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【ポタ研】AK240からハイレゾ直接購入へe-onkyo、OTOTOYと協議

ピュアオーディオに組み入れられるポータブルを

AK240

 アユートは8日、iriver Astell&Kernブランドのハイレゾオーディオプレーヤー「AK240」の発表会を、同日開催されたイベント「ポタ研 2014冬」の中で実施。無線LANを搭載し、ハイレゾ音楽のストリーミング再生に対応しているが、その機能を活用し、今後プレーヤーから直接ハイレゾ音楽を購入できるサービスを予定。実現に向けて、e-onkyo music、OTOTOYと協議している事を明らかにした。

 既報の通り、「AK240 256GB ガンメタル」(AK240-256GB-GM)は、2月21日に発売を予定しているAKシリーズのハイエンドモデル。直販サイトでの価格は285,000円。

AK240

 3.31型の有機ELディスプレイと、256GB内蔵メモリ+別売128GB microSDXCカードで計384GBの大容量メモリに対応。シーラス・ロジックのハイエンドDAC「CS4398」をL/R独立で搭載し、外部アンプを加えずにバランス駆動も可能。DSDの5.6MHzや、32bit/192kHのPCM再生(24bitダウンコンバート再生)に対応し、USB DACとしても動作。無線LANでPCと接続し、PCに保存したハイレゾファイルをストリーミング再生する事もできる。製品の詳細は7日の記事を参照してほしい。

プレーヤーからハイレゾを直接購入可能に

アユート 営業部 マーケティンググループの藤川真人氏

 アユート 営業部 マーケティンググループの藤川真人氏は、開発経緯を紹介。「AK120はデュアルDACを選択したが、AK240の開発中、究極の音質とは何かを追求する中で、原音の忠実な再生には、デュアルDACだけではない、何か異なるものが必要だとiriverは考えた。そこで、デュアルDACと、バランス出力、ネイティブDSD再生の3つに対応する事を決定した」という。

 しかし、これらの要素を満たすDACの選択は困難で、ようやくシーラス・ロジックのハイエンドDAC「CS4398」に辿り着いたという。だが、ポータブルで“DSDネイティブ再生”は処理の負荷が重く、簡単にはいかず、「メインCPUでは無理なので、サブチップでDSDを専用に処理する事になった。しかし、メインCPUがDSDである事を認識し、サブチップに処理を渡す連携も難しく、開発に時間が必要だった」とのこと。

負荷の重いDSD用に、専用のサブチップを搭載
シーラス・ロジックのハイエンドDAC「CS4398」をデュアルで搭載

 また、前述のように無線LANを搭載し、専用ソフトをインストールしたPCのドライブにAK240からアクセス、保存されたハイレゾを含む音楽ファイルにアクセスし、ストリーミング再生する機能も搭載。ストリーミングだけでなく、楽曲をAK240にダウンロードする事も可能。

 この機能を応用し、韓国向けにはiriver自身が運営しているハイレゾ音楽配信サービスとの連携機能を提供。プレーヤーからハイレゾ配信サービスサイトにアクセスし、楽曲の購入、ダウンロードができるという。しかし、日本からはこのサービスは利用できない。

 しかし、今後、日本でも同様のサービスを実施する予定で、まだ確定はしていないが、e-onkyo music、OTOTOYと協議を進めているという。

専用ソフトをインストールしたPC内の音楽ファイルを、AK240から直接再生したり、ダウンロードできる
影が落ちた様子を形状にした独特のデザインも特徴。ラフ画も公開された

ポータブルでありながら“据え置き”のクオリティを

オーディオライターの佐々木喜洋氏

 発表会でのデモを担当したオーディオライターの佐々木喜洋氏は、AK240の音質について、「AK100とAK120にも大きな音質の差があった。デュアルDACになった事で、低音がよく出るなどの、部分的な差であり、あくまでAK120はAK100の延長上にあった。しかし、AK240は違う。AK240をAK120を比べた時、豊かな濃密な音再現が可能になっており、ポータブルヘッドフォンアンプを加えずに完結しているレベル」と評価。

 単体でバランス駆動が可能になった点は、「おまけ機能ではなく、積極的に活用できるものだと感じる。空間表現がバランス駆動で変わるのは当たり前だが、駆動力が高まる事で、組み合わせるヘッドフォン・イヤフォンの力を引き出し、別の機種になったように聴こえる」と感想を語った。

 さらに佐々木氏は、PCとUSB接続し、音楽ファイルを転送する際に、従来のマスストレージクラスではなく、MTP方式の転送に変わった事に注目。「万が一、転送が途切れてしまった時も、PCとプレーヤーがFTPサーバーのように通信しているイメージなので、双方にダメージが出にくい安全な方式」と利点を説明した。

据え置き機として、ピュアオーディオシステムにAK240を組み込んでデモ

 直販285,000円という価格が示すように、単純なポータブルプレーヤーだけでなく、据え置き機として利用する事もコンセプトとして掲げており、会場ではそれを意識したデモを実施。

 AK240の筐体と同じジェラルミンを使った、マイクロミニ4極-XLRのバランス接続ケーブルと、AK240を保持するスタンドを用意(どちらも試作品で製品化は未定)。AKブランドの真空管プリメインアンプ、2ウェイのブックシェルフスピーカーと接続。Mac+USB DACとの比較試聴も実施し、AK240が据置型のピュアオーディオ機器の中に、単品コンポとして取り入れても、十分通用する音のクオリティである事をアピールした。

アンプの隣に設置されたAK240。試作の専用スタンド、バランス接続ケーブルを装着した状態
横から見たところ
ジェラルミンを使ったバランス接続ケーブル。バランス接続用のマイクロミニ4極だけでなく、ステレオミニの端子も見えるが、これはグランドをとるためのもの

 デモ音楽は、e-onkyo musicとOTOTOYから、オススメの楽曲として溝口肇氏の「Cello Bouquet」や、Suaraさんの「POWDER SNOW」DSDライブ録音などを再生。オンキヨーエンターテイメントテクノロジー ネットワークサービス部 音楽コンテンツ企画課の黒澤拓ディレクターと、OTOTOYの高橋健太郎プロデューサーも参加。DSDネイティブ再生が手軽にできるAK240について、「ライブレコーディングの現場でも、簡単に正確なモニタリングができる」と、録音現場からも歓迎するスペックであるとした。

 なお、デモで使われた真空管アンプは、300Bの真空管をプッシュプルで使った20W×2chのもの。ブックシェルフスピーカーはダイヤモンドツイータなどを用いたもので、こちらもAKブランドのモデル。ただし、あくまで試作されたもので、製品化するかどうかも含めて未定だという。

左からOTOTOYの高橋健太郎プロデューサー、オンキヨーエンターテイメントテクノロジー ネットワークサービス部 音楽コンテンツ企画課の黒澤拓ディレクター
300Bの真空管をプッシュプルで使ったプリメイン
AKブランドのブックシェルフスピーカー

 また、会場には2月21日に発売予定の、Astell&Kernブランドとファイナルオーディオデザインがコラボレーションしたカナル型イヤフォン「AKR02」も展示。ハイレゾプレーヤー「AK120」をリファレンスとしてチューニングしたモデルで、直販価格は145,000円。ファイナルのバランスドアーマチュア型フラッグシップ「FI-BA-SS」をベースにしている。

 さらに、AK240での利用を想定したバランス駆動用ケーブルの各社試作品なども展示された。

Astell&Kernとファイナルオーディオデザインがコラボしたイヤフォン「AKR02」
AK240用ケーブルの試作機も展示された

(山崎健太郎)