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ソニー、84万円のネイティブ4Kプロジェクタ「VW500ES」

4K/60pやMastered in 4K対応。キャリブレーションも

VPL-VW500ES

 ソニーは、ネイティブ4K解像度の4K SXRDプロジェクタ「VPL-VW500ES」を11月15日より発売する。価格は84万円。

 0.74型/4,096×2,160ドットの4K SXRDパネルを搭載したプロジェクタ。2011年発売の民生用フラッグシップモデル「VPL-VW1000ES」と同等のSXRDパネルを搭載しながら、VW1000ES比で約33%の小型化(容積比)と低価格化を実現。また、データベース型超解像処理LSI「リアリティクリエーション」によるフルHDコンテンツの高精度な4K化や、ソニーピクチャーによる4Kマスタリング(記録解像度はフルHD)のBDソフトを忠実に4K復元する「Mastered in 4K」、HDMIの4K/60p入力などに対応した。

 なお、VPL-VW1000ESは、HDMIの4K/60p入力とMastered in 4K対応を図った新モデルVPL-VW1100ESにリニューアルする。詳細は別記事で案内する。

前面。前面吸気にエアフローを改善
レンズを強調したデザインはVPL-VW1000ES譲り

4KネイティブのSXRD搭載。4K/60pやMastered in 4K対応

4K SXRDパネル

 4K SXRDパネルはVPL-VW1000ES/VW1100ESと同じデバイスで、0.74型/4,096×2,160ドット。映画を想定し、DCI(デジタルシネマ・イニシアティブ)規格に準拠しているため、アスペクト比は1.90:1。4K液晶テレビなどの16:9/3,840×2,160ドットより幅広のアスペクトとなる。画素間スペースは0.2μm。開口率は90%。階調特性は12bit、フレームレートは120Hz。

 シリコン駆動基板(画素駆動回路/画素電極形成プロセス)を平坦化することで、液晶層の厚みを均一化。表示輝度にムラが少なく高コントラストな画質を実現する。また、プロ用カメラのイメージャー固着技術を「4K SXRD」の固着に採用することで、パネル精度を向上。高度な光学部品設計や位置補正機能を搭載することで、高精度なパネルアラインメントが可能になるという。

データベース型超解像処理LSI「リアリティクリエーション」

 ダイナミックコントラストは20万:1、輝度は1,700ANSIルーメンで、60~300型の投写に対応。ランプは265Wの高圧水銀。3Dにも対応し、3D方式は従来の赤外線からBluetooth(RF方式)となった。3Dメガネの「TDG-BT500A」は別売。

 広い色再現領域を持つ「トリルミナスディスプレイ」に対応。データベース型超解像処理LSI「リアリティクリエーション」を搭載し、フルHD解像度の映像を、高精細でリアルな4K映像に変換し、投写。液晶テレビで搭載している「X-Reality Pro」と基本的な技術は共通だが、アルゴリズムなどはプロジェクタ向けに最適化している。

リアリティクリエーションの動作イメージ
Mastered in 4Kタイトルの時には、専用の超解像効果を選択

 また、ソニー・ピクチャーズの4KマスタリングBDビデオソフト「Mastered in 4K」に対応。Mastered in 4Kは、特典映像を省いてビットレートを映像に割り当てているほか、x.v.colorの広色域で収録。また、オーサリング時のダウンコンバートと同一のフィルタをVW500ESに内蔵し、アップスケーリングを行なうため、オリジナルの4Kマスターに忠実な4K復元ができるというもの。Mastered in 4K対応タイトルでは、「リアリティクリエーション」メニューの「データベース」から「Mastered in 4K」と「ノーマル」が選択できる。

Mastered in 4Kの概要

 入力端子はHDMI×2のみで、コンポーネントやPC入力などは備えてない。HDMIは、4K/24p、30pのほか、4K/60p信号(4:2:0)の入力に対応し、既存のハイスピードケーブルで伝送可能。なお、HDCP 2.2への対応については「非公開」としている。

側面にHDMI×2を装備。4K/60p入力に対応
メニュー画面「画質設定」

レンズシフト/小型化など設置性向上。オートキャリブレーションも

交換ランプは「LMP-H260」

 レンズは光学2.06倍の電動ズーム/フォーカスレンズ。レンズシフトも可能で、上下方向85%、左右方向31%の投写画面移動に対応する。VW1000ESでは上80%だったため、上方向に5%レンズシフト幅が拡大している。これは、高い位置での天吊り利用者が多いため、その対応強化を図ったもの。また、レンズシフト位置はリモコンから調整できる。

 設置性を高めたことも特徴で、吸排気設計の改善で壁寄せ設置に対応。前面吸排気で背面吸気のエアフロー設計としたことで、壁に寄せたままの設置が可能になった。さらに、ランプ交換口を天面に設けることで、天吊りしたままのランプ交換が行なえる。交換ランプは「LMP-H260」(49,875円)。

 外形寸法は約495.6×463.6×195.3mm(幅×奥行き×高さ)で、VPL-VW1000ES(520×640×200mm/同)よりも容積比で約33%小型化。特に奥行方向を大幅に短縮(176mm)することで、設置性を向上させた。本体の奥行きは「ほとんどレンズなどの光学系」とのことで、新開発の光学システムの採用により小型化した。重量は14kg。

奥行きを短縮。天面からランプ交換可能に
VW1000ESとの比較
背面
オートキャリブレーションを搭載

 新たに「オートキャリブレーション」機能を搭載。VPL-VW500ESの本体前面にカラーセンサーを内蔵し、ホワイトバランスと色域を自動で最適な状態に補正するもの。オンスクリーンディスプレイ(OSD)上の「オートキャリブレーション」-[調整]から機能を呼び出すだけで、使用時間の経過による色バランスのずれを自動補正できるとする。

 調整時間は3分程度。ソニーではオートキャリブレーションの利用目安を約1,000時間毎、と説明している。なお、VPL-VW500ESのオートキャリブレーション機能は、500ESから出て行く投写光(出力光)を調整するもので、スクリーンの反射光の調整を行なうものではない。

オートキャリブレーションを呼び出し
2-3分で測定
測定結果。測定前/後の比較も可能
ピクチャープリセット

 3DもBluetooth方式としたことで、接続の安定性や信号受信範囲の拡大を実現。また、3Dメガネも「フルHDグラス・イニシアチブ」準拠のものであれば、他社製メガネを含めて利用できる。

 ガンマモードは、11種類(10種類+OFF)から選択可能。HDMI以外に、2系統のトリガー端子やEthernet、RS-232C、IR IN、USB端子などを装備する。消費電力は最大375W(リモートスタート切:0.5W、リモートスタート入:7W)。動作音は約26dB。リモコンが付属する。

リモコン
ガンマ調整やコントラストエンハンサーなどをワンボタンで選択できる

(臼田勤哉)