レビュー

リーヴォンはOPPOを超えたか!? ユニバーサルプレーヤー「UBR-X200」を試す

上がリーヴォンの「UBR-X200」、下がOPPO Digital「UDP-205」

4K Ultra HD Blu-rayをはじめとして、Blu-ray、CD、SACD、DVD Audioなどハイファイ系12cmディスクすべてを再生できるユニバーサルプレーヤーとして人気の高い米OPPO Digitalの「UDP-205」(2017年発売)。

筆者も1台持っていて、サブシステムに組み込んで使っている。またぼくの周りの友人・知人にも愛用者は多い。なかにはSACDやDVD Audioもかかるということで、2チャンネルのピュアオーディオ専用機として重宝していると言う友人もいる。

しかしながら発売から1年後、2018年4月にOPPO突如ユニバーサルプレーヤーの新規製品の企画・開発中止を発表。日本で人気の高かったUSB DACのSonica DACも2018年3月に製造中止された。5年前の時点で、映像も音楽も、ディスクからサブスクへの流れはもう止められないとオッポ経営陣は判断したのだろう。

OPPO Digital「UDP-205」

しかし、好調に売れ続けていたUHDユニバーサルプレーヤーのビジネスをこれほど見事にスパッと止めるとは……。今よりも未来を重視する米国企業らしさを実感させる「事件」だった。

その後、修理などのサポートをOPPO Digital Japanの母体であった輸入商社エミライが引き継いだが、それもいつまで続くのか……という不安の声がUDP-205ユーザーから聞こえてくる。実際、UDP-205の前に発売されたBDP-105やBDP-95は、入手不可能な補充パーツが出てきているそうである(つまり修理できない)。

ちなみにOPPOのユニバーサルプレーヤーは、中古市場で今なお大人気のようで、UDP-205の下位モデルだったUDP-203などは、発売当時の2倍以上という驚愕の価格で取り引されている。UDP-205は中古市場にめったに出てこないが、いったいいくらになるのだろう。

では、UDP-205に代わるユニバーサルプレーヤーはないのか。いや、実はあるんですね。2021年にわが国に上陸したリーヴォン(REAVON)のユニバーサルプレーヤー「UBR-X200」がそれだ。

リーヴォン「UBR-X200」

リーヴォンとは?

リーヴォンはフランス・パリの有力AV機器販売店であるアーキソフト・グループが所有するブランド。リーヴォン以外にもいくつか自社ブランドを持っているそうだ。日本で言えば、AVACがメーカーを兼ねているイメージだろうか。同社はフランスで設計開発、中国・深センにある専用工場に生産を委ねているという。

リーヴォンのUHD BDプレーヤーは、UBR-X200の他にアナログ音声出力を持たない「UBR-X100」と「UBR-X110」がある。100と110の違いは、SACDプレイバック機能の有無で、110がその機能を持っている。

さて、ここでは「リーヴォンはOPPOを超えたか」をテーマに、2チャンネル(XLRバランス/RCAシングルエンド)とマルチチャンネル(7.1ch/RCAシングルエンド)アナログ音声出力を備えたUBR-X200と、OPPO UDP-205をぼくの部屋でガチンコ比較してみた。

一つ加えておくと、現在アナログ・マルチチャンネル入力を持つ家庭用プリアンプの現行モデルは筆者の知るかぎり存在しない。SACDやDVD Audioが登場し、そのマルチチャンネル音声に注目が集まった約20年前は、アキュフェーズ「CX260」やオーラ「VARIE」(ぼくのサブシステムで活躍中)など優れた製品が存在していたのだが……。SACDやDVD Audioなどのハイファイオーディオ系マルチチャンネル作品を楽しむには、AVアンプとのHDMI接続が前提となることをご承知置きいただきたい。

UBR-X200とUDP-205の違い

まずリーヴォン「UBR-X200」とOPPO「UDP-205」の機能面の違いについて述べてみよう。

先述の通り両モデルとも現在入手し得るハイファイ系12cmディスクにフル対応する。そこは同じだが、詳しく見ていくと、UBR-X200はUDP-205に及ばないところがけっこうある。

大きくは以下の3つだろうか。

  • 1.Wi-Fi機能やタブレット/スマホ用アプリが無い
    UBR-X200はLAN端子があり、ローカルネットワーク環境に置けばPCやNASに収めた音楽ファイルを再生できるが、Wi-Fi機能は無い。また、タブレットやスマホでの操作ができず、HDMI出力した映像を見ながらの専用リモコンでの操作となる
  • 2.TIDALなどの高音質音楽ストリーミング・サービスやNetflixなどの映像配信に対応していない
  • 3.ヘッドフォン端子がない

いかがだろう。「あ、それならリーヴォン要らないわ」という方もいらっしゃるかもしれない。つまりUBR-X200はハイファイ系ディスク再生に特化し、それをスピーカーで聴くことに照準を合わせたユニバーサルプレーヤーなのである。

UBR-X200の背面
UDP-205の背面

UBR-X200 vs UDP-205……の前に気づいたこと

ということで、ここではUHD BD、BD、SACD(2チャンネル)とCDを再生して、UBR-X200とUDP-205の画質・音質比較をしてみたい。

ディスクを挿入してまず気づくのは、UBR-X200の動作音が少し大きいこと。UDP-205の方が断然静かに回転している。これは動作ノイズ対策と筐体剛性の違いが如実に出ているのだろう。

UBR-X200のディスクトレー

動作スピードに関しては、それほど大きな違いはない。専用リモコンのデザインの品位の高さ、使いやすさはOPPOのほうが上回る。

UBR-X200のリモコン

また、テレビ/プロジェクターに映し出される操作画面の日本語品位も、UDP-205のほうが高い。UBR-X200の表示する日本語フォントは、ちょいとチャイナチックなのである。

UBR-X200のホーム画面。ちょっとフォントに違和感が……
こちらは見慣れたUDP-205のホーム画面

画質・音質をチェックする前にこれらに気づき、「ありゃUBR-X200はやっぱりUDP-205に全然かなわないんじゃ? この企画無理かも?」の思いがアタマをうっすらとよぎったことをここでコクハクしておきます。しかし、この記事がこうやって無事に掲載されているということは……。はい、以下の文章をお読みください。

画質はUDP-205よりも上と思えるクォリティ

まずUHD BDのチェックから。UBR-X200、UDP-205ともに2系統あるHDMI出力の“MAIN”をプロジェクターのJVC「DLA-V9R」に、“AUDIO”をAVアンプのデノン「AVC-A110」に接続した。

高画質ソフトで定評のあるビコムの“4K RELAXES"シリーズから『西表島』を観る。抜けるような青空の下で撮影された「星砂の浜」のチャプターで両モデルを比較してみた。

UBR-X200、UDP-205ともに、映像信号処理を司るのは同じメディアテック製チップセット。画質の有意な差異は認められないのでは? いやUDP-205のほうが電源回路が充実しているので、ノイズレベルでUBR-X200はかなわないかも……と予想したのだが、画調の違いこそあれ、ほぼ互角だった。

110インチ・スクリーンに映し出された映像を凝視すると、UDP-205のほうがハイライトに伸びがあって力強く見えるが、精細度はUBR-X200が高い。とくにカメラがパンしたところでUDP-205よりも解像感が保たれている印象を受ける。苔むした岩肌とか波が打ち寄せる浜の砂の描写などでも、UBR-X200のほうが情報量が多い。もっともこれは目を凝らして集中して精査してのこと。ただぼんやり見ていたのでは「なんとなく違う」という感じかもしれないが……。

UBR-X200の画質の良さが活きたのが、UHD BDの映画『DUNE/デューン 砂の惑星』だった。平均輝度レべル(APL)のきわめて低い室内場面。教母役のシャーロット・ランプリングが、主役のポールをテストするシーンを観たのだが、ローライトでの肌色の乗りや照明のピーク感などで違いが出て、UBR-X200のほうがより彫りが深いのである。

興味深いのが、UBR-X200の表現するローライト(暗部)のホワイトバランスがやや赤みがかること。これは比較してみて初めてわかることだが、ぼくはこのホワイトバランスをとても好ましく感じる。APLの低い場面の肌色がより好ましく見えるからだ。リーヴォンのエンジニアはそれを見越した“確信犯”なのではないかと思う。

では、BDの映画『ハウス・オブ・グッチ』のアップコンバート画質はどうだろう(プレーヤー内部で4K変換してDLA-V9Rに入力)。これは正直言って五分五分。暗部の落ち着きはUBR-X200が勝っているようにも思うが、解像感やハイライトのヌケのよさに大きな差はなかった。

まあ少なくともUBR-X200は、画質面でUDP-205よりも上と思えるクォリティを達成していることは間違いない。UHD BDプレーヤーとしてUDP-205の代替機を探している方に躊躇なく推せるという確信を得た次第。

では、AVアンプにHDMI入力した音質はどうか。

スピルバーグ版『ウエスト・サイド・ストーリー』と先述の『DUNE/デューン 砂の惑星』でチェックしてみた。

UDP-205のHDMI出力の音は中低域が厚く、力強い。『ウエスト・サイド・ストーリー』のオーケストラ・サウンドの伸びやかさや『DUNE/デューン 砂の惑星』の効果音の迫力などに独自の魅力を実感する。

一方のUBR-X200は軽快なサウンドが持味。映画の効果音の迫力はUDP-205にかなわないが、空間がふわっと広がっていくイメージで、聴き心地がとてもよいのである。この持味の違いは興味深い。

UBR-X200の実力の高さに驚く

では、両モデルのオーディオプレーヤーとしての実力、アナログ音声出力の違いを検証していこう。

SACD『ザ・ローリング・ストーンズ・プロジェクト/ティム・リース』からノラ・ジョーンズの歌う「ワイルド・ホース」をUBR-X200で再生し、XLRバランスとRCAシングルエンドの音を聴き比べてみたところ、レベル・音質ともに大きな違いがないことがわかった。そこで、とりあえずXLRバランス出力でUDP-205と比較してみる。

UDP-205に採用されたDACチップはESS製の最高級8chタイプ「ES9038Pro」。これを2基採用してアナログマルチチャンネル出力に1基、XLRバランスとRCAシングルエンド両出力とヘッドフォン出力に1基用いられている。

一方のUBR-X200は、XLRバランス/RCAシングルエンド両出力用にTI製バーブラウン「PCM1795」を2基搭載している。マルチチャンネル出力用は「PCM1690」だ。

もちろんDACチップのグレードによって音質が決まるわけではないけれど、定評のあるES9038Proを使っているUDP-205のほうがアナログ音声出力の音質は上なのでは? と予想する方も多いかもしれない。しかしテストしてみてわかったのは、UBR-X200の音はUDP-205の後塵を拝するものではなく、おおむねUDP-205よりも好ましいという事実だった。電源回路の規模や筐体の堅牢さでも、明らかにUDP-205のほうが本格派なのだが……。

たとえば、ノラ・ジョーンズのヴォーカルの押し出しのよさとか音像の安定感においてはUDP-205はさすがと思わせるが、UBR-X200のほうが音に解放感があり、とくに高さ方向の音の広がりが好ましいのである。UDP-205はなにかこう音が窮屈で、音場の立体感が出にくい印象だ。

1960年代の人気ソウル・ソンガー、サム・クックのSACD『ライヴ・アット・ザ・コパ』でも同様な印象。人々のざわめきやグラスが皿に当たる音など、クラブ内の喧騒がUBR-X200のほうがくっきりと浮かび上がってくるのである。真に迫ったヴォーカルの力強さではUDP-205も悪くないのだが、なにせ音がなにか押さえつけられている印象がある。

ポール・ルイスが弾いたベートーヴェンのピアノ・コンチェルト『皇帝』のCD、第2楽章で聴けるピアノの精妙なタッチや、弦5部のハーモニーの解像感もUBR-X200の勝ち。リーヴォンの音質担当エンジニアはそうとうの手練だと確信した。

視聴前はUDP-205の優位は揺るがないかなと思いつつテストを始めたが、画質・音質ともにUBR-X200の実力の高さに驚かされた今回のテストだった。

映像・音楽配信機能は必要ない、ヘッドフォン端子も要らないという方には断然お勧めできるリーヴォンUBR-X200。高価で、いつまで修理してもらえるかという不安もあるOPPOの中古品をもう探す必要はないと思います。

リーヴォン「UBR-X200」
山本 浩司

1958年生れ。月刊HiVi、季刊ホームシアター(ともにステレオサウンド刊)編集長を務めた後、2006年からフリーランスに。70年代ロックとブラックミュージックが大好物。最近ハマっているのは歌舞伎観劇。