ミニレビュー

デジカメ動画手ブレ補正の“ビデオカメラに匹敵”を検証

5軸ハイブリッド補正のオリンパス「SH-1」で階段を歩いて撮影

 デジタルスチルカメラがフルHD動画を撮影できるようになって久しいが、実用性という面でビデオカメラと比較したときに大きく差を付けられていた要素のひとつに、手ブレ補正の性能が挙げられる。

 動画は撮影者が移動しながら撮るケースが多く、継続的に続く手ブレは視聴時の不快感が大きいこともあってか、民生用のデジタルビデオカメラは、同時期のデジタルスチルカメラと比べて強力な手ブレ補正機構を搭載してきた。そういった事情もあって、特にコンパクトデジタルカメラの動画撮影機能は、実用性の面ではあくまでオマケとして捉えられがちだった。

世界初の動画/静止画両対応の光学5軸式手ブレ補正を搭載

 オリンパスが4月に発売したコンパクトデジタルカメラ「STYLUS SH-1」は、動画撮影時の手ブレ補正に力を入れた機種だ。センサーシフト式の5軸手ブレ補正機構を搭載することで「ビデオカメラに匹敵する補正効果が得られる」と謳っている。実売価格は3万円前後。

 5軸式手ブレ補正により、前後左右に傾く角度ブレ、レンズを中心とした回転方向に傾く回転ブレ、上下左右にずれる並進ブレに対応。動画記録時は、これに電子式手ブレ補正を加えたハイブリッド式5軸動画手ブレ補正を利用可能。オリンパスによると、デジタルカメラの静止画/動画両方に対応した光学式5軸式手ブレ補正は世界初としている。

望遠端でもしっかり補正

 さっそく、SH-1のハイブリッド式5軸動画手ブレ補正の効果を見ていきたい。

 動画撮影の設定方法は、モードダイヤルを動画モードに合わせてOKボタンを押した後、十字キーを使って設定する。録画の開始/終了は背面向かって右肩部分のムービーボタンで行なう。なお、録画中は設定変更などの操作を受け付けず、デジタルズームも使用できない。

モードダイヤル
ムービーボタン

 SH-1では1080/60pのフルHD動画を撮影可能で、動画の形式はMPEG-4 AVC/H.264(MOV)。雲の動きなどを定点観測できる「タイムラプスムービー」や、フルHD動画の撮影中にフル画素(1,600万画素)で静止画を同時記録できる「フォトインムービー」、動きの速い被写体をゆっくり写す「ハイスピードムービー」240fps(432×324ドット)、120fps(1,280×720)も利用可能だ。今回は、1080/60pモードで撮影した。

録画中に静止画を撮影できる「フォトインムービー」。モードによって設定項目が異なる
1080/60pの動画が撮れる「フルHDムービー」
120fpsもしくは240fpsの高速動画が撮れる「ハイスピードムービー」
「タイムラプスムービー」は撮影間隔を5分〜1時間の範囲で選択できる
ムービーメニューでは手ブレ補正のほか、音声記録の有無と風切音の低減を設定できる

・広角端(25mm相当)

 光学ズームを広角端に設定し、カメラを両手で保持しながら、階段を降りている。手ブレ補正OFF、手ブレ補正ON、ハイブリッドONに設定を変えて同じルートを通った。

オリンパス「SH-1」広角端:手ブレ補正OFF -AV Watch
オリンパス「SH-1」広角端:手ブレ補正ON -AV Watch
オリンパス「SH-1」広角端:ハイブリッドON -AV Watch

・望遠端(600mm相当)

 光学ズームを望遠端に設定し、手持ちで被写体を撮影した。

オリンパス「SH-1」望遠端:手ブレ補正OFF -AV Watch
オリンパス「SH-1」望遠端:手ブレ補正ON -AV Watch
オリンパス「SH-1」望遠端:ハイブリッドON -AV Watch

 手ブレ補正を有効にするだけでも画面の揺れはかなり改善するが、ハイブリッドを使用するとさらに安定する印象を受けた。広角では手持ちで階段を降りるという条件で試したが、撮影中も補正が効いているのがはっきりわかった。望遠でも同様の印象。これだけ効いてくれると、これまで敬遠していた望遠端での動画撮影も遠慮なくできそうだ。

 画質は、筆者の主観ではあるが、旅先の様子を記録する分には十分なレベルにあると感じた。ディテールを残すというよりは、全体を破綻なく記録する方向性の画作りになっている。静止画撮影時は、レンズのF値が暗めなこともあり、ISO感度がやや上がりやすい傾向がある。

 AFの追従性は特別速いという感じではなかった。意図的にピントを外してから合焦までに、体感でおよそ1秒くらいはかかる。映像は安定してくれるので、極端にズームインしていなければ、被写体を見失うことは少ないだろう。

 動画撮影の使い勝手はそこそこ良いと思うが、撮影中にズーム以外の操作を受け付けなくなるのが痛い。フォトインムービーではシャッターボタンで静止画の撮影が可能だが、露出補正などの画質設定などにかかわる操作をするには、一旦撮影を終了しなければならない。デジタルビデオカメラから置き換えるにはやや厳しいかもしれない。

手持ち撮影できるシーンが拡大

 SH-1の手ブレ補正を実際に使ってみると、特に望遠端での補正の効きが印象的だった。さすがに三脚いらずとまではいかないが、手持ちで対応できるシーンは従来のコンパクトデジタルカメラよりも確実に増えるだろう。また、動画撮影時にデジタルズームが使用できないものの、広角端25mm相当からの24倍ズームというのはビデオカメラと比べても全く引けをとらないスペック。普段はコンパクトデジタルカメラとして使い、必要な時にシンプルに動画を撮るというだけであれば、全く不都合なく活用できるのではないだろうか。

広角端(25mm相当)
望遠端(600mm相当)

 動画記録時の手ブレ補正の効きは、従来のスチルカメラで動画を残す際に不満となっていた要素ではあるので、ハイブリッド式5軸動画手ブレ補正の搭載によって、動画記録の利便性が向上することは歓迎したい。

 スチルカメラとしての実力は、僚誌デジカメWatchがレビューしているが、静止画でも動画でも、手ブレによる失敗カットが少なく抑えられる点がSH-1の持ち味。普段使いとして持ち歩く機材を増やしたくない向きには、魅力的な選択肢になりうるだろう。

(関根慎一)