TVやスマートフォンで採用進む「MHL」が3Dなどに対応

-MHL 2.0に。AVアンプなど採用機器も増加


 MHL LLCとシリコンイメージジャパンは11日、スマートフォンなどで採用が進むデジタルビデオインターフェイス規格「MHL(Mobile High-Definition Link)」に関する報道向け説明会を開催。MHLの最新バージョンであるMHL 2.0や、スマートフォンやテレビでの採用事例について紹介した。

 MHLの特徴は、以下のとおり。


  • 1080/60pビデオ伝送
  • 8chのデジタルオーディオ
  • HDCP著作権保護
  • テレビ(据え置き機器)からモバイル機器への電源供給
  • テレビリモコンによる制御(RCP)
  • 柔軟な5芯ケーブル対応
  • コネクタの柔軟性

 据え置き機器から電源を供給できるため、スマートフォンでビデオ出力しながら、同時にスマホ充電も可能。また、HDMIの19ピンに対し、MHLでは5ピンだけで信号伝送できるため、コネクタの小型化やケーブル細くすることができるなど、モバイル機器での利用に適している。また、HDMI CECに相当するRemote Control Protocol(RCP)もサポートしており、テレビのリモコンからMHL機器をコントロールできる。

 すでにSamsung GALAXYシリーズやシャープのAQOUS PHONE、ソニーモバイルXperiaシリーズ、HTCなどのスマートフォンで採用が進んでいる。さらに、4月にはバージョン2.0が策定され、従来500mA/5Vだったディスプレイからの電源供給が900mA/5Vまで強化されたほか、3D対応、RCPでのUnicode文字セットのサポートなどが図られた。3Dは1080/30pまでのフレームパッキングや、サイドバイサイド、トップアンドボトム方式に対応。3D方式のフラグも用意されており、3D方式を自動検出し、ディスプレイ側で最適な3D方式を自動選択可能としている。

MHLの特徴。接続機器からのスマホ充電も可能MLH 2.0で3Dなどに対応

 なお、従来のMHL機器の映像出力は1080/30pまでとなっていたが、これはSilicon Imageのチップセットの仕様によるもの。5月より出荷している最新チップセットでは1080/60pまで対応している。

 会場では、MHL搭載機器として、テレビやAVアンプ、スマートフォンの連携デモを実施。オンキヨーやパイオニアのAVアンプでは、スマートフォンとAVアンプをMHLで接続し、テレビにHDMIで出力。テレビのリモコンでMHL接続されたスマートフォンをRCPを使って操作していた。

 また、シャープはAQUOS PhoneとAQUOS K7シリーズのMHL連携を実施。AQUOS K7シリーズのHDMI端子の1系統が、MHL兼用(19ピン)となっており、スマートフォンと直接MHLで接続できる。そのほか、サムスンのMHL対応液晶ディスプレイや、アストロデザインの開発用MHLプロトコルアナライザなども展示された。

東芝の欧州仕様の55型テレビとAQUOS PHONEをMHLで接続シャープのAQUOS K7シリーズも実はMHLに対応
パイオニアAVアンプ「SC-LX56」とスマートフォンをMHL接続し、テレビにHDMIで出力オンキヨーのAVアンプもMHL対応サムスンの液晶ディスプレイ
アストロデザインのMHLプロトコルアナライザ「VA-1836」Tektronixのオシロスコープなど

■ 2012年には対応機器1億台以上に

MHL LLC プレジデントのTim Wong氏

 MHL LLC プレジデントのTim Wong氏は、MHL搭載スマートフォンとMHL-HDMI変換アダプタ、Bluetoothコントローラを使ってMHLの最新動向について説明。2011年にMHL対応機器の出荷台数が5,000万台、2012年には1億台以上と予想しており、スマートフォンだけでなく、テレビやAVアンプ、車載機器などでの拡大を見込む。

 最新のスマートフォンでは1080p動画やHD解像度のゲームなども増えていることから、ゲームプレイやリッチなメディア体験が可能と訴え、MHL 2.0の特徴などを説明した。

 東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 商品統括部 プロダクト&ソーシャル・インターフェース部 PSIF第二担当参事 阿部裕俊氏は、東芝のMHLへの取り組みを説明。'11年7月の業界初のMHL搭載テレビを投入後、欧州でも'11年秋から製品ラインナップを拡大し、'11年11月からはASEAN諸国やインド、中近東でも対応テレビを投入した。

 一方で、東芝は米国ではMHL搭載テレビを発売していない。ASEANやインドなどが先行している理由については、現地のニーズの高さをあげる。というのも、ASEANやインド、中近東では固定回線インフラの普及率が高くないが、モバイル系のインフラが発達している。そのため、スマートフォンのネットワーク機能を使って、ネット動画やコミュニケーションに対応した「ネットTV」として東芝のテレビを訴求できる。こうした現地のニーズに応じて、先行してMHL対応テレビを投入したといいう。


東芝 阿部裕俊氏ASEAN地域などでMHLに注目

(2012年 6月 13日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]