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nasneが25日のアップデートで「リモート視聴」対応。ひと足先に体験した
(2014/9/24 20:49)
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は、9月25日よりネットワークレコーダ「nasne」のアップデートにより、外出先のスマートフォンやタブレット、PS Vitaからnasneで受信中の番組をライブ視聴する「リモート視聴」に対応する。その内容を一足先に体験したのでお伝えしたい。
既報の通り、リモート視聴には9月25日提供予定のnasneシステムソフトウェアVer.2.50で対応。 同日にPlayStation Vita用アプリ「torne PS Vita」の最新版Ver.2.00と、Androidスマホアプリ「nasne ACCESS」Ver.1.50も提供開始され、PS Vitaまたはスマホとnasneの組み合わせでリモート視聴が可能になる。なお、nasne ACCESSでのリモート視聴にはGoogle Playで有料プラグイン(500円)の購入が必要。購入前に、正しく視聴できるかどうかを20秒程度確認できるという。
さらに、同日にはソニーのAndroid/iOSアプリ「TV SideView」もアップアップデートを行ない、このアプリからもnasneでリモート視聴が可能になる。それぞれのアップデート時間ははっきりとは発表されていないが、25日中には連携可能になる見込み。なお、nasneファームウェアのVer.2.50には、DLNAでのFLAC配信対応なども含まれており、詳細は9月1日の記事でお伝えした通りだ。
また、アップデート内容について、西田宗千佳氏による開発陣へのインタビューを行なっており、開発背景やこだわったポイントなどの詳細を掲載している。
今回は、アップデートを前日に控え、西田氏のインタビューでもご協力いただいた研究開発本部2部 担当部長 同3課課長の石塚健作氏、研究開発本部2部 4課の大橋良徳氏、戦略・商品企画部 担当部長 同1課課長の渋谷清人氏が改めてリモート視聴の特徴などを説明。その機能を体験できた。
【nasneシステムソフトウェア Ver.2.50アップデート内容】
- 「Anytime TV(外出先からのテレビ番組リモート視聴)機能の追加
- DLNAアップロード機能の追加
- 録画・再生状況の表示など「nasne HOME」の機能追加
- FLACファイル配信機能に対応
- その他、システムソフトウェアの安定性向上と機能改善
鹿児島の番組も東京でリアルタイム視聴。Vitaではニコニコ実況も
リモート視聴は、自宅のテレビ/レコーダなどの受信番組や録画された放送番組を、外出先のモバイル端末から専用アプリを使って視聴可能にする仕組み。一度家庭内でモバイル機器とテレビ/レコーダを紐付け(ペアリング)しておけば、外出先から家庭内のテレビ/レコーダにアクセスして、放送のリアルタイム視聴や録画番組視聴が可能になる。
nasneのシステムソフトウェアをVer.2.50に更新することで、リモート視聴機能「Anytime TV(エニイタイム ティービー)」に対応。対応アプリケーションは、PlayStation Vita用のnasne操作/番組視聴アプリ「torne PlayStation Vita(823円)」と、Androidスマートフォン/タブレット用の「nasne ACCESS」。
25日にtorne PS Vitaの最新版Ver.2.00、nasne ACCESSのVer.1.50を提供開始し、リモート視聴に対応する。なお、nasne ACCESSでのリモート視聴にはGoogle Playで有料プラグイン(500円)を購入する必要がある。
nasneなどが対応しているのは、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が主導している規格であり、一度家庭内でモバイル機器とテレビ/レコーダを紐付け(ペアリング)しておけば、外出先から家庭内のテレビ/レコーダにアクセスして、放送のリアルタイム視聴や録画番組視聴が可能になるというもの。
なお、WOWOWやディズニー・チャンネルなど一部のチャンネルがこのリモート視聴に対応していない(録画番組は視聴できるが、ライブ視聴はできない)といった点は、NexTV-Fの仕組みに沿った形となっている。また、同時にペアリングを有効化できる子機(スマートフォンなど)の台数は6台までで、同時にリモート視聴できる子機は1台までという点もNexTV-Fの仕様に準じている。
今回のデモで使っているPS Vitaは、鹿児島に置いてあるnasneの番組を、無線LAN(Wi-Fi)経由で視聴。鹿児島のローカル番組やCMを、東京でリアルタイムに視聴するというのもちょっと変わった体験だ。出張時などに、現地の番組だけでなくいつも見慣れた番組でひと息つくといった利用もできそうだ。nasneの場合、これまでも基本はPS3やPS4、タブレットなどで家庭内LANを経由して観るため、リモート視聴でも特に迷いなく操作できる。違いといえば、画面UI表示時に右上に「ネットワーク」というアイコンが表示されているくらいだが、これもフル画面時はもちろん表示されない。
さらに、新機能としてVita版torneでもニコニコ実況機能に対応。映像はリモート視聴で自宅から取得し、実況コメントは別途ネットワーク経由で取得する。テレビ番組に合わせて実況を表示するのは、宅内でのtorne視聴時に当たり前になっている人もいると思うが、宅外でもついに同じような体験ができるようになった。
テレビを録画ではなくリアルタイム視聴するメリットの一つは、ニコニコ実況などで他の人の反応を観られることだと筆者も思うが、これをリモートでも実現した。コメントは首都圏の番組に対するデータを取得しているため、ローカル番組の放送中は、番組やCMとコメントの内容が一致しないケースも当然あるが、そうしたギャップも「今は東京とは違う番組を観ている」という実感ができて楽しい。
Android用のアプリ「nasne ACCESS」もリモート視聴に対応。同アプリはnasne内に蓄積した写真や音楽、ファイルなどへのアクセスが行なえるアプリとして提供され、宅外からのアクセスも可能だが、これが新たにテレビ視聴にも対応し、同時にリモート視聴用アプリとしても使えるようになった。今回、こちらはSCE社内にあるnasneからリモート視聴を行なった。
PS Vita版のtorneアプリとの主な違いは、前述したニコニコ実況がnasne ACCESSでは利用できないほか、視聴中に録画予約したい場合にVitaでは同じアプリで設定できるが、nasne ACCESS利用時は、他のアプリ(TV SideViewまたはChan-Toru)に切り替える必要があるという点など。
一方で、Vita版とは異なる使い勝手の利点として、メニューから「モバイル視聴モード」で[画質優先](2Mbps)または[速度優先](1Mbps)を切り替え、回線に合わせた画質へ簡単に変更できる。リモート視聴には、どちらのモードでも上り2Mbps程度を推奨しているが、状況に応じて速度優先にすることで、途切れず視聴できるケースがあるのなら、全く観られないよりはうれしい。Vita版でも、ブラウザからnasne HOMEを開いて変更できるが、リモート視聴の「AnyTimeAccess」(エニイタイムアクセス)を一度中断する必要がある。なお、PS Vitaでのリモート視聴はWi-Fi接続が推奨されており、3G回線での視聴は対応しない(実用的ではない)という。
家でも外でも迷わず使い続けられる機能に
開発を行なったSCEの石塚健作氏は、リモート視聴への対応にあたり、「快適な視聴を、外でも変わらなくできる」ことを追求してきた点を改めて強調。「規格の縛りがあるため“全く同じ”にはできないが、今(宅内視聴を)使っている人が、迷わないレベルのインターフェイスを実現した」と自信を見せた。なお、公式サポートではないが、SCEによれば海外でもテストを実施。回線や地域にもよるが、香港やアメリカ、ドイツでもこれまで視聴できたという。
実際、今回リモート使ってみると宅内で使った場合とタイムラグなどを含めてほとんど違和感が無いため、これがテレビ視聴にとって画期的な一歩であることは頭で分かっても実感しにくいというのが正直な感想。つまり、それだけ普通に受け入れることができたので、アップデート後も特に意識することなく宅内外問わず使い続けられそうだ。25日の正式アップデートを楽しみに待ちたい。
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