レビュー

見せてもらおうか。OPPO UDP-205の性能とやらを! 今年の人気UHD BD総当たり

JAPAN LIMITEDユーザーなので……

 2017年始から春にかけ、続々とUltra HD Blu-rayプレーヤーが登場した。レコーダや普及価格帯のもの中心ではあったが、やや遅れての7月に登場したのがOPPO Digitalの「UDP-205」(実売価格23万9,760円)だ。BDプレーヤーのBDP-10xからUDP-20x(Universal Disc Player)に一新されたOPPO Digitalのフラッグシップユニバーサルプレーヤーだ。

 ユニバーサルプレーヤーとしての高機能は、OPPOのプレーヤーの特徴だが、UDP-205では、Ultra HD Blu-ray(UHD BD)対応に加え、DACチップにESSの最新ハイエンド製品「ES9038PRO」を2個搭載、HDMIオーディオ出力の高音質化、二重構造の頑強なシャーシ設計など、ディスク再生機の最高峰を追求したその実力で話題となった。

 春先に有機ELテレビを購入した筆者が、真っ先に飛び付くはずの製品だが、当面は静観を決めていた。なぜならば、(資金が枯渇していたからではなく)手元にBDP-105D JAPAN LIMITED(BDP-105DJPL)があるからだ。

 BDP-105DJPLは、日本向けのスペシャルチューニングモデルで、主に音質の向上を目指した数々のチューニングが加わっており、2重構造のシャーシや金属製インシュレータは、UDP-205に受け継がれた部分でもある。

 UHD BDにこそ対応はしないが、こと音質に関しての実力は今も第一線にあり、CD/SACDや音楽BDの再生用として連日稼働している。音声出力は7.1chのすべてがアナログ出力(フロント2chはバランス出力)だ。

 UHD BDについては、パナソニックのDMP-UB900が稼働中で、こちらも大きな不満はない。UDP-205の実力については疑いの余地はなく、いずれは手に入れることになるとは思っているが、BDP-105DJPLとDMP-UB900がある今、購入を急ぐこともないと、考えていた。

 そして、あっという間に12月。この間にも、UDP-205は他の専門誌の視聴においてリファレンス機として使用されていることもあり、実際の実力もわかってきた。ということで、いよいよ我が家に招き入れ、お手並みを拝見させていただくことにした。UDP-205に応するのは、今年買い集めた見慣れたUHD BDの数々だ。

風格とセンターメカが格好いい

 さっそく我が家のラックに設置してみたが、ラックの上下にあるUDP-205とBDP-105DJPLは、比べてみると結構違った部分が多い。ロゴマークの位置も違うし、渋いマット仕上げが、UDP-205では光沢のあるヘアライン仕上げとなり、より精悍さを増した印象になっている。

ラックの上段に設置したUDP-205。下段にあるのがBDP-105DJPL。フロントマスクだけを見比べても、ずいぶんと顔付きが変わっているのがわかる
UDP-205。ディスクトレイが下部に移動し、低重心化を果たすなど、細部が変更されている

 それにしても、センターメカマウントのプレーヤーは格好が良い。UDP-205はディスクトレイの位置が下がっているので、そのたたずまいも風格を感じる。筆者はピュア・オーディオよりもオーディオ&ビジュアルの人なので、DVD時代からディスクプレーヤーはユニバーサルプレーヤーを使っているが、オーディオ用のSACD/CDプレーヤーの風格のある顔付きにコンプレックスを感じないでもなかった。しかし、UDP-205ともなると、もはやそんなコンプレックスは微塵も感じない。堂々とSACDを再生していると自慢したくなる(借用中の機材だが……)。

センターメカがかっこいい

 雑談はさておき、細部を見てみると、従来は一枚の鋼板をコの字状に折り曲げて天板と側板を兼ねたトップカバーとなっていたが、BDP-205ではサイドパネルと天板が独立した構造になっているなど、筐体設計は大きく変わっていることがわかる。

 背面には、2系統のHDMI出力(メイン出力/オーディオ専用出力)があり、HDMI入力も備える。同軸/光デジタル入出力やUSB DAC端子なども備えるが、2chアナログ音声出力(バランス/アンバランス)と、8chアナログ音声出力(アンバランス)が大きな魅力。このあたりは、BDP-105DJPユーザーとしては“マスト”と言いたくなるポイントだ。

UDP-205の側面。サイドパネルと冷却のための放熱口が空いた天板は一枚ではなく分割された構造になっている。
UDP-205の背面の接続端子。充実したアナログ音声出力など、BDP-105DJPLの装備を継承している

 なお、UDP-205ではNetflixなどの動画配信サービスの視聴機能が省かれて、付属リモコンからも当該のボタンがなくなっている。こうしたサービスは、薄型テレビ側がしっかり対応しているし、UHP-205には4K+HDRに対応のHDMI入力を備えているため、Fire TVなど接続し、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの4Kコンテンツにも対応できるので、あまり気にしなくていいだろう。

UDP-205のリモコン

 まずは設定などを確認してみた。UDP-205ではメインメニューをはじめとしてユーザーインターフェースが一新されている。うれしいことに操作のレスポンスも向上しており、サクサクとよく反応する。本機はディスクプレーヤーとしてだけでなく、USBメモリーまたはUSB HDD経由の音楽/写真/動画の再生やネットワーク再生機能もあるが、サクサクと動く軽快なインターフェースで、ストレスなく使うことができる。

UDP-205のホームメニュー。下段に操作アイコンが表示され、アイコンを選んで機能を呼び出す仕組み。上部の写真はアイコンごとに異なるものに切り替わる

 設定などの主な項目については、BDP-105DJPLとほぼ同じ。OPPOのユニバーサルプレーヤーユーザーであれば、困ることはないだろう。再生設定はディスク再生の基本設定で、ビデオ設定は画質調整やHDR設定といった映像系の設定。オーディオ形式設定はSACDやDVDオーディオといったメディアによる再生設定で、オーディオ出力設定は、デジタル.アナログ出力の信号種別の切り換えなどの設定と一般的なもの。

 UDP-205ならではの設定が、ビデオ設定にある「HDR設定」だ。HDR信号のオン/オフを選択できるほか、UHD BDなどのHDRコンテンツをHDR非対応のディスプレイで再生するHDR-SDR変換時の輝度ダイナミックレンジを微調整できる「ターゲット輝度」という設定もある。調整によって画面が明るく/暗くなるので、使用するディスプレイに合わせて適切な明るさになるように調整するわけだ。

「再生設定」で、字幕の移動やソフト再生中に重ねて表示されるOSDの位置などを調整できる
「ビデオ設定」では、画質調整やHDR設定、出力解像度などの設定が可能。4Kアップスケールも
「画質調整」の画面。調整項目は基本的なもので、Mode1やMode2など複数の設定をメモリーしておける
「HDR設定」の画面。HDR信号の切り換えや、SDR変換時の「ターゲット輝度」の調整が行なえる
ターゲット輝度の調整画面。実際にはバックに再生中の映像が表示され、数値にあわせて映像の明るさが変化する

 「オーディオ形式設定」は、各オーディオ出力からの信号の種別を切り換えできる。基本的には初期値のままで良いが、AVアンプを使う場合は対応する信号に合わせて設定を変更する。

 「オーディオ出力」は、出力信号の可変/固定の切り換えや、アナログマルチ音声出力を使用する場合のスピーカー設定やクロスオーバー設定が行なえる。AVアンプの初期設定と同様に、スピーカーの大小や距離、レベルなどを設定する。

 ユニークなのが、フィルタ特性。D/Aコンバーターのデジタルフィルターの特性を7種類から選ぶことができる。フィルターによって微妙だが音質が変化するので、好みに合わせて使用できる。晴れてユーザーとなった日にはじっくりと使いこなしてみたい。

「オーディオ形式設定」の画面。HDMI音声出力やS/PDIF出力(光/同軸デジタル出力)の出力信号を切り換える。このほか、SACD再生時に優先して再生される記録レイヤーの選択なども行なう
「オーディオ出力設定」の画面。音声出力の音量調節をはじめ、フィルタ特性の選択やスピーカー設定などがある
フィルタ特性の一覧。専門的な知識が必要だが、フィルタ特性がそのまま名称になっているものが多い。
オーディオ出力設定の後半。ヘッドフォンの音量やXLR端子(バランス出力端子)の極性の切り換えも行なえる
スピーカー設定の画面。各スピーカーごとに、サイズや距離、トリム(音量)を設定できる

まずはネットワークオーディオ再生で、音の実力をチェック

 UDP-205はUHD BD対応が一番の特徴だし、筆者もそこに注目している。もちろん、この記事もお気に入りのUHD BDを集めて試聴し、その実力をチェックするという趣旨。なのだが、その前にBDP-105D JAPAN LIMITEDユーザーとしては、オーディオ再生の実力も確かめておきたい。

 ネットワークオーディオはDLNAベースのもので、一般的なNASやサーバー共有機能を使っているPCなども認識する。

 ネットワークオーディオ再生時も、NASの表示やフォルダ内の楽曲表示はなかなか高速で、ネットワークオーディオ専用プレーヤーと変わらない使いやすさ。こうしたテキスト主体の映像を有機ELテレビで表示すると、(焼き付かないか)ちょっとひやひやするのだが、リモコンの「ピュア・オーディオ」ボタンを押すと瞬時に映像出力がカットされるので安心。画面を見たいときはもう一度ボタンを押すと、すぐに映像が表示される。

家庭内ネットワークに接続されたDLNA機器のリスト。それぞれに機器が持っているアイコンまで表示される。
音源を保存したNASの内部。フォルダーやアーティスト、アルバム別などでの検索が可能だ

 まずは、最近よく聴いているテオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナによるチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を聴いた。音が出てすぐに感じるのは、S/N感の良さ。クラシックのオーケストラの配置やホールの響きがわかるような奥行きのある音場も見事だが、各楽器の音が広い音場にくっきりと浮かび上がる。輪郭を立たせて音像を立たせるような感じではなく、静かな空間に音が鮮明に定位する印象だ。このS/Nの良さについては、BDP-105DJPよりも明らかに上回っている。

 音楽がぐっと盛り上がっていくときのダイナミックな力強さもしっかりとしているが、むしろ整然とした音の配置の緻密さがよく出ていると感じる。テンションの高い演奏のキレ味はさらに鋭さを増しているが、音色はむしろ穏やかと言えるほどにナチュラルな感触で、リアルな音になったと思う。

楽曲を再生したところ。ジャケットアートの表示も高精細

 続いて、「君の名は。」のサントラから、RADWIMPSの「前前前世[movie ver.]」などを聴いた。勢いのよい歌唱や力強いリズムもしっかりと出るが、どちらかというと音の情報量が豊かで、ギターやベース、ボーカルといった音をきめ細かく再現する。キツい音になりがちな高音域も実になめらか。音の感触としてはピュア・オーディオの質の高い表現力を得たと感じる。

 BDP-105DJPLはどちらかというと、もっと情感の豊かな鳴り方で、これはこれで楽しいし、聴き手の気分も高揚していくようなダイナミックさではこちらが上回る。ただし、S/N感や細かな情報量、雑味のない研ぎ澄まされた音の質感はUDP-205が上手だ。BDP-105DJPLの方が高価で徹底したチューニングが行なわれているため、音質については優位とも思っていたのだが、DACチップが最新になったことをはじめ、より進化した部分もあると感じた。単純にどちらが上とは言いにくい仕上がりで、BDP-105DJPLのユーザーとしてはなかなか悩ましい選択になりそう。

いよいよ、UHD BDの実力を徹底的にチェックする

 ではいよいよUHD BDのチェックをしよう。まずはUHD BDとしては数少ないアニメ作品であり、大ヒットを記録した「君の名は。」を見た。HDMI出力は、4K出力をするメイン側を有機ELテレビの東芝「55X910」に直結。HDMI伝送時のオーディオジッターを排除するHDMIオーディオジッターリダクション回路を介したオーディオ専用HDMI出力は、AVアンプ デノン「AVR-X7200WA」に接続している。ここで肝心なのは、あえてアナログオーディオ出力とせず、HDMI接続で音声信号も伝送していること。音質向上が図られたHDMI出力の実力をチェックするためだ。

「君の名は。」Blu-rayコレクターズ・エディション4K Ultra HD Blu-ray 同梱5枚組 初回生産限定
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 HDMI出力の音は、圧巻だ。アナログ出力でも感じたS/Nの良さもあるし、雑味がなく純度の高い音に仕上がっていると感じた。音質的には有利とは言いにくいHDMI出力の音としては見事なものだ。解像度の高い冴えた音という印象はアナログ出力と共通したものがあるし、それでいて中高域はのびのびとし、耳障りになるキツさはない。高周波ノイズなどの影響による高域歪みなどがなく、実にナチュラルな高解像度の音。

 だから、オープニングをはじめとして、要所で使われるRADWIMPSのボーカル曲も生き生きと再現されるし、御神体のある場所へと向かう場面での木々のざわめきや川の水の音や、ラスト付近でふたりが出会う場面の風の音といった音が豊かな空間に響き渡っていることが見事に再現された。もちろん、発電所の爆破シーンや彗星の落下の場面では、激しい爆発が空気を振るわせる感じ、大きな音が周囲に広がっていく様子まで鮮明に再現される。

 結論めいてしまうが、HDMI出力の音の良さを考えると、UDP-205は、BDP-105DJPLだけでなくUHD BDに対応した他のどんなプレーヤーも及ばない。UHD BDでは、Dolby AtmosやDTS:Xといったオブジェクトオーディオによるサラウンド音声の採用が多く、それらはHDMI出力でないと伝送できない。だから、HDMI出力の音の良さはUHD BDプレーヤーでは重要なポイントなのだ。

 また、映像の実力もかなりもので、S/Nの良さがはっきりとわかる。「君の名は。」は、映像にアナログ的なノイズを付加しているが、ノイズの粒子が細かくざわざわとしないため、映像の邪魔にならず、アナログ的な質感を感じさせる本来の役割を果たしている。このためか、作品の魅力である発色の鮮やかさ、豊かな色づかいも際立っている。色の階調や暗部の階調も実になめらかで、特に暗部のざわざわとした感じのない清潔感のある再現は見事だ。

 ディテイルの再現は、他社製品と大きな差はないが、S/Nや階調の良さがあいまって、より情報量が豊かだとすら感じるほど。このあたりは、しっかりとしたシャーシ設計や低重心でマウントされたドライブメカといった振動対策、そして厳重なノイズ対策の効果がもたらしていると思う。

 続いては、実写のスパイ映画「マリアンヌ」。夜の街の暗さと街灯の眩しい光のコントラストが見事だ。真っ黒に近い深く沈んだ夜空は吸い込まれるような真の闇で、そこに街灯や自動車の金属的な光沢が映える。この作品は、スパイ活動を行なうふたりの男女の愛をスリリングに描き、最後の最後まで見逃せない緊張感の高いドラマが魅力だが、映像的にも「レヴェナント 蘇りしもの」に匹敵すると思えるほど質が高い。そんな質の高い映像をじっくりと楽しめる。

マリアンヌ 4K ULTRA HD + Blu-rayセット

 また、アパートの屋上でふたりが語り合う場面は、HDRが必須と感じるぐらいの薄暗い場面なのだが、UDP-205によるHDR再生では、屋上からの街並みの見晴らしが明瞭で、暗部の再現性の豊かさにうならされる。雑味がまったくなく、建物の外壁や屋根の質感がよく見えるのだ。

 今後はUHD BD版「ブレードランナー ファイナルカット」。古い映画ではあるが、特撮シーンは6K、実写シーンは4Kでマスタリングされており、古さをまるで感じさせない仕上がりだ。映像的な素晴らしさは語り出すと止まらないほどだが、それが実に鮮やかに再現された。現在のフルデジタル製作のSF作品とは感触は違うが、十分に最新の映画と比べても質の高さがわかるもの。

ブレードランナー ファイナル・カット 4K ULTRA HD&ブルーレイセット(2枚組)
(c)2017 The Blade Runner Partnership. All Rights Reserved.

 本作は「最終版」で大規模なデジタル修復が行なわれているが、DVD版やBD版では気付かなかったディテイルが数多く蘇っており、さんざん本作を見た人であっても、何度でも見るべき作品だ。たとえば、デッカードが追うレプリカントのリーダーであるロイの上半身に入れ墨が入っているとか、ブラッドベリ・アパート周囲のレトロな街並みの落書きなど、そういったさまざまなディテイルがより鮮やかに再現される。

 とはいえ、UHD BD版の「ブレードランナー ファイナルカット」の真の魅力はドルビーアトモスを採用した音声だ。オープニングの深い低音の響きからしてまったく違う。最低音域まで伸びているような深さと、空間に響く余韻の広がりが見事だ。空を飛ぶスピナーがロサンゼルスの上空を飛行する場面では、後ろから追い抜いていく他の車の移動音が実に明瞭で実体感のある再現となる。前後左右の移動はもちろん、高さ方向の再現も含めて、最新の映画と遜色のない臨場感がある。そして、ヴァンゲリスによる音楽が実に美しく響く。ラストシーンでのロイとの対決は生々しい音が実にスリリングだ。

 今度は、痛快なアドベンチャー作品「パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊」。ジャック・スパロウたちの繰り広げる大暴れが楽しい作品だが、海賊たちの薄汚れた姿を実に汚らしく描いてくれる。ブラック・パール号をはじめとする海賊船も、使い込まれた船の感触がかなりリアルで、それがCGてんこ盛りの奇想天外なアクションを繰り広げていくのが実に楽しい。

パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊 MovieNEX
(C) 2017 Disney

 そんな遊園地のアトラクションを体験しているような臨場感が味わえるのは、密度の高い情報量豊かな映像だろう。レンズによるフォーカス感まで実にきめ細かく再現されるので映像が立体的に感じるし、生々しい音が立体的に展開するので、その場に居る感じになる。こうしたリアリティを感じる映像と音の再現が、それなりのコストを投入してようやく得られるものなのだろう。高級機の底力をまざまざと実感できる凄みのあるリアルさだ。

 最後は、BBCが制作した「プラネット・アースII」。残念ながら日本版はまだ未発売で、輸入盤だ。前作も高精細な映像は見事なものだったが、4K+HDRとなった本作はさらに生々しい映像になっている。まずはテレビの解像度がさらに高まったかのような密度の高い映像に驚くが、小さな昆虫を顕微鏡で拡大して見たような緻密さだけでなく、昆虫が居る木の枝、その背後の密林をスムーズな立体感で描いている。さまざまな舞台で数多くの動物や昆虫といった生き物が登場するが、その毛並みの美しさ、図鑑などの美麗な写真が動いているような感覚は、実に素晴らしい。

 UDP-205で驚くのは、こうした精密な映像が、実に自然で生々しく再現されたこと。高精細すぎて逆に違和感を感じるようなこともなく、緻密だが強調感や不自然さのない滑らかな再現なのだ。

 地球のさまざまな自然とそこに住む生き物をリアルに捉えた本作は、その場に行くことも難しいような高い山、ライオンやゾウといった猛獣たちが生きるための戦いを繰り広げる現場に間近に迫るなど、その場所に行けば誰でも体験できるようなものではない。テレビ技術がもたらした、もうひとつのリアルな映像だ。そんな映像の迫真性がより一層高まっていると感じてしまう。

 そして、密林のざわめきや山間に吹く風の音、強烈なスコール、そんな現地の音が生々しい。定位が豊かで前後左右からの音に包まれているような実感があり、空間再現の見事さに感心する。動物たちの鳴き声や、昆虫たちの羽音や足音まで克明に収録した音声が、臨場感豊かに楽しめる。

 UDP-205で見たUHD BDの映像と音は、まさしく見事なものだった。特にHDMIオーディオ出力の実力の高さにはほれぼれとさせられる。BDP-105DJPLの音も捨てがたいものがあるが、いっそのことUDP-205の2台体制という贅沢な使い方をしてしまおうかという気になっている……。

 UHD BDは順調に普及が進み、4Kテレビも同様だ。映像がどんどん優れたものになっていくのはうれしいことだが、やはりそれに相応しい音が得られることの重要さもよくわかった。音にもこだわりたい人ならば、UDP-205はまさに理想と言えるプレーヤーだ。

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(協力:OPPO Digital Japan)

鳥居一豊

1968年東京生まれの千葉育ち。AV系の専門誌で編集スタッフとして勤務後、フリーのAVライターとして独立。薄型テレビやBDレコーダからヘッドホンやAVアンプ、スピーカーまでAV系のジャンル全般をカバーする。モノ情報誌「GetNavi」(学研パブリッシング)や「特選街」(マキノ出版)、AV専門誌「HiVi」(ステレオサウンド社)のほか、Web系情報サイト「ASCII.jp」などで、AV機器の製品紹介記事や取材記事を執筆。最近、シアター専用の防音室を備える新居への引越が完了し、オーディオ&ビジュアルのための環境がさらに充実した。待望の大型スピーカー(B&W MATRIX801S3)を導入し、幸せな日々を過ごしている(システムに関してはまだまだ発展途上だが)。映画やアニメを愛好し、週に40~60本程度の番組を録画する生活は相変わらず。深夜でもかなりの大音量で映画を見られるので、むしろ悪化している。