ミニレビュー

初めて“ハイレゾ対応スピーカー”を導入。約2万円のソニー「SS-CS5」で音が段違いに

 最近ではデジタル音楽の話題といえばハイレゾが当たり前ということが増えてきた。ずっとPC & 家電系を追ってきた筆者は比較的音には無頓着に生きてきたので、デジタル音楽が出てきてすぐのころは64kbpsのMP3ファイルでもなんの違和感もなく聞いてきた。

新たに導入したソニーのスピーカー「SS-CS5」と、ヤマハのAVアンプ「RX-V577」

 しかし、ハイレゾブーム、そして高級イヤフォンブームの訪れにより、自然と高ビットレートのデジタル音楽をメーカーの発表会など、いい環境で聞く機会が増えてきた。すると人の耳というのはわがままなもので、今まで何の違和感も感じていなかったサウンドに不満を抱くようになる。

 昨年、自宅兼事務所を引っ越したこともあり、仕事部屋をシアター化する計画をスタート。そのタイミングで音に関しても改めて勉強することにした。まずは、室内サウンド環境をハイレゾ化することから始めた。選んだのは、ソニーのブックシェルフ型スピーカー「SS-CS5」。

 発売直後に入手したため、Amazonではペア19,800円だった。ちょっと前まではスピーカーでこの値段は高いと感じていたのだが、Ultimate Earsの「UE900」など、3万円前後のイヤフォンを常用するようになり、数千円のイヤフォンと音質が違うことを経験してしまうと、これでも安いかなと思えた。

SS-CS5

 「SS-CS5」を選んだ理由の一つは、このモデルが、「ハイレゾ対応」を明記していたこと。日本オーディオ協会の定義によると、スピーカーの場合は40kHz以上の高域再生性能があれば“ハイレゾ対応機器”として認められる。とはいえ、「SS-CS5」は単に高域再生性能だけをもってハイレゾ対応としているわけではなさそうだ。

広指向性のツイータと、25mmソフトドームツイータが並ぶフェイスプレート

 スピーカーとしての基本性能は、より広がり感のある高域を再生するために、独自開発の「広指向性スーパートゥイーター」を搭載するのが特徴。さらに、音圧不足を補うためにボイスコイルにCCAW(銅メッキアルミ)線を採用するほか、磁気回路なども徹底して強化したという。

 中低域を再現するウーファユニットは130mm径。振動板にソニー独自のMRC(発泡マイカ)素材を複数組み合わせえることで、力強い低域と滑らかな中域の再現を追求したという。外形寸法は178×220×335mm(幅×奥行き×高さ)、ブックシェルフ型としては一般的な大きさと言える。

130mm径のウーファユニット。第一世代、第二世代のMRCを重ねて振動板を構成している
13型クラスのノートPCと並べたところ。PC用スピーカーとは比べものにならないぐらいに大きい

しっかりとしたボーカルと音圧が体感できた!

 では早速、「SS-CS5」を利用する。接続するのはヤマハのAVアンプ「RX-V577」だ。AVライターの野村ケンジ氏から、シアター向けのAVアンプとして、コストパフォーマンスが抜群にいいという評価を伺い、このモデルを購入していた。AVアンプの機能や音質調整などの詳細は、鳥居一豊氏が詳しくレビューしているので、そちらをご覧いただきたい。

 まずはアンプとスピーカーをスピーカーケーブルで接続し、スピーカーの設置ポジションを決めていく。テレビの横や、AVラックなどに設置する分にはそれほど気にならないかもしれないが、PC周りに設置するには、ちょっと大きかった。「SS-CS5」のポジションはそれほどシビアにこだわる必要はない。「RX-V577」では音場測定用マイクが付属しており、設置位置に合わせて音を調整してくれる 。今回はデスクの上に設置した。

 なお、スピーカーケーブルは付属しないため、今回はAmazon Basicの16ゲージを使用した。30mで1,342円と非常にお買い得だ。

背面にスピーカー端子を接続する端子を装備
スピーカーケーブルはAmazon Basicの16ゲージ

 ヤマハの「RX-V577」はスマートフォン/タブレットからのWi-Fiダイレクト再生に対応、また、DLNA機能を利用することで、PCに保存したハイレゾサウンドも再生できる。今回は、MP3やAACでエンコードしたデジタル音楽をiPadからワイヤレスで再生。PCに保存している「96kHz/24bitのFLAC」などのハイレゾ音源は、ハイレゾ、およびネットワーク再生に対応した「foobar2000」を利用して再生した 。DVD/音楽CDの再生には、RX-V577とHDMI接続した PlayStation 3を利用している。

foobar2000のネットワーク機能を使ってハイレゾ音源を再生。コントロールはスマホから行なうのが便利

 アンプのDSPモードは「2chステレオ」を選択。まずは、できるだけAVアンプによる補正の影響を受けない状態で「SS-CS5」の音を聴いてみた。 ハイレゾ音源はThe Beatlesの「Get Back」、Eaglesの「HOTEL CALIFORNIA」を初めとした名曲たちと、e-onkyo musicで配信がスタートした中森明菜、中山美穂といった90年代アイドルの復刻といくつかのアニソンだ。CDからのリッピング音源は、数千曲のアーカイブの中から、比較的高ビットレートで取り込んでいる、宇多田ヒカル、Superfly、東京スカパラダイスオーケストラなどをメインに聴いた。

 ボリュームを落としているときは、高域の伸びのよさは感じたものの、中低音の力強さはあまり感じなかった。ただし、それぞれの楽器が刻む音がハッキリ聞こえるなど、解像感の高さは感じられた。そしてボリュームを上げていくと、低音もある程度聞こえてくる。曲によっては、高音の伸びが強いため、低音が負けているように感じる部分もあった。ただし、このあたりはスピーカーケーブルを変えるなどのチューニングや、スピーカーをもっと固く共振しない場所に設置するといったセッティングなどで変わりそうだ。

ヤマハ製アプリ「AV Controller」で入力元やDSPを選択。2chステレオに設定した

 ポップスやロック、洋楽邦楽いろいろと聞いてみたが、一定以上のボリュームにすると、低音域はバスドラムの刻む音やベースの音色などもしっかりと味わうことができた。東京スカパラダイスオーケストラの管楽器の伸びの良い気持ちよさの中に、ソニーらしさも感じた。また、Superflyのロック調の曲では低音とボーカルの声の響きの良さが味わえた。面白かったのが、80年代アイドルのハイレゾ音源。最近ではあまり聴かないタイプのベースの旋律やチョッピングなどがしっかりと聴こえ、20〜30年前にカセットテープ&ウォークマン、CDミニコンポで聴いていたときには、たぶん聴こえていなかったような音が拾え、思わずニヤニヤしてしまうこともあった。

 続いてせっかくヤマハの「RX-V577」に接続しているということもあり、DSPモードを「7chステレオ」に変更してみる。すると面白いことに、音の広がり感が一気に増した。さすがにリアルサラウンド環境などとは異なり、後から音がするとまではいえないが、2chとは明らかに異なる、音に包まれる感覚を体感できた。 相性がいいのは、いわゆるライブ音源だ。手持ちのライブDVDやCDを掛けるとライブ会場の前列にいるような雰囲気が味わえる。

DSPモードを7chステレオにすると、ユーザー設定でバランスをカスタマイズできた

 これまでは仕事用デスクでは、PC用の1万円前後のスピーカーを使っていたため、音質が比較にならないほどよくなったことを体感している。音圧がアップし、音の持つ情報量が一気に倍増したイメージだ。このため、慣れるまでは仕事に支障が出るため、仕事中は聴くことができないほどだった。

ヘッドフォン利用から単体スピーカーへのデビューにも

 「SS-CS5」を購入してから約2ヵ月。ようやく、耳も慣れてきたようだ。スピーカー側も多少はエージングがすすんだのではないだろうか。2万円という価格、そして別にアンプが必要という条件が、今のイヤフォン、ヘッドフォンを中心とする、オーディオトレンドとマッチしているかどうかは正直わからない。ただし、筆者のように高品質イヤフォンで耳が鍛えられたことを体感している方なら、単体スピーカーを初めとするオーディオセットに挑戦してみると面白い 。イヤフォンと決定的にちがうと感じたのが広がり感と解放感だ。音の解像感などは、高級イヤフォンなら十分な性能があるが、実際に部屋の空気を振動させることによる広がりの良さと、耳を物理的に圧迫しないことによる解放感の高さはスピーカーならではだ。

 ただし、イヤフォンやヘッドフォンとは違い、スピーカーのポテンシャルを発揮するためには、それなりの音量を出す必要がある。周辺への音漏れ対策などは意識する必要があるだろう。

 筆者のシステムではAVアンプを選んでいる通り、将来的には様々なアップグレードを考えている。自室シアターを作る時には、フロントスピーカーはトールボーイタイプにしたいとも思っている。そのときには、「SS-CS5」はリアスピーカーになる予定だ。また、「RX-V577」には、リアスピーカーが置けない部屋でも、 フロントに4つのスピーカーを並べることでサラウンド感が得られるバーチャルサラウンド技術「Virtual CINEMA FRONT」を搭載している。これらと組み合わせると、自室をより臨場感豊かなサウンド空間にできそうだ。

Amazonで購入
ソニー SS-CS5
ヤマハ RX-V577

(コヤマタカヒロ)