ニュース

空撮可能なJVC小型M4/3マウント4Kカメラや、8K3D上映など。4K制作に新VAIOタブも活用

 11月19日から21日まで、千葉県の幕張メッセで開催されている国際放送機器展「Inter BEE 2014」から、JVCケンウッドやNHKメディアテクノロジー、アストロデザイン、キヤノンなどのブースをレポートする。

会場の幕張メッセ

JVCケンウッド、マルチコプター対応の4Kレンズ交換式カメラなど

 '15年2月に発売予定のJVC小型4Kカメラ「GY-HM200」(約29万円)を出展したほか、'14年度内の発売を予定しているレンズ交換式の4K対応カメラを多数展示していた。

GY-HM200

 参考出展のカメラユニット「GY-LS300」は、4K対応のスーパー35mmセンサーとマイクロフォーサーズマウントを採用。同社が子会社化したAltaSensのイメージセンサーを搭載している。

 また、PLマウントの4Kメモリーカードカメラレコーダ「GY-LSX1」も参考出展。こちらもスーパー35mmセンサーを搭載し、4K撮影に対応する。

スーパー35mmセンサー搭載のマイクロフォーサーズマウントカメラ「GY-LS300」展示ではマウントアダプタを介してキヤノンのシネマレンズを装着
AltaSensのイメージセンサーを採用
PLマウントの4Kメモリーカードカメラレコーダ「GY-LSX1」

 さらに、分離型の超小型カメラモジュールとビデオユニット、コントローラをセットにした「GW-SP100」も参考展示。延長ケーブルや専用ジンバルと組み合わせ、マルチコプターへの搭載や、リモート操作のカメラなど、様々な用途を提案している。ビデオユニットにはSDカードを使ったレコーダ部を備え、着脱・折り畳み可能な7型フルHD液晶モニタを装備。コントロールユニットで操作する。

分離型4Kカメラ「GW-SP100」の展示
カメラヘッド部
ビデオユニットとコントローラ
マルチコプターに、カメラヘッドとビデオユニットをマウントできる
電動の雲台にカメラヘッドを装着した例

創立30周年のNHKメディアテクノロジーが8K3Dをデモ

 NHKメディアテクノロジーは、創立30周年を迎えたことを記念し、Inter BEEの国際会議場で技術展を実施。独自に制作した8K3D映像や、4K裸眼3Dなどを出展していた。

 8K3D映像は、同社が20年以上手掛けてきた3D映像関連の技術を活かし、今回の技術展に合わせてチャレンジしたものだという。自社で保有する8Kカメラと、メーカーからレンタルした1台を組み合わせ、カメラをのせるリグなども製作。会場内に200型のリアプロジェクション型ディスプレイと22.2ch音声のシアターブースを用意し、来場者が偏光メガネでコンテンツを視聴可能となっている。なお、シアターへの入場には整理券が必要。

 開幕日の19日には、8K3D映像制作を担当したエンジニアと、AV評論家の本田雅一氏によるトークセッションも行なわれ、本田氏が8K3D映像の見どころを解説し、エンジニアが制作の裏話などを語った。

4K裸眼立体ディスプレイとコンテンツ制作技術の紹介。展示の12.1型4K液晶は、ジャパンディスプレイ製。これにレンチキュラーレンズを張り付けて裸眼で22視点で立体視できる
8K3Dシアター
200型のリアプロ型ディスプレイと、22.2ch音声で上映
8K3D映像制作者と本田雅一氏によるトークセッション
このほかにも、Hybridcastコンテンツ制作や、4K2面の映像「Circle of Life」などのコーナーがある

アストロデザイン、8K/4K製品やMMT多重化関連の製品など

 '16年の8K試験放送に先駆けて、NHKと共同開発した8K SHVカメラ「AH-4800」や対応レコーダなどを出展。

8Kカメラヘッドとレコーダ

 また、放送と通信を連携させたHybridcastにおける次世代の多重化方式「MPEG-H MMT」(MMT)対応の製品も出展。MMTのストリームを収録、再生するレコーダ/プレーヤーの「CP-5541」は、256GBのSSDを内蔵し、200Mbpsのストリームを最大2.9時間収録可能。MMTの簡易的な解析も行なえる。

 ストリームをリアルタイムに解析するMMTアナライザの「SP-5800」は、解析結果をアプリケーションのGUIに表示可能。ログ出力や、入力IPパケットの収録などが行なえる。

MMTレコーダ/プレーヤーの「CP-5541」
MMTアナライザ「SP-5800」
「8K/4KウルトラCG」の展示も

Celevoは1080対応の「LiveShell Pro+」

 Ustreamやニコニコ生放送、YouTube LiveなどにPCレスで動画配信できるライブ配信機器の「LiveShell Pro」に、1080p対応の上位モデルとして、「LiveShell Pro+」を参考展示。製品化については、Inter BEEなどでの反響を見つつ、今後検討するという。

 既存のLiveShell Proは720p記録だが、展示されたLiveShell Pro+は1080p(30p)に対応。新たに5GHz帯の無線LANもサポートした。本体サイズや重量は従来とほぼ共通だが、カラーはガンメタリック調とした。実際に発売する場合はProの後継機ではなく上位版となる見込み。

LiveSherll Pro+
1080pに対応した
スイッチャーLiveWedgeの展示。クロマキーにも対応

キヤノンブースに8K SHVレンズ展示。新VAIOタブレット プロトタイプの活用も

 スーパー35mm CMOSセンサー搭載のCINEMA EOS新モデル「EOS C100 MarkII」(12月下旬発売/実売55万円前後)や、4K撮影対応、光学20倍ズームレンズ「CN20X50 IAS H」などの新製品を展示。

 また、技術展示として、NHKでも活用されている8K SHVレンズを紹介。'09年に8K SHV対応で初の10倍ズームに対応した後、'14年には標準タイプの7倍ズームレンズ「7x19.7N KAS D」を開発した

C100 MarkII
4K撮影向けの20倍ズームレンズ「CN20X50 IAS H」
8K SHVレンズ「7x19.7N KAS D」の技術展示

 今年の展示の特徴は、4K機材だけでなく4Kワークフローの提案も充実させている点。業務用30型4Kモニターの「DP-V3010」の活用などを紹介しているほか、11月の米国での展示でも話題となった「VAIO Prototype Tablet PC」がブース内に用意され、キヤノンのソフト「Canon Cinema RAW Development v1.3」とIntelの「Iris Pro」グラフィックスを組み合わせてRAW現像の高速処理や4K RAWデータのワークフローをモバイルで実現できるという点をデモ。撮影現場における4K動画現像、プレビューが低コストかつ短時間で行なえることなどをアピールしていた。

VAIO Prototype Tablet PC
4K RAWのモバイルワークフローを紹介
「Canon Cinema RAW Development v1.3」の画面
カールツァイスは、「ZEISS Compact Zoom CZ.2 15-30mm T2.9」や、Loxiaシリーズなどを展示
ケンコー・トキナーのコーナーにTokinaのCINEMA ATXレンズ「50-135mm T3」
東芝は、7月に確定したHEVCのスケーラブル(階層符号化拡張)規格に関する技術を展示
三菱電機は、8K対応のHEVCリアルタイムエンコーダ(左)や、1UハーフラックマウントのHEVCエンコーダ/デコーダ(右)を展示

(中林暁)