジェクタ間を無線接続可能とし、設置性を高めている。

型番パネルWireless
HD
スピーカー発売日店頭予想価格
EH-TW8000W0.74型
1,920×1,080ドット
-11月25日32万円台後半
EH-TW8000-29万円台後半
EH-TW6000W0.61型
1,920×1,080ドット
11月10日22万円台後半
EH-TW6000-10月27日19万円後半
EH-TW8000WEH-TW8000
EH-TW6000WEH-TW6000
MG-850HD

 また、11月10日にはiPhone/iPod用Dockを備えた液晶プロジェクタ「MG-850HD」も発売。昨年の発表後に発売延期/受注停止していた反射型液晶を搭載した2D最高画質モデル「EH-R4000/R1000」の受注も再開し、2010年発売のDVD内蔵モデルとあわせて、液晶プロジェクタ「dreamio」を展開する。



■ 新HTPSパネルで3D対応。上位機はレンズなどで高画質化

EH-TW6000WとWireless HDトランスミッタ

 上位モデルのEH-TW8000W/TW8000は、0.74型/1,920×1,080ドットの3D対応D9/HTPS液晶パネルを採用。輝度は2,400ルーメン、コントラスト比は20万:1。

 EH-TW6000W/TW6000は、0.61型/1,920×1,080ドットの3D対応D9/HTPS液晶パネルを採用。輝度は2,200ルーメン、コントラスト比は4万:1。

 ランプはともに230WのE-TORLで輝度を向上。480Hzのパネル駆動技術「Bright 3D Drive」によりフレームシーケンシャル方式の3D表示に対応。パネルもD9テクノロジーにより、開口率を向上させており、Bright 3D Driveのハイブリッド駆動技術と組み合わせて、240Hz駆動の明るさを向上したという。3Dメガネも1台付属する。


通常のプロジェクタ(240Hz)の3D表示480Hz駆動のBright 3D Driveで明るい3Dを実現
TW6000W。スピーカーを内蔵する

 レンズは、TW8000W/8000が2.1倍ズーム(F2.0-3.7)、TW6000W/6000が1.6倍ズーム(F1.51-1.99)。投写画面サイズは30~300型に対応。

 TW8000W/8000はフジノンレンズを採用。上下96%、左右47%の広範囲レンズシフトを搭載し、幅広い設置シーンに対応可能。また、NewエプソンシネマフィルタやDeepBlack技術、超解像技術なども8000系のみで搭載。2D-3D変換技術も備えている。なお、超解像は2D表示時のみに適用される。

 TW6000系はレンズシフトやDeepBlackなどは省かれているが、背面端子を囲うように10W×2chのスピーカーを内蔵。単体で映像だけでなく音楽を1台で楽しめる点が特徴。縦30度、横30度の台形補正機能も備えている。


EH-TW6000Wの上部操作パネルも装備

■ Wireless HDを搭載し、プロジェクタ/プレーヤー間を無線伝送

Wireless HDでプロジェクタとプレーヤー間を無線化

 EH-TW8000W/6000Wのみの新機能が、Wireless HDを使った、プレーヤーとプロジェクタ間の非圧縮無線映像伝送だ。

 TW8000Wと6000Wには「ペットボトル大」のWireless HDトランスミッターが付属。これをBDプレーヤー/レコーダなどのHDMI出力に接続することで、プロジェクタ側に非圧縮で映像/音声を伝送できる。配線が不要になり、ケーブルを天井や床に這わせなくていいことを強く訴求し、店頭などでもWireless HDモデルを中心に展開する予定という。


Wireless HDトランスミッタHDMI入力を装備

 トランスミッタの入力はHDMIのみで、3D信号や1080/60p映像などもそのまま伝送可能となっている。プロジェクタ側にはWireless HDのレシーバを内蔵しているため、特に外付けのユニットなどを接続する必要はない。トランスミッタとプロジェクタ間の伝送距離は10m。


Wireless HD機器は最大4台まで登録できるTW8000Wのリモコン。Wireless HDボタンを装備する
TW8000Wの背面

 なお、汎用のWireless HD出力機器からの映像も受信可能で、最大4台までのWireless HD機器を登録できる。リモコンにもHDMI1/2の脇にWireless HDボタンを備えている。

 入力端子はHDMI×2、D-Sub 15ピン×1、コンポーネント×1、コンポジット×1、アナログ音声×1。TW8000W/8000にはトリガー端子を装備、TW6000W/6000はUSB×1を装備する。両モデルともEthernetを備えている。


型番EH-TW8000WEH-TW8000EH-TW6000WEH-TW6000
3D対応
パネルサイズ0.74型0.61型
解像度1,920×1,080ドット
レンズ2.1倍ズーム(F2.0-3.17)1.6倍ズーム(F1.51-1.99)
Wireless HD--
輝度2,400ルーメン2,200ルーメン
コントラスト比20万:14万:1
スピーカー-
動作音22dB(最少)24dB(最少)
消費電力364W372W
外形寸法446×395×140mm420×356×137.3mm
重量8.5kg8.3kg6.2kg6kg

■ 明るい3Dで、「もう一度シアタープロジェクタマーケットを拡大」

セイコーエプソン 業務執行役員 映像機器事業部長 久保田孝一氏

 セイコーエプソン 業務執行役員 映像機器事業部長の久保田孝一氏は、新製品の特徴を紹介するとともに、「プロジェクタならではの魅力」を強調した。

 プロジェクタの魅力として、「映画館のような雰囲気で、没入して楽しめる」とし、「100インチの大画面は50/60インチの4倍以上となり、それが3Dであれば実物大で迫る迫力、没入感を提供できる」とテレビとの違いをアピール。想定しているユーザー層としているのは、サウンドシステムを所有しているこだわり派に「EH-TW8000シリーズ」を、“とにかくテレビ以上の大画面を求める”という人に「EH-TW6000シリーズ」を訴求する。

 TW8000/6000シリーズの3Dの最大の特徴は「明るさ」とし、480Hz駆動パネルと新駆動技術により、明るくクロストークの少ない映像を実現できる独自の「Bright 3D Drive」を紹介。「3Dプロジェクタ開発にあたり、明るさとクロストークの少なさを最優先に開発した」とする。

 さらに、設置性を向上するための施策としては、Wireless HD搭載モデルのTW8000W/TW600Wを紹介し、「煩わしいケーブルの取り回しから解放する」と説明。子供がケーブルに足を引っ掛けるといったトラブルも少なくなるなど、ワイヤレス化による魅力を訴えた。

 iPod/iPhone対応の「MG-850HD」も含め、新モデルでは「市場を拡大するためには、使いやすさこそが重要。そこにこだわった」とし、「誰でも使える大画面」として新dreamioのラインナップを解説。ホームシアタープロジェクタ市場拡大を図るとした。

プロジェクタの「ちょっと特別」をアピール明るい3DがこだわりWireless HDによる設置性の高さが特徴
エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏

 エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏は、テレビのフルHD/大画面化や低価格化に加え、エコポイントや地デジ特需など、“テレビとの競合”により、ホームプロジェクタ市場が近年縮小傾向にあることを紹介。「コアなファンはいるものの国内の市場規模は約17,000台まで落ちている」とした。

 しかし、「圧倒的な大画面、明るい3D映像など、テレビではできないプロジェクタならではの魅力」があるとし、「もう一度プロジェクタのお客様を分析し、セグメントごとに、きちんとした製品、販売戦略を展開して、再度マーケットを伸ばしたい」と説明。新dreamioの販売戦略を、「本格シアター」、「リビングでシアター」、「どこでもシアター」の3つのセグメントに分けて解説した。


ホームシアタープロジェクタ市場の推移。近年縮小傾向にユーザーターゲット

 本格シアターはAV専門店などのチャンネルで、「EH-R4000」や「EH-TW8000」などの高画質モデルを訴求。EH-TW8000/6000シリーズはリビング向けとして、量販店などを中心に展開する。「MG-850HD」は量販店に加え、ネット通販などでの展開も強化する。

 また、広告展開だけでなく、3Dを中心にした体験イベントを展開。トレーラーに3Dプロジェクタとシアターシステムを搭載し、全国を回るキャラバンを実施。10月22日の札幌を皮切りに、全国11都市/会場をキャラバンする。さらに、同社ショールームでの常設展示なども実施し、「1万人体験イベント」として、大画面の3Dに触れる機会を設け、魅力をアピールしていく。

 今回発表の5モデルの年間販売目標は、TW6000シリーズが3,000台、TW8000シリーズが1,200台、MG-850HDは1,800台。その中でもWireless HDモデルのTW6000Wの構成比が一番高くなる見込みという。今回発表の5モデルと、DVD搭載の「EM-DM3S」、高画質モデル「EH-R4000/R1000」をあわせて2011年度の販売目標は12,000台で、市場シェア60%獲得を目指す。中野販売推進本部長は、「新しいdreamioで、もう一度シアタープロジェクタマーケットを拡大したい」と意気込みを語った。

トレーラの体験イベントで1万人の動員を目指す東京、大阪のショールームでも体験可能販売目標は6,000台

(2011年 9月 28日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]