レビュー

iPad/iPhoneでDIGAやnasneの番組再生「DiXiM Digital TV for iOS」

“使いやすさ”が魅力のiOS用DTCP-IPプレーヤー

DiXiM Digital TV for iOS。iPad 2でテストした

 「DiXiM Digital TV for iOS」(以下DiXiM DTV iOS)は、デジオンが開発したiOS向けのDTCP-IP対応プレーヤーアプリケーション。DTCP-IPに対応したレコーダで録画した地上/BS/CSデジタルなどの番組を、iPhoneやiPadなどのiOS搭載機器で視聴できる。App Store価格は1,000円で、A5以上のCPUを搭載したiOS端末に対応。対応OSはiOS 5.1.1以降で、iPhone 4S以降のiPhone、iPad 2以降のiPadおよびiPad mini、iPod touch第5世代で利用できる。

 DiXiMブランドを冠したDTCP-IPアプリケーションはPCやAndroid向けに提供されているが、iOS向けの提供は今回が初めてだ。iOS向けのDTCP-IPアプリとしては、パケットビデオの「Twonky Beam」のiOS版も配信されているが、国産Androidスマートフォンなどで実績を積んだDiXiMがいよいよiOSにも登場した。

 特徴はパナソニックのレコーダ「DIGA」との連携や、DLNA関連で採用事例の多いデジオン製品ならではのシンプルなUIといえる。Twonky Beamと比較しながら、DiXiM Digital TV for iOSの使い勝手や機能などを紹介する。

先行するTwonky Beam for iOSとの違いは?

 はじめにDiXiM DTV iOSとTwonky Beam for iOSの違いを比較しておこう。価格についてはDiXiM が有料アプリなのに対し、Twonky Beamはアプリ自体は無料で提供。ただし、DTCP-IP機能を利用するには700円のプレミアム機能の購入が必要なため、DTCP-IPアプリとして利用する場合はどちらも有料といえる。

持ち出しに対応したTwonky Beam

 機能面における大きな違いは録画番組の持ち出し機能。Twonky Beamは持ち出しに対応しているが、DiXiM DTV iOSはリリース当初持ち出しに対応していない。デジオンも、DTCP+対応を含め年内の番組持ち出し対応を検討しているようだが、持ち出しをメインに考えるユーザーであれば、現状はTwonky Beamといえる。

 一方、DiXiM TV iOS独自の機能としては、動画のレジューム再生に対応するほか、動画と同時にWebブラウザを起動する機能も搭載。また、対応レコーダはTwonky Beam(iOS)の場合ソニー製レコーダとなるが、DiXiM DTV iOSではソニーのほかパナソニック製レコーダ、nasneも公式サポートの対象としている。


DiXiM DTV
for iOS
Twonky Beam
番組持ち出し
対応検討中
レジューム再生 -
DIGA対応 -
価格 1,000円 700円

操作とUIのシンプルさが魅力。DIGAにも対応

 利用の際はアプリのインストールに加えて、アプリのアクティベーションおよびCA証明書のインストールが必要。DiXiM DTV iOSを起動すると自動的にアクティベーションとCA証明書インストールが求められるため、画面に従って操作していくだけで一連の作業は完了し、DiXiM DTV iOSを利用できるようになる。アクティベーションは端末ごとに行なうが、同一のApple IDで購入していれば、iPhoneとiPadなど異なるiOS端末であっても同様に利用可能だ。

起動時の画面
アクティベーションおよびCA証明書のインストールが端末ごと必要
アクティベーションおよびCA証明書のインストールは画面の指示にしたがって操作するだけで完了する
同一ネットワークのサーバーを自動表示

 無線LANに接続すると、同一ネットワークに存在するDTCP-IP/DLNA対応機器を左側に一覧で表示。視聴したいサーバーをタッチし、ジャンルなどを選択するだけで視聴が完了する。同じDTCP-IPアプリケーションのTwonky Beamに比べるとインターフェイスがシンプルでわかりやすい。

サーバーを選んだ後、視聴したい番組のカテゴリを選択
再生画面。フルスクリーンや横回転も対応
Twonky Beamの再生手順。画面上のサーバーアイコンを選択してサーバーを表示、最後に動画を「BEAM」で選択し、再生先に「本体」を選ぶ。UIが特殊なため若干の慣れが必要
DIGA「DMR-BZT750」、「DMR-BZT600」とnasneでテスト

 対応機器の充実度がDiXiM DTV iOSの特徴。今回はレコーダとして、nasneとDIGAの'13年の最新モデル「DMR-BZT750」と'11年モデル「DMR-BZT600」を用意。クライアントとしてiPad 2を利用した。

 Twonky Beamの場合、公式にサポートしているソニー製レコーダとnasneで利用できるが、パナソニックのDIGAでは音声は再生されるものの、画面はブロックノイズが乗った状態で止まってしまい正しく再生されない。一方、DiXiMはソニー製レコーダ、nasneに加え、放送や録画番組をトランスコードして出力することでDIGAの再生にも対応する。なお、対応機種のリストについては、別記事で紹介している。

安定の高速動作が最大の魅力

再生画面。タップするとタイムシークバーや再生/停止、スキップボタンなどが現れる

 DiXiM Digital TV for iOSの最大の魅力といえるのがレスポンスの良さと安定性。iPad 2でnasneの録画番組を再生した時では、1分のニュース番組を選択すると、約2〜3秒で再生スタート地点のサムネイルを表示し、5〜6秒で再生開始する。Twonkyも7〜8秒程度で再生開始するため数値的には大きな差ではないのだが、DiXiMでは再生前にサムネイルが表示されるため、体感的にはかなりの違いを覚える。また、Twonkyでは再生開始時にブロックノイズがのることが多く、DiXiMのほうが安定して使える印象だ。

 再生関連機能も豊富で、再生画面をタップすると表示されるタイムシークバーを指でドラッグすることで、任意の位置までスキップできる。タイムシークバーを使ったスキップの反応も良く、1時間のニュース番組の半分ぐらいまでスキップした場合でも、約2〜3秒で再生してくれる。Twonkyでは5〜6秒といったところだ。

画面右上の矢印ボタンを押すと録画リストやチャンネルリスト(ライブチューナ時)の表示が可能

 DiXiM TV iOSの良さは、こうしたトリックプレイの柔軟性。再生画面で、スキップ/バックボタンをタップすると次の番組へ移動できるほか、スキップ/バックボタンを長押しすると、任意の時間(15/30/60/90/120秒)のスキップが可能となっている。例えば30秒を割当てて、CMスキップ機能としても活用できる。nasneの録画番組の場合、2〜3秒ほどでスキップが完了するのでストレスは無い。

 また、レジューム再生にも対応しているため、一時停止しておけば、次に再生する時に停止した位置から再生してくれる。レコーダの録画番組を見る場合、「ちょっとCMを飛ばす」とか、「スクロール操作が早い」、「再生位置を覚えている」など、細かな操作の追従性の良さや作り込みが、視聴体験の良し悪しを左右する。DiXiM DTV iOSでは、こうした細かなポイントをしっかり押さえている。

 Twonkyにはレジューム機能が無いほか、スキップもタイムシークバー利用のみ。レスポンスの良さなど、実際の利用シーンに即した細かな作りこみは、DiXiM DTV iOSに軍配が上がる。この点がDiXiMの最大のアドバンテージといって良い。

 なお、レジューム機能はアプリ内で完結したものとなっている。例えば、iPadとiPhoneでDiXiM DTV iOSをインストールしていても、iPadのレジューム点はiPadのみで利用し、「iPadで見た番組の続きをiPhoneで」といった使い方はできない。

設定画面。レジュームのON/OFFやスキップ時間を指定できる
スキップ時間設定
nasneとiPadでテスト
DIGAのライブチューナーで再生。再生しながらのチャンネル表示も可能となっている

 また、ライブチューナーによる放送中の番組視聴も可能だ。nasneやDIGAなどの録画機側で、放送中の番組をトランスコードしてiPad/iPhone上で再生できる。再生開始までは、nasneで14秒ほど、DIGA DMR-BZT750で11〜13秒、BZT600では18〜22秒だった。チャンネル切り替えもほぼ同じくらいの時間が必要だ。

 Twonkyでも同様の機能はあるが、DIGA対応はDiXiMだけだ。また、DiXiMでは視聴中に画面左側にチャンネルリストを表示する機能を備えているため、上位のディレクトリに戻ること無く、番組を見ながらチャンネル変更できるなど、UIの面でも細かな工夫が感じられる。

 また、iPadとiPad miniの縦画面利用時に限定されるが、ブラウザ機能も搭載。画面右上の地球マークを押すと画面の下半分にブラウザが表示され、ボタン操作でブラウザを全画面にすることもできる。

 タブブラウザ機能も備えており、3つまでのタブに対応。スワイプでタブを切り替えられる。番組を見ながらお店や出演者情報を調べるのには十分で、わざわざアプリを切り替えずに動画を見ながらブラウザが使えるのは地味ながらも便利な機能だ。

ブラウザ機能。画面右上の地球マークから選択
ブラウザの全画面表示にも対応。バックグラウンドでは動画の再生が継続している

トランスコードを活用。最新DIGAでより快適に

 DiXiM DTV iOSの特徴のひとつがパナソニック「DIGA」への対応だ。iOSデバイスにおいては、メーカーがカスタマイズできるAndroid端末と異なり、OS側でMPEG-2の再生機能を有していない。そのため、DRモード(MPEG-2 TS)の録画番組はそのままでは再生できない。

 そこで、iOSデバイスからDTCP-IP再生を行なうためには、レコーダ側で持ち出し番組機能で変換したAVCファイルを作成する、もしくはレコーダ側がAVCトランスコードして出力する機能を有している必要がある。nasneの場合は、レコーダ側で常にPlayStation Vita用の持ち出し番組を生成しているため、DiXiM DTV iOSからの再生にもこのファイルを利用している。

最新DIGA「DMR-BZT750」

 一方、DiXiM DTV iOSのDIGA対応は基本的には後者だ。DiXiMからの再生指示にあわせてDIGAがAVCトランスコードを行ない、その形式に適したプレーヤー機能をDiXiM側に実装している(DIGAの「持ち出し番組」機能で作成した360pファイルをネットワーク経由で再生することも可能だが、DIGAで持ち出し番組の作成が必要)。

 対応DIGAは2011年モデル(DMR-BZT900世代)以降だ。ただし、13年モデル(DMR-BZT850)など、'12年モデル(DMR-BZT920世代)以降では機能強化が図られており、'11年モデルでは配信解像度が360p(640×360ドット)なのに対し、'12年モデル以降は720p(1,280×720ドット)にまで向上している。ちなみに、ソニーの対応BDレコーダ('11年秋モデル以降の一部機種)は720p、nasneからの配信は480p(720×480ドット)なので、スペック的にはDIGAの'12年以降のモデルと、ソニーのBDレコーダがスペック的には画質が最も良いということになる(実際にはレコーダのトランスコード品質に依存する)。

レコーダ 解像度 方式
DIGA('12年以降) 720p トランスコード
DIGA('11年モデル) 360p
ソニーBDレコーダ 720p
nasne 480p Vita用持ち出し番組を
ファイル再生
(ライブチューナ時は
トランスコード)
最新DIGAの「DMR-BZT750」と'11年モデルの「DMR-BZT600」を比較

 今回は、720p配信の'13年の最新モデル「DMR-BZT750」と、360p配信の'11年モデル「DMR-BZT600」で画質を比較したが、よく見るとBZT750はニュース字幕の輪郭の崩れやノイズが全くなく、よりクリアだ。画面全体のノイズ感も殆ど無く、人肌も自然だ。

 人肌や建物の壁、さらに黒板の板書など、微妙な陰影や汚れの部分でBZT600だとブロックノイズが発生することがあるが、BZT750に変更するとすっきりと見通しの良い印象になるり、BZT750のほうが画質面の満足度は高い。ただし、iPad 2で見る限り、BZT600の360pでも必要十分な画質は得られているので、ニュースやバラエティ番組をチェックするといった場合にはさほど不満はない。

 なお、nasneは、Vita用の持ち出し番組を配信するため、解像度は480p(720×480ドット)となる。360pと比べると、文字回りのブロックノイズや階調の崩れなどがかなり減少し、iPad 2で使った際にはバランスの良い解像度と感じた。

720p(DMR-BZT750)
360p(DMR-BZT600)
480p(nasne)

 そして、画質以上に違いを感じるのが「動作速度」だ。前述のようにDIGAからの再生はトランスコードとなるため、再生開始やスキップ/バックなどの操作指示にあわせてDIGA側で順次変換/出力を行なっている。そのためDIGAでの再生は、nasneの録画番組再生よりはレスポンスは遅めになる。

 '11年モデルのBZT600の場合、再生指示から画面が映し出されるまで約7〜8秒、そこから実際に再生が開始されるまでにまた7〜10秒ほどで、合計15〜20秒ほどかかってしまう。一度、再生開始すれば画質面では満足できるのだが、例えば30秒スキップを行なうと、操作の反映に15〜20秒ほどかかってしまうので、トリックプレイはあまり実用的ではない。

 一方、最新のBZT750の場合、再生指示後に冒頭のサムネイルが4秒ほどで表示され、その後4秒ほどで再生開始。約7〜8秒で再生できるようになる。また、30秒スキップも7、8秒でシーンが切り替わるので、十分実用的だ。

 この動作速度の違いは、基本的にDIGAのプロセッサの処理能力などに起因するもの。3年前のDIGAで利用できるというのは嬉しいが、最新のDIGAを導入することで、DiXiM DTV iOSの魅力、そしてタブレット/スマートフォンからの利用の快適さはさらに向上する。

 また、BZT750の場合、最新録画番組をリスト表示する検索メニューがあるが、BZT600では全番組を一覧表示するため、録画番組が増えると番組のリスト表示に時間がかかる。こうした部分でも新しいDIGAのほうが使い勝手が改善されている。

写真などプライベートコンテンツ再生も

DLNAで写真を表示しながら音楽を再生

 DTCP-IPだけでなくDLNAクライアントとして、NASに保存されている動画や写真、音楽などを再生することも可能。対応するファイル形式は動画がMP4、音楽がMP3/AAC/HE-AAC/AIFF/WAV、画像がJPEG/PNG。音楽は同じフォルダ内の楽曲をシャッフルやリピート、早送り、早戻しで操作できるほか、静止画はスライドショー再生に対応しており、画像を見ながら同時に音楽を再生することも可能だ。

 ただし、写真は読み込みに時間がかかり、頻繁に再生を切り替えるとすぐにアプリが落ちてしまうため実用的には厳しい。宅内の音楽再生や動画視聴に使うのがよいだろう。

“録画番組を見る”という基本機能の使いやすさが魅力

 これまでiOSにおけるDTCP-IP再生環境はTwonky Beam一択という状況だったが、DiXiM Digital TV for iOSの登場で選択の幅が広がった。インターフェイスもわかりやすく、ブラウザ機能やレジューム機能など再生中の機能も充実しており、レスポンスも良好と非常に使いやすい。

 持ち出し機能については現状DiXiMが非対応のため、持ち出しを優先するユーザーの選択肢はTwonky Beamとなる。DiXiM DTV iOSでも早期の持ち出し対応を望みたいところだ。

 DiXiM DTV iOSのアドバンテージはDIGA対応、そして動作の快適さだ。DIGA録画番組を視聴するにはDiXiMが唯一の選択肢で、iPhoneやiPadといったiOS端末を使用しているDIGAユーザーには、文句なしに嬉しいアプリの登場といえる。

 そして、「家庭内でレコーダの録画/放送番組を見る」というプレーヤーとしての基本機能の使いやすさ、安定性はDiXiM DTV iOSが優秀だ。これまでPCやAndroid向けのアプリケーションを開発してきたデジオンの経験が活きており、再生頻度が高い人ほどDiXiMの恩恵は大きくなるはずだ。

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甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)