本田雅一のAVTrends
ディスクプレーヤーの極み。OPPO「UDP-205」のUHD BD画質とアナログ高音質
2017年7月21日 08:00
OPPOユニバーサルプレーヤーの転換点
「自分たちが欲しいと思えるブルーレイプレーヤーが欲しい」
その企画・開発のため2004年に創業されたOPPO Digitalは、今や高級ユニバーサルディスクプレーヤーでは他メーカーの追随を許さないほどの存在に成長した。ここまで急成長した背景には、高級機のスペックを備えながらも、比較的リーズナブルなプライスが付けられてきたからだ。
現在はヘッドフォン関連製品など様々な商品に手を拡げているOPPOだが、その成長を支えてきたユニバーサルディスクプレーヤーで、最近はやや“足踏み”をしていた。高級ユニバーサルディスクプレーヤーの購買層なら、必ず気にしているだろうUltra HD Blu-ray(UHD BD)にすぐには対応できなかったからだ。
OPPOとソニーは同じ半導体メーカー(MediaTek)のSoCを採用している。これまでUHD BDプレーヤーを開発するために必要なSoCはソシオネクスト(パナソニックと富士通の半導体部門を統合して生まれた企業)製とサムスンが開発していたが、それに続くViXiSとMediaTekの開発が難航したため、登場が遅くなった経緯がある。
もっとも、高付加価値のユニバーサルディスクプレーヤーを求めて本機に注目している層からみた時、結果的にではあるが、この空白期間がよりUDP-205の品質を大きく向上させ、極めて高音質の製品になったとも言える。この音質傾向の変化は、将来のOPPO製品の方向性を大きく決定付ける、転機になる製品となるかもしれない。
加えて言うならば、同じプラットフォームを共有するはずのUDP-203もそうだ。従来の、つまり2K BD時代のOPPOユニバーサルプレーヤーは、その進化の過程でさまざまなニーズを取り込んできた。USB DACとして進化し、インターネットコンテンツのプレーヤー、DLNAレンダラーとしても進化してきた。その進化の系譜こそが、ユーザーオリエンテッドな商品開発を象徴していた。
一方、先行して発売されているUDP-203がそうであるように、UHD BDに対応した新プラットフォーム以降のOPPO製ユニバーサルプレーヤー(型名が“BDP”ではなく“UDP”となってから)は、Netflixに代表されるネットワークサービスのクライアント機能が省略された。
BDP時代は多種のネットワーク映像配信サービスが勃興した時代、テレビ側に再生機能が搭載されていなかったり、それらの再生機能を持つ端末が限られていたりと、時代が変化する移行期にあった。このため、ソフトウェアアップデートで多様なサービスへと接続させていくことが必要だった。
しかし現在、それらサービスに接続する手段は選び放題となっており、今後も多くのサービスが登場し、既存サービスもアップデートが継続的に行なわれ、さらには便利で安価な受信端末が選べるようになると考えたとき、UDP世代ではユニバーサルディスクプレーヤーとしての本質に立ち返り、品質やユーザーインターフェイスを磨くのが適切だと考えたという。
もちろん今後、プラットフォームを熟成させていく上で何らかの機能を追加していく可能性はあるだろう。他のOPPO製品がそうであるように、本機にも適時機能追加を含むアップデートが継続的に提供されると見られる。実際、最新のUDPシリーズ向けファームウェアではDolby Vision対応ディスクの再生機能が追加された他、DTCP-IP経由でのライブチューナー配信(主にパナソニック製レコーダとのDLNA配信で使われることが多い)の再生に失敗する不具合といった日本市場向けのこまめな修正も入っている。
本機を使い始める前までは、Netflixなどへの接続機能がない点を少しばかり懸念してたのだが、実際に運用をはじめてみると、他にネットワークサービスへの接続機能に長けたデバイスも多く、本機で再生できないことが大きなマイナスだとは感じなかった。
一方でユニバーサルディスクプレーヤとしての本分である、光ディスクコンテンツとLAN共有したデジタルメディアファイルの再生能力に関しては、BDP世代を大きく上回る実力だ。UHD BD、2K BD、DVD、CDなどはもちろん、SACD、それに今や入手困難なDVD-Audioまでも再生可能だ。
“日本仕様”から本家OPPOに生かされたノウハウ
“空白期間の長さがOPPOの音を変えた”と書いたが、そう表現したのはBDP-105D JAPAN LIMITED(2015年8月発売)の存在があったからだ。OPPOは通常ならハイエンド製品に用いられるような最新の高級DACを搭載し、それを安価な価格設定で提供してきたメーカーだ。いわゆるアナログオーディオ的なアプローチでの品質改善よりも、理詰めで効率の良い開発手法を用いていた。
そんなOPPO本社は当初、ダブルレイヤードのシャシーやタオック製鋳鉄インシュレータ、電磁波吸収素材をふんだんに使った輻射波対策、BDドライブを強靱なシェルに収めてマウントすることで振動対策を行なうといった、JAPAN LIMITEDに施されたチューニングに対して前向きではなかったという。
しかし仕上がったJAPAN LIMITEDの音が明らかに改善されていたことが、OPPO Digital本社の判断基準を大きく変えたようだ。
もちろん、JAPAN LIMITEDと同じぐらいの社外素材を用いた贅沢な作りはできない。だが、手の届く価格のグローバルモデルとして見合う範囲での音質対策が、本機には行なわれている。それでいて価格はBDP型番の時と同じというのだから、これはかなり思い切った設定だ(UDP-205の実売価格は20万円前後)。
もちろん、UDP-205の素性のよさは、ESS製の最新DACチップSABRE32PRO「ES9038PRO」を搭載しているからでもある。100万円を越えるハイエンドクラスの製品にも搭載されるこのDACを低価格なUSB DACに搭載したOPPOのSonica DACがそうであるように、本機の基本的な音の品位、素性を決めているのは今回もES9038PROだ。
しかしながら、JAPAN LIMITEDでの経験を活かし、費用対効果のバランスを取りながら音質対策を行なっていることで品位を整えているのである。
たとえば電源回路もまったくの新規設計。アナログ系、デジタル系で信号系統を分けるのはもちろんのこと、アナログ側にはトロイダルトランスを用いた大容量アナログ電源を投入している。UHD BDドライブもシェルに収めた上で、中央線より下に配し、さらに金属製インシュレータ(BDP時代は中空のプラスティックの脚で、インシュレータとは言い難いものだった)を採用。ダブルレイヤードシャシーもJAPAN LIMITEDから引き継ぎ、この価格クラスとは思えない堅牢な作りとなっている。
その結果、詳細な音質傾向は後述するが、USB DAC機能付きのユニバーサルディスクプレーヤーという、ある意味究極の複合機であるにもかかわらず、単機能のDACであるSonica DACを超える音質を実現している。
「価格クラスを越えた」は、もはやOPPOの新製品を紹介する際の常套句とも言える表現だ。しかし、従来はそれが「最新・最高峰の部品を採用しながらも……」という文脈だったのに対し、今回の製品は「最新・最高峰の部品を採用しただけでなく、そこから費用対効果の高い音質対策を徹底して行なった……」という、オーディオ&ビジュアル製品メーカーとして、さらに一歩進んだところにまで到達したと言えよう。
HDMI音質対策を徹底
もうひとつ、UDP-205で紹介しておきたいのが「HDMIオーディオ・ジッターリダクション回路」を取り入れたことだ。実は従来機において、HDMI出力の音質はOPPO製プレーヤーの弱点だった。
そもそも、HDMI規格は映像伝送用に作られているため、その送信時の同期クロックは映像信号のために設定されている。音声情報は映像信号の合間に、細かく分けて送っているのだが、音声信号用のクロックは映像信号用の同期クロックから復調してレシーバー側で生成される。つまりどう伝送したとしても、音声のデジタル信号は映像信号用の同期クロックの品質に依存せざるを得ない。
そこで、映像出力に加え、もう一系統のオーディオ専用HDMI端子を用意するプレーヤーは多い。こうしたオーディオ専用のHDMI端子は音声信号のほか真っ黒な映像を出力することで同期クロックを安定させ、音質の向上を狙ったものだ。
OPPO製プレーヤーもBDP-105DJPの中間アップデートからこの手法が導入されているが、パナソニック製プレーヤー/レコーダは、そこからさらに一歩踏み込んだ音質対策を行なっている。ジッターが最小になるようHDMI伝送パラメータを選択し、ジッターの発生周期を均一化した上で、ゆったりとした低周波の揺らぎにコントロールすることで、音質傾向もコントロールしている。
これに対し、UDP-205は、パナソニックとは異なるアプローチで、この部分に本格的なメスを入れた。オーディオ専用HDMI回路上の専用の処理チップを搭載し、映像信号用クロックを破棄して再度マスタークロックを生成。その際、高周波クロックを生成できるSAWというデバイスをマスタークロック生成に用いることで、音声信号用クロックのジッターを直接低減させている。こうした取り組みはデバイスの精度を向上させる点で基本的なアプローチだが、UDP-205がユニークなのはオーディオ専用HDMI出力の接続を「1080/60pモード」固定としたところにある。
HDMIのオーディオクロック(fs)は、「128*fs = fv * N / CTS」となるように作られる。fsがオーディオ用クロック周波数、fvはビデオ用クロック周波数で、NとCTSはメーカーが自分で指定する値だ。ところが、ここで問題が生じることがある。たとえば、fsとfvが割り切れない関係にある場合、CTS値を固定できない。その場合、こまめに調整して音声信号のサンプリング周波数に無理やり近づけるしかなく、また映像との同期のために少し早い・少し遅い音声信号用クロックを交互に割り当てて使うしかないことになる。結果的に、厳密には本来のサンプリング周波数とは異なる値でアナログ変換することになり、大きなジッターが発生してしまう、というわけだ。
しかし、この問題への対処がまったく不可能か? といえばそうでもない。1080/60pモードで接続してビデオ用クロック周波数に148.5MHzを選択、Nを6272、CTSを165000にすれば、44.1kHzの信号が取り出せる。実は148.5MHzというビデオ用クロック周波数を使うと、NとCTSを変えることで、必要な32kHz~192kHzまで、44.1kHz系列も48kHz系列も均一な伝送が可能になる。UDP-205では、映像出力をどのように選択してもオーディオ専用HDMI出力のモードは固定とすることで、fsとfvが割り切れない関係になることを防いでいる。
ただし、一般的なクリスタル発振子から148.5MHzを作る発振器を基板上に構成しても高音質にはならなかったという。そのためOPPOは、より安定して高精度な高周波クロックを生成できるよう、パッケージ化されたSAW発振器をセイコーエプソンに依頼して開発したそうだ。
SAWはSurface Acoustic Waveの略で、クリスタル発振子が高調波発振でクロックを生成するのに対して、SAWはマイクロマシンの技術を用いて高周波数のクロックを単独発振できる。結果、揺らぎが少なく低ジッターな148.5MHzが取り出せる。
実際にジッターを計測すると、従来よりも5dBもジッターが減ったというから、極めて大きな違いだ。
この回路はメイン基板とは別に設計されており、もちろんUDP-203には採用されていないUDP-205だけの付加価値ということになる。ちなみに、BDP-103DJPとBDP-105DJPとBDP-105はメイン基板がまったく同じだったが、今回は回路設計こそ共通だが、基板構成やレイアウトは別仕立てとして画質・音質を優先しているそうだ。
本機を最大限に活かすには内蔵DACからの出力をアナログでアンプに入れるのも良いのだが、サラウンド音声やイマーシブ音声などは、配線やスピーカーセットアップ設定を簡素化できるHDMI経由でつなぎたい。UDP-205に施されたジッター対策により、躊躇なくHDMI音声出力を選択できるようになった。
ES9038PROの圧倒的な情報量を活かす、アナログ音声出力の充実
さて、冒頭では、ネットワークサービスにも直接対応する機能が省略された、と書いたが、一方でUSB DAC機能は従来以上に磨き込まれている。USB A端子も背面の端子がUSB 3.0(USB 3.1 Gen1)となったことで転送速度が向上。音質が高まっているほか、USB DACとして使用する場合は、PCMならば768kHz、DSDならば22.5MHzまでのサンプリング周波数に対応する。
また搭載されるES9038PROは2個で、アナログバランス出力の2チャンネル分にまるまる1個を割り当てている。ES9038PROは8チャンネルDACなので、4チャンネル分のDACブロックを並列化(ESSのDACは内部フルバランスなので、実際にはその2倍のDACが動作している)することで音質を稼ぐ設計だ。マルチチャンネルのオーディオファイルを再生する際は、フロントL/Rはバランスから、それ以外はアナログアンバランス出力から出すことも可能である。
本機をマルチチャンネル対応のUSB DACとして捉えても、なかなかのスペックだが、素晴らしいのはスペックだけではない。USB DACとして音質を評価しても、本機はかなり優秀だ。価格が約半分とはいえ、単機能かつ同じDACチップを採用する同社製Sonica DACと比較しても、揺るぎないピラミッドバランスの音域バランス、中域の豊かな表現力、そしてS/N感など、あらゆる要素で上回る。
これらは電源の容量の大きさやアナログ/デジタル分離電源、シャシー剛性やインシュレータなどの違いから来るものだろうか。
Sonica DACも、10万円でES9038PROの圧倒的な情報量、S/N感の良さを体験できるという意味では素晴らしかったが、本機はその延長線上にあるものの、まったく別世界と言っていい。まずは中低域から低域にかけての厚みと重量感に驚かされるかもしれない。高域は良い意味でクセがなく素直に伸びやかに鳴り、音場の消え際まで美しく描ききる。
しかし本機の最大の良さは、充実したふくよかな中域を中心に、表情豊かにディテールを深く描いてくれることだ。音像と音像の間にある空間を埋める音の密度が高く、とりわけ生演奏のジャズやクラシックを聴いていると、ステージ周辺に漂う緊張感のようなものが伝わってくる。演者の音像、音の芯は細書きで細かく描かれるが、そこから拡がる音の表情が豊かで、同じ演奏を聴いても、より抑揚が深く、表情の違いを明確に描き分ける。
こうした傾向はアナログアンバランス端子からのマルチチャンネル出力でも一貫しており、これまでのOPPO製品にはなかった落ち着きだ。一方で音の厚み、表情の深さは出ているものの、暑苦しさを感じない、サラリとした描き方はブランドとしてのOPPOの根底にあるものだろうか。より高い温度感、温もりが欲しいとなると話は変わってくる。しかし、ユニバーサルディスクプレーヤというカテゴリで本機に迫る製品が一切存在していないことを考えれば、素直な音作りの本機を基礎に自分好みの音へとセッティングで追い込むのが、最終的な満足を得る上では一番の近道となるはずだ。
HDMIとアナログ出力の使い分け。アナログマルチ接続の魅力
さて、筆者はこの製品をヤマハのAVセンターCX-A5100+MX-A5000、およびLINNのKlimax DSMと共に使っている。CX-A5100のプリアウトをKlimax DSMのアナログバランス入力に接続し、ユニティボリューム(ゲインゼロのボリューム位置に固定する機能)で鳴らし、Klimax DSMで音楽を直接再生するときのみ、その内蔵ボリュームを使うというスタイルだ。
UDP-205をテストするにあたっては、HDMI、アナログバランス(L/R)、アナログアンバランス(サラウンドチャンネル)と三つの経路で接続、テストしてみた。なお、前述のUSB DACとしてのテスト時は、Klimax DSMをプリアンプ代わりに本機を直結していたが、今回は上記のパターンでCX-A5100へとUDP-205の出力を入れてテストしている。
まずHDMIの音を聴いてみた。なぜなら、前述したようにHDMI出力の音質は従来のOPPO機にとって鬼門だったからだ。筆者はパナソニックのDMP-UB900も所有しているため、UB900とも比較した。HDMIケーブルはKordzのLUXを用いた。
これまでは、HDMIのジッター対策を長年積み重ねてきたパナソニックが優位な領域だったが、UDP-205では音質傾向こそ異なるものの、品位という面では匹敵するレベルにまで一気に上昇している。いや、追い抜いたと言っても過言ではない。
パナソニックの技術は発生してしまうジッターを高周波領域ではなく、低周波のゆらぎとなるように伝送を工夫するものだったが、OPPOのアプローチは伝送プロトコルに起因する情報伝送密度の不均一性を根本からなくすものだからだ。
パナソニックのHDMI音質は、従来から音像が明瞭で音数も極めて多いという印象だったが、UB900はそこに音場表現の軟らかさが加わるようになっていた。一方、UDP-205はS/N感がよく見通しの良い広い音場が拡がる。音像も硬軟描き分けられ、奥行き感のある立体的な音場が生まれてくる。
音像はUB900の方明瞭で、ハッキリとメリハリの効いた音質が好きなのであれば、UB900の方が好ましいと感じる人もいるかもしれない。しかし、質感の表現の豊かさ、音の佇まいといったものはUDP-205の方が優れている。より音楽的に洗練された印象を受けるのだ。
どちらの音傾向が好きかはともかく、品位の面でHDMIというインターフェイスをオーディオ伝送用として、はじめて昇華させた製品と言えるかも知れない。これだけでも充分に本機を選ぶ理由となり得る。
しかし、UDP-205の魅力を100%引き出すのであれば、やはり全チャンネルのアナログ接続に挑戦してほしい。というのも、全チャンネルをアナログ出力し、完璧に調整すると、かつて聴いたことがない極めて密度の濃いサラウンド音場が愉しめるからだ。
従来機から飛躍的に向上したHDMI出力音声もいいのだが、ES9038PROを駆使したサラウンドはまたひと味もふた味も違う。思わず、久々にSACDマルチチャンネル、DVD-Audioといったマルチチャンネルソースを引っ張り出してきて、長時間、聞き入ってしまったほどだ。
イマドキ、多数のアナログケーブルを使ってマルチチャンネルもなかろう……と思うかもしれないが、その努力に見合うだけの結果が得られる。マルチチャンネルのオーディオソースは確かに多くはないが、すでに持っている方や、音楽もののブルーレイを集めている読者ならきっと気に入るだろう。
メリハリある透明感ある画質に変貌。筆者宅のメインプレーヤーに
映像プレーヤーだというのに画質についてが最後になってしまった。
OPPOの新旧モデルの比較という意味では、UHD BDの再生にはじめて対応したのだから、4K映像ソースに関しては比較する相手がいない。が、ブルーレイの再生だけを取ってみても、BDP-105DJPに比べコントラスト感とS/Nの向上が感じられる。特に暗部のS/Nは良くなっており、白ピークが伸びて見えることと相まって、全体にメリハリのある透明感溢れる画質へと変貌した。
あるいはこのあたりは、システムLSIの世代が進んだことで映像処理プロセスの変化なのかもしれない。ただし、同じチップを使うUDP-203と比べても映像の情報は増えていると感じるので、電源などの影響もあるのかも知れない。
一方、UHD BDに関してはUB900がライバルとなろう。UB900は4K領域でも、縦・横双方にマルチタップのクロマアップサンプリングを施すのが特徴だ。その結果、色解像度が全方位に高まり、全体がパリッと密度感の高い映像になる。
UHD BD「ハドソン川の奇跡」は、極めて優秀な画質を誇る精細感の極みとも言える作品だが、本機の画質をUB900と比べながら解析的に見ていくと、タイムズスクエアを機長がジョギングするシーンで、明確な違いが見られた。
ほんの少しだけUB900の方が高解像度に見えるのだが、タイムズスクエアに配されているLEDサイネージのエッジ描写が、UB900の方が高い。具体的には横方向にはマルチタップでのクロマアップサンプリングが双方ともに行なわれているようだが、縦方向のアップサンプリング精度は、UB900の方が高いようなのだ。
ただし、フルHDではなく4Kでの差異のため、ブルーレイ時代よりはその違いを感じにくくなっている。ブルーレイ画質の大きな進歩や音質の良さは、本機を積極的に選ぶ理由になるはずだ。
筆者自身、シアターで主に使うプレーヤーはUDP-205になっていくだろう。
ただし、ひとつだけ注文がある。
HDR非対応ディスプレイやプロジェクターと組み合わせて使う場合、プレーヤーがHDRからSDRの変換を行なう。このときの特性をEOTFというが、UDP-205はEOTFのカーブが固定されており、細かな調整を行なうことができない。現実のHDRコンテンツは、さまざまな収め方をしているため、EOTFを最適化しなければ(HDR収録のUHD BDよりも)2Kのブルーレイの方が画質面で有利に感じることも少なくない。
だが、OPPOのここまでの実績を考えれば、こうした点も研鑽を深めて何らかの解を出してくることが期待できよう。アップデートによる進化と、その進化を支えるプラットフォームの構築が、短期間でOPPOブランドを押し上げてきた要因なのだから。
(協力:OPPO Digital Japan)