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音に磨きをかけ、駆動力も向上したマランツのプリメイン/CD入門機「6006」

 ディーアンドエムホールディングスは、マランツブランドのピュアオーディオエントリーモデルとして、CDプレーヤーの「CD6006」、プリメインアンプ「PM6006」を6月中旬に発売する。価格はCD6006が48,000円、PM6006が60,000円。カラーはシルバーゴールド。

上段がCDプレーヤーの「CD6006」、下段がプリメインアンプ「PM6006」。スピーカーは別売で、B&Wの「CM1」(140,000円)

 同社のエントリーモデルとして長年展開している6000シリーズは、英国の有力オーディオ誌「What Hi-Fi?」で、500ポンド以下のカテゴリでトップ評価モデルの常連となるなど、特に海外で高い評価を得ている。

 日本でも、アンプのPM6000シリーズは、前モデルのPM6005がデジタル入力を搭載した事で、20カ月間の出荷台数実績が過去モデルのPM6001から44%上昇。CD6000シリーズも、PM6005とのシリーズ展開が良い影響となり、CD6005は、その前モデルCD6004から、55%の出荷台数実績(発売26カ月間)を記録したという。

 こうした流れを受けながら、さらなるクオリティアップを図ったモデルが、CD6006、PM6006となる。

 また、マランツの新たなサウンドマネージャーに就任した尾形好宣氏が携わったモデルでもある。長年活躍してきた、AV Watchでもお馴染みの澤田龍一氏は、ディーアンドエム全体のシニアサウンドマネージャーに就任している。

マランツの新たなサウンドマネージャーに就任した尾形好宣氏

CDプレーヤー「CD6006」

 DACには、マランツのSACDやネットワークプレーヤーなどでも採用され、「使いこなしを知り尽くした」というシーラスロジックの「CS4398」を採用。DSDのダイレクトD/A変換と、192kHz/24bitまでのPCM信号に対応する。なお、USB DAC機能は備えていない。

CDプレーヤー「CD6006」

 DAC以降のアナログステージには、ハイスピードで情報量豊かなサウンドを追求し、SA8005と同様の回路構成によるフルディスクリート回路を採用。独自の高速アンプモジュールHDAM、HDAM-SA2を用いて、電流帰還型フィルターアンプ兼送り出しアンプを構成している。

 さらに、カスタムブロックコンデンサや、ショットキーバリアダイオードも投入。オーディオ回路の電源も上級モデル同様に高品位なパーツを使っている。開発にあたっては、サウンドマネージャーと音質担当エンジニアによる試作、試聴をくりかえし、「細部に至るまで徹底したサウンドチューニングを施した」という。

 左右チャンネル間のクロストークやレベル差を抑えるために、アナログ出力回路は左右でシンメトリーにレイアウト。等長、平行配置を徹底し、チャンネルセパレーション、空間表現力を高めたという。

内部基板

 アナログ回路電源用のブロックコンデンサは、ニチコンと共同開発した専用のカスタムブロックコンデンサを使っている。

 電源はトランスから、ブロックコンデンサを経由してブリッジ回路へと供給される。このブリッジ回路に、ショットキーバリアダイオードを投入。トランスからダイオードまで、ハイスピードで安定した電源供給が可能になったという。

電源部分

 アナログ出力回路には、上位モデルと同様にオーディオグレードのフィルムコンデンサを使用。

 ヘッドフォンアンプも搭載しており、ハイスルーレートなオペアンプと、HDAM-SA2型のディスクリート高速電流バッファアンプを組み合わせたものを搭載。情報量の豊かさと、鮮度の高さを追求したという。3段階のゲイン切り替えも搭載する。

 インシュレータも改良。低価格なモデルではプラスチック製になってしまうが、同じプラスチック製でも、従来モデルと較べてリブを追加し、重量をアップ。接地面のフェルトの素材も厳選したという。

左が従来のもの、右が新しいインシュレータ。リブが増え、フェルトも変わっている

 さらに細かいポイントだが、後述するPM6006も含めて、トップカバーを固定する側面のネジが、銅メッキ仕上げのものになっている。これも、音に良い影響があるという。

上の2台が6006、下の2台が6005
トップカバーを固定する側面のネジが、銅メッキ仕上げのものになっている

 SN比は110dB。ダイナミックレンジは100dB。高調波歪率は0.002%(1kHz)。出力はアナログRCA、同軸デジタル、光デジタル、ヘッドフォンを各1系統備える。前面にUSB-A端子を備え、USBメモリなどに保存した音楽ファイルや、iPod/iPhoneをデジタル接続しての再生が可能。再生対応ファイルはWAV/MP3/WMA/AACで、WAVは48kHz/16bitまで対応する。

 消費電力は32W、待機時消費電力は0.3W以下。外形寸法は440×340×105mm(幅×奥行き×高さ)、重量は6.5kg。

背面端子部

プリメインアンプ「PM6006」

 プリメインアンプだが、同軸デジタル×1、光デジタル×2の入力を装備。シーラス・ロジックのDAC「CS4398」を搭載しており、ネットワークプレーヤー、PC、テレビなどとデジタル接続できる。なお、光デジタル入力は前モデルから1系統増えた。192kHz/24bitまでのPCM信号に対応しており、PCやDDコンバータなどからハイレゾデータを入力する事もできる。

プリメインアンプ「PM6006」

 DAC以降のアナログオーディオ回路には、HDAMとHDAM-SA2を実装。CD6006のアナログ出力回路と同等の構成になっている。

 また、デジタル入力回路は、周辺回路へのノイズ輻射を遮断するために、専用のシールドボックスに封入。デジタル回路の電源ラインには、導電性ポリマーコンデンサも用いて、高周波ノイズを低減している。

デジタル入力回路は専用のシールドボックスに封入

 デジタル入力が選択されていない時は、デジタル入力回路への電源供給を停止。極力、アナログ入力の音質に影響を与えない設計としている。

内部基板

 プリアンプ、パワーアンプには、上級機と同様にフルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路を採用。3段ダーリントン回路のドライバートランジスタを大型化する事で、瞬時電流供給能力を42%(22Aから31A)と向上。スピーカー駆動力を強化し、低域のグリップ感が向上。ディテールの情報量が増え、ダイナミクスの表現にも磨きがかかったという。

瞬時電流供給能力を42%(22Aから31A)向上

 オペアンプICの使用は極力避けており、電流帰還型増幅回路にはHDAM-SA2、HDAM-SA3を採用。ハイスピードなサウンドを追求している。また、プリからパワー、グランドラインまで、左右対称のレイアウトで設計されている。

 Phono入力も備え、MMカートリッジ用のフォノイコライザも搭載する。

 電源部には変換効率が高く、漏洩磁束の少ない大型のトロイダルトランスを採用。シールドケースに封入する事で、不要輻射による周辺回路への影響と振動の発生を抑制。パワーアンプのファイナルステージ電源用のブロックコンデンサには、カスタムメイドの専用品を使い、「明快でダイナミックなサウンドを実現した」という。

電源部には大型のトロイダルトランス

 電源をオーディオ回路へ供給するブリッジ回路に、ショットキーバリアダイオードを投入。電源供給にゆとりを持たせる事で、増幅回路のパフォーマンスを引き出し、スピーカーを正確にドライブできるという。

 スピーカーターミナルはスクリュータイプはスクリュータイプで、金メッキ仕上げ。2系統の端子があり、バイワイヤリング接続や、2組のスピーカー接続が可能。

 定格出力は40W×2ch(8Ω)、全高調波歪率は0.08%、周波数特性は10Hz~70kHz。入力端子はアナログRCA×4、同軸デジタル×1、光デジタル×2、Phono×1。音声出力はアナログRCA×1、ヘッドフォン×1。消費電力は355W。待機時消費電力は0.3W。外形寸法は440×370×105mm(幅×奥行き×高さ)、重量は7.8kg。

背面端子部

システム提案も

 6000シリーズはセット販売ではないが、マランツとしてオススメする組み合わせも用意されている。

 リファレンス・システムは、B&Wの「CM1」(140,000円)と組み合わせるもので、合計価格は248,000円。スタンダードシステムは、DALIの「ZENSOR1」(43,800円)との組み合わせで、合計価格は151,800円。

リファレンス・システム
スタンダードシステム

音を聴いてみる

 従来モデルの6005と、新モデルの6006を、ジェニファー・ウォーンズのアルバム「Well 」の1曲目「Well, The」で聴き比べてみる。

 CD6005+PM6005の組み合わせでも、価格帯を感じさせないクオリティだ。空間の広がりの制約を感じさせない、伸びやかなサウンド。中低域は分厚く、ヴォーカルが音圧豊かに迫ってくる。同時に、左右、上下の音場も十分に広い。低域の深さにも迫力がある。

 この状態で、CDプレーヤーだけ新モデルのCD6006に変更。CD6006+PM6005の組み合わせで同じ曲を流す。音が出た瞬間に、音場がさらに広大になり、特に奥行き方向の深みがグッと増したのがわかる。見通しがよくなり、ヴォーカルの響きが背後に広がっていく様子が手に取るようにわかる。低域の沈み込みもより深く、重い音が出るようになっていながら、ぼやけず、分解能も高い。

 アンプもPM6006に交換。CD6006+PM6006で聴くと、前述の変化がさらに進化。特に、トランジェントが向上し、スピーカーの駆動力が格段にアップしたと感じる。音がシャキッとして、輪郭がシャープになり、ぼんわりと誤魔化す部分が無い。かといってカリカリな音ではなく、中低域のゆったりとした量感も出ており、電源周りが強化された事による“余裕”のようなものも感じる。明らかにワンランク上のサウンドに進化した6006シリーズと言えるだろう。

(山崎健太郎)