日沼諭史の体当たりばったり!

ラジオで爽やかに目覚めたい! だけなのに、けっこう大変だった話。ソニーの電球スピーカー&ラジオ

 真冬である。朝の冷え込みが厳しくなるにつれ、自然と目覚めが遅くなり、ほかほかの布団から起き上がるのが辛くなってきた。もはや単なる目覚ましアラームだけではびくともしない体になっている。おかげで近頃は子供たちを保育園へ連れていくのが遅れ、仕事に遅刻しまくるという大きな問題が発生していた。

LED電球スピーカー「LSPX-103E26」

 どうすれば朝早く起きられるのか、悩んでいる時に妻がこう宣言したのである。「アラーム代わりにラジオが聞ければ起きられる」と。ふむ、ラジオが流れるだけで本当に早起きできるのかどうかは半信半疑ではあるけれど、たったそれだけのことなら簡単じゃろ。そう思って軽い気持ちでいろいろ調べたり、試してみたりしたのだが、どっこい、これが意外に困難を極めた。

 何が難しかったのかはこの後詳しくお話するとして、とにかく紆余曲折あり、今回紹介するソニーのFM/AMホームラジオ「SRF-V1BT」(直販価格19,880円)とLED電球スピーカー「LSPX-103E26」(同23,880円)の2つが、“目覚ましラジオ”に適したソリューションであると判断するに至った。

FM/AMホームラジオ「SRF-V1BT」

 結論だけを言うと、日沼家が望む形の“目覚ましラジオ”には厳密にはまだ到達していないところもあった。けれども、ひとまずどちらの製品でもラジオで気持ちの良い起床に成功したことをあらかじめ報告しておきたい。

“目覚ましラジオ”の理想と現実

 「ウェイクアップタイマー付きのラジオを使えばそれで解決じゃない」と、多くの人がまず突っ込みを入れたくなるだろう。あるいは、スマートフォンに詳しい人なら「radiko.jpをアラーム化すればいいじゃない」と思ったりもするはずだ。たしかにその通り、指定時刻に電源が入ってラジオが流れれば、もしくは同じようにradiko.jpが再生される機器があれば、まるっと解決である。ところが、これが“ない”のだ。

 いや、実際にはウェイクアップタイマー付きのラジオは、少ないがいくつか存在する。今回検証に使ったFM/AMホームラジオ「SRF-V1BT」もその1つだ。しかし、日沼家が理想とする“目覚ましラジオ”というものを考えた時、詳しくは後述するが、実はタイマー付きラジオというだけでは解決できない。その理想とは下記のようなものだ。

平日の朝の指定した時刻ちょうどから、別所哲也さんの声(FMラジオ J-WAVE 81.3MHz)を寝室で目覚まし代わりに聞きたい。ただし部屋が狭いのでできるだけ場所を取らない方法で

(by 妻)

 どうだろうか。実にささやかな願いではないか。「場所を取らない方法」というところは引っかかるが、難なく実現できそうに思えるだろう。でも、正確にこの内容を実現しようとすると、現段階では難しい。人によって“難しい・難しくない”の程度に差はあるにしろ、もし「こんなに簡単にできる方法があるよ」という人がいればぜひ教えてほしい。煽りとかではなく、今も本気で知りたいのでよろしくお願いします。

 それはそれとして、IoT時代まっただなかの昨今、あらゆる機器がネットワークにつながり、連携も可能になっているわけで、ラジオをアラーム化することくらい、いかようにもできるだろうと筆者も高をくくっていた。なので、最初に頭のなかで以下の「目覚ましラジオソリューション」の候補がぱっと浮かんだのだった。

  1. radiko.jpをアラーム化するスマートフォンアプリを使う
  2. ラジオ・radiko.jp機能付きの省スペースなミニコンポを使う
  3. パソコンやスマートフォンでradiko.jpのWebページにアクセスして再生する
  4. ラジオ・radiko.jp機能付きのAVアンプを使い、寝室のBluetoothスピーカーに飛ばす
  5. タイマー付きの普通のラジオを使う

 考えたことは考えたのだが、実は最後の候補を除き「NG」だった。なぜなのか、1つずつ解説していこう。

 まず1番目、「radiko.jpをアラーム化するスマートフォンアプリを使う」は、真っ先に思いつき、真っ先に候補から外れたパターンだった。Google Playで検索すればそのようなアプリは見つかるが、radiko.jpがタイムフリー聴取に対応したあたりから、指定時刻にradiko.jpは起動しても再生が始まらない、という非公式アプリならではの問題が発生しているのである。

 次に2番目「ラジオ・radiko.jp機能付きの省スペースなミニコンポを使う」。これはわりと有力な候補ではあったのだが、筆者宅の寝室では、妻と子供2人が寝る分の布団を敷くともう寝かしつけ用の絵本以外はほぼ何も置くことができない状態。筆者自身は部屋の外で寝ることになるほどで、そこに新たに本体とスピーカーを置く場所は作れそうにないのだ。外部電源が必要で、置き場所の自由度が低いのもデメリットだった。

 3番目の「パソコンやスマートフォンでradiko.jpのWebページにアクセスして再生する」は、radiko.jpのアラーム化アプリが使えないことから検討し始めた方法だが、結局こちらもタイマーをどうするか、という問題は残る。また、指定時刻にradiko.jpにWebブラウザーでアクセスできたところで、特定のラジオ局を自動再生するには至らない。それに、radiko.jpのWebサイトのプレーヤーにFlashが使われている現状では、Flash非対応のスマートフォンからはどうしようもない。

 radiko.jpのパートナー企業などにのみ提供されているAPIも存在し、それを使うことで外部からワンクリックで指定ラジオ局を再生し始めることも可能なようだが、非公開のものを非公式の形で使う方法は、アラーム化アプリと同様の問題をはらんでいると言えるだろう。

AVアンプも、リモコンユニットも、IFTTTも、目覚ましには使えず?

 4番目「ラジオ・radiko.jp機能付きのAVアンプを使い、寝室のBluetoothスピーカーに飛ばす」は、最も時間をかけて調べた候補だが、結局実現性は低いとして諦めた。まず第一に、AVアンプのほとんど全てがウェイクアップタイマー機能をもっていないのが問題だ。電源コンセントとAVアンプの間に挟んで使うオーディオタイマーを使う手もあるけれど、主電源が投入されたところでその後にradiko.jpを自動起動して特定のラジオ局を再生し始める方法を別途考えなければならない。

 ただ、AVアンプを指定時刻にオンにして、ラジオ機能やradiko.jpを起動、再生する方法はないこともない。例えばeRemoconやeRemote、eRemote mini、IRKitといった、スマートホーム的な赤外線リモコンユニットをうまく使ってAVアンプを制御すればいい。が、少なくともeRemoconとeRemoteシリーズは、「指定時刻に何かする」ことが、筆者が調べた限りではまず(普通のやり方では)不可能だった。

 IRKitについては、Webサービスと連携したりいろいろな操作の自動化をサポートする「IFTTT」と呼ばれるスマートフォンアプリと連携することで、「指定時刻に何かする」ことは可能ではあるものの、そのために使用するクラウド上の仕組み(Maker Channel)の仕様のせいか、数十秒ほど遅れて実行されるようだった。それ以前にIRKit自体をある程度自在にコントロールするには、他に制御用のデバイスやプログラムを用意しなくてはいけないし、頑張って用意したところで数十秒もの遅延の問題が解決できないのなら、正しく「目覚まし」として使えるとは言いがたい。

いろいろな処理や操作の自動化をサポートするアプリ「IFTTT」
指定時刻をトリガーに何かを実行することはできるが、リモコンユニットとの連携がまだほとんどないのが残念

 問題はまだある。それらの課題がなんとかなったとしても、肝心のラジオ音声をどうやって外部Bluetoothスピーカーに送るのか、という点だ。Bluetooth受信(例えばスマートフォンで再生している音声をAVアンプに飛ばす)機能は多くのAVアンプが備えているが、Bluetooth送信(AVアンプで再生している音声をBluetoothスピーカーに飛ばす)機能をもつものは少ない。

 たとえBluetooth送信可能なAVアンプを使ったとしても、筆者宅の場合2階のリビングに置くことになるであろうAVアンプから1階の寝室までBluetoothの電波が届くのか、という懸念もある。電波の届きやすさのことを考えると、Wi-Fi接続のスピーカーやオーディオ機器を使うというのも選択肢としてはアリだが、Bluetooth以上に考慮すべきこと、用意すべきものが増えると容易に想像できる。

 ラジオを目覚ましにしたい、たったそれだけのことなのに、全然思っていることを実現できないIoT時代とは一体何なのだろうか、というもどかしさで頭がどうにかなりそうである。

結局一番簡単に目覚まし化できた「FM/AMホームラジオ」

 最後の5番目「タイマー付きの普通のラジオを使う」は、おそらく最も簡単かつ確実な方法に違いない。実際のところ、最初から頭の中ではこれが一番間違いがないだろうと思ってはいたのだ。ただ、あまりにも当たり前の方法であり、当たり前の結果が待ち受けているような気がして、企画として成立するのか……と悩んだのが正直なところである。

 しかしこの方法を実践するための製品として試用したFM/AMホームラジオ「SRF-V1BT」は、最新のラジオ機器ということもあり、なかなかにユニークで魅力の多い製品だった。

 SRF-V1BTは、Bluetoothスピーカーとしても使えるワイドFM対応ラジオ。4.5cm径、2.5W×2のステレオスピーカーを備え、上部は木製、下部はメッシュグリルというツートンの、大人な雰囲気のデザイン・質感が目を引く。重量は880gと、片手でも持てるコンパクトな製品だ。

片手で持ち運べるコンパクトなSRF-V1BT
背面にはアンテナを用意。伸ばしても、伸ばさなくても感度高く受信できた

 内蔵バッテリーで使うこともできるので、家のなかをあちこち持ち運んでラジオを聞けるし、外部電源の場所を考えなくても良い分、邪魔になりにくいところに自由度高く置けるのがメリット。今回のように設置スペースが限りなく少ない場合にも最適なアイテムと言える。本体上部に並ぶボタンで本体正面の液晶ディスプレイを操作し、各種設定をわかりやすく行なえるのも便利だ。

外部電源で駆動できるうえに……
内蔵バッテリーでも動作

 ラジオを朝の目覚まし代わりに使いたい時の設定も簡単。まず受信地域の選択と時計設定を行ない、その後好きなラジオ局を選んで、本体上部に5つある数字ボタンのどれかを長押しして「お気に入り」のラジオ局として登録する。次に、タイマーの設定画面で再生開始時刻とお気に入りに登録したラジオ局を選び、タイマーをオンにするだけだ。初期設定も含め5分もあれば完了してしまうだろう。

正面の液晶ディスプレイを見ながらボタンで操作可能
初期の地域設定をして
時計を設定
オンタイマー設定で……
朝起きたい時刻を指定
何を流すのかをお気に入り登録したなかから選ぶ
オンタイマーボタンを押してディスプレイに時計のマークが出れば準備完了だ

 これにより、毎朝の指定した時刻に、確実にJ-WAVEの別所さんの声が部屋に響き、爽やかな目覚めを迎えることができる。妻はたしかに、それまでとは明らかに違って、すばやく布団から飛び起き、朝食の準備を始めるようになった。2人の子供のうち下の子は、元から朝早く起きることができる体質のようでラジオの有無は関係なさそうだが、最も朝の弱い上の子も、わずかながら改善の兆候が見られる。少なくとも朝からひどく不機嫌になる回数は減った。

 だがしかし、それでも全ての理想がかなえられたわけではない。省スペースとはいえやはりラジオ本体の置き場所が必要になること、そして、平日だろうが週末だろうが毎朝指定の時刻にラジオが必ず鳴り始めることが課題だ。理想は平日の朝だけラジオが流れること。タイマーのオフはボタンをワンタッチすれば済んでしまうのだが、忘れてしまうことだってある。手間をほとんどかけずに“目覚ましラジオ”を実現できる方法ではあるけれど、理想まであともう一歩……。

radiko.jpをぼーっと使っていたら発見した「マイリスト」機能

 しかしいよいよ手段がなくなってきた。どうやら既存の機器やアプリ、サービスのみで理想的な“目覚ましラジオ”を作り上げるのは諦めた方が良さそうだ。筆者はradiko.jpでJ-WAVEに合わせ、半ば放心状態のままピストン西沢のやや下世話で軽妙なトークを聞いて疲れた心を癒やすしかなかった。週末も悩み続けて「RADIO DONUTS」通称「ラジド」を聞いていたのだが、その画面にふと、気になるものを見つけたのである。radiko.jpの「マイリスト」という機能だ。

画面の右下に「マイリスト追加」ボタンを発見
ボタンを押した後、設定画面からマイリストを表示させたところ

 マイリストは、あくまでもアプリ上では、好きな番組が始まる直前にプッシュ通知でお知らせする機能であると説明されている。が、マイリストの編集画面を見ると、番組は直接的には関係なく、曜日と時刻、通知するタイミングを設定することによって動作しているだけ。要するに「平日の朝○時の5分前に通知する」といった使い方が可能なのだ。

マイリストの編集画面で、何曜日の何時(の何分前)に通知するか、を設定できる
指定時刻になるとこのように通知が表示される

 このマイリストの機能を使うと、Androidスマートフォンの場合はその時刻になると通知エリアに「J-WAVEで○○が始まります」というようなメッセージが表示されるようになる。ただし、通知が表示されるだけであってradiko.jpアプリの画面は表示されないし、番組の再生が始まるわけでもない。そういう意味では、既存のradiko.jpのアラーム化アプリで現状できることと大差はないのだが、実は通知をタップするとradiko.jpが起動し、その番組の再生が自動で開始することがわかった。

 『これは使える』

 もうそこまでできているのなら、あとはこの通知を何らかの方法で自動でタップするようにできれば、“目覚ましラジオ”はほとんど完成したも同然だ。もともと筆者は、Androidスマートフォンでスクリーンショット撮影時に「スクリーンショットを取得しました」という通知が毎回表示されるのにうんざりし、自動で通知を消去するアプリを作っていた。なので、それを少し作り変えるだけで実現できるだろうと思ったのだ(ちなみにIFTTTを使うことも考えたが、IFTTTでは通知を元に何かをする、という処理はできないようだ)。

 そんなわけで作ったのが“特定の通知が来たらタップするだけのアプリ”である。プログラムの中身をここで詳しく説明するつもりはないが、通知を出すアプリを特定するID(パッケージID)と、メッセージ内容をこの自作アプリ内であらかじめ設定しておくと、その通知が出現した瞬間にタップ(内部的にはIntentを実行)するようにしている。

自作アプリ「NotificationClicker」(Google Play)

通知が届いたらすぐにradiko.jpが起動し……
即座に再生が始まる!

 ただ、このアプリにも弱点というか、AndroidOSのバージョンもしくは機種によっては、仕様上の問題から制限がある。radiko.jpの通知があると、画面が消灯していても自然に点灯するものの、端末にセキュリティロック(パスワードやパターン認証、生体認証など)をかけている場合はロック画面が表示され、radiko.jpが起動しないことがあるのだ(セキュリティの観点から起動しないのが正しい挙動と思われるが、試した限りAndroid 5.0.2のARROWS NX F-02Gではロック画面の裏側でradiko.jpが起動した)。

 そのため、この自作アプリが動作する条件としては、ロックを一切設定しない状態か、単純なタッチやスワイプのみでロックがすぐに解除される状態であることが多くの場合必須となる。また、後者の場合はこの自作アプリの画面がフォアグラウンドにある状態にしておかなければならない(自作アプリの画面がフォアグラウンドに表示されている間は、端末のロック解除が必要のない作りにしている)。

 Androidの仕様上の制限が避けられないために、どの端末でも使い勝手よくラジオを目覚ましにできるとはとても言いがたいのだが、それでもとりあえずradiko.jpで目覚めることはできるはずだ。具体的な設定方法は以下のスクリーンショットを参考にしていただきたい。セキュリティを外すのがためらわれる場合は、普段使っていないスマートフォンを目覚まし専用端末にしたり、自宅専用のWi-Fiタブレットなんかを活用するのもおすすめだ。なお、radiko.jpの通知が指定時刻ぴったりに届かないこともあるので、ご注意いただきたい。

【radiko.jpアプリの設定】
目覚まし時に再生したいラジオ局の番組再生中画面で「マイリスト追加」をタップ。メニューへ
「マイリスト」を選んで一覧から「編集」をタップ
赤枠内の通りに設定。「タイトル」に任意のわかりやすいキーワードを入力するのと、6時ちょうどに鳴らしたい時は「6時5分」に設定して「5分前」に通知するよう設定しておく
「プッシュ通知」がオンになっていることを確認。その後はradiko.jpアプリを終了しておいてもかまわない
【NotificationClickerの設定】
赤枠内の通りに設定。radiko.jpで「タイトル」に設定した文字列を間違いなく入力する。その後『「通知へのアクセス」設定へ』ボタンを押す
「NotificationClicker」のところをオンに
警告ダイアログが表示されるので「許可」する
あとはこの画面にしたまま消灯し、就寝。朝になると自動でradiko.jpが起動し、番組の再生が始まるはず

ラジオ音声と「LED電球スピーカー」で究極に爽やかな目覚めを

 これで指定時刻にラジオを再生し始めるという第一の難関を突破できたわけだが、理想は「できるだけ場所を取らない方法」である。スマートフォンだけならたしかに省スペースではあるけれど、夜眠っている間、充電しないまま枕元に放置する、というわけにもいかない。だから電源コンセントの近くで充電器(ケーブル)とスマートフォンの置き場所を確保することになるわけだが、それだと結局ミニコンポを使うのとあまり変わらないのではないか。

 そこで試してみたのが、昨年発売し人気を博しているというソニーのLED電球スピーカー「LSPX-103E26」。その名の通りLED電球とスピーカーが合体した代物だ。家庭内の電球用ソケットとして一般的なE26口金に対応し、ねじ込むだけで普通の電球として使えるうえに、Bluetoothスピーカーとしても活用できる。

LED電球スピーカー「LSPX-103E26」
一般的なE26口金のソケットに対応する

 通常の電球よりひと回り大きく、先端部分に出力2Wのモノラルスピーカーがむき出しになっている。筆者宅ではこれを寝室のペンダントライトのソケットに装着した。壁面スイッチをオンにしている間は常に通電され、付属のリモコンを使ってライトのオン・オフや、白色光と192色のカラー点灯モードの切り替え、白色光時の明るさの調整(最大500ルーメン)などが行なえる。

普通の電球よりひと回り大きい
寝室の天井から吊り下げているペンダントライトのソケットに装着
付属リモコンでオン・オフ、明るさ調整、スピーカー操作など一通り可能

 また、Bluetoothスピーカーとして使用する際は、リモコンにスマートフォンなどのNFC対応デバイスを近づけるだけでペアリングでき、スマートフォンで再生している楽曲をすぐさまLSPX-103E26から流すことが可能だ。通常のBluetoothスピーカーとは違って別途電源を確保する必要がなく、壁面スイッチで電源を切らない限りBluetooth機能は常時オンになっているので、いつでも気軽にスマートフォンと接続して(あるいは自宅にいる間は常に接続状態にして)音声を流せる。そして、吊り下げて使うので、置き場所の問題が発生しないのが最大のメリットだ。ちなみに、2個のLSPX-103E26を用意すれば、組み合わせてステレオスピーカーとして使えるようにもなっている。

 ソニー製品とスマートフォンを連携させるのに使う「SongPal」アプリと、LSPX-103E26用のプラグインアプリを使うと、ライトの調整だけでなくウェイクアップタイマーも使えるようになるのもポイントだ。

 今回筆者が自作した「特定の通知が来たらタップするだけのアプリ」でradiko.jpを起動するのと同時に、LSPX-103E26のライトもタイマーでオンにして、まだ朝の薄暗い部屋を明るく照らしながらラジオの音声を聞き、速攻で目覚めるという組み合わせ方もできるのである。すばらしい! (ただし、タイマー設定時に端末に保存している楽曲の指定が必須となるので、無音の短い音声ファイルを用意しておくと良い)

白色光だけでなく、カラフルな色で照らすこともできる。これは水色
ピンク
イエロー
オレンジ
「SongPal」アプリ。プラグインとして追加インストールした「LED電球スピーカーアプリケーション」からコントロールできる
白色光の明るさ調整画面
192色から自在に選択可能
時間や流している音楽のリズムなどに合わせて徐々に色を変えていくこともできる
変化させる色の範囲を指定して、オリジナルの変色パターンを作るのもOK
タイマー設定して、指定時刻になったら音楽を再生するとともに明るく照らすことも可能。ラジオ音声を流したい時は無音の短い音声ファイルを指定しよう

 このタイマー機能でライトをオンにする際は、白色光のみになるのが惜しい。192色のなかから指定した色で照らし始めたり、じわじわと時間をかけて明るくしてくれるモードがあったりすると、もっと「爽やかな目覚め」を演出できたと思うのだが……。

目覚まし用途以外でも常用したくなったラジオ&LED電球スピーカー

 ラジオを目覚ましにするというごく簡単そうに思える機能を実現するのに、多くの回り道をしながらもなんとか形にはできた。手軽さという面ではやっぱり普通のアラーム付きラジオに軍配が上がるわけだけれど、FM/AMラジオ SRF-V1BT」の操作性の良さとラジオ電波の受信感度の高さ、FM放送をメリハリ良く聞かせてくれる高音質は、寝室用でなくても欲しいと思ったくらいだ。

 LED電球スピーカー「LSPX-103E26」も、ライトとしてもスピーカーとしても、常用したいと思わせてくれる面白いデバイスだった。値段が高めなのがネックではあるが、できれば2つ揃えてステレオスピーカーにし、これも寝室だけでなくリビングやキッチンなどでも活用してみたいと強く感じた。

寝室に設置したホームラジオとLED電球スピーカー。どちらも日常生活を潤してくれる

 昨今はさまざまな機器のIoT化が推し進められ、自宅をスマートホーム(っぽいもの)に仕立て上げるスマート家電やデバイスも数多く登場し、複雑な機器連携と制御ができるようになってきている。そのはずなのに、なぜラジオを目覚ましにするのにこんなに手間がかかるのか、という切なさを感じたのも正直な気持ちだ。

 “ラジオの目覚まし化”は氷山の一角かもしれない。一般のユーザーが便利にしたいと思っている何かを実現するには、現在の仕組みだけでは不足していて、デバイスもサービスもまだまだ改善の余地があるように思う(技術をもつ一部の人はあらゆるテクニックを駆使してスマートホームを実現しているようだが)。IoT機器に詳しくない多くの人が好きなものを好きに“スマート化”できるようになるには、長い年月がかかるのではないか、とも実感したのであった。

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日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。PC、モバイルや、GoPro等のアクションカムをはじめとするAV分野を中心に、エンタープライズ向けサービス・ソリューション、さらには趣味が高じた二輪車関連まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「GoProスタートガイド」(インプレスジャパン)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)など。