ズーム、ニコ生/Ust動画配信も可能なPCMレコーダ「Q2HD」

-24bit/96kHz、フルHD対応。MSマイクで広がりを調整


Q2HD

 ズームは、24bit/96kHzのリニアPCM(WAV)録音やフルHD動画撮影が可能で、Webカメラとしても使えるレコーダ「Q2HD Handy Video Recorder」を6月中旬に発売する。価格は19,950円。

 左右と中央の3方向からの音を収録できるMid-Side(MS)マイクを搭載し、フルHD動画も撮影可能なレコーダ。音声は最高24bit/96kHzのWAVで記録でき、動画記録は最大1,920×1,080ドット/30fpsのMPEG-4 AVC/H.264(MOV)。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードに対応する。

 従来モデルQ3HD(29,400円)との大きな違いは、パソコンとのUSB接続によりWebカメラとしての動作に対応したこと。高画質でUstreamやニコニコ動画などのライブ配信、YouTubeへの投稿、Skypeのビデオ/音声通話などに利用できる。なお、ストリーミング時の解像度は最大720pとなる。USBオーディオ機能も備え、パソコンやiPad(別途アダプタ使用)などに入力するUSBマイクとしても利用可能。

 また、Q3HDのマイクは左右120度の指向性マイクを搭載したXY方式だったが、Q2HDでは新たにMS方式のマイクを採用したことで、音の広がりをMono~30/60/90/120/150度の中から選択可能。Mid専用マイクにより、中抜けの無い、はっきりした音像で記録できるという。ワンポイントマイクとして、独ノイマンの「SM69」をリファレンスとしている。

マイク部は球体のユニークな形状MSマイクの採用で、音の広がりを調整できるカメラのレンズ部

 動画の記録モードは、1,920×1,080ドットの「HD1080p」(30fps)のほか、「HD720p」(60/30fps)、「WVGA」(60/30fps)を用意。録音モードはPCMが16/24bit、44.1/48/96kHzから、AACは48~320kbpsから選択できる。

 カメラのCMOSセンサーはQ3HDと同じく1/3.2型500万画素だが、従来よりも高画質なものを採用したという。レンズもQ3HDに比べ改善されており、高画質化に寄与しているという。固定焦点(F3.2)で、4倍デジタルズームも搭載する。

 HDMIミニ出力も搭載し、テレビなどに高画質で出力可能。なお、USBカメラとして利用している時はHDMI出力は行なえない。

画質モード選択
音質モードの選択


Concert Lightingモードにより、スポットライトなどでの白トビを防ぐ

 動画撮影時の機能として、撮影場所の明るさに応じて適切な撮影を可能にするAutoや、暗いクラブやバーなどの撮影に最適というNightが利用可能。さらに、スポットライトの強いライブ撮影などで、ライティングなどによる白トビを防ぐConcert Lightingというモードも搭載。従来モデルにも同様の機能があったが、このモデルでは強化されているという。

 録音時のゲイン調整は、従来はLow/High/Autoの3種類だったが、マニュアルゲイン調整のダイヤルを側面に備え、より細かな調整が可能になった。オートゲインもConcert/Solo/Meetinの3種類用意する。

 付属のSDカード内に収録しているパソコン用ソフト「HandyShare」により、動画ファイルの管理や編集、YouTubeアップロードなどが可能。また、音声エフェクトとしてノーマライズやリバーブ、音圧を稼いで演奏に迫力をプラスするマスタリング処理などが行なえる。Q2HD本体でファイル分割やトリムも可能。

WebカメラとしてUstreamなどに利用可能音声のみの記録モードも利用できるXYマイクとMSマイクを内蔵した録音専用モデル「H2n」(右)と比較
側面のUSB/HDMI端子やヘッドフォン/ライン兼用出力などSDカードスロットと、ゲイン調整ダイヤル底面

 HDMIとUSB端子のほか、ステレオミニのヘッドフォン/ライン出力兼用端子を装備。内蔵スピーカーは400mWモノラル。底面に三脚穴を備える。電源は単3電池2本または別売ACアダプタで、電池利用時の連続記録時間は動画が2時間、音楽が4時間。外形寸法は126.9×51×35mm(縦×横×厚さ)、電池を除く重量は85.4g。2GBのSDカードなどが付属する。

 別売でアクセサリーパッケージ「APQ-2HD」も6月に発売。ウィンドスクリーンやミニ三脚、専用ソフトケース、ACアダプタ、HDMIケーブル、USBケーブルを同梱しており、価格は3,150円。

メニュー画面電源は単3電池2本別売のアクセサリーパッケージ


■ 高画質撮影とライブ配信対応で演奏の上達に

飯島雅宏CEO

 ズームの飯島雅宏CEOは、「(動画対応モデルとして)最初のQ3と、Q3HDでプロから絶大な支持を得てきたが、Q2HDは、価格を抑えることでアマチュアの人たちにも使用してもらいたいというコンセプトで開発した」と説明。「演奏の上達には、自分の演奏を客観的に見ることが欠かせない。それも、ただのカメラではなく、高画質なカメラで撮ることができる」と特徴をアピールした。

 新たにUSB接続のWebカメラとしても使えるようになったことについては「録画した後で配信するのと、Webカメラでライブ配信するのとでは、演奏への力の入り方、気合の入り方が随分違うと思う。こうした点を店頭などで訴求して販促につなげたい」とした。

 なお、同社はギターエフェクト/アンプシミュレータの「G3」にエクスプレッションペダルを追加した新モデル「G3X」を6月末に発売することも発表。価格は25,200円。

 エクスプレッションペダルによりワウ/ワーミー/ボリュームなどを足元で操作できるほか、新たに6種類のエフェクト同時利用に対応(G3は3エフェクト)した。さらに、アンプモデリングも新たに9種類を追加。オートセーブ機能のON/OFF切替も可能になった。

 合わせて、既発売のG3向けに、ペダル以外の機能をG3Xと同等に強化するファームアップデートを6月末に実施することも明らかにした。

ペダルが付いたギターエフェクト/アンプシミュレータの「G3X」
G3のファームアップデートも実施

 

「Soluz」のYuiさんと池川史洋さん

 会場には、ゲストミュージシャンとして、「Vanilla Mood」のYuiさんと、「池川兄弟」の池川史洋さんによるフラメンコギターとバイオリンのユニット「Soluz」が登場。発表会場と別のフロアで2人が演奏する様子をQ2HDで撮影し、Ustream中継で会場のテレビに表示するというデモを行なった。その後、ギターの池川さんがその場に残ったまま、バイオリンのYuiさんが発表会場に現れると、Ustream映像を使った2人の遠隔セッションが実現した。

 既発売モデルのQ3HDを愛用しているというYuiさんは、「音質が良くて、動画もきれいに撮れる。両方できるものは他にないですね」と高く評価。新モデルのQ2HDのストリーミング機能でセッションできたことについては「リアルタイムで演奏できるのはすごい」と驚いた様子だった。

 また、動画撮影用の「Concert Lighting」機能について、iPhone 4Sで撮影した動画とQ2HDの動画を比較して、白トビが軽減されていることをデモ。これを見たYuiさんは「ライブハウスなどで照明を浴びると、メイクしている顔が真っ白になってしまうことがあるので、これを試してみたい」と笑顔で語った。

別室で撮影してUstream配信Ustream映像と会場での遠隔セッション池川さんがエレキギターに持ち替えて、「G3X」を使うデモも


(2012年 6月 6日)

[AV Watch編集部 中林暁]