ニュース

ソニー、NABで4Kライブ制作やIP配信機器発表

タッチパネルで制御する小型スイッチャーも

 ソニーは8日、米ラスベガスで開催される国際放送機器展「NAB 2013」に合わせて、CineAltaカメラ「PMW-F55」を使った4Kライブ制作や、番組中継システムなど、4K対応の業務用映像制作機器を多数発表した。

 なお、4K有機ELモニタの開発発表と、4K用に新たに作られたフォーマット「XAVC」の拡張、コンシューマ向けフォーマット「XAVC S」については、別記事で紹介している。

4K関連

CineAltaカメラ「PMW-F55」

 2月から発売している、新開発4Kスーパー35mm CMOSセンサを搭載したCineAltaカメラ「PMW-F55」を使い、4Kライブ制作や、大判センサーの表現力を活かした番組中継を可能にするシステムを開発。

 PMW-F55のカメラ部に、カメラシステムアダプタ「CA-4000」と、カメラコントロールユニット「HDCU-2000」、4K映像をリアルタイムでの細かく映像調整できるベースバンドプロセッサ「BPU-4000」を組み合わせる。リモコンや、インターカムやリターン映像などのシステムインターフェースにHDCU-2000をそのまま活用でき、既存のHDC-2000との混在運用や、HDシステムからから、4K・大判制作への拡張にも対応できるという。

 Eマウントを採用し、総画素数1,160万画素の“Exmor” Super35 CMOSセンサーを搭載した「NEX-FS700J」において、4KのRAW記録に対応するためのインターフェイスユニット「HXR-IFR5」も6月28日に210,000円で発売。

 昨年の「Inter BEE 2012」で開発表明が行なわれていたもので、「HXR-IFR5」とRAWレコーダー「AXS-R5」を接続する事で、NEX-FS700Jの外部収録レコーダーとして動作。カメラ側をバージョンアップする事で、4K/2K RAWデータを3G HD-SDI端子から出力可能になり、HXR-IFR5+AXS-R5で、AXSカードにRAW記録が可能。4K(4,096×2,160)記録時のフレームレートは24p、30p、60pで、約4秒の120fps収録にも対応。2K(2,048×1,080)記録時は、さらに240/120fpsの連続収録にも対応する。

左から「NEX-FS700J」、インターフェースユニット「HXR-IFR5」、HXR-IFR5とRAWレコーダー、バッテリを組み合わせたところ

 また、CineAltaカメラの最上位となる、8K CMOS搭載の「F65」は、バージョン3.0への有償アップグレードキットを適用する事で、0.7型有機ELビューファインダー「DVF-EL100」への対応や、SDI出力2系統の独立運用に対応する。

IT関係

 複数のHD映像や音声信号、各種制御信号を一本のネットワークケーブルで双方向ライブ伝送を行なう「NXL-IP55」が発売されているが、その使い勝手を高め、複数の「NXL-IP55」を集中管理するソフトウェア「IP Live Manager」を発売する。

 同一LAN上にある複数の「NXL-IP55」とペアリングしておく事で、伝送区間によってワンクリックでペアリングを切り替えられるほか、映像や音声信号を多地点(8箇所まで)でモニタリング出来る。

 また、現在の映画などの制作では、世界中の編集プロダクションや制作会社、クリエーターが参画している事から、クラウドを用いたプラットフォーム、メディアクラウド・サービスも開発。欧米から導入し、段階的にその他地域でも展開するという。ワークフローを可視化でき、制作プロセスのスムーズな進行をサポートできるという。

 アーカイブシステムでは、コンパクトなカートリッジに12枚の光ディスクを内蔵し、一つの大容量ストレージとしてファイルベースでデータを扱える、「オプティカルディスク・アーカイブシステム」の構築に向け、仏Dalet Digital Media Systemsとの提携に合意。

 ソニーは、DaletのMAMソフトウェア「Dalet Media Life」と、自社のオプティカルディスク・アーカイブ商品群を統合してソリューションとして提供すると共に、今後、ニュースやスポーツ番組制作、メディア変換、ディザスタリカバリ(災害によるデータ損失の予防措置とデータ回復措置)などの領域へ、幅広いアーカイブソリューションを共同開発するという。

HD制作向け機器

XDCAMカムコーダ「PMW-400K」

 HD制作向けにも、新製品を発表。2/3型Exmor 3CMOSセンサを搭載したXDCAMカムコーダとして、レンズ付属の「PMW-400K」(2,310,000円)と、レンズ無しの「PMW-400L」(2,079,000円)を8月に発売する。50Mbps、フルHD/4:2:2サンプリングに対応したMPEG HD422コーデックで、SxSメモリーカードへ高画質撮影できるのが特徴。MXFファイル形式の記録だけでなく、XDCAM EXで採用されているMP4ファイル形式にも対応。XAVCフォーマットへの対応も、2014年度に有償で予定されている。

XDCAM HD422レコーダー「PMW-1000」

 また、XDCAM HD422シリーズの新製品として、SxSメモリーカードに、XDCAM HD422(50Mbps)や、XAVC HDフォーマットで記録できるXDCAM HD422レコーダー「PMW-1000」も6月末に1,260,000円で発売。

 ほかにも、海外で関心が高まっている、スポーツ中継での1080:60p/50p制作を実現するため、小型マルチパーパスカメラ「HDC-P1」用のソフトウエアオプションを2013年6月に、HDスーパーモーションカメラ「HDC-3300」シリーズ向けのアップグレードキットを2013年9月に発売予定。

 ライブ制作向けには、持ち運びできるコンパクトさと、複雑な機器の接続がいらないオールインワンシステム、タッチパネルでの簡単な操作性などを特徴とした「Anycast Touch(エニーキャストタッチ) AWS-750」(2,100,000円)を9月に発売。

 企業や文教などのAVプレゼンテーションや各種ライブイベント制作向けの機材で、上下に2つのタッチパネルモニタを搭載。画面にタッチする直感的な操作を可能にしているほか、シーンとして合成する映像、エフェクト、タイトル、BRCシリーズカメラ(ソニー製旋回型カメラ)のアングルなどを事前に登録でき、イベントの進行に合わせてシーンを選択するだけで、ワンタッチでオンエアできる。通常のスイッチャーなどで必要なクロスポイント選択やエフェクト設定などが不要で、スイッチャーの操作に不慣れでも、簡単に操作できるという。

 ライブイベント制作に必要な様々な機能をオールインワンで搭載しながら、アタッシュケースほどのサイズで、重さも約6.5kgに抑えられている。

Anycast Touch AWS-750
モニタがスライドするように立ち上がる

(山崎健太郎)