ニュース

デノン、フラッグシップに迫る11シリーズ復活、プリメインとUSB DAC搭載SACD

 デノンは、ハイエンドに迫る音質を実現したという「SX11」シリーズとして、プリメインアンプ「PMA-SX11」と、USB DAC内蔵のSACDプレーヤー「DCD-SX11」を10月中旬に発売する。価格は「PMA-SX11」が38万円、「DCD-SX11」が36万円。カラーはプレミアムシルバー(SP)。久しく新製品が投入されていなかった11シリーズが復活した形となる。

プリメインアンプ「PMA-SX11」
プリメインアンプ「PMA-SX11」(下)と、USB DAC内蔵のSACDプレーヤー「DCD-SX11」(上)を重ねたところ

PMA-SX11

 定格出力は120W×2ch(8Ω)、240W×2ch(4Ω)。繊細さと力強さを高い次元で両立するため、出力段に微小領域から大電流領域までリニアリティに優れた、UHC-MOS FETをシングルプッシュプルで搭載。多数の素子を並列駆動して大電流を流すアンプで問題となる、素子の性能のバラつきによる音の濁りを解消。あえて1ペアの素子による増幅にこだわっているという。

UHC-MOS FETをシングルプッシュプルで搭載

 素子自体はSX1でも使用している最新世代で、従来品と比べて定格電流は30Aから60Aに、瞬時供給電流は120Aから240Aへと倍増。余裕を持った再生ができるという。なお、SX1との違いとして、SX1はスピーカーのプラス/マイナス端子をパワーアンプの出力段によって直接駆動するBTL接続方式になっていたが、SX11は通常の方式のアンプとなる。「組み合わせるスピーカーの能率などによっては、SX11の方がマッチする事もある」という。

 カスコードブートストラップ接続により、UHC-MOS FETにかかる電圧を一定に保つと共に、温度安定性を高め、素子の優れた特性を安定して引き出せるという。

プリメインアンプ「PMA-SX11」の内部

 電源部は、大電流を要求される出力段と、安定性を求められる電圧増幅段をトランスの巻線段階から分離。整流用コンデンサには、低インピーダンス電極箔を使った大容量電解コンデンサと、周波数特性の異なるコンデンサを組み合わせている。整流素子には、低損失、低ノイズ、ハイスピードのショットキーバリアダイオードを採用した。

 電源トランスは不要振動やノイズを防ぐため、SX1と動揺に砂型アルミ鋳物ケースに特殊樹脂を充填しつつ、内蔵。振動の影響を受けやすいコンデンサの固定にも、砂型鋳物ホルダを使っている。

内部パーツ

 ボリュームには多接点ワイヤブラシを使った、モーター式ボリュームを採用。フロントパネルは最大6mm厚、ノブもアルミ無垢材の削り出しとなっている。

 全体は、フォノイコライザと入力部、ボリュームコントロール部、電圧増幅部、電力増幅部、電源部、コントロール部の6ブロック構成。それぞれを独立配置し、干渉を防いでいるほか、1.6mm厚の鋼板製シャーシにより外部振動から信号経路を保護している。

 フォノイコライザはMC/MMそれぞれに専用入力を搭載。3個並列接続されたデュアルFET作動入力回路をヘッドアンプに備えた、CR型イコライザ回路を採用している。NF型の課題である、低域と高域の音色の違いが無く、フラットな再生ができるという。MC入力には入力インピーダンス切り替えも備え、様々なカートリッジと組み合わせられる。

 入力端子は、アナログRCA×4、レコーダー入力×1、Phono MC×1、Phono MM×1。XLRのバランス入力も備えている。外部プリアンプと接続し、パワーアンプとして使えるゲイン固定入力(EXT.PRE)も装備。AVアンプのプリアウトと接続し、フロントスピーカーを共用するといった使い方もできる。出力は、レコーダ出力を1系統備える。

 スピーカーターミナルは、SX1でも採用された大型タイプで、太いケーブルも固定可能。付属のリモコンはアルミトップ仕様。

 外形寸法は435×506×181mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は27.4kg。消費電力は380W。

背面
付属のリモコン

DCD-SX11

 USB DAC機能も搭載したSACDプレーヤー。新世代の制御デバイスを用いて、対応データはPCMが384kHz/32bitまで。DSDは11.2MHzまでサポート。DSDの伝送方式は、ASIO 2.0ドライバによるネイティブ再生と、DoP伝送での再生に対応。アシンクロナス伝送もサポートする。

USB DAC機能も搭載したSACDプレーヤー「DCD-SX11」

 PCから供給されるデータに混入するノイズを完全にカットするアイソレート機能「PC Pure Direct」も搭載。信号は高速なデジタルアイソレータで、さらにグラウンドもリレーによってPCとの電気的な結合を遮断。ノイズの無い音声信号のみがトランス結合のアイソレータを通して伝送される構成となっている。PC側電源からのノイズの回り込みを防ぐために、USB DAC専用の電源回路も搭載する。

 USB以外にも光デジタル/同軸デジタル入力を各1系統装備。その場合は192kHz/24bitまでのPCM信号に対応する。

 また、USBメモリに保存したハイレゾファイルを再生できるUSB端子も装備。iPod/iPhoneのデジタル接続や充電にも対応する。

 さらに、DVD±R/RWやCD-R/RWに記録したDSD(5.6MHzまで)や、192kHz/24bitまでのPCMデータの再生に対応。ファイル形式はMP3/WMA/AAC/WAV/FLAC/ALAC(Apple Lossless)/AIFF/DSDをサポートする。

独自のデータ補完アルゴリズムを用いて、データをハイビット/ハイサンプリング化して処理する「Advanced AL32 Processing Plus」に進化

 独自のデータ補完アルゴリズムを用いて、データをハイビット(32bit)/ハイサンプリング化して処理する「Advanced AL32」は、384kHz/32bitにも対応した「Advanced AL32 Processing Plus」に進化。CDの16bit信号は32bitに、44.1kHzのサンプリング周波数は16倍にオーバーサンプリングして処理する。

 ハイレゾデータも、192kHzの信号は4倍に、384kHzは2倍にオーバーサンプリング。データの補間は独自のアルゴリズムにより、補間ポイント前後に存在する多数の点から、あるべき点を推測、より原音に近い理想的な補間をするという。

「DCD-SX11」の内部

 DACをマスターとしてクロック供給を行ない、デジタル回路を正確に同期させる「DACマスター・クロック・デザイン」を導入。マスタークロックをDACの直近に配置する事で、ジッタの発生を抑え、忠実な再生ができるという。

 また、周波数の変位である位相雑音を大幅に低減したクロック発振器を新たに開発。その性能を引き出すために、通常クロックケースに内蔵されるセラミックコンデンサを、超小型フィルムコンデンサに置き換え、空間表現やS/Nを向上させたという。クロック発振器は44.1kHz、48kHz系で2個搭載している。

デジタル回路とアナログ回路の電源は、トランスから分離

 デジタル回路とアナログ回路の電源は、トランスから分離。相互干渉やノイズの回り込みを排除している。各トランスはケースに樹脂で密封されているほか、取付台座にはSX1と同じ砂型アルミ鋳鉄ベースを使っている。

 D/A変換回路以降のアナログオーディオ回路の電源部には、新開発のデノンオリジナル大容量ブロックコンデンサを使用。さらに電解コンデンサやメタライズド・フィルム・コンデンサなど、試聴と試作を繰り返しながらパーツメーカーと共同で開発したというカスタムパーツが使われている。

 DACの電流出力を受ける電流/電圧変換回路とポストフィルター回路はフルバランス構成。L/Rチャンネルのシンメトリー配置や、電源ラインの強化、基板インピーダンスを下げる高純度バスバーの採用などにより、チャンネルセパレーションに備え、歪やS/Nなどの特性でも理想的な回路構成になっているという。

ドライブメカは新開発「Advanced S.V.H Mechanism」

 ドライブメカには、新開発の「Advanced S.V.H Mechanism」を採用。ステンレスと銅板を組み合わせて剛性を強化したトップパネル、アルミダイキャストのトレイ、1.6mm厚のスチールメカベースなどで構成している。

 ディスクの回転や電源トランス内部で発生する振動、スピーカーの音圧による空気振動が伝わる事での音楽信号の劣化などを防ぐために、振動防止構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」を採用。振動体でもある電源トランスをフットの間近に配置する事で、振動をグラウンドへと逃がし、周辺回路への伝搬を防止している。

 ドライブメカはシャーシ中央の低い位置に配置し、低重心化。1.2mm厚のメインシャーシに、1.6mm厚のスチールプレート3枚を追加した4層構造とする事で、外部からの振動エネルギーを遮断している。

 出力端子はアナログXLRバランス×1、アナログアンバランス(RCA)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1。USB端子も備えている。外形寸法は434×404×137mm(幅×奥行き×高さ)。重量は21.4kg。消費電力は31W。

背面
付属のリモコン

「分解能に踏み込み、繊細さやニュアンス、空気感を追求」

デノンサウンドマネージャーの山内慎一氏
ジャパン・セールス&オペレーションの中川圭史プレジデント

 デノンサウンドマネージャーの山内慎一氏は、デノンが追求するサウンドを「繊細さと力強さ、正確さと安定感の実現」と説明。その上で、SX11ではSX1の技術ノウハウを投入し、「繊細さやニュアンス、空気感を追求した。無理にバランスをとって平坦な表現にするのではなく、分解能に踏み込んだ上で、この3要素を実現しているのが特徴。SX1の音をスケールダウンしたコンパクトなものにしようとしたのではなく、スケール感、ダイナミズムを感じさせる音に仕上げた」と説明。

 ジャパン・セールス&オペレーションの中川圭史プレジデントは、ピュアオーディオ、AVアンプなどを含めたオーディオのコアカテゴリのマーケットが、今年の4月以降回復傾向にある事を説明。「ピュアオーディオは堅調、ハイレゾやPCオーディオは拡大中、縮小していたホームシアター市場もDolby Atmosと4Kが牽引する形で拡大している」とし、こうした好調な市場に向けて、フラッグシップに迫る音質の11シリーズを投入すると発表した。

(山崎健太郎)